【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます! ーヘイズ留学 暗躍編ー

愚者 (フール)

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第6章  黒い森の戦い

第23話 過ちを改めざるこれを過ちという

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    引きこもって誰とも会っていなかったせいか、お茶を飲み続けて話をしているうちに元気を取り戻したマーシャル伯爵夫人。
身体だけでなく、心も変化したみたいにみえた。

「マルクスはね、顔面で損してますの。
あのひげ面でしょう。
ると、案外いい顔をしているのよ。
人見知りで気が弱いから、友人にひげを生やしてみたらと言われてね。フフフ」

「それで、髭をモジャモジャに生やしていたのですか」

見かけによらず、結構この夫人っておしゃべりな方ね。
たまには相槌を打つが、一方的に話を聞かされている。
疲れたプリムローズは、れて聞き役にてっしていた。

「先程の話では不問と聞きましたが、マルクスの弟が陛下から罰を受けるかもしれませんわ。
せめてマルクス本人に、私の今の姿を見せて安心させたいと思います。
心配させたことを謝りたいですわ」

「はい、是非ぜひそうなさって下さいませ。
その為に、私もこうしてお見舞いに参ったのですから」

目的が達成できそうなので、お菓子を食べて心の内で喜ぶ。

「ひとつだけ、質問しても構いませんこと?」

「何かしら?答えられること?」

今日初めて会ったばかりで、この少女は私に何を聞きたいと言うの?

「失礼ですが、マーシャル伯爵の城にどなたかお客様が訪れましたか?
思い出して下さいませんか?」

「お客様?
こんな辺鄙へんぴな場所に…。
あっ!私が子を産み亡くした時に、お悔やみにベルナドッテ公爵様が勿体もったいなくも訪れて下さいました」

ベルナドッテ!?
彼がわざわざ黒い森を抜けて、この城にー。
それに何故、夫人の子がお亡くなりになったのをご存知なのかしら?
スクード公爵でさえ存ぜぬのに?

「どんな会話されましたか?
またしても失礼、無理にとは申しませんがお話願いませんでしょうか?」

「構いませんよ。
ひとり息子も体が弱くて、今回の私の事が気になったと申してました。
先程のように、医療の発展が望ましい。
外国の力が必要ではと、そう熱心に話されてましたよ」 

やはり、ベルナドッテが後ろで糸を引いていたのね。
しかし、かくたる証拠はない。

「そうですか。今回のご主人への事件を憂慮ゆうりょして、開国の道をヘイズ王は考えておりましたよ」 

「開国ですか!?
不安と期待があります。
他国の者が、ヘイズに来るのですからね」

「怖いですか?!
私もですか?伯爵夫人、私たちは同じ人間ですよ。
国により習慣は違えど、根本的には同じだと私は考えます。
よくも悪くも、新しい風がやがてやって来ますわ」

二人は、目を合わせて微笑む。

「不思議ですわね。
貴女様はお小さいのに、同年代かそれ以上の年齢の方と話されてる。
そんな、錯覚さっかくを致します」

「クスクス、私には大人の友人たちがいるせいでしょうか?
伯爵夫人は、とても気さくなお人柄のように感じます。
さぞかし友人が、多かったのではないのですか?」

表情を曇らす彼女は、お茶を飲むとプリムローズに懺悔ざんげするかのように思い出を語り出した。

「私、ある女性をいじめてました。
命令されてしていましたが、今は後悔しております。 
何であのときは、あんな酷い事を出来たのか…」

いきなりの話に彼女は、伯爵夫人を見てある人物が頭に浮かぶ。
その人物の名を、彼女に返してみる。

「もしや、パーレン伯爵令嬢ですか!?」

「何故、それを知っています!」

一発で当てられて、夫人は平常心にいられなくなってきていた。

「あぁ、やはりそうでしたか。
パーレン伯爵夫人のご令嬢と、私が学園でいざこざがありましてね。
その出来事で、パーレン伯爵夫人と話した時に過去に苛められたと伺いましたのよ」

泣きそうな顔になり、夫人は彼女を過去のパーレン伯爵令嬢と重ねて見ていたのか当時の気持ちを告白する。

「彼女は当時の第一王子であり、今のご主人様をとても好いてました。
誰もが、あの方を狙っていたわ。
だって、1番次の国王の座に近いお方でしたもの」

「どの国も変わらず、同じような方々ばかりね。
別に王妃様にならなくても、いくらでも幸福になれますのに」

彼女の言っていることは、私も理解できそうに思う。
自分はその立場ではなかったが、そんな考えすらない。
王妃よりもマルクスの妻になれて幸せだわ。

「私は弱気人間で彼女に逆らえなく、パーレン伯爵令嬢に会えば悪口を言っていた。
太った醜い貴女が、王子に好意を持つのはおこがましいと…。
たまに思い出しては、ずっと今でも後悔してます」

何でこんな昔話を私ったら、パーレン伯爵夫人を当てられたから?

「【あやまちをあらためざるこれを過ちという】。
遠い国の偉い人の言葉ですわ。
過ちを犯していながら改めないのが、本当の過ちである。
過失はやむを得ないが、過ちと気づいたらすぐ改めよって意味よ」

マーシャル伯爵夫人は、彼女が話した言葉の意味をずっと考えていた。

「間に合うのでしょうか。
いまから謝罪しても、彼女は私を許してくれるのでしょうか?!」

ずっと歳下の少女は、呆れて果てて見下みくだす態度でキッパリと断言した。

「貴女、まだ謝罪してもないのに許しを考えてどうするのですか?
先に旦那様をまっとうにしたら、パーレン伯爵夫人に会って本心を話しなさい。
生きていたら、何度でもやり直せるわ。
私だって、10歳で出来たんだもの!」

「はい、そうします。
決心がつきました。
お礼を申し上げます。
クラレンス公爵令嬢」

満足した笑顔を向けてから、少しだけ興味を持った疑問を茶化ちゃかすように伺う。

「気になりますわ。
伯爵夫人に命令されたご令嬢は、どなたでしたの?」

少し間をおくと、夫人は意外な名前を口にした。

「亡きベルナドッテ公爵夫人ですわ。
彼女は、王妃の座を欲がってました。
仕方なく、いまの公爵様と婚姻されましたのよ。
婚約した時に、彼女から直接に伺いました」

『えっ、ベルナドッテ?
ここで夫人が出てきた』

「ですが、お歳が…」

どうしても納得いかない、悩んでいても仕方ないと図々しくも再度質してみる。

「私はかなり歳下ですわ。
歳の離れた姉が同級生で、下の学年で噂を広めて虐めてましたの。
パーティーやお茶会では、姉妹で活躍してました。
やらないと姉が、代わりに虐められてしまうと思いましてね」

今回の騒動は、もっと根深い何かがあるのではないか。

プリムローズは令嬢たちのくだらない虐め話に嫌悪感をいだき、複雑な人間模様を考えるのだった。
そして、もう1つだけ聞きたいことがあった。

それにより、意外な真実が証されるのだ。


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