【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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 プロローグ

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  私の名前は、プリムローズ・ド・クラレンス。
公爵令嬢の次女で、2ヶ月後に9歳を迎える予定である。

王都の家族たちは誕生日を覚えてくれて、ちゃんと祝ってくれるかしら?

家族と離れて祖父母と領地で暮らしていましたが、5年ぶりに王都の家族の元へ戻ってきた。

本当は、別に帰りたくなかったけどね。

 目の前の懐かしい玄関ホールには、4人の家族たちの姿が。
父のクリストファーの近くに控える、執事長しつじちょうトーマス。
母のソフィアには、メイド長アンナが控えていた。
ちなみに2人は、夫婦ですのよ。

両親の横には、姉リリアンヌと兄ブライアン。
あまりに長く離れたせいで、すっかり他人感覚たにんかんかく

主人である公爵の後ろに左右かべ側に、並ぶ使用人たちの人数に圧倒あっとうされる。

領地の使用人たちは有能ばかりですから、そんなに人数は必要ありませんでしたならね。

領地から一緒に連れてきた専属メイドのメリーも後ろで、きっと私と同じ表情をしていると思うわ。


 緊張して心臓がドキドキと高鳴たかなって倒れるかもって思っていたら、父が近づいて私の肩に手をおきながらおっしゃったわ。

「王宮で、第1王子の婚約者を選ぶことになるかもしれないお茶会がある。 
お前とは歳が近い気に入られるように、はげみなさい!」

父の第一声を聞き、私の思考しこうがとまりましたわよ。

何かをさっしたのか、執事長トーマスが慌てて私に向かい声をかける。

「プリムローズ様、お帰りなさいませ!!」

その気合いの入った言葉に、使用人たち一同が直ぐに続いた。
家族たちは対照的に無表情で、何も言ってきません。

『なんだ、期待しても無駄むだですか。
やっぱり、変わらず自己中な方々ばかりだわ』

 その後は、居間でお茶を飲みながら会話になるみたい、会話になるのかしらね。

まだ、私は一言も。
ただいまさえも言ってないのよ。
無視むしして、4人だけで話しているじゃない。

ムッとしながら、家族の顔を横目で黙って眺めていた。

『はあ~、これって何よ。
ちょっと、あり得ない!』

メイド長のアンナが気遣い、私に紅茶を出しながら話しかける。

「お久しぶりでございます。
大きくおなりになりましたね、プリムローズ様」

「ごきげんよう、アンナ。 
お元気でそうで、安心してよ」

帰宅してから、やっと初めての言葉を口にしましたわ。
紅茶は、アンナのような優しい味がしてホッとする。
しかし、相変わらず私を無視しての抜かしての楽しげ話し声が耳障りだ。

旅の疲れでボーッとしてしまい、父の呼び掛けに反応が遅れてしまった。
ハッとした私は、父に目を向けて思わず微笑んで誤魔化ごまかす。
父は少しだけ、私に不機嫌ふきげんな表情を向けてきた。

「父上様、ごめん遊ばせ。
旅の疲れか久しぶりの自宅で安心したのか、気が抜けてしまいましたわ。 
ご無礼をお許しください」

背筋をピーンとしてから、深く頭を下げた。
許しを得るまで、そのままの姿勢を保っていると父が話しかける。

「すまないな。
お前はまだ小さいのに、気遣いが足りなかった。
まぁ~、もういいから…。
その頭をあげなさい」

帰宅してから、初めて父と私の目が合う。
この瞳を見たのは、何年ぶりだろうか。
金髪に昼間の海のような瞳を持ち、中年ですけど若々しく見える。
この方達とは、時も距離も離れすぎた。
家族なのに、他人と勘違いするほどに。 
ちょっぴりだけ、この時に胸が痛んだ。

「プリムローズ、お茶会のドレスを作りましょうよ!?
何色がいいかしら?
どんな色が好きなの?」 

娘の好きな色も知らないし、知ろうともしなかったのよ。
実の母親なのにね。

ドレスは祖母が私の意見をちゃんと聞いてくれて、隣国の大国アルゴラで1番の職人が作ったのがあります。
沢山あるし、必要ない。
どうしようかと考えていたら、前から姉の声が聞こえてきた。

「プリム、3人で作りましょうね?
お母様と私とで!
宜しいでしょう、お父様!」

甘い声でドレスをおねだりをしている姉。
その言葉が、なぜか気にいらない。
怒りを顔には出さず、ムリに我慢して微笑み。
5年ぶりに会う妹に対して初めてかけたのが、これとは信じられない。

姉をジッと睨みつけてあげた。
目をそらすまで、祖母直伝の王女オーラを醸し出す。
耐えきれなかったのか、姉が視線をそらした瞬間に話し始めたわ。

「リリアンヌ様。
本当は、お姉様とお呼びして良いのか。
伺ってから、お話をさせて頂きたいと思っておりましたのよ。 
家族と離れて年月もておりますし、皆様とどう接して良いかわからないものですから…」

目を伏せると、部屋の空気が重く感じる。
横で座っている兄ブライアンが、ガタッと音をたてつつ私の方を向いてきた。
ちょっと、もう驚かせないで下さいませ。
心の中で思わず、1人突っ込みをしてしまったわ。

「プ、プリムローズ?
私たちは、家族なんですよ。
そんな、様付けをしないでくれ。
お父様とお母様、お姉様、お兄様と呼んで欲しい 。
もっと、砕けた会話でよいのですよ」

『あらあら、声が上ずっていますわよ。
お兄様、大丈夫なのかしら』

心配しながら、兄に話しかけて差し上げることにする。
 
「ありがとうございます!
お兄様、お優しい~。
プリム、嬉しくてよ!」

兄ブライアンに、思いっきり嬉しげに微笑んだ。

『でも、~様付けはしてましてよ。お兄様!』

同じソファーに座っている兄は、泣きながら私の右手を両手で握りしめる。
力が入りすぎて痛いし、鬱陶うっとうしい。

よくみると父と兄、母と姉は同じ髪と目の色をしておりますね。
母達は、ハニーブロンドの髪に緑色の瞳。

3歳の時は、疎外された原因がわからなかったけど。
私だけ祖母に似てるから、他人のようだわ。
もしかしたら、この容姿のせいなのかも知れないわね。

なんだか、に落ちました。
当時3歳の私は、自分は他所の子かと思って泣いてましたもの。

大陸で1番の隣国アルゴラの元第1王女だった祖母。
確か母の実家は、伯爵でも下位に近かったわ。
母は祖母に対して、コンプレックスの塊だったはずだ。

私は銀に近いプラチナブロンドに紫の瞳。
アルゴラ王家しかない紫の瞳、まして特別な色を持っているそうですの。

 
 執事長トーマスが、ひとつ咳払せきばらいをした。
 
「旦那様!
プリムローズ様もお疲れのようですので、続きは夕食の時ではいかがでしょうか?」

トーマス、感謝します。
やっと一息つけますと、プリムロー心の中で礼を言う。
父のそうだなぁで、お開きになった。

すくっと立ち上がると、祖母直伝の王女様カーテシーして家族に御挨拶。

「皆様、5年ぶりに戻りました。
どうぞ、これから良しなにして下さいませ」

えて、仲良くして下さいとは言いません。
だって5年前の事を許さない。
あの時、私を空気みたいに居ない扱いをしたんですもの。

ずっと連絡もなかったのに、突然帰って来いって言うのがおかしいと思いましたのよ。

お父様の先ほどのお話だと、私を王妃様にしたくて此方に戻したのではなくて?

やはり、こんな屋敷に家族の処へ戻って来るんじゃなかったと後悔する。
これだけで彼女は、疲労困憊でヘトヘトになりかかるのだった。
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