【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!ー新たなる王室編ー

愚者 (フール)

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第4章  未来への道

第1話 文官試験

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 私たちは2日間滞在して手伝いをし、医師を残し宿に戻った。
お祖父様もおばあ様も口には出さないが、お顔に疲労の色が表れている気がするわ。

お父様たちの屋敷に留まっても、気を遣わせてしまうだけ。
それなら戻って物資だけでも送った方が、あちらも有難いだろうと皆の意見が一致した。

宿で疲れをとってからの出発となった。

 帰りの馬車の中では、姉リリアンヌとポール殿の出会いで盛り上がっている。

「出会いが畑仕事をしていて足を滑らせて捻挫ねんざしたお姉様を、たまたま見かけて助けたのが縁だったのね。
三度目の正直で、今度こそ幸せにお成りになって欲しいですわ」

姫を助ける騎士を連想したが、どうしても畑という場所が少しだけ残念であった。
まぁ荒れ地だし、普通はそんなもんだろう。
しかし、妹からしたら姉に不名誉な婚約破棄を3度はして欲しくないと切に願っていた。

「でもポール殿が助けておぶって屋敷まで行こうとしたのに、無礼者って背中を叩くとは。
姉上は困った人ですよ」

兄ブライアンが同じ男性として、あの姉の性格を思い苦い顔を見せていた。

「ワハハハ。
気恥ずかしかったのじゃろう。
あの娘は生粋きっすいのご令嬢育ちだ。
だがのう、儂は今のリリアンヌを好ましく思うぞぉ!」

祖父の言葉に、皆が頷いて同意の意思を示す。

「相手のポール殿は、慎重で婚約期間を2年申し出て愚息ぐそくの手伝いをしているみたいですね。
それも見所があるそうですわ」

祖父母は、嬉しいそうに姉とポール殿を話している。

「私もポール殿に負けないように、文官試験を頑張らなくてはいけませんわ。
今年は何故か試験が早まったとか、家庭教師の先生が王宮の仲間から情報を頂きましたの」

プリムローズはその話を家庭教師から伺い、ちょっとあせってしまうのである。

まさか学園卒業前に、試験が始まる情報に驚いた。
例年より半年も早く、たくさんの苦情があったのに変更はしないそうだ。

「嫌がらせじゃろ!
子供でましてや、女だ。
合格させとうないんじゃ。
なんと心のせまき者ばかりで、誠に情けないわ。
プリム、負けんじゃないぞ。
お前ならできる!」

祖父に気合いを入れられたので、屋敷に帰ったら出来るだけ頑張らないと自分に言い聞かせる。
 
   あれから時は流れ、2週間後に試験が迫っていた。

今まではリザ様と勉強を一緒にしていたが、現在は家庭教師と一対一での学習に入っている。
リザ様は2年後の学園卒業に、文官試験を受ける決意をした。

「私は実力が足りません。
実は、父が後押しをしてくれることになりましたの。
すべてはクラレンス公爵様、特にプリムローズ様のお陰ですわ。
本当にありがとうございます」

リザは、プリムローズとの最後の授業に感謝と激励を言う。

「ありがとう、こちらこそ楽しかったわ。
受かるかはわからないけど、精一杯頑張ってみるわ」

11月の試験が5月に前倒しになり、貴族の間でもプリムローズの話題があがりつつあった。

 
    ここカリスの貴族専用のお茶室では、ブロイ公爵夫人とリンドール伯爵夫人。

あの例の噂が大好きな伯爵夫人にその友人の子爵夫人が、集まって話をしていたのである。

「聞きまして、今回の文官試験の話を?!
あれって裏で、王妃様が画策かくさくしたようですわよ!」

噂大好き伯爵夫人が、3人に自慢気に教えていた。

「あれはいくらなんでも、やり過ぎですわ!
半年も前倒しってありえません。
抗議しても無視しているそうよ!」

子爵夫人も、信じられないといった表情を見せる。

「これでクラレンス公爵令嬢が、受かったら王妃様はどうするのかしらね?
いくら2回のお茶会が、失敗する原因を作ったから復讐とは!
まだあんな幼子に、国母こくぼとしての優しさが無さすぎるわ!
同じ女性として、応援するのが普通ではなくて?!」

ブロイ公爵夫人は、呆れ果ててつい鼻で笑ってしまう。

「いいんではありませんか!
正義が勝つと思えば!
プリムローズ様は、普通のお子様とはデキが違いますよ。
王妃様は彼女が合格して、また寝込まなければ宜しいわね?」

リンドール伯爵夫人は意地悪く微笑む。
彼女は、プリムローズの実力を信じきっていた。

    
 学園でも密かに、この話題は広がっている。
王子ルシアンに誰も表だって言わないが、陰で皆は母上であるキャロライン王妃をよく思ってなかった。

「プリムローズ様、もう1週間後ですね。
試験のお勉強は、はかどっていますか?」

マリーが受ける訳ではないか、ドキドキしながら彼女に尋ねてきた。

「もうどうにでもなれって感じかなぁ?
どうせ受けるんだし、ダメでも次があるから気楽なもんよ。
かえって周りが、気合い入って見ていて笑うわ。クスクス」

本人は達観たっかんしたのか冷静そのもので、3人の友人たちは度胸のよさに感心している。

「噂では試験の前倒しは、王妃様が嫌がらせをしたとなっていますわ。
本当の事でしょうか?」

フローラが、3人に意見を求めるかのような素振りで話す。

「どうかなぁ。
お祖父様の話では、私が10歳で受けるのが面白くないみたいよ。
だったら、年齢制限でもすれば良かったのよ。
こんな子供が受けるとは、きっと予想外だったのね」

プリムローズはアホらしいって感じで、デザートのプリンを頬張ほおばる。

波乱がありそうな試験は、もう間近に迫っていた。 
  
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