【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!ー新たなる王室編ー

愚者 (フール)

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第1章  隣国の王族 

第13話 責任転嫁

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 私…。私がこの国に来て…。

初めての記念のお茶会がー!! 

王子に良かれと思い歳の合う子を選びそろえて、華やかに完璧に用意したはずなのにー!
こんなことになるなんて、神様だって思わないわ!!

  王妃は目の前が真っ暗になり、足元がクラクラしてしまう。
その姿を見た愛人が、愛する王妃を後ろから肩を支えていた。

母の横で王子が、周りの客人たちを見てショックを受けている。

どうやら、白目しろめをむき倒れる令嬢の顔を見てこの現状になってしまったようだ。
 
女の子は失神して倒れ、男の子は口を抑えひざをつく者たち。
どう取りつくろえばいいか、悩んでいるとよく通る幼い声がー。

「…、お兄様。
最近の子は、虚弱体質きょじゃくたいしつなのかしら?!
きっと、この夏の暑さにやられたのね?
バタバタ倒れて、意識もない子もいるわよ。
これじゃあ、お茶会処ではないわね?
ちょっと、王妃様!
これ何とかなさいな!」

王妃を見て命令する、プリムローズ。

愛人がその声にハッとして、女官たちや侍従じじゅうたちに急ぎ指示を出す。
女官たちやメイドたちが、一斉に医者を呼ぶ声で周りが騒然そうぜんとなっていた。

王妃と王子はこの小さな美少女が、まるで化け物を見るように凝視する。

どうしかった方がいいのかしら?
もし叱ったら、あのクラレンス公爵夫妻はどうでる?!

王妃が考えている間に、プリムローズが勝手に先に進めてきた。

「女官長はおるかぁー!
早く、コチラに来なさい!」

彼女が周りを見渡し、手招きして呼びつけると何故か直ぐに飛んで来る。

「この着ているドレスのシミ抜きをしなさい。
出来たら屋敷に届けて、クラレンス公爵の屋敷ね!
今すぐに蒸した布を用意して、体を拭いて着替えます。
預けたドレスは薄い紫、くれぐれも間違えないでね。
さぁ、急ぎ部屋に案内せよ!」
 
黙って見ていた者は、指示の的確てきかくさと有無うむを言わせない態度に驚かされていた。 

兄ブライアンは1人オロオロしているのを気にせず、再び王妃に言い放つ。

大人たちはやめてーと、胸の中で祈るようにお願いをする。

「王妃様!
開催者として、どう責任をとるおつもり?!
この私に恥をかかせるとはー。
どうして、あの無礼者を参加させたのですか?
王妃様は新しい国に来て、まだ間もないでしょう?
何も、ご存知ないのではなくって?!」

王妃キャロラインは頭の中で、答えを模索もさくしていた。
嘘でしょう?!
私ではなく、貴女が全部したのよ?!
何故ここで、この私が悪者になっているの?

え~えー!なんで~!!
どうしたら、そんな考えになるんだ!!?
息子である王子ルシアンも、どうして母に責任転嫁せきにんてんかさせるのか理解不能りかいふのう

「もう、私を王家の行事に呼ばないで下さいませ。
公式は出ますが、期待しないでくれまし。
では、着替えたら失礼しますね。
兄上、ほら行きますわよ」

兄ブライアンは、王妃様と王子様に妹に成り代わりペコペコしながらプリムローズの後ろをついていく。

2人はあの破壊力満点の話を聞いて、成すすべがなかったのだ。
いつの間にか犯人プリムローズは、兄を引き連れてその場から消えていた。

その場に立ちすくむ、二人の親子。

側にいる者たちは、お声をかけれず待機たいきしてたたずむ。
夏風が吹き、木のざわめく音しかしなかった。 

   
 帰りの馬車の中、薄紫のドレスに着替えたプリムローズは不快極まりない表情を見せてる。

「お兄様!
やはり、欠席すれば良かったことよ。
何よ、あれ?!
なんで、王族の次に高位の筆頭公爵の娘の私を知らない者が出席しているのよ!
あの娘は何処の家の方?
ねぇ、お兄様はご存じ?」

知っていても言えないし、言ってはいけないとブライアンは考えた。

「知らないよ。
プリムローズは、まだ王都に戻って1年しか経っていないからね。
あの娘も知らなかったのだろう」

兄ブライアンは、妹にやんわりと優しく言い聞かせた。

「あの娘が、何でもするって自分から私に心から望んだのよ!
私は、全然悪くないわ。
あの方が、勝手に倒れたのよ」

絶対に彼女は、心から望んではいない。
我が妹ながら、この思考だけはついていけない兄ブライアン。
さりげなく恐ろしいことを話す妹を、兄は静かに耳を傾けるしかない。

 
 一方の王宮では、王妃が悔し涙を流し続けていた。
初めての記念のお茶会は、大失敗に終わってしまったのである。

倒れたご令嬢たちは気付け薬で正気に戻し、吐いていた者は動けるまで休ませた。

倒れたご令嬢は目の焦点が合わず、精神科の医師を呼んで診察させる。

その間に被害にあった両親は、王妃をひたすら責め立てた。
その張本人は、さっさと帰宅して居なくなっていたのだ。

「何でもします!」と、言った手前で責めることすら出来ない。

王妃は絶望の中、泣きながら頭をかかえる始末。
息子と愛人の2人で、なぐさめるしかない。

この後に側室スザナと王が帰って来てから、お茶会の話を息子から報告され絶句ぜっくしていた。

兄ブライアンに最初会った時に、伺っていたプリムローズの話が真実だとこの時に認識したのである。

側室スザナは真っ青になり、近くの椅子に座り込み話を聞いていたという。

王宮でのこのお茶会の衝撃は、忘れられないらしい。
王宮勤めの者たちには、伝説級の扱いにされるのであった。

  
    帰宅が早かったのを怪しんだ祖父母が、兄ブライアンに説明を求める。

なかなか説明出来ない兄を、祖父は最後怒鳴りつけてやっと吐かせた時は遅かった。

プリムローズは昼食をとって、予定より早くとっとと旅立ってしまっていた。

トンズラとは、この事を言うのであろう。

これには祖父母と兄は、何も言う暇はなかったのである。
兄ブライアンは、妹の行動の恐ろしさがトラウマになりかかっていた。
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