【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

文字の大きさ
32 / 91
第2章  王都の生活

第9話 お茶会前日のもめ事

しおりを挟む
 あの丘の上の時から、緊張もなく兄と接するようになった。
お兄様とまた遠乗りの約束していると、父が明日のお茶会の話を始めた。

「プリムローズ、あすの茶会のドレスを見たぞ。
ドレスの色に似たハンカチーフを、ポケットに入れておえろいにする。
王族方にお前をご紹介したら、私は仕事に行くがー。
終わり頃、また迎えに行く予定だ」

「はい、お願いします」

短く答えた私の後、突然母が話しに割ってきた。

「旦那様、私も一緒にまいります。
母の私が、娘の隣に居ないわけにはいきません」

「最近は、顔色が悪く倒れでもしたら大変だ。
今回はおとなしく、私にまかせさない」 

『もう、またなの?』

食事になると嫌悪けんあくな感じに必ずなる。
使用人たちも顔には出さないけど態度が固い。

「いいわねぇ~。
プリムローズは、第1王子と婚約出来るかもしれない。
私も同じ頃に生まれたらと思うと、残念で仕方しかたないわよ」

プリプリと怒りながら、姉が話し出した。

「姉上!
プリムローズにからむのはおやめください」

兄ブライアンが、たまらず助け船を出してきた。

「あらあら、貴方も最近はプリムローズに優しいのね。
私は誰も助けてくれなくて、ひがんでしまうわ~」

その姉の言葉を聞くと、食事の手が止まった時に父の怒声がした。

「よさないか!
リリアンヌ、お前に関係ない話だ。
少しは黙りなさい!」

姉は席を立ち上がり、父に言い返した。

「お父様!
そのおっしゃりようは、ひどいですわぁ」

そのまま、食事の途中なのに出て行ってしまった。

娘の姿を目で追って、母は父に不満な顔を向けて言う。

「旦那様、リリアンヌが不憫ふびんではないのですか?
貴方も少しは協力して下さい」

母は、姉に過保護かほごすぎるようだ。

「確かに、私たちにも親として責任がある。
しかし、1番はあの子の行いだ。
学園での評判は、最悪ではないか。
このままでは、修道院に反省しに行くしかないな」

「そんなぁ、まだ15歳の成人前ですわよ。
婚約者の件も間に合いますわ!
旦那様も、もっと良い方を探して下さいませ」

「候補者を、何人も紹介している。
っているのは、お前たちだろう」

兄と私は、無視して食事を続けた。
アホらしくて、両親の会話を聞いていられなかった。

「あぁ~!もう旦那様には、頼らなくてよぉ!」

同じく席を立って、母も食堂を出て行ってしまった。

「プリムローズ!
お前は、アレ達のようになるなよ!よいな」

怒りが収まらないのか、私に話を振ってくる。
食事中は迷惑だし、食欲もなくなりそうだわ。

「お父様?!
5年前より悪化してませんこと。
私よりも、色々お考え下さいな。生意気なまいきな口をたたきましたわ。
お許し下さいませ……」

私と兄が2人で、同時に席を立ちましたわ。

振り返ると、父が頭を抱えている。 

「プリムローズ、明日は適当に王宮見物の気分で行きなさい。
問題を起こさないようにね」

兄と別れるときに、優しく助言して下さった。

 
 部屋で明日着ていくドレスを眺めていると、メリーが話しかける。

「お嬢様、ご覧ください。本当に品ある薄紫色のドレスですね。
帯のリボンはお嬢様と同じ目色の紫ですし、この襟と袖口は繊細で美しい銀色のレースはお髪の色です。
明日が楽しみですわ」

ドレスと私を見て、嬉しげに微笑んだ。

「そんなに気合いを入れないでね。
髪ハーフアップのリボンでいいわ。
どうせ、お菓子の場所に直行だし。
動きにくいから、アクセサリーとかつけないでね。
落とすと探すのも面倒でしょう」

横でふくれっ面をして、反論はんろんするメリー。

「そんな、お嬢様~!
やっとのお出かけで、メリーはお嬢様をもっと着飾りたいですわぁ~」

ガッカリした様子のメリーは、ブツブツ言いながら部屋を後にした。

先ほどの姉の話を考えると、貴族の娘ってかごの鳥ね。
綺麗だけど大空に羽ばたけない感じがするわ。

私は力強いたかみたいになって、高く飛び続けたいと願ってた。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします

恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。 王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい? つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!? そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。 報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。 王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。 2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

【完結】婚約破棄を3時間で撤回された足枷令嬢は、恋とお菓子を味わいます。

青波鳩子
恋愛
ヴェルーデ王国の第一王子アルフレッドと婚約していている公爵令嬢のアリシアは、お妃教育の最中にアルフレッドから婚約破棄を告げられた。 その僅か三時間後に失意のアリシアの元を訪れたアルフレッドから、婚約破棄は冗談だったと謝罪を受ける。 あの時のアルフレッドの目は冗談などではなかったと思いながら、アリシアは婚約破棄を撤回したいアルフレッドにとりあえず流されておくことにした。 一方のアルフレッドは、誰にも何にも特に興味がなく王に決められた婚約者という存在を自分の足枷と思っていた。 婚約破棄をして自由を得たと思った直後に父である王からの命を受け、婚約破棄を撤回する必要に迫られる。 婚約破棄の撤回からの公爵令嬢アリシアと第一王子アルフレッドの不器用な恋。 アリシアとアルフレッドのハッピーエンドです。 「小説家になろう」でも連載中です。 修正が入っている箇所もあります。 タグはこの先ふえる場合があります。

謹んで、婚約破棄をお受けいたします。

パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~

浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。 (え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!) その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。 お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。 恋愛要素は後半あたりから出てきます。

処理中です...