【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第1章  思い出は夢の中へ

第15話 悲しき懺悔

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 フラフラっとよろめき編集長の自宅から出て、心配なのか編集長が馬車で王宮の裏門まで送ってくれた。 

どうやって自室まで戻れたのか、ちゃんと部屋の椅子に腰かけていた。

王宮を辞める?!

友達になったメイド仲間、親切な女官長。
何よりもメイドとしての誇りを与えてくれた、あこがれの王妃様!

別れが辛かったが、ここで立ち止まってはいられなかった。

編集長は、現在板挟いたばさみになっている。
出版社の他の役員たちは、もっと売れと言っているそうだ。
責任を取るつもりで、出版を一時停止してくれている。

どうしよう、私が逃げて残された彼等かれらはどうなるのか?!
恩ある方を、絶対に辞めさせてはいけない!
恩人を守りたい。
けれども、私には何の力もない。

誰か、お願い助けてー!

ふと、王妃様の声がー。

「グレース、私に相談しなさい」

あのとき最初から母の事を話していたら、ここまでならなかった。

誰も傷つける事もなかった。

私は罪を犯した。

それをつぐわなくてはならない。

女官長様の所へ行く、自分から王妃様にお会いできないからー。

 
ノックの音を聞き、夜に誰かしら?
扉を開いて見て、自分の顔が強張こわばる。
頬に涙の後筋あとすじ、青い顔をしたグレースが立っていた。

グレースの母親に、何かあったのかしら?!
善くなったと、聞いたばかりなのに女官長は思った。
部屋の中へグレースを入れて、暖炉だんろの側に座らせることにする。

グレースは、突然座ってた椅子から立ちあがる。
床に直接座ると、頭をつかんばかりにして話し始めた。

「女官長様、私は罪を犯しました!
私はどうなろうと、いいのです。
どうか、恩人と家族をお救い下さい」

真面目でおとなしいグレースの言葉に、驚きを隠せなかった。
背中を優しくさすり、腕をとり無理やり椅子に座らせ訳を話させた。

話は女官長に、衝撃をあたえた。

噂で耳にはいっていた、話題の本のことは知っている。

「グ、グレース!!
貴女が……、本当にあの本の作家なの?!
あぁ、信じられないわ。
だって、私のめいが婚約破棄になったの!
きっかけになった本を読んだわ!
どうしても、あの本が気になってしまってね」

明らかに動揺して、女官長は言葉が上手く続かなかった。

絶望の表情で、両手で口をおおった。

「そ、そんなぁー!
姪御様がー!
それなのに、救いを求めてお願してー」

青い顔が白くなり、体が震え出す。

女官長は、慌ててグレースの手を取った。

「グレース、大丈夫よ!
安心して、姪は破棄出来て良かったと言っているの。
婚約者の本性がわかって。彼は、浮気していたわ。
それも本が出る前からよ。
本当に酷い男だった」

背中をポンポンと、あやすように叩いた。

「でも、どうして本をー?!
最初から順に詳しく話して頂戴ちょうだいな?!
貴女を知らないと、私もどうしていいのか?
手助けが出来ない」

自分に語るようにくわしく、頭の中で整理しながら話しをする。

途中で女官長もそうだったのねと、声をかけながら話を聞いていた。

長かったのか短かったのか、話が終わった。
夜の静寂せいじゃくが、部屋全体に広がっていく気がするようだ。

「よく分かりました。
王妃様にこの話をします。
必ず、貴女に王妃様を会わせてみせます。
それまで、貴女は病気よ。
皆は母上の件を知っています。
グレース、貴女は気を張りすぎて緩んだせいで具合がよくないことにします。
いいわね!?」

「はい。きっと、私も普通にしているのが限界でした。
お心遣いに感謝致します。女官長様!」

 
 次の日から、私は休みをもらった。

王宮に入ってからの初めての病欠に、メイドの仲間たちが仕事を終わってからお見舞いに訪れてくれた。

嘘を付いているので心苦しいが、心配してくれるのが嬉しかった。
笑顔で話をしていると、1人の友人がグレースにただしてくる。

「ねぇ、グレース!
確か前に婚約破棄されて、職を求めて王宮に入ったって言ってたわよね?
今、婚約破棄が流行はやっているのを知っている?!」

もう1人の別の友人が、慌てて話し始める。 

「やだっ、やめなさいよ!
グレースは、私たちみたいな噂好きではないのよ。
グレースは、わからないわよね?!」

私は首をかしげて、知らない振りをした。

ほーらっ、やはりと2人は笑っている。

「実はね!
すごい大事件になっているのよ。
あのバロック侯爵家のご令嬢イザベラ様が、婚約破棄されてね。
彼女ちょっと、性格がアレじゃない?!
それなのに、自分は悪くないって言っているわ」

私も噂で聞いたことがある。
凄く気が強く、少しでも機嫌が悪いとメイドに当たり散らす方だわ。

「そうなのよ!
私も聞いてスカッとした。
自分の性格のせいで、婚約者に逃げられたのにねぇ。
あの本が悪い、あの本には人を惑わす魔力があるって騒いでいるの。
ほんと馬鹿みたい!」

2人は、揃って大笑いをした。

「まぁね!ちまたを騒がしているけど、結局は男性に不満があってあの本を使っているだけではない?!」

私の心も体も、氷のように冷たくなっている。
何とか誤摩化ごまかし笑ってみたが、顔色が悪くなってしまう。
彼女らは、体調が悪くなったと誤解してくれた。

「グレース、ごめんなさいね。
まだ具合がよくないのね?!
私たち帰るから…」

慌てて逃げ出すように、2人して部屋を出ていく。

震えながら独りベッドの中で寝ていると、扉をノックする音が外から聞こえる。
また、お見舞いに来てくれたの?!

いいえ、違うわ!
きっと、王妃様との面会が決まったのを教えに来たのだわ。
扉を開けると、予想通り女官長様だった。

「グレース、明日午前10時に王妃様にお茶をいれなさい。
最後になるはずです。
貴女の思いを込めていれなさい!」

私は女官長様が部屋を出るまで、深く頭を下げ続けた。
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