【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第1章  思い出は夢の中へ

第19話 王様のわがまま

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 ここは王宮の中の執務室しつむしつで、王は真面目に書類を読みサインしていた。
だが何やら王がソワソワしているのを、側近たちは不審に思いうかがってみた。

「陛下!御手洗おてあらいですか?!
無理はいけません!」と、勘違いの側近たち。

「馬鹿~、違う!
ほらっ、明後日あさってついに公爵令嬢が祖父母と領地に旅立ってしまうだろう?!
あんな事があって、本人に会ってお別れをしたい。
その~、可愛い娘に会いたいのだぁー!!」

モジモジと側近たちに頼む王は、見ていてホント気持ち悪かった。

「アノですね!
陛下に、娘はおりません!
まだ、養女の件をあきめてないんですか?!
ホント、しっこいですね!」

王の無言でいる姿は、口をとがらせ不満げであった。

「お前たちも、本当は興味があるだろう?
あれ程の話題の娘だ!
それに、未来の娘になるやもしれん!?」

側近たちはごとはいいから仕事しろよと、心の中で王を怒鳴りつけていた。

「ですが、先触さきぶれもなく失礼です。
 お時間もございません。
もう、無理を言わないで下さいよ!」

王は、何とかしろの一言で命令した。

公爵家と王の板挟いたばさみになりながら、私たちは頑張った。
側近らはよくやったと、自分たちでかなしげめあう。 

 
 翌日、馬車の中で1人ご機嫌の陛下である。

しかし、前日にお供の件でめに揉めていた。
私はご遠慮しますのでと、全ての人たちに断られてしまっていたのだ。
牽制けんせいし合って、仕舞には怒鳴り合いの言葉でケンカをした。
最後に、この2人になったのを陛下だけは知らない。

本日のお供は、先日の騒動にいた近衛隊長このえたいちょう侍従長じじゅうちょうである。
何があっても動じない人物たちをそろえた。
イヤっ、この2人しかいなかった。
お供の側近たちが思いふけっていたら、クラレンス公爵の屋敷が見えてきた。

 権威を誇る筆頭公爵家、歴史を感じる屋敷のたたずまい。
執事やメイドも、実におもてなしに慣れており落ち着いている様子。
そして、その主である前公爵夫妻は王族より威厳いげんがある。

本当に、どちらが客みたいであった。

「陛下、本当に来たのだな。
儂らは領地へ明日あす、それも早朝の出発なのだぞ!
図々ずうずしく会いたいなど、部下が気の毒なので今回だけは会ってやるわい!
しかし、次はないと思えよ!! 」

王を見るなり前公爵グレゴリーは、文句を面と向かって言うのである。

横にいる夫人も夫に負けずおとらずカーテシーして、しかめっ面で嫌味いやみを言う。 

「陛下、ご無沙汰ぶさたしております。
私も主人と同じ意見ですのよ。
よくこれたものです。
前日の先触さきぶれとは、非常識です!」

大陸1の大国アルゴラ元第1王女殿下も、冷めた目で一行いっこうを見ている。

夫人のドレスのすそを、シワがつかないように触っている小さな女の子がいた。

まるで、お人形か天使かと思ってしまう美少女!
この子がプリムローズ嬢か?!
恥ずかしいのか隠れる様子をし、照れていて人見知りの姿は誠に可愛い!!
うん!娘にしたいと皆の意見が一致した。

「プリムローズ、こちらが陛下だ!
一応は国のトップだ。
まだまだ、青くさいがあるがのう」

嫌味炸裂いやみさくれつで、真面目にどちらが王なのかわからない。

「お初にお目にかかります。
クラレンス公爵次女プリムローズと申します。
陛下、宜しくお願い致します」

風格漂うカーテシーに、最初の印象とガラリと変わってしまった態度。
違いすぎて、唖然あぜんとする一行。

どうだぁ、わが孫は自慢気な前公爵夫妻。 
これで3歳か末恐すえおそろしい。

この場の空気を読んでか。
執事長しつじちょうのトーマスが、声をかけて茶会の場所に案内するのだった。

そんな中で、始まる前から波乱はらんの予感。
そのお茶会が、もうじき幕があがる。
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