【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

文字の大きさ
20 / 91
第1章  思い出は夢の中へ

第19話 王様のわがまま

しおりを挟む
 ここは王宮の中の執務室しつむしつで、王は真面目に書類を読みサインしていた。
だが何やら王がソワソワしているのを、側近たちは不審に思いうかがってみた。

「陛下!御手洗おてあらいですか?!
無理はいけません!」と、勘違いの側近たち。

「馬鹿~、違う!
ほらっ、明後日あさってついに公爵令嬢が祖父母と領地に旅立ってしまうだろう?!
あんな事があって、本人に会ってお別れをしたい。
その~、可愛い娘に会いたいのだぁー!!」

モジモジと側近たちに頼む王は、見ていてホント気持ち悪かった。

「アノですね!
陛下に、娘はおりません!
まだ、養女の件をあきめてないんですか?!
ホント、しっこいですね!」

王の無言でいる姿は、口をとがらせ不満げであった。

「お前たちも、本当は興味があるだろう?
あれ程の話題の娘だ!
それに、未来の娘になるやもしれん!?」

側近たちはごとはいいから仕事しろよと、心の中で王を怒鳴りつけていた。

「ですが、先触さきぶれもなく失礼です。
 お時間もございません。
もう、無理を言わないで下さいよ!」

王は、何とかしろの一言で命令した。

公爵家と王の板挟いたばさみになりながら、私たちは頑張った。
側近らはよくやったと、自分たちでかなしげめあう。 

 
 翌日、馬車の中で1人ご機嫌の陛下である。

しかし、前日にお供の件でめに揉めていた。
私はご遠慮しますのでと、全ての人たちに断られてしまっていたのだ。
牽制けんせいし合って、仕舞には怒鳴り合いの言葉でケンカをした。
最後に、この2人になったのを陛下だけは知らない。

本日のお供は、先日の騒動にいた近衛隊長このえたいちょう侍従長じじゅうちょうである。
何があっても動じない人物たちをそろえた。
イヤっ、この2人しかいなかった。
お供の側近たちが思いふけっていたら、クラレンス公爵の屋敷が見えてきた。

 権威を誇る筆頭公爵家、歴史を感じる屋敷のたたずまい。
執事やメイドも、実におもてなしに慣れており落ち着いている様子。
そして、その主である前公爵夫妻は王族より威厳いげんがある。

本当に、どちらが客みたいであった。

「陛下、本当に来たのだな。
儂らは領地へ明日あす、それも早朝の出発なのだぞ!
図々ずうずしく会いたいなど、部下が気の毒なので今回だけは会ってやるわい!
しかし、次はないと思えよ!! 」

王を見るなり前公爵グレゴリーは、文句を面と向かって言うのである。

横にいる夫人も夫に負けずおとらずカーテシーして、しかめっ面で嫌味いやみを言う。 

「陛下、ご無沙汰ぶさたしております。
私も主人と同じ意見ですのよ。
よくこれたものです。
前日の先触さきぶれとは、非常識です!」

大陸1の大国アルゴラ元第1王女殿下も、冷めた目で一行いっこうを見ている。

夫人のドレスのすそを、シワがつかないように触っている小さな女の子がいた。

まるで、お人形か天使かと思ってしまう美少女!
この子がプリムローズ嬢か?!
恥ずかしいのか隠れる様子をし、照れていて人見知りの姿は誠に可愛い!!
うん!娘にしたいと皆の意見が一致した。

「プリムローズ、こちらが陛下だ!
一応は国のトップだ。
まだまだ、青くさいがあるがのう」

嫌味炸裂いやみさくれつで、真面目にどちらが王なのかわからない。

「お初にお目にかかります。
クラレンス公爵次女プリムローズと申します。
陛下、宜しくお願い致します」

風格漂うカーテシーに、最初の印象とガラリと変わってしまった態度。
違いすぎて、唖然あぜんとする一行。

どうだぁ、わが孫は自慢気な前公爵夫妻。 
これで3歳か末恐すえおそろしい。

この場の空気を読んでか。
執事長しつじちょうのトーマスが、声をかけて茶会の場所に案内するのだった。

そんな中で、始まる前から波乱はらんの予感。
そのお茶会が、もうじき幕があがる。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします

鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。 だが彼女は泣かなかった。 なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。 教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。 それは逃避ではない。 男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。 やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。 王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。 一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。 これは、愛を巡る物語ではない。 「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。 白は弱さではない。 白は、均衡を保つ力。 白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。

海に捨てられた王女と恋をしたい竜王

しましまにゃんこ
恋愛
神とも崇められる最強種である竜人族の竜王フィリクス。彼の悩みはただ一つ。いまだ運命の番が現れないこと。可愛いうさぎ獣人の番といちゃいちゃ過ごすかつての冷徹眼鏡宰相を、涙目でじっとりと羨む日々を送っていた。 雷鳴轟く嵐の夜、遂に彼の耳に長年探し求めていた番の声が届く。夢にまで待ち望んだ愛する番が呼ぶ声。だがそれは、今にも失われそうなほど弱々しい声だった。 そのころ、弱小国の宿命として大国ドラードの老王に召し上げられるはずだったアスタリアの王女アイリスは、美しすぎるゆえに老王の寵愛を受けることを恐れた者たちの手によって、豪華な花嫁衣装に身を包んだまま、頼りない小舟に乗せられ、海の上を彷徨っていた。 必死に抗うものの、力尽き、海底へと沈んでいくアイリス。 (お父様、お母様、役立たずの娘をお許し下さい。神様、我が魂を身許に捧げます……) 息が途切れる最後の瞬間、アイリスは神の姿を見た。キラキラと光る水面を蹴散らし、美しい黄金色の竜が、真っ直ぐにアイリス目指してやってくる。アイリスの国、アスタリアの神は竜だ。アスタリアを作り、恵みを与え守ってくれる、偉大で優しい竜神様。代々そう言い伝えられていた。 (神様……ああ、なんて、美しいの……) 竜と目があった瞬間、アイリスはにっこり微笑み、ゆっくり意識を手離した。 今にも失われそうな愛しい命。フィリクスは自らの命を分け与えるため、アイリスの意思を確認しないまま婚礼の儀式を行うことに。 運命の番としてようやく巡り合った二人。 しかしドラード国では、海に消えたアイリスを失ったことで老王の逆鱗に触れ捕らえられたラナード王子のため、『忘れられた王女』として虐げられていたミイナが、アイリスの行方を追って旅に出る。 醜さゆえに誰にも愛されなかったミイナ。彼女もまた、竜に纏わる数奇な運命を抱えていた。 竜の溺愛と自らの使命に翻弄される立場の違う二人の王女。果たして二人の運命は? 愛の強すぎる竜人族✕愛を知らない不憫系美少女の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 作品はすべて、小説家になろう、カクヨムに掲載中、または掲載予定です。 完結保証。完結まで予約投稿済み。毎日21時に1話更新。

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!

白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。 婚約者ではないのに、です。 それに、いじめた記憶も一切ありません。 私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。 第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。 カクヨムにも掲載しております。

「婚約破棄して下さい」と言い続けたら、王太子の好感度がカンストしました~悪役令嬢を引退したいのに~

放浪人
恋愛
「頼むから、私をクビ(婚約破棄)にしてください!」 乙女ゲームの悪役令嬢に転生した公爵令嬢リュシア。 断罪・処刑のバッドエンドを回避するため、彼女は王太子レオンハルトに「婚約破棄」を突きつける。 しかしこの国には、婚約者が身を引こうとするほど、相手の本能を刺激して拘束力を強める《星冠の誓約》という厄介なシステムがあった! リュシアが嫌われようと悪態をつくたび、王太子は「君は我が身を犠牲にして国を守ろうとしているのか!」とポジティブに誤解。 好感度は爆上がりし、物理的な距離はゼロになり、ついには国のシステムそのものと同化してしまい……? 書類整理と法知識を武器に、自称聖女の不正を暴き、王都の危機を救ううちに、いつの間にか「最強の王妃」として外堀も内堀も埋められていく。 逃げたい元社畜令嬢と、愛が重すぎる王太子の、すれ違い(と見せかけた)溺愛ファンタジー!

『候補』だって言ったじゃないですか!

鳥類
恋愛
いつのまにやら『転生』して美幼女になっていましたよ!魔法がある世界とかサイコーか! 頑張って王宮魔導師になるぞ!と意気込んでいたら…いつのまにやら第一王子殿下の『婚約者候補』にされていた…!! 初投稿です。 異世界転生モノをやってみたかった…。 誤字脱字・タグ違いなどございましたらご一報いただければ幸いです。 内容については生温くサラッと読んでいただけたらと…思います。

【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~

遠野エン
恋愛
王太子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢ルティア。聖女であるライバルの策略で「悪女」の烙印を押され、すべてを奪われた彼女が追放された先は荒れ果てた「廃墟の街」。人生のどん底――かと思いきや、ルティアは不敵に微笑んだ。 「問題が山積み? つまり、改善の余地(チャンス)しかありませんわ!」 彼女には前世で凄腕【経営コンサルタント】だった知識が眠っていた。 瓦礫を資材に変えてインフラ整備、ゴロツキたちを警備隊として雇用、嫌われ者のキノコや雑草(?)を名物料理「キノコスープ」や「うどん」に変えて大ヒット! 彼女の手腕によって、死んだ街は瞬く間に大陸随一の活気あふれる自由交易都市へと変貌を遂げる! その姿に、当初彼女を蔑んでいた冷酷伯爵シオンの心も次第に溶かされていき…。 一方、ルティアを追放した王国は経済が破綻し、崩壊寸前。焦った元婚約者の王太子がやってくるが、幸せな市民と最愛の伯爵に守られた彼女にもう死角なんてない――――。 知恵と才覚で運命を切り拓く、痛快逆転サクセス&シンデレラストーリー、ここに開幕!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

処理中です...