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第1章 思い出は夢の中へ
第11話 甘い考え
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部屋の中は、静まり返っていた。
3人は、テーブルにある本を見て思う。
一冊の本に込められた思いを…。
「ここに本があるって事は、グレースは出版社に売り込みに行った証だね。
もっと他に方法が、なかったのかと思うよ」
ニコライは、ほんの少しだけ悲しむ顔をする。
「あくまでも、他人の噂よ!
本を愛でる会での話し合いで、こうだったんじゃないってー。
結局は、本人しかわからない」
マーガレットはテーブルにある本を撫でた後、2人を見て話した。
「マーガレット、やけに詳しいな。
まるで、見てきたみたいではないか?!
その情報源はどこで?!」
クッキーを片手で持ち上げてから、妻に聞いてみた。
「令嬢たちの情報網は、伊達ではないでしょう?!
王宮で働いている知人から、話を聞いたのよ。
グレースの側にいた方から直接伺ったわ」
マーガレットは、自信満々に2人に言った。
「これで話は終わりかい?
先がありそうな言い方しているね。奥様?!」
夫は妻に対して、挑発する様な素振りをした。
「あらっ、ダニエルがこういう話に関心を示すとは思いもしなかった。
フフフ、ここからが本番よ。
2人とも宜しくて?!」
夫人がベルを鳴らすと、メイドたちがやって来た。
どうやら新しいお茶を頼みながら、化粧室へ行く。
俺たちも、椅子から立ち上がり背伸びをした。
長い物語が続くようだと、ニコライはグレースのその後が気になった。
3人が席に座ると、湯気の立ち上るコーヒーが置かれていた。
気分を変えるみたいだと、男性たちは気付いた。
さっそくグレースは、自分の1番上等な服に着替えた。
口紅を薄くつけ、髪を結い上げて鏡で確認する。
前日から用意した、出版社の住所を書いた紙と地図を鞄に入れた。
どうせ私の物語なんて、全く相手にされないわ。
気軽な気持ちで、女官長からの通行証を手に持ち王宮の裏門に向かった。
門番に通行証を見せると王宮から出て、出版社を目指して歩きだした。
1番目は、国で1番の大手出版社。
ここがダメなら手当たり次第よ。
6件の住所を見て、何処も相手にされなかったら諦めよう。
もう1人の私が、引き返せと声をかけてる気がした。
足取りは、何故か重く感じる。
ここが王都で1番の出版社ね。
1階が本屋で2階が事務所、3階が…。
2階ね、緊張する私は息をひとつ吐くと扉を叩いた。
扉が開くと、少し自分より年上の男性と目が合った。
「お姉さん、誰?
ごめん、顔知らないから初めて来たの?!」
軽い口調で言われて、グレースは少し力が抜けた。
その人に説明すると、案内してくれる。
事務所に奥まった長いテーブルのある、ソファーに腰かけて座って待たされる事になった。
ここまで来るのにジロジロ見られ、コソコソ私の事を話しているのがわかった。
「また売り込みか!」
「お茶はいらんだろう?!」
「若い娘か、直ぐに帰るな!」
好き勝手に言われる。
来たことを後悔し始めていた。
案内した男性よりは、歳も立場も上の中年男性が対応してくれるようだ。
お辞儀して名を名乗り、原稿を渡す。
彼は2、3枚読むと、ちょっと失礼といい席を立つと何処かへ行ってしまった。
もうきっと、ダメなんだわ!!
たった3枚しか、読んでくれないじゃないの!!
顔を下に向けて、膝の上に指を組んでその指を見ていた。
誰かが近づく足音がするので顔を上げると、先程の中年男性と初老の立派な身なりをした人が近くに立っていた。
急ぎ立ち上がり、私はお辞儀と名前を伝える。
初老の男性は、名刺を差し出して名前を名乗ってくれた。
その方は、出版社の役員で編集長だった。
部屋がざわついた、状況はわからないがこの方も原稿を読んでくれるらしい?
座って前を見ると、中年男性が読み終わった3枚を渡している。
彼は4枚目から読み始め、読んだら渡すを繰り返していた。
10枚くらいになった時に、編集長が突然手を挙げた。
誰に言っているのかは、わからない。
「彼女にお茶菓子とお茶を!
コイツはコーヒーか、私には1番苦いコーヒーを頼む」
大声で言った後に、誰かが口笛を吹く。
歓声が上がった、良いことなの?
希望を持ってもいいのかしら?
ちょっぴり、気持ちが明るくなってきた。
キリッとした賢そうな女性が、私の前のテーブルにケーキと紅茶をそっと置いてくれる。
これは、王都で人気のあるお菓子屋のケーキだわ!
最後に口にしたのはいつ振りだろうか?
前はお給金の中から出して、たまにメイド仲間とお茶していたわ。
今は誘いも断っている。
少しでも送金するのに、やはりお金が欲しいわ!
そう願い、原稿を読み続ける彼らを時折見ていた。
何十分、何時間どのくらい時が経っただろうか。
テーブルに原稿を集めて、トントンと揃える音が響いた。
読み終わったんだわ!
お願いよ、薬を買うお金を下さい!
大切な母を奪わないでと、心で言い続けた。
「この話、君が1人で書いたの?
そして何処かの出版社に、もう行ったのか?!」
編集長が、私に質問してきた。
「はい、私が1人で書きました。ここが最初です!」
グレースは、極度の緊張で声が震える。
「君は作家になりたいの?
どうして、ここに来たの?」
えっ!グレースはお金しか考えてなかった。
売れるのは、この物語しか残っていない。
考えが甘かったのだ。
私、私はいったい何を求めているの?
体が震えてきた、反対に頭と心は考えるのをやめてしまった。
頭の中に何も浮かばなくなって、時が止まってしまった。
3人は、テーブルにある本を見て思う。
一冊の本に込められた思いを…。
「ここに本があるって事は、グレースは出版社に売り込みに行った証だね。
もっと他に方法が、なかったのかと思うよ」
ニコライは、ほんの少しだけ悲しむ顔をする。
「あくまでも、他人の噂よ!
本を愛でる会での話し合いで、こうだったんじゃないってー。
結局は、本人しかわからない」
マーガレットはテーブルにある本を撫でた後、2人を見て話した。
「マーガレット、やけに詳しいな。
まるで、見てきたみたいではないか?!
その情報源はどこで?!」
クッキーを片手で持ち上げてから、妻に聞いてみた。
「令嬢たちの情報網は、伊達ではないでしょう?!
王宮で働いている知人から、話を聞いたのよ。
グレースの側にいた方から直接伺ったわ」
マーガレットは、自信満々に2人に言った。
「これで話は終わりかい?
先がありそうな言い方しているね。奥様?!」
夫は妻に対して、挑発する様な素振りをした。
「あらっ、ダニエルがこういう話に関心を示すとは思いもしなかった。
フフフ、ここからが本番よ。
2人とも宜しくて?!」
夫人がベルを鳴らすと、メイドたちがやって来た。
どうやら新しいお茶を頼みながら、化粧室へ行く。
俺たちも、椅子から立ち上がり背伸びをした。
長い物語が続くようだと、ニコライはグレースのその後が気になった。
3人が席に座ると、湯気の立ち上るコーヒーが置かれていた。
気分を変えるみたいだと、男性たちは気付いた。
さっそくグレースは、自分の1番上等な服に着替えた。
口紅を薄くつけ、髪を結い上げて鏡で確認する。
前日から用意した、出版社の住所を書いた紙と地図を鞄に入れた。
どうせ私の物語なんて、全く相手にされないわ。
気軽な気持ちで、女官長からの通行証を手に持ち王宮の裏門に向かった。
門番に通行証を見せると王宮から出て、出版社を目指して歩きだした。
1番目は、国で1番の大手出版社。
ここがダメなら手当たり次第よ。
6件の住所を見て、何処も相手にされなかったら諦めよう。
もう1人の私が、引き返せと声をかけてる気がした。
足取りは、何故か重く感じる。
ここが王都で1番の出版社ね。
1階が本屋で2階が事務所、3階が…。
2階ね、緊張する私は息をひとつ吐くと扉を叩いた。
扉が開くと、少し自分より年上の男性と目が合った。
「お姉さん、誰?
ごめん、顔知らないから初めて来たの?!」
軽い口調で言われて、グレースは少し力が抜けた。
その人に説明すると、案内してくれる。
事務所に奥まった長いテーブルのある、ソファーに腰かけて座って待たされる事になった。
ここまで来るのにジロジロ見られ、コソコソ私の事を話しているのがわかった。
「また売り込みか!」
「お茶はいらんだろう?!」
「若い娘か、直ぐに帰るな!」
好き勝手に言われる。
来たことを後悔し始めていた。
案内した男性よりは、歳も立場も上の中年男性が対応してくれるようだ。
お辞儀して名を名乗り、原稿を渡す。
彼は2、3枚読むと、ちょっと失礼といい席を立つと何処かへ行ってしまった。
もうきっと、ダメなんだわ!!
たった3枚しか、読んでくれないじゃないの!!
顔を下に向けて、膝の上に指を組んでその指を見ていた。
誰かが近づく足音がするので顔を上げると、先程の中年男性と初老の立派な身なりをした人が近くに立っていた。
急ぎ立ち上がり、私はお辞儀と名前を伝える。
初老の男性は、名刺を差し出して名前を名乗ってくれた。
その方は、出版社の役員で編集長だった。
部屋がざわついた、状況はわからないがこの方も原稿を読んでくれるらしい?
座って前を見ると、中年男性が読み終わった3枚を渡している。
彼は4枚目から読み始め、読んだら渡すを繰り返していた。
10枚くらいになった時に、編集長が突然手を挙げた。
誰に言っているのかは、わからない。
「彼女にお茶菓子とお茶を!
コイツはコーヒーか、私には1番苦いコーヒーを頼む」
大声で言った後に、誰かが口笛を吹く。
歓声が上がった、良いことなの?
希望を持ってもいいのかしら?
ちょっぴり、気持ちが明るくなってきた。
キリッとした賢そうな女性が、私の前のテーブルにケーキと紅茶をそっと置いてくれる。
これは、王都で人気のあるお菓子屋のケーキだわ!
最後に口にしたのはいつ振りだろうか?
前はお給金の中から出して、たまにメイド仲間とお茶していたわ。
今は誘いも断っている。
少しでも送金するのに、やはりお金が欲しいわ!
そう願い、原稿を読み続ける彼らを時折見ていた。
何十分、何時間どのくらい時が経っただろうか。
テーブルに原稿を集めて、トントンと揃える音が響いた。
読み終わったんだわ!
お願いよ、薬を買うお金を下さい!
大切な母を奪わないでと、心で言い続けた。
「この話、君が1人で書いたの?
そして何処かの出版社に、もう行ったのか?!」
編集長が、私に質問してきた。
「はい、私が1人で書きました。ここが最初です!」
グレースは、極度の緊張で声が震える。
「君は作家になりたいの?
どうして、ここに来たの?」
えっ!グレースはお金しか考えてなかった。
売れるのは、この物語しか残っていない。
考えが甘かったのだ。
私、私はいったい何を求めているの?
体が震えてきた、反対に頭と心は考えるのをやめてしまった。
頭の中に何も浮かばなくなって、時が止まってしまった。
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