【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます! ーヘイズ留学 暗躍編ー

愚者 (フール)

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第6章  黒い森の戦い

第4話 湯を沸かして水にする

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  まさかまさか、ルシアン殿下の脱走だっそうを知らないでいるプリムローズたち。
一行は、森の中を突き進む。
グレゴリー以外は、新規子分をあやしむ目つきをして疑ってた。

「親父様、ここに落とし穴があります。
足元にご注意をー!」

「うむっ!危ないのう~」

「ギャーア~!ウ~ッ!」

落ちそうになるプリムローズを、咄嗟とっさにニルスが彼女の腕をつかむ。

「お前たち!
早くそう言うことは、事前に言いなさいよ!」

注意するとドコ吹く風なのか、新参しんさんの子分たちは危なかったの?
そんな表情をしながら、お祖父様を先に案内するのであった。

『コイツら、お祖父様しか気を使っていないようだ。
トンボが、側に居てくれて良かったわ』

「おっ、プリムローズ!
大事ないか?!
すまんな、孫娘は初陣ういじんなんじゃあ~。
助けてあげてくれ、宜しゅうな」

親父様のお願いを聞くと、新規子分たちは驚いて彼女に声がけをする。

「お坊ちゃんでなく、お嬢ちゃんだったのかい!?
髪が短いから勘違いしたぜ」

「俺もだ!
なかなか、いさましいお嬢ちゃんだね!ハハハ…」

「ほれっ、キャンディやる。
甘くて元気でるぞぉー!」 

物で釣られた訳ではないが。
男から女だとわかると、ガラリと態度が変わるのが不気味ぶきみだ。

「有り難う!新規子分1号!」

何とも奇妙な呼び掛けに、黙ってキャンディをあげるのだった。

そして、会う敵たちをどんどんタラシ込む戦の神。

「そうか、無理矢理に来させられたのか。
不憫ふびんな事よのう|。領地の家族も心配しとるの。
早く戻れると良いな~」

そう話すと一人ずつ肩を優しく叩く、それに泣き出す新規子分たち。
どうもコイツらも、頭が弱くだまされやすい。
人情にひときわ弱く、涙腺るいせんもろいようだ。

「親っさん!
イヤ、親父様~!」

何度も見ていると、感動もだんだん薄れてくるわね。

「お祖父様、日が落ちて参りましたわ。
そろそろ、終わりではなくって?」

「仕方ないのう、戻るかのう。
ほらっ、息子たちよ。
参ろうぞ!」

ぞろぞろとつらなって戻る姿は、滑稽こっけいそのものだ。
またもと来た道を、皆でトボトボ歩き。

森を出る頃には、哀愁あいしゅう漂うラッパが鳴り響く。

「朝は威勢いせいがよくって、終わりの夕暮れはなんかさびしげですわね?
誰が、こんな鳴らし方を考えしましたの?」

新規子分たちに質問する彼女は、に落ちないのか首をかしげて鳴り続ける曲を聴いていた。

「さぁ?最初に戦った人達でしょうね?
お嬢、暗くなります。
行きましょうぜ!」

いつの間にか新参者に、またお嬢と呼ばれるプリムローズ。
ハイハイと、照れて素直に従った。
    
 
    サンドラに馬鹿扱いされたルシアンは、馬を闇雲やみくもに走らせている訳ではなかった。
太陽の向きで黒い森の位置を把握はあくしていた、顔だけでなく頭の回転も少しは良いようだ。

「この川には見覚えがある。
今日は此処ここ野宿のじゅくをしよう。
お前も休むが良い!」

偉そうに馬に命じる、頼り無さげなエテルネルの王子様。
川で馬に水を飲ませると、近くの木に手綱たづなを巻きつけた。
馬が無ければ、プリムローズのいる場所にたどり着けない。

かばんから固くなりかかったパンと干した果物、川の水で腹を満たした。

「この私が、こんな食事を食べなくてはいけないとは…。
しかし、これもいい経験だ。
エテルネルでは、王宮では出来きない一生の思い出作りだな」

ヘイズの気温は、エテルネルと比べて温暖な国。
こうして外で寝ても、凍死とうさする恐れはまずない。
敷物を敷き、草や土を感じて眠ることにした。

サンドラとここでは兄ブライアンのルシアンを送り届けるように、命じられたグレゴリー子分たちは顔色を悪くしながら探している。

「お嬢に半殺しにされるぞ!」

「半殺しなら、まだいい!
あの世行きになるかも~!!」

サンドラたちの戻りが余りにも遅いため様子を見に行けば、縄にくくられているサンドラが木の下に座り込んでいた。

「あの男がしたのよー!
被害者で、私は悪くない!」

怒りながら被害者の振りを、彼女は必死ひっしにアピールする。
彼の単独行動だと、皆はあっさりと思い込んでしまった。
日頃から様々な人たちを怒鳴り散らしていただけあり、演技とは勘づくことはなかった。

自分の食べるはずの食事も奪われて、空腹だと彼女は文句まで言い出す始末。

「まず、疑いの余地よちはない!
ミュルクヴィズに向かったのだ」

「俺とお前で探しに行こう。
残りは無事にヴィクトリア様に、この娘を引き渡せ!
もし、ヘマしたら命がないぞ」

部下たちは命令を聞き、どんどん表情けわしくなる。

「【湯をかして水にする】だな。
よく死んだ婆ちゃんに、しかられた時に言われたぜ」

「苦労が無駄にしてしまう例えか…。
婆ちゃんでなく、ヴィクトリア様から大目玉喰おおめだまくらいそうだな」

「その前にお嬢の鉄拳てつけんが先だ。
知られる前に捕まえる。
もし、あの坊っちゃんに何かあったら…。
俺たち、マジにヤバイ~」

二人は馬に乗ると、ルシアンと同じ方角を勢いよく走り出した。
果たしてプリムローズより先に、捕まえる事はできるのであろうか。
見送るもの達は、二人の追う姿を祈るように見つめていた。
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