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第1章 思い出は夢の中へ
第17話 朝霧の旅立ち
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扉が閉められた後、私たちは暫くその場に留まってしまう。
涙を流し続けた。
なによりも、感情が高ぶっていた。
「グレース、今から大切な方々に別れを告げに行きなさい。
後悔しないようにー」
女官長様は目を赤くして、震える声でハッキリと私に伝えた。
そして前もって用意したのか、外出許可証を私に渡してくれる。
私は黙って深々と礼をして、その場を離れた。
急ぎ支度をし、王宮から外出する。
病院でベッドの中に座っている母に、私は最後の別れをした。
泣きつつも元気になり、私が戻るのを待つと言ってくる。
母に噂が落ち着いたら直ぐに必ず帰ると、母の胸の中で誓うのである。
病院から編集長の自宅へ、夫人が出迎えてくれたが突然なので少し驚いてしまったようだった。
訳も何も聞かずに、出版社に使いの者を出してくれる。
もしかしたら、編集長の奥様は何かに気づいている?!
そんな様子を夫人から、感じるグレースだった。
待っている間に私たちが他愛もない話をしていると、編集長が急ぎ帰宅し私たちの前に現れる。
慌てて急いで来たのだろうか、顔に汗が滲んでのが見えた。
取り急ぎ王妃様との会話を話すと、納得の表情を浮かべた。
「グレース、王妃様の采配は的確だ。
実は、国から本の差し止めがきた。
すまない、グレース!
【真実の愛を求めて】は、絶版となる。
長くこの業界にいて、初めての経験だ。予想が出来なかった。
本当に申し訳ない……」
「たぶん、誰もこうなると思わなかったでしょう?!
全能の神さま、以外はー」
私は溢れそうになる目線を、天井に向けて話しをした。
恩人の編集長の顔を、見るのが辛かった。
彼の瞳に、光るものが見えたから…。
「君の家族とは、君を通じて親交を深めている。
安心して行きなさい。
ただ、1つだけ約束して欲しい!物語を書いておくれ?!
また、作品を読ませてくれないか。
いつかの日か、私にー!」
私は肯定も否定もしないで、1度ゆっくり頷くことにした。
朝霧の靄の中で、小さな古い馬車の前に2つの影があった。
偶然とはいえ、霧はグレースの姿を隠していた。
「グレース、私は貴女に何もしてあげられなかったわ。
いつか王妃様に、私にも貴女のお茶をまた飲ませてね?!
それまで、私は王妃様のお側でいつまでも待ちますよ。
約束を忘れないで、グレース」
私を抱き締めて、何かをソッと手の中に入れてくる。
何かしらと思ったら、背中を軽く押されそのまま馬車に乗ってしまった。
「私の奥さんは……。
どうして、そんなに詳しいんだい?」
リンドールは、劇場にいる気分だった。
妻の語りが、頭の中で映像として浮かぶようだった。
「だって、女官長本人から直接伺ったのよ。
彼女が天に召される前に、自分の後継者の姪とその友人にかなえられなかった夢を託したの。
友人は、今は王妃様の女官長になっているわ」
マーガレットは、意味深な顔をした。
「いくら友人でも、何で君だったんだい?!」
夫は、疑問を妻に投げかける。
「婚約破棄されたから、グレースの本が発端かわからないけど。
その資格があったと思われたのか。
共通の思いした私を、仲間に入れたかったのかもしれないわね」
言いながらテーブルに置いてあるワインを持って、静かにグラスに注いだ。
「女官長は天に召されたのか…。
残念だ。
王妃様、いや前王妃様は……。
グレースと再会できたのかな」
ニコライは考え深げに独り言のように、マーガレットに質問した。
「それは2人のみぞ知る。
でも、私は会えたと信じてるわ。
だって、夢があるじゃない?」
マーガレットはワイングラスを2人に挙げながら、目を細めて言う。
そう、マーガレットには確信があった。
あれからグレースが気になり、ある人物の動向を見守り続けることにする。
あの出版社の編集長の記事が目に入った。
彼は最後に隣国のグレースと名乗る作家の本を出版して、業界から引退した。
これからは会いたい人に、会いに旅行に行きたい。
ゆっくり余生を送るつもりだと、記事に書いてあった。
私はピーンときたわ。
彼女シャロンとグレースは、同じ人物で間違いない!
だって、グレースの本の名は。
『うふふ、誰にも教えない。
これは、私だけの秘密よ。
私酔っているわ、自分にね。
きっと、このワインのせいだわ』
横で夫が友人と、笑いながら何かを語っている姿を眺める。
『真実の愛を求めて。
本のお陰で、幸せになれた』
たくさんの人を、惑い迷わせた貴女だけどー。
その貴女は、幸せになれたのかしら?
涙を流し続けた。
なによりも、感情が高ぶっていた。
「グレース、今から大切な方々に別れを告げに行きなさい。
後悔しないようにー」
女官長様は目を赤くして、震える声でハッキリと私に伝えた。
そして前もって用意したのか、外出許可証を私に渡してくれる。
私は黙って深々と礼をして、その場を離れた。
急ぎ支度をし、王宮から外出する。
病院でベッドの中に座っている母に、私は最後の別れをした。
泣きつつも元気になり、私が戻るのを待つと言ってくる。
母に噂が落ち着いたら直ぐに必ず帰ると、母の胸の中で誓うのである。
病院から編集長の自宅へ、夫人が出迎えてくれたが突然なので少し驚いてしまったようだった。
訳も何も聞かずに、出版社に使いの者を出してくれる。
もしかしたら、編集長の奥様は何かに気づいている?!
そんな様子を夫人から、感じるグレースだった。
待っている間に私たちが他愛もない話をしていると、編集長が急ぎ帰宅し私たちの前に現れる。
慌てて急いで来たのだろうか、顔に汗が滲んでのが見えた。
取り急ぎ王妃様との会話を話すと、納得の表情を浮かべた。
「グレース、王妃様の采配は的確だ。
実は、国から本の差し止めがきた。
すまない、グレース!
【真実の愛を求めて】は、絶版となる。
長くこの業界にいて、初めての経験だ。予想が出来なかった。
本当に申し訳ない……」
「たぶん、誰もこうなると思わなかったでしょう?!
全能の神さま、以外はー」
私は溢れそうになる目線を、天井に向けて話しをした。
恩人の編集長の顔を、見るのが辛かった。
彼の瞳に、光るものが見えたから…。
「君の家族とは、君を通じて親交を深めている。
安心して行きなさい。
ただ、1つだけ約束して欲しい!物語を書いておくれ?!
また、作品を読ませてくれないか。
いつかの日か、私にー!」
私は肯定も否定もしないで、1度ゆっくり頷くことにした。
朝霧の靄の中で、小さな古い馬車の前に2つの影があった。
偶然とはいえ、霧はグレースの姿を隠していた。
「グレース、私は貴女に何もしてあげられなかったわ。
いつか王妃様に、私にも貴女のお茶をまた飲ませてね?!
それまで、私は王妃様のお側でいつまでも待ちますよ。
約束を忘れないで、グレース」
私を抱き締めて、何かをソッと手の中に入れてくる。
何かしらと思ったら、背中を軽く押されそのまま馬車に乗ってしまった。
「私の奥さんは……。
どうして、そんなに詳しいんだい?」
リンドールは、劇場にいる気分だった。
妻の語りが、頭の中で映像として浮かぶようだった。
「だって、女官長本人から直接伺ったのよ。
彼女が天に召される前に、自分の後継者の姪とその友人にかなえられなかった夢を託したの。
友人は、今は王妃様の女官長になっているわ」
マーガレットは、意味深な顔をした。
「いくら友人でも、何で君だったんだい?!」
夫は、疑問を妻に投げかける。
「婚約破棄されたから、グレースの本が発端かわからないけど。
その資格があったと思われたのか。
共通の思いした私を、仲間に入れたかったのかもしれないわね」
言いながらテーブルに置いてあるワインを持って、静かにグラスに注いだ。
「女官長は天に召されたのか…。
残念だ。
王妃様、いや前王妃様は……。
グレースと再会できたのかな」
ニコライは考え深げに独り言のように、マーガレットに質問した。
「それは2人のみぞ知る。
でも、私は会えたと信じてるわ。
だって、夢があるじゃない?」
マーガレットはワイングラスを2人に挙げながら、目を細めて言う。
そう、マーガレットには確信があった。
あれからグレースが気になり、ある人物の動向を見守り続けることにする。
あの出版社の編集長の記事が目に入った。
彼は最後に隣国のグレースと名乗る作家の本を出版して、業界から引退した。
これからは会いたい人に、会いに旅行に行きたい。
ゆっくり余生を送るつもりだと、記事に書いてあった。
私はピーンときたわ。
彼女シャロンとグレースは、同じ人物で間違いない!
だって、グレースの本の名は。
『うふふ、誰にも教えない。
これは、私だけの秘密よ。
私酔っているわ、自分にね。
きっと、このワインのせいだわ』
横で夫が友人と、笑いながら何かを語っている姿を眺める。
『真実の愛を求めて。
本のお陰で、幸せになれた』
たくさんの人を、惑い迷わせた貴女だけどー。
その貴女は、幸せになれたのかしら?
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