【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます! ーヘイズ留学 暗躍編ー

愚者 (フール)

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第4章  光と闇が混ざる時

第22話 浮気と乞食は止められぬ

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 部屋を出てから、まだ日が昇る前の薄暗い廊下を目を凝らして歩く。
どの部屋に、オスモ様とサンドラがいるか検討けんとうもつかない。
王弟殿下の屋敷だけあり、広く部屋数が多すぎた。

そんな事を考えて部屋を探し続けていると、女性と男性の話し声がする扉の前に来ていた。

「ねぇ、っぱらう前に貴方に酔いたいわ。
オスモ様~!」

サンドラの声に間違いない。
この会話だと、まだ一線を越えていないとみた。
間に合ってくれたと、プリムローズは神に感謝する。

「君のその美しい姿は、光り輝く朝日が登る時に見たい。
二人の初めての記念は、とても大事だよ!
そう思わないかい?!」

これは…、オスモ様の声。
まさかサンドラの猛毒に酔いましたの?!
あんな甘い言葉を、毒女サンドラに向けている。
虫酸むしずが走るわ!!

「オスモ様ったら、恥ずかしいですわ!
ライラよりも貴方は、この私を選んでくれたのよね。
あんな、赤毛よりも!」

サンドラもオスモ様も、二人とも許さない。
この場に居ない彼女を、そんな風に悪口を言うなんて許せない!!

「ギル!!
どうやらこの部屋のようです!
私はー、この汚れた獣たちをブチのめしてやる!
クソおー、行くわよー!」

「お嬢!早まるな!」

忠告も聞かずに、二人の居る部屋に派手に押し入った。

「バーン!!」と、扉を開くと同時に。

プリムローズはサンドラのほほをバシバシ平手打ひらてうちでたたくというより、グーパンチで両頬に打ち込んだ。

最後は、渾身こんしんのボディブローを脇腹にえぐるように打ちつけた。
言葉をはつすることもなく、その場で彼女は一瞬で気絶きぜつして倒れた。

終わるとすぐさまオスモに向かい、怒鳴りながらアゴにアッパーを突き上げた。

「女の心をもて遊ぶ、外道けどう!!
成敗致す、これでもらえやー~!!」

ギルはプリムローズの攻撃を、ただ見ているしかなかった。
口より手が先に出るとは、これなんだと思った。

「すんげぇ~~!!
男のこぶし並みの威力じゃん!
おい、お嬢いい加減にやめろ!
もう、やめろって顔の原型が崩れるぞー!!」

アッパーに右ストレート、左フックに最後はボディーを炸裂さくれつした。

ひざから崩れ落ちたオスモは、完全に白目状態であった。

「ハァハァ~、ギル!
二人を屋敷から連れ出す。
サンドラは…、人質にしてやる!
敵との交渉事の材料にー、使うわよ!」

息切れをしながら、彼女はギルに命じた。

「へっ、ヘイ!」

火事場の馬鹿力で2人を担いで、ルシアン殿下と父親の居る場所をいち早く目指す。
なんとしても、敵に見つかってはならない。

苦労しながらも、二人を担いで井戸までたどり着いた。
先にプリムローズが、ウィル親方とルシアンに現状を知らせる為に地上に上がる。

「では、私が井戸に降りてどちらかを背負いましょう」

父親が、息子を助けに行くことにした。
ルシアンと二人きりになるが、彼女はすこぶる機嫌が悪く口を開かない。
井戸から苦労して出て、馬の繋いである場所までやっと着いた。

 
   そこから太陽が照らし明るくまで、屋敷からできる限り離れるために道を走り続けた。

「ここまで来れば、まずは安心です。
意識がないまま、スクード公爵の屋敷に着けたら楽なんですがー」

この中で、1番に頼りになる年長者が意見を述べる。  

サンドラの処遇が、これからの厄介事だろう。
気がついたら、暴れたりさわいだりするのは目に見える。

「しかし、オスモ殿がそのような事を本当に言ったのですか?!」

プリムローズと同じ馬ヴァンブランに乗りながら、先程の二人の会話を聞き質問するルシアン。

「【浮気と乞食は止められぬ】と言います。
一度味をしめたら、これは止めれませんからな」

にわかに信じられないが、ウィリアムはそのような言葉を教えてくれた。

「男って、女なら誰でもいいのかしら?!
ライラ様はオスモ様一筋ひとすじなのよ!
もし、あれを聞いたらと思うと…。
私は、許せませんでした!!」

「だからとて、気絶するまでなぐるのはどうかなぁ?!」

またもや、ルシアンはプリムローズに苦言をていした。

「気絶した方が騒がないし、良いんじゃね?!
とにかく、屋敷に戻りましょう」

ギルの意見に賛成して、また馬を走らせた。

 
   飛ばしに飛ばして昼過ぎた頃、スクード公爵の屋敷に戻ることができた。
途中にオスモ様は気がついたが、顔がれて痛いのか無口だった。
ただ、敵に捕まり迷惑をかけてと素直に謝罪してくれた。

一方のサンドラは、屋敷に戻っても寝ていた。
ワインの飲み過ぎで、酔ってグッスリなんだろう。
起きたら面倒になりそうなのを前提ぜんていで、これからどうしたらと頭を痛くする。

プリムローズは、お風呂の湯船にかりながら考えていた。

それより前に、ウィル親方とギルにスクード公爵に報告を頼んだ。
ルシアン殿下は私を気にしつつ、二人の後ろについて行く。

私は思い切り叩きすぎて、今は右手に包帯ほうたいいている状態。

「お気持ちは分かりますが、ここまでなるまで殴って手を痛めるとはー」

メリーが巻かれた手を見て、プリムローズの髪を丁寧に洗っている。
バラの香油の匂いが、嫌な気分を和らげてくれていた。

お風呂から出て着替えて、私はベッドに入り眠りにこうとしていた。

ウトウトしてきたら、スクード公爵夫人ニーナ様が困り顔でいきなり部屋に顔を見せた。

「プリムローズ様。
お疲れで、眠いのは分かりますわ。
ですが、お願いですから。
私を、助けて下さいましー!」

ニーナの美しい顔が曇っているのが、眠気眼ねむけまなこにかろうじて見える。
彼女は、その訳を重々承知じゅうじゅうしょうちしていた。

あの毒女、意識が戻りが暴れているのね。
縛って地下牢に閉じ込めればいいのにー。
彼女の眼は、怒りで目が少しずつ覚醒かくせいを始める。

こんな生活していたら、やはり短命かも…。
仕方なく、何とか起きる準備をするプリムローズだった。
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