63 / 75
第4章 未来への道
第18話 不機嫌な王妃様
しおりを挟む
エテルネルの文官試験の歴史の中で、初めて実施された研修制度は終わりを遂げた。
はじめの頃は、双方とも戸惑いと混乱を起こしていた。
教える方は、自分たちの若い頃を思い出しながらの教授に改めて基本を大事に従事するようになっていく。
反対に教わる方は、思っていたより文官の仕事の大変さを知るのである。
優雅に王宮の中で仕事をしていると思いきや、国の端から端まで調べないとならない仕事も…。
良い経験になったと双方思い、来年も継続になりそうな予感がしていた。
王宮の王妃の自室では、キャロラインが独り悔しがっていた。
聞けばクラレンス公爵令嬢が、大活躍して尊敬を集めたと話題になっている。
どうして、上手くいかないのかしら!?
今頃は、文官失格の予定だったのにー!
「何もかもが、うまくいかない!
気に入らない、気に入らないわー!!」
王妃は近くにあった手鏡を手にして、怒りを込めて思い切り壁に投げつけていた。
「ガシャーンー!!」
割れた音だけが、虚しく部屋に響き渡る。
その音を聞きつけ、女官たちが何事かと慌てて部屋に駆け込んできた。
「王妃様ー!
如何遊ばされましたかー!」
「まぁー!鏡が!
お怪我はございませんか?!」
女官たちが部屋に入ると、壁際に手鏡が割れた状態で不自然に転がってた。
「何でもないわ。
手が少し滑っただけよ!
片して頂戴な!
今から、スザナとお茶でもしたいわ。
彼女の予定を伺って!」
キャロラインはイライラして、手鏡を片すように指示している女官に伝える。
その時、王は宰相ブロイと職務の間の休憩でお茶をして話し合っていた。
「今日で文官研修は終了か!
はじめはどうなるかと思ったが、結構面白い事になったもんだ」
王はお茶を飲み、そして呑気に宰相に話しかけた。
「陛下は気楽で宜しいですね。
私などは、直接に被害がきましたよ。
クラレンス嬢から、また呼び出されるかと毎日ビクビクして過ごしてましたからね」
ブロイ宰相は、プリムローズにドヤされてから顔を見るたび思い出すのである。
つい王の御前にかかわらず、また思い出したのか深くため息をついた。
「余だって、数字の書き方を練習させられたぞ!
よく見たら、確かに分かりづらかった。
皆は遠慮して、指摘しなかったのか」
王は癖になったのか、あれからたまに数字を練習して書いてしまう。
無意識な行動で、途中でとめて笑ってしまうのだ。
不意に研修期間の思い出として、プリムローズの顔が浮かぶ。
「これから寂しくなりますね。
彼女は国を離れ留学しますから、いったい何処の国へ行くのでしょうか?」
父であるブロイ前公爵も妻の夫人さえも、誰も行く先は知らされてなかった。
「さぁな、アルゴラだろう?
公爵家のご令嬢だ。
いくらなんでも、危険な国には行かんだろう」
このときの王の予想は、かすりもしない大外れだった。
後日留学先が判明して、苦笑いをして宰相ブロイにこっそり謝ったそうだ。
そんな噂をあちらこちらで話されてるとは知らない本人は、留学前にやりたい事柄が多くて悩みながら紙に書き出している。
「あー!忙しいわ!
お店は殆んどは引き継ぎは終わっているけど、別れの挨拶したい人たちが多すぎる!
会えない方々には、手紙を書かなくてはならないわ」
大きな独り言のような話し声を、彼女の声を耳にしていた者が1人いた。
少し離れたテーブルでお茶の用意をする専属メイドメリーは、椅子に座り背伸びする主人を見て笑っている。
「お嬢様!留学へ向かう際には、クラレンス領へ立ち寄るのですよね。
なら、平民のお友達を招いて一晩泊まらせれば宜しいのでは?!」
メリーは悩んでいた主人に、助け船を出してあげた。
「なるほど、いい案よ!
それなら、手紙を書く人数が減るわ。
助かる~、研修中は手が痛くなるまで文字を書いてましたのよ」
彼女も終わって間もない地獄の研修期間を思い出すように、両手を振りながら彼女に振り返って見せる。
二人は目が合うと笑いあって、彼女はテーブルに着きメリーが差し出すお茶を飲みだした。
はじめの頃は、双方とも戸惑いと混乱を起こしていた。
教える方は、自分たちの若い頃を思い出しながらの教授に改めて基本を大事に従事するようになっていく。
反対に教わる方は、思っていたより文官の仕事の大変さを知るのである。
優雅に王宮の中で仕事をしていると思いきや、国の端から端まで調べないとならない仕事も…。
良い経験になったと双方思い、来年も継続になりそうな予感がしていた。
王宮の王妃の自室では、キャロラインが独り悔しがっていた。
聞けばクラレンス公爵令嬢が、大活躍して尊敬を集めたと話題になっている。
どうして、上手くいかないのかしら!?
今頃は、文官失格の予定だったのにー!
「何もかもが、うまくいかない!
気に入らない、気に入らないわー!!」
王妃は近くにあった手鏡を手にして、怒りを込めて思い切り壁に投げつけていた。
「ガシャーンー!!」
割れた音だけが、虚しく部屋に響き渡る。
その音を聞きつけ、女官たちが何事かと慌てて部屋に駆け込んできた。
「王妃様ー!
如何遊ばされましたかー!」
「まぁー!鏡が!
お怪我はございませんか?!」
女官たちが部屋に入ると、壁際に手鏡が割れた状態で不自然に転がってた。
「何でもないわ。
手が少し滑っただけよ!
片して頂戴な!
今から、スザナとお茶でもしたいわ。
彼女の予定を伺って!」
キャロラインはイライラして、手鏡を片すように指示している女官に伝える。
その時、王は宰相ブロイと職務の間の休憩でお茶をして話し合っていた。
「今日で文官研修は終了か!
はじめはどうなるかと思ったが、結構面白い事になったもんだ」
王はお茶を飲み、そして呑気に宰相に話しかけた。
「陛下は気楽で宜しいですね。
私などは、直接に被害がきましたよ。
クラレンス嬢から、また呼び出されるかと毎日ビクビクして過ごしてましたからね」
ブロイ宰相は、プリムローズにドヤされてから顔を見るたび思い出すのである。
つい王の御前にかかわらず、また思い出したのか深くため息をついた。
「余だって、数字の書き方を練習させられたぞ!
よく見たら、確かに分かりづらかった。
皆は遠慮して、指摘しなかったのか」
王は癖になったのか、あれからたまに数字を練習して書いてしまう。
無意識な行動で、途中でとめて笑ってしまうのだ。
不意に研修期間の思い出として、プリムローズの顔が浮かぶ。
「これから寂しくなりますね。
彼女は国を離れ留学しますから、いったい何処の国へ行くのでしょうか?」
父であるブロイ前公爵も妻の夫人さえも、誰も行く先は知らされてなかった。
「さぁな、アルゴラだろう?
公爵家のご令嬢だ。
いくらなんでも、危険な国には行かんだろう」
このときの王の予想は、かすりもしない大外れだった。
後日留学先が判明して、苦笑いをして宰相ブロイにこっそり謝ったそうだ。
そんな噂をあちらこちらで話されてるとは知らない本人は、留学前にやりたい事柄が多くて悩みながら紙に書き出している。
「あー!忙しいわ!
お店は殆んどは引き継ぎは終わっているけど、別れの挨拶したい人たちが多すぎる!
会えない方々には、手紙を書かなくてはならないわ」
大きな独り言のような話し声を、彼女の声を耳にしていた者が1人いた。
少し離れたテーブルでお茶の用意をする専属メイドメリーは、椅子に座り背伸びする主人を見て笑っている。
「お嬢様!留学へ向かう際には、クラレンス領へ立ち寄るのですよね。
なら、平民のお友達を招いて一晩泊まらせれば宜しいのでは?!」
メリーは悩んでいた主人に、助け船を出してあげた。
「なるほど、いい案よ!
それなら、手紙を書く人数が減るわ。
助かる~、研修中は手が痛くなるまで文字を書いてましたのよ」
彼女も終わって間もない地獄の研修期間を思い出すように、両手を振りながら彼女に振り返って見せる。
二人は目が合うと笑いあって、彼女はテーブルに着きメリーが差し出すお茶を飲みだした。
10
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~
天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。
どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。
鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます!
※他サイトにも掲載しています
婚約破棄されたので、愛のない契約結婚を選んだはずでした
鍛高譚
恋愛
王太子の婚約者だった伯爵令嬢・カーテンリンゼ。
しかし、王太子エドワルドは突然の婚約破棄を言い渡し、彼女を冷たく突き放す。
――だが、それは彼女にとってむしろ好都合だった。
「婚約破棄? 結構なことですわ。むしろ自由を満喫できますわね!」
ところが、婚約破棄された途端、カーテンリンゼは別の求婚者たちに目をつけられてしまう。
身分を利用されるだけの結婚などごめんだと思っていた彼女の前に現れたのは、冷徹と噂される若き公爵・レオポルド。
「契約結婚だ。君の自由は保証しよう」
「まあ、それは理想的ですわね」
互いに“愛のない”結婚を選んだ二人だったが、次第に相手の本当の姿を知り、想いが変わっていく――。
一方、王太子エドワルドは、自分が捨てたはずのカーテンリンゼを取り戻そうと動き出し……!?
婚約破棄されたら、多方面から溺愛されていたことを知りました
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
卒業パーティーの当日、王太子に婚約破棄された公爵令嬢フルール。
それをあっさり受け入れた瞬間から、彼女のモテ期が始まった。
才色兼備で資産家の娘である彼女は、超優良物件にも拘らず、生まれた時から王太子の婚約者ということで今まで男性から敬遠されていたのだ。
思ってもみなかった人達にアプローチされて戸惑うフルールだが……。
※タイトル変更しました。
※カクヨムにも投稿しています。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
掟に縛られたブキミ令嬢ですが3大国宝イケメンを翻弄してます
ハートリオ
恋愛
ルミエ・ラマンジェは16才。
母の愛の掟に縛られて窮屈な毎日を過ごしている。
掟により長厚前髪にしているせいで『ブキミ令嬢』なんて呼ばれているし。
大好きな兄リーとも思うように接する事が出来ずかなり辛い。
家は借金苦。更に日中体が重いという謎の現象にも悩まされ公爵令嬢にも急に攻撃されるようになり…
何だか八方塞がりなある日、兄リーの知り合いのザート達が声を掛けて来る。
ルミエが母の掟により絶対に男と関わってはいけないと知ったザートはルミエを救う会を発足すると宣言。
ルミエも少しずつ問題を解決しようと動き出し盲目的に守り続けて来た掟との付き合い方も変わっていく。
そしてとうとう…
異世界でのお話です。
【完結】破滅フラグを回避したいのに婚約者の座は譲れません⁈─王太子殿下の婚約者に転生したみたいだけど転生先の物語がわかりません─
江崎美彩
恋愛
侯爵家の令嬢エレナ・トワインは王太子殿下の婚約者……のはずなのに、正式に発表されないまま月日が過ぎている。
王太子殿下も通う王立学園に入学して数日たったある日、階段から転げ落ちたエレナは、オタク女子高生だった恵玲奈の記憶を思い出す。
『えっ? もしかしてわたし転生してる?』
でも肝心の転生先の作品もヒロインなのか悪役なのかモブなのかもわからない。エレナの記憶も恵玲奈の記憶も曖昧で、エレナの王太子殿下に対する一方的な恋心だけしか手がかりがない。
王太子殿下の発表されていない婚約者って、やっぱり悪役令嬢だから殿下の婚約者として正式に発表されてないの? このまま婚約者の座に固執して、断罪されたりしたらどうしよう!
『婚約者から妹としか思われてないと思い込んで悪役令嬢になる前に身をひこうとしている侯爵令嬢(転生者)』と『婚約者から兄としか思われていないと思い込んで自制している王太子様』の勘違いからすれ違いしたり、謀略に巻き込まれてすれ違いしたりする物語です。
長編ですが、一話一話はさっくり読めるように短めです。
『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる