【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

文字の大きさ
19 / 91
第1章  思い出は夢の中へ

第18話 食事改善

しおりを挟む
 祖父母と領地へ転地療養てんちりょうようとのことにして、暫く家族とは離れる。 

3日後に領地へ出発予定。
それまでなるべく家族とは、仲良くしたいと願うプリムローズ。

以前はテーブルの前に父。
向かって右側に母と姉が、左側に兄と私だった。

現在は、父の席に座る祖父。

右側に祖母と私、左側に父母と兄と姉。

1人離れた感じの姉は不機嫌ふきげんで、何でプリムローズがそこなのと兄に聞いている声が響く。

そんな姉を、祖父母が怪訝けげんそうな顔して姉に言う。

「姉なのに、妹を思いやる気持ちがないのか(ないの)!?」と、同じことを話す。

前の時より、あきらかに空気が悪い。
プリムローズの体が、自然にこわばり緊張する。

料理が運ばれ、祖母はプリムローズの料理を見て此方こちらもまた不機嫌になる。

「んまぁー!
旦那様、見て下さいまし!
プリムローズのお肉が、小さく切れてないわ。
フォークもナイフも、大人サイズではないの?!」

これには、祖父もあきれ顔だ。

「おい!
クリストファーなんじゃ!?
これではプリムローズが、上手に食べられなくて食も細くなるわけだ。
まだ、たった3歳じゃろう。
普通は料理も一口サイズで、食べる道具も子供用のはずじゃーあ!」

両親が申し訳ありませんと、小さな声で謝罪した。

「リリアンヌとブライアン?!
あなた方は、3歳の時はどうでしたか?」

祖母は、2人を見詰めて問いただした。

「私は、父から直接小さくしてもらい口に…」

姉の返事に続き小さな声で言いづらく。

「私も母に直接…」

これを聞いた祖父は、父に怒鳴どなった。

「お前たちは、2人に出来てプリムローズは無視か?!
やはり、差別しておったんじゃな!
おおっ、何と不憫ふびんなぁ~!!」

祖父は、大袈裟おおげさなげいて見せた。

「おばあ様が、今すぐに切ってあげましょうね」と、皿を近くに寄せて美しい所作しょさでお肉を切っていく。

「おばあ様、ありがとう。
後は、1人でも食べられますわ!!」

ニコニコして可愛らしくお礼を言う、プリムローズは満足げであった。

この様子を4人は黙って見ていて、3人の世界に益々ますます居心地が悪くなる。

使用人たちも、この様子を固まって冷静に眺めていた。

「ゆっくりと、むのですよ。
慌てなくていいのですよ」

「そうじゃ、プリムに合わすのが当たり前じゃあ!!」

前とは、全然違う食事風景となっていた。

4人でお互いにその日の出来事を語っていたが、今はガラリと変わりプリムローズ中心となっている。
会話をしながらの食事は、楽しくとても美味しかったわ。
私以外は、毎日こんな食事をとっていたのね。

彼らを観察していると、昔の私じゃない。
黙々と食べている姿!
ちょっと嬉しいと思ってしまい、私たらいけないわと反省する。 
彼らも私の気持ちを知っていたはずですわよね?!

 
    私は楽しい食事を終え部屋に戻っていったが、4人は祖父母に集められてお説教されている。

どうして知っているかって、メイドたちが世話をしながらその話をしてくれたわ。

「やっと、プリムローズ様のお気持ちに気づいたわ。
何度もトーマスさんやアンナさんが、もう少しお嬢様に関心を持つように進言していたのに!!」

「大旦那様や大奥様に言われないと、お二人は理解できないみたいね」

2人のメイドは、私に説明をしだした。

どうやら、ほったらかしにされたみたい。
両親への言い訳は、父は仕事。母は、婦人会の集まりで忙しい。
黙っていて大人しいので、普通にスクスク育っていると思われたらしい。
上の2人は自己主張が激しく、その都度対応していたそうだ。 
だったら自分もそうすれば良かったなぁと、損した気分になるのであった。

領地へ行ったら祖父母に甘えつつ、今度こそは遠慮しないわ。
仕切り直しで戻ってきたら、前のことは忘れて家族と分かち合うと自分に誓う。

両親は別に領地へ行かなくても、そう言って祖父母にかなり反論した。

「どうせ!
お前たちは、また無視して自分勝手に過ごすとしか思えん!
プリムローズが帰って来るまで、各々よく反省するんじゃ」

「はい、父上」

縮こまった父が、自分の父親に叱られていた。

「同じことをするなら、儂が性根しょうねを叩き直してくれる。
よく覚えとけよー!!」

祖父は、4人をかなり脅したと話してくれた。

メイドたちがこんなにペラペラとしゃべっていいのかと、公爵家の行く末が心配になるプリムローズだった。


  
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

謹んで、婚約破棄をお受けいたします。

パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。

【完結】婚約破棄を3時間で撤回された足枷令嬢は、恋とお菓子を味わいます。

青波鳩子
恋愛
ヴェルーデ王国の第一王子アルフレッドと婚約していている公爵令嬢のアリシアは、お妃教育の最中にアルフレッドから婚約破棄を告げられた。 その僅か三時間後に失意のアリシアの元を訪れたアルフレッドから、婚約破棄は冗談だったと謝罪を受ける。 あの時のアルフレッドの目は冗談などではなかったと思いながら、アリシアは婚約破棄を撤回したいアルフレッドにとりあえず流されておくことにした。 一方のアルフレッドは、誰にも何にも特に興味がなく王に決められた婚約者という存在を自分の足枷と思っていた。 婚約破棄をして自由を得たと思った直後に父である王からの命を受け、婚約破棄を撤回する必要に迫られる。 婚約破棄の撤回からの公爵令嬢アリシアと第一王子アルフレッドの不器用な恋。 アリシアとアルフレッドのハッピーエンドです。 「小説家になろう」でも連載中です。 修正が入っている箇所もあります。 タグはこの先ふえる場合があります。

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

処理中です...