【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

文字の大きさ
78 / 91
第4章  王家の陰り

第14話 側室候補 と王妃の大罪

しおりを挟む
 小さな社交場みたいな学園の食堂は、学生生徒たちが何やら騒がしい。
ある噂について、意見が飛び交っていた。

「例の噂を知っていますこと?」

「知らない人が、貴族の中にいまして?」

「婚姻されて13年で、側室を迎えるとはね」

みじめですわよね、王妃様。
だって、側室候補様の後ろたてが凄いこと。
あの前公爵様たちがね?!」

この話題は、今や王都の平民にも広まりつつあった。

「食堂中の話題ですわ。
あっ、国中の貴族でしたわね。
プリムローズ様!」

フローラは、食べている動作を止めてプリムローズに話す。

「皆さまも、驚きますわよね。
この間、側室候補様とお茶会を一緒する機会がありましたの。
本当に素晴らしいお方よ。
親しくお話をして頂き、とても光栄でしたわ!」

プリムローズが、頬を赤らめて自慢気に話してくる。

「それは凄いです!
あの側室候補様と、流石さすがはプリムローズ様ですわ!」

マリーは、羨望せんぼう眼差まなざしでプリムローズを見つめる。

「噂によると、前王様や前王妃様のお気に入りですもの。
話題の中心は、すっかり側室候補様ですわ!」

リザは目をキラキラさせて話し出した。

「王妃様に王子は2人おります。側室候補様に、もし王子がお生まれになられたら、どうなりますかしら?」

フローラが、悩みながらも好奇心でプリムローズに質問してきた。

「それは、側室候補様ではなくて。
元々、彼女は侯爵令嬢ですもの。
身分的に上でしょう!」

プリムローズは、ハッキリと言い切った。

ジェイクは、黙って会話を聞いていた。
大旦那様とプリムローズ様の言葉は、これだったのかと。
恐ろしさに持つフォークが、小刻みに震える。

 
    彼は庭師が精魂込めたであろう花たちの横で、側室候補の未亡人と前王妃とブロイ公爵夫人とお茶をしていた。

そして、前にいる女性を見て戸惑う。
24歳の若さで、ブロンドに美しいエメラルドのような瞳でとても美しい方だった。

結婚後に直ぐに病になる夫を、献身的に介護して苦労した女性に嫌な感情はない。

話をして気が付いたが、幼い彼女に偶然に会っている。
 
お茶会で迷子になった幼い彼女を、俺が送り届けたのを思い出した。
泣く小さな女の子は、天使のような愛らしさであった。 

あれだけの貴族たちが、彼女の後ろにいる。 
もう、拒絶して断るのは難しいだろう。

すまない王妃、王は心の底で詫びていた。

  
 その一方で、王妃は部屋の物を壊し続けていた。
息子たちも、そんな母におびえる日々。

「何故、今になって側室なの?
幸せに暮らしていたのではない。私は、王子を2人も生んだのよ。陛下は、私を裏切るのー!」

泣き叫び当たり散らす、周りが必死にいさめている。

「なんと、みっともない姿 を!
私も側室を認めて、2人で王を支えたのに。
貴女には、無理そうね!」

前王妃は王妃の姿を見て、馬鹿にして鼻で笑う。

「お前が……、陛下に王に薦めたのか!
ゆる、許せないー!!」

髪を振り乱し、鬼の形相ぎょうそうをして前王妃に殴り掛かろうとする。

「王妃は、乱心じゃ!
縄でくくって、部屋に閉じ込めよ!」

前王妃が周りの者に命じた。
女官たちは泣き叫びながら、その場で王妃がとらえられるのを見る。

 
 王はその一報を執務室で、宰相と共に報告を聞く。

「なに!
王妃が前王妃様に乱暴しようとし、縄で縛り部屋に軟禁なんきん状態だと!!」

王は机の椅子から立ち上がりながら、侍従長じじゅうちょうの話を聞き驚き声を張り上げた。

宰相さいしょうは、横で青い顔で立っている。

「宰相と近衛隊長は、すまないが余と一緒に王妃の所について来てほしい。
王妃を直接見て、処遇を判断したいのだ」

王は、側近たちにお願いをした。

 
    王妃の部屋に入ると、殆ど物はなく椅子に縄でくくりつけてある姿で座っていた。
顔には涙の筋あとがあり、目の焦点があってない。

「王妃、すまぬ!
側室の件は、許して欲しい。
1番は王妃だが、君には公務が勤まらない。
側室と仲良くしてくれないか?」

側近たちは、その様子を静かに見ていた。
王妃が夫の言葉に、反応を示した。

「貴方……、私を愛していると言って婚姻したんじゃないの?君だけだと…。 
王子を2人生んで、幸せだったでしょう?!
何で急に変わるの。
私を、どうして裏切ったのー!!」

王妃は、王に醜い形相で怒鳴りつけた。

部屋に緊張が走った。

「王妃、貴族たちを抑えることは出来ないのだ!」

王は顔色悪く、必死に王妃を説得している。

「私は、努力しているわ。
王子2人と私で、離宮に暮らす!
貴方は、新しい側室と仲良くやればいいわよ!
もう、貴方なんて要らないわ!アハッ、アーハハハー!!」

王妃は、狂った様に泣きながら笑い続けた。
側近たちは倒れそうになりながらも、しっかりと見続けている。
部屋は、異様な光景であった。
王は、王妃の前で下を向き座り込んだ。

  王たちは、白に近い顔色をして執務室に戻ってきた。
暫く皆で考えた結果が出た。

「王妃を離宮に送ることにした。王子たちは、余の側で暮らすことにする」

側近たちは、無言で頷いた。

独り言のように、側近たちに話し始める。

「なぁ、俺が1番家族を不幸にしたなぁ。 
いったい誰が、こんな事をしたと思う?
なぁ、宰相…」

「恐らく、皆が浮かぶ者たちでしょう。
王妃様は、彼女に言ってはいけないことを2回言ってしまいました。
そして、誰も味方がいなかったのは自業自得じごうじとくです」

宰相は、身内のことを淡々と言った。

 王妃が前王妃をののしり乱暴をしようとした罪で、離宮送りになる日は王子たちと別れになる。

「アルフレッド、ルイ!
お父様のことをよく聞いて良い子に育ってね!
いつか、私に会いに来ておくれぇー!!」

やつれ果てた青い顔をして王妃は、2人に話すと各々を強く抱き締めた。

1度も夫に話すことも目を合わすこともせずに、離宮に向かう馬車に乗って去った。

「お母様ー!!
お願い、行かないでぇー!!!」

2人の王子たちは、抱き合いながら馬車に向かって叫んだ。

「父上、どうしてぇ~!!
母上が離宮へ行くのです?!
もう、もう昔に戻れないのですかぁー!?」

アルフレッドは、泣きながら父に願う。

「王妃は、前王妃様に乱暴しようとした。
罪をつぐなうために、暫く離宮で反省をする。
必ず戻すので、良い子で待っていてほしい!」

王子たちのすすり泣く声は、何時いつまでもやむことはなかった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします

鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。 だが彼女は泣かなかった。 なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。 教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。 それは逃避ではない。 男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。 やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。 王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。 一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。 これは、愛を巡る物語ではない。 「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。 白は弱さではない。 白は、均衡を保つ力。 白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。

海に捨てられた王女と恋をしたい竜王

しましまにゃんこ
恋愛
神とも崇められる最強種である竜人族の竜王フィリクス。彼の悩みはただ一つ。いまだ運命の番が現れないこと。可愛いうさぎ獣人の番といちゃいちゃ過ごすかつての冷徹眼鏡宰相を、涙目でじっとりと羨む日々を送っていた。 雷鳴轟く嵐の夜、遂に彼の耳に長年探し求めていた番の声が届く。夢にまで待ち望んだ愛する番が呼ぶ声。だがそれは、今にも失われそうなほど弱々しい声だった。 そのころ、弱小国の宿命として大国ドラードの老王に召し上げられるはずだったアスタリアの王女アイリスは、美しすぎるゆえに老王の寵愛を受けることを恐れた者たちの手によって、豪華な花嫁衣装に身を包んだまま、頼りない小舟に乗せられ、海の上を彷徨っていた。 必死に抗うものの、力尽き、海底へと沈んでいくアイリス。 (お父様、お母様、役立たずの娘をお許し下さい。神様、我が魂を身許に捧げます……) 息が途切れる最後の瞬間、アイリスは神の姿を見た。キラキラと光る水面を蹴散らし、美しい黄金色の竜が、真っ直ぐにアイリス目指してやってくる。アイリスの国、アスタリアの神は竜だ。アスタリアを作り、恵みを与え守ってくれる、偉大で優しい竜神様。代々そう言い伝えられていた。 (神様……ああ、なんて、美しいの……) 竜と目があった瞬間、アイリスはにっこり微笑み、ゆっくり意識を手離した。 今にも失われそうな愛しい命。フィリクスは自らの命を分け与えるため、アイリスの意思を確認しないまま婚礼の儀式を行うことに。 運命の番としてようやく巡り合った二人。 しかしドラード国では、海に消えたアイリスを失ったことで老王の逆鱗に触れ捕らえられたラナード王子のため、『忘れられた王女』として虐げられていたミイナが、アイリスの行方を追って旅に出る。 醜さゆえに誰にも愛されなかったミイナ。彼女もまた、竜に纏わる数奇な運命を抱えていた。 竜の溺愛と自らの使命に翻弄される立場の違う二人の王女。果たして二人の運命は? 愛の強すぎる竜人族✕愛を知らない不憫系美少女の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 作品はすべて、小説家になろう、カクヨムに掲載中、または掲載予定です。 完結保証。完結まで予約投稿済み。毎日21時に1話更新。

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
“何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

【完結】貧乏令嬢は自分の力でのし上がる!後悔?先に立たずと申しましてよ。

やまぐちこはる
恋愛
領地が災害に見舞われたことで貧乏どん底の伯爵令嬢サラは子爵令息の婚約者がいたが、裕福な子爵令嬢に乗り換えられてしまう。婚約解消の慰謝料として受け取った金で、それまで我慢していたスイーツを食べに行ったところ運命の出会いを果たし、店主に断られながらも通い詰めてなんとかスイーツショップの店員になった。 貴族の令嬢には無理と店主に厳しくあしらわれながらも、めげずに下積みの修業を経てパティシエールになるサラ。 そしてサラを見守り続ける青年貴族との恋が始まる。 全44話、7/24より毎日8時に更新します。 よろしくお願いいたします。

処理中です...