【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!ー新たなる王室編ー

愚者 (フール)

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第4章  未来への道

第15話 怒りの炎 

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 無事に財務省の研修を終えることになった二人。
まだ仲良くとはいえない間柄だが、後一週間は二人で他の部署に研修に行くことになっていた。

「そんなに、怒ることではありませんか。
皆さんは貴女に感謝しているんだし、今日でこの部署は最後なんですからー。
さぁ~てと、次は何処どこかなぁ?」

ガスパールは楽しそうに、プリムローズを見て話しかけるのであった。

シャレット担当は、そのまま私たちを引き継ぐのね。
彼ってお暇で、何でも屋なのかしら?

彼女は、大きな間違いをしていた。
二人のお守り役を、今回担当役している全員から見事にお断りをされてしまったのだ。

ブロイ宰相が自ら頭をシャレットに下げたことは、他人には秘密である。
彼は皆から感謝されまくりで、自分はこれからの仕事がやりくなるとホクホクだった。
それはまたしても一瞬の幻であるのを、彼本人はまだ知らない。

シャレットは損得そんとく感情をおくびにも出さないで、淡々たんたんと二人に説明する。

「コホン。此方は荘園しょうえん管理省、すなわち貴族の領地を管理します。
簡単にいうと、災害やその土地の税の取り立てなどの窓口ですね。
領主と国との橋渡しをします」

プリムローズは、もとの王と父のいる領地を思い返していた。
ここに報告しなかった、あの荒れ地の担当文官がいるはずだ。
探して真相をあばく、ワザとなのかそうでないのかを!

恨みは心底根深い、そして機会があちらから訪れてきたのだ。
絶対に逃すものかと、敏感に周りをうかがっていた。

彼女はどうでもいいことはアッサリしているが、許せないことには意外にねちっこい性格であった。

「それでは、今年の陳情ちんじょうや報告書の誤字が無いかを見て下さいね」

私たちは、研修の目的の作業に入ったのであった。
陳情に関する書類を読んでいると、二人は段々としかめっ面に変わっていく。

「北の方は、かなり雪が多かったんだね。
うちの領地は、西側で全然知らなかったよ。
例年よりは、寒いとは領地から便りは来ていたけどね」

コリーニ伯爵令息が、書類を見ながら彼女にそう言ってきた。

「そうね。クラレンスは、東側だけど雪が例年通りに降ったくらいよ。
同じ国の中でも、季節が1か月以上も違うわ」

父たちが暮らしている、あの荒れ地の雪を思い出す。
あれから二人の体調は戻り、あの平民の医師の1人がそのまま領地に居てくれている。

医師が居ない領地なんて、ありえないことだ。
もう少ししたら、きっとここに陳情ちんじょうをするはずよね。

そんな事を考えて読んでいたら、どこからかヒソヒソする話し声が聞こえてきた。


「お前、平気かよ?
もと王が行った領地は、雪が凄くて風邪も流行したそうだぞ。
お前、知りながら無視したのかよ!」

彼女はもと王の言葉に驚き、心臓の音がドクドクと鼓動こどうする。

これは、まさか!犯人か!!

「変な事をいうな!
アイツらが、大丈夫って話していたんだ。
それに、今まで贅沢な良い暮らしをしたんだ。
ざまぁみろって、お前も内心は思うだろ」

彼女は顔色が変わり、声をする方へ視線だけを向ける。

「医師が逃げ出したのは、お前があんな領地で頑張るより他に行けばって話したんだろう?」

なんですって酷い、やはり誰かが医師をそそのかしたのか!
あの話している文官が、領民や父たちをあんなにさせたのか!

「本当の事だろう?!
あんな作物がろくにできない土地。
俺も、早く違う管轄かんかつになりたいよ」

プリムローズは、泣きたくなる気持ちを抑えていたからだろうか。

「クラレンス嬢、大丈夫か。
お顔の色悪いようだが…」

ガスパールは、プリムローズの気持ちを考えると可哀想かわいそうになる。
何もあそこまで、言わなくていいではないか。

彼も貴族間の噂で、彼女の父親が失脚しっきゃくしてもと王と荒れ果てた地に行ったことを知っていた。

また、彼がプリムローズの様子を聞き出そうとしたが…。

彼女はたええきれずに、突然立ち上がると声のする方へいきなり駆け出す。

表情は見えないが、姿には見えない怒りの炎をまとっているとガスパールは感じた。
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