【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます! ーヘイズ留学 暗躍編ー

愚者 (フール)

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第2章  新天地にて

第4話 備えあれば憂いはなし

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  奥方様と挨拶を終えると、若いメイドに部屋を案内された。
昼食の準備が整うまで、部屋で休憩をとる流れになる。

『メリーたちは、何処に居るのだろうか?
他人のお屋敷だし、むやみに動いたら迷子になりそう』

二階の部屋のベランダから、美しく静かな湖面こめん景色けしきを目に写していた。
風が吹く度に気持ちが穏やかになるような気持ち。

 
    部屋で落ち着いていたら、案内してくれたメイドが呼びに来てくれる。

 食堂は1階にあり、とても広くテーブルが長く椅子が沢山たくさん並ぶ。

公爵夫妻が、先に席に着席していた。
メリーやギルたちは、この席に姿がない。

やはり、私たちとは身分的に一緒には食事が出来ないようね。
これが、ごく普通の貴族の姿である。

静かにお辞儀すると、公爵夫人の前に用意してある空いている席に座った。
そして、3人だけの食事が始まる。

食事の途中で、公爵がプリムローズに王都の出発の日程を相談してくる。

「本当は我が領地を案内したいが、学園の事もある。
【備えあればうれいなし】って言葉もあるしのう。
明後日には出発したいが、クラレンス公爵令嬢はそれで問題がないだろうか?!」

「はい。ご領地のアウローラはお時間が出来ましたら、是非ぜひとも案内して下さい。
楽しみは、先にとっときます」

プリムローズは、数年間はヘイズに留まるのだ。
時間はあると思ったが、直ぐに考えを改めた。

『うっかりしていたわ!
極秘の大事な目的があるのではないか』

「公爵さま、私の供の者たちはどうしてますかしら?
後で様子を見に行っても、構いませんでしょうか?」

プリムローズはギル達にも、いま公爵からうかがった日程を教えたかった。

何より拾った子猫やエリアスの疲労を知りたかった。
エリアスは平気そうにしているが、あんな生活を4年も過ごしている。

ご両親がいつ亡くなったかは知らないが、かなり心身とも疲れているに違いない。
自分がもし…、エリアスならあんな暮らしに耐えられたのだろうか!?

贅沢ぜいたくな食事を食べながら、複雑な思いを感じる。

わしは、別に構わない。
今頃は、彼らも食事でもしているはずだ。
身分差があるので、使用人たちの食堂だろう。
あのイーダが、世話しているから安心せい」

公爵の話を聞き、安心すると食事を続ける。

公爵夫人はそんな夫との会話に、プリムローズの下の者に対する慈悲深さに感じ入っていた。

 
    食事を済ました後でメイドの1人が近づき、メリー達がいる場所へ案内してくれるみたいである。
気を利かせて、公爵が話しててくれたようだった。


   使用人が寝泊まりする別館に着いた。
屋敷には見劣みおとりはするが、シンプルな建物で機能を重視しているように見える。

割り当てられた部屋にメリーはお茶を入れ、ギルとタルモ殿はエリアスに勉強を教えていた。
子猫はお腹が一杯になったのか、床の上で丸まって可愛い。

プリムローズは部屋に入ると、安堵あんどしたと同時に歓迎を受けた。

「お嬢様、お会いできて良かったですわ。
お食事は、もうお済みになりましたか?」

メリーは早速、食いしん坊の主人のお腹を心配してくれた。

「たくさん頂きましたわ。
メリー達も昼食を頂いたのね。
これからの日程を、皆さんに報告しに来たの」

彼女が話しだすと、ギル達もエリアスに教えていた勉強を一旦いったんやめて話を聞く姿勢に入ってくれた。

明後日に王都ヴァロを目指して出発すると話すと、聞いていたもの達は承諾しょうだく合図あいずをするのだった。

「気になっていたの。
エリアスは疲れてないかしら?
数日は、また馬車の旅になるわ。
体調はどうなの?
正直に教えて欲しいの」

聞いていたエリアス以外の人たちは、エリアスの顔色を心配げに見つめる。

「体調は凄く良いです。
ご飯も美味しいし、何より安心して寝られます。
日光を浴びるようになったせいか、顔色も良くなっている様に見えるでしょう?!」

彼がおどけて言うと、それを聞き思わず皆は笑いだす。
前に比べたら白に近い顔色が、赤みがさし良くなっている。

しかし、普通の人に比べたらまだ悪い方だわ。

「お嬢、エリアスは俺たちが様子を見ているからまかせろ。
なんせ、俺の弟分だ」

ギルはエリアスの頭を、ぐしゃぐしゃに撫で回している。
喜んで声を出して笑い、頭をそのままされるがままだった。
子供らしさが現れ、彼の人なっこい本来持つ性格が見て取れた。

「では寂しいですが、私もお別れが近いようです。
働く商会は王都にありますから、いつでも皆さんとお会いできる。
借りていたお金も返さないとね」

タルモがプリムローズにそう話すと、首を左右に振り断る素振りをする。

「タルモ殿は、十分に返金しております。
エリアスの件では、船長と交渉してくれました。
元々、1人分は空いている部屋でしたわ」

「そうはいきませんよ!
馬車にまで乗せて貰っています。
貴女様に何かをお返したいんですから…」

タルモからしたら、見知らぬ自分を船に乗せてくれた。
恩返しをしたいのだ。
エリアスの件では、嘘をついて苦しめていた船長をただ許せない気持ちでいた。

「王都で何か必要な物を、タルモ殿にお願いしたら良いじゃん。
商会で働いているんだ。
融通ゆうづうしてくれよな」

ギルは二人の間をうまく話をつけた。
プリムローズとタルモは苦笑する。

「ギルの言うとおりね。
備えあれば憂いなし!
タルモ殿、何か調達したい品が出来ましたら宜しくお願いします」

「アハハ、お安いご用です。
貴女様の為なら探しますよ。
特別な価格でね」

まだ先の話になるが、プリムローズはタルモを通じてヘイズからエテルネルに品を用立てて貰うことになる。

ヘイズは他国では未開の地。
その国1番の商会のつてを持つことで、プリムローズはヘイズとの貿易を始める。

それは近い未来のお話であるが、そこまでには試練が待ち構えていた。


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