【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!ー新たなる王室編ー

愚者 (フール)

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第1章  隣国の王族 

第5話 噂の真相

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 部屋の中には、沈黙という名の重苦しい空気が充満じゅうまんしていた。

  ブライアンは、ひたすらひざに置く自分の握られた手を見て考えている。

私一人が無視され、置き去りにされた。
この先、私にどうしたら良いかというのだ。

一人の女性の笑う声が、前から聞こえる。

「アーハハハ、清々すがすがしいわ!
あれだけ言いたい放題に好き勝手して帰るとは、それも孫1人残して!
こんなに、笑ったのは久しぶりよ」

王妃キャロラインはブライアンを見て、笑いながらキッパリと言ってきた。

「キャロ様、クラレンス公爵令息がお可哀想ですわ。
相変わらず貴方は、苦労されてますのね」

スザナは、ブライアンに哀れみの眼差まなざしをしてなぐさめる。

王子ルシアンも、彼を見ていて感銘を受けた。
彼とは、何か思いが通じるものがあるとー。

その後これをきっかけとなり、王子とブライアンは臣下のみぞめた。
時間をかけて、一生涯の友になるのであった。

「ブライアン殿、ロイヤル・ゴッド・アイとは何ですか?
気になってしまってね。
話せる範囲内で、構わないので教えて下さい」

ブライアンは、ルシアン王子の質問を聞くとフーッと息をひとつ吐く。

「言葉通りですよ。
祖母の祖国アルゴラの王族は、紫の瞳を持っています。
特別な力を持つ開国の、常勝王と呼ばれ領土を拡大したお方。
二人は時に、瞳がワインレッド色に変化すると語られております。妹プリムローズも、その瞳を持って生まれました」

ブライアンは、率直に正直に答える。

「なるほど、アルゴラで妹君は特別と言うわけか!」

王シャルルは、聞いていて思わず呟いた。

御意ぎょいでございます。
アルゴラでは王女に寄越よこせとか、第1王子の妃にして王妃だと祖母に打診だしんしております」

「祖父母が溺愛するのも、わかるわよね。
貴方、辛くないの?
そんな妹君と比べられて‥」

王妃が、憐憫れんびんじょうを表した。

「いいえ、全く。
力の差が歴然となれば妹ですが、尊敬にあたいします。
誠に、恥ずかしながら…」

優しげな目線を向ける者たちと、感じる者。

先ほどとは違い、部屋が穏やかな空間となる。
それからブライアンは、王族たちに自分の事を話し始めた。

「ブライアン殿は、剣を習っておるのか?」

「祖父に少し習いましたが、今は別の方に習っております」

苦笑してブライアンは、王子ルシアンに返事をした。

「王子も腕前は、なかなかだぞ。
手合てあわせを、ブライアン殿にお願いしようではないか?!」

新たな王が、ブライアンと息子に暖かな眼差まなざしを送る。

「妹君も一緒にお願しては、確かお強いんでしょう?!」

王妃が扇を閉じて、手のひらを1度軽く叩いた。

顔つきが変わるブライアンを、不思議に思う面々めんめん
いきなり椅子が床に膝をつき、土下座とげざをする。

「お願いします!
私だけにして下さい。
妹は剣になると手加減てかげんがヘタでして、もし王子殿下にケガでもさせたら生きた心地ここちが致しません!!」

頭を床にこすりつけて、頼み込んでくるのである。

ハッとスザナが顔を変えて、手を口元にその手が震わせ話す。

「私からもお願いします!
おやめ遊ばせー!!」

「ハハハ!9歳の女の子だ。
たかがしれておる。
何を恐れるのか!
王子は、前の国で近衛隊長このえたいちょうに指導されておる!」

父親である王は、王子の剣の腕前を疑ってなかった。

顔を上げて瞳はうつろで、剣大会の事柄を詳細にブライアンは語り続けた。
あれは戦場で戦うようであったと、死人が出ないのが奇跡だと説得。

黙って耳を傾けた者達の中には、途中で気分を害した女官もいる。

「指を5本折る?!
間接外して、タンカーで対戦者たちが全員運ばれる。
それは…、真実なのか?!」

沈黙の中で1人、いきなり話す声は今まで聞いてない人の言葉であった。

「戦の神が育てた方です。
殿下の未来を大切にして下さい。
突然、ご無礼を致しました」

王妃の愛人が、静かに渋い声を部屋に響かせた。

迎えの馬車の到着を告げる者が、ブライアンの所へやって来る。

クラレンス公爵令息は安堵あんどの表情を浮かべ、その場を離れ急ぎ足で屋敷に帰って行く。
スザナと愛人を除いた3人は、ブライアンの話を信じられず黙って見送っていた。


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