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第1章 閉ざされし箱
第16話 虎の威を借る狐
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何百年も前からヘイズでは、禁句にされている物語。
夢あるおとぎ話とは異なり、実際にあった実話。
話の中の住人である王様は、国を背負う責任の重圧に押しつぶされそうになる。
精神的に不安定で、血迷った事を仕出かす危機的な状態。
プリムローズは、次に口する内容を予想してみた。
『男の悪い性が出てしまったのだろうか…』
統治者として大切な国事よりも、関心は色事に傾いていく。
ある未亡人のまき散らす色香にのめり込み毒され、とうとう王は底なし沼に引き込まれてしまうのだった。
「最初の頃は、王妃様もその愛妾に親切に接しておられた。
やがて、王がその女性だけに寵愛を向けるようになってしまわれた」
「私なら浮気相手の面倒なんて見ませんわ。
愚王の伴侶は、寛大な心をお持ちの方でしたのね」
少女の大人びた話し方に、なぜか気まずくなる。
それを消し去るために、ひとつ咳払いして続きを話す。
「王妃は公の場だけのつき合いで、それ以外は夫の王から居ない者として扱われてしまったのです」
頭にくるが必死に黙って聞く彼女は、話をしているだけの公爵にとうとう激怒する。
「蔑ろにされて、王妃としての矜持が保てません。
それでは精神が崩壊してしまう。
宰相とかの側近は、主君を戒めなかったのですか?」
この島国にも、名が知られている戦の神の娘孫だ。
親みたいな年齢差のこちらが、鬼気迫る迫力につい一歩引いてしまった。
「王妃の権威はやがて失われ、愛妾には宝石や豪華なドレス。
とうとう、城までねだるようになりました」
「城って、どれだけ貢がせてるのよ。
献上する方も、頭がおかしくなっている」
「ええ、王妃は国の税であるからと控えるように換言したのです。
それが気に入らなかった彼女は、いじめられたと王に告げ口をしました」
たかが愛妾が、位が上の王妃に物言いをしたのか。
「王はどうかしている。
その女も、【虎の威を借る狐】だわ。
私が王妃でその場にいたら、仕返ししてデカい顔をさせない」
「王の前ではしおらしくして、裏では王の権威をかさに威張っていたそうです」
男の扱い方が上手く、媚びながら手玉に取っていた。
周りの人達は、彼女に騙されていたのを気づかなかったかしら。
「王妃様は、それからどうなってしまったのですか?
誰か助けてくれる方はいなかったの?
悪を退治する正義の味方は、現れなかったのですか!」
必死に訴える少女に、残酷な結末を教えなくてはいけない。
自分から聞いてくれと話し出したが、このような顔を見て話すのは甚だ心苦しい。
「悲しいかな。
側近たちの中には、愛妾の親族が幅を利かせておるのう。
王妃が嫉妬して、愛妾へ悪口を言ってまわっている。
こうして人を使い嘘を吹聴した。
その結果、王妃の孤立を招いて最悪な状況へなっていきました」
「うわぁ~ん、なんでこうなるの。
陰湿すぎます。
南国気質のんびり屋さんの国民性ではなかったの」
珍しい紫の瞳をキラキラうるうるさせて、彼女は王妃のその後を考えていた。
『王妃の座を追われて、あの女狐がその後釜に座るの?!
王妃様は実家に帰されて、孤独な生涯をおくられるのかなぁ?』
彼女の考えの斜め上にいく、悲惨な最後を聞かされる。
「心を落ち着け聞いてくだされよ。
王妃は皆のいる前で、腹に溜め込んだ全てを吐き出したのです」
「きちんと主張はしなくては、女狐に舐められてはいけない。
正妃と愛人では、超えられない身分の差があるはず」
顔色が悪くなり話す事を辞退できたらと、ベルナドッテ公爵は思うが話さないと妻の話ができない。
思い切って、最後まで巻し立てる。
「話した王妃に、それが何だと王は一言だけ返した。
皆がいる前で、夫から見捨てられた形となってしまう。
横では哀れな王妃を見て、せせら笑う愛妾」
「ゲスな野郎ですわ。
私なら、二人仲良く地獄の底にまで打ちのめす!
再起不能になるまで追い込むわ」
可愛らしい口元から発せられている言葉とは、到底考えられない。
ただ王のゲスな野郎には、自分も共感する。
「その愛妾の笑いに、王妃は精神が切れてしまったのです。
大人しい方がそうなると、普通の人より何倍いや何十倍も恐ろしいもの」
きっと持っていた扇とかで、バッシーンと叩いたりしたのですわね。
お祖母様だったら、その後は扇をへし折るわよ。
「持っていた短剣で、愛妾の笑った顔を切りつけた。
その傷ついた顔では、お前は捨てられる。
貴方に、これから何人女が出来ようともその者は狂い死ぬであろう。
死んでも決して、許さない!
そう言って、短剣を自らの胸に突き刺したのです」
口にしたら自分が呪われてしまいそうだと、話していた公爵は一瞬だけ恐れを感じた。
「えっ、そんな~!
王妃様は自ら自害されてしまったの?!
死んじゃったら、復讐や嫌がらせが出来なくなるじゃない」
泣くかと思ったらブツブツ怒り気味で、死ぬくらいなら反対に生き残って最後まで王妃の座に居座ればいいのにと意見を述べてきた。
「それには賛同しますな。
綺麗な花だって、いつかは枯れる。
飽きて王の寵愛を失くしてから、女狐を叩けばよい。
令嬢もそう思っておるのでしょう」
何気にプリムローズの性格を見抜いて、然り気無く失礼な事を言ってくる。
おふざけを完全無視して、王妃亡き後どうなったのか。
その先を知りたくて急がせた。
「でっ、本当に王妃様の呪いはどうなりました?
色ボケ王は、最後まで玉座に座り続けましたの?」
「色ボケではなく…。
王はあんなに愛していた愛妾が顔に深い傷を負うと、彼女を恐れるようになり遠ざけた。
新たに若い愛人を作ったが、次々に女達は不幸になりました」
『次々と不幸に?』
やはり、自害された王妃が呪いのせいでこうなってしまったの。
「後戻りをしますが、王妃様はちゃんとお葬式をいたしましたか?
罪を犯したけど、生前は立派な王妃様でしたのでしょう?!」
浮気と嫌がらせされて罪を犯したが、最後ぐらいは面倒見てあげないと可哀想になる。
『さすがに、丁重に葬って差し上げたでしょう』
切りつけて罪を犯したとはいえ、哀れな王妃の最後に同情していた。
「国葬はされず、遺体を引き取った実家がひっそり埋葬しました。
公爵から侯爵へなることが条件です。
顔に傷が残る愛妾は王から引き離されると、亡き王妃が亡霊となり自分を罵ると騒ぎ立てるようになった」
「葬儀もしないとは…。
それは、流石に化けて出てしまいすわ。
私なら城中で出会う人、皆に恨みを言い続ける。
色ボケ王には、怒りの鉄槌を食らわしてやる」
怒るのも当然だと公爵も思うが、最高権力者には誰も逆らえないものだ。
「王はとうとう、亡き王妃が自分を呪っていると恐れて幻覚を見だしたのです。
気が狂い、絶命した。
それで彼女の実家は、呪いの侯爵家と影でそう呼ばれることになるのです」
呪いの侯爵家…。
おどろおどろしい名に、プリムローズはぶるっと背筋が寒くなる。
これからが、本番になりそうな成り行きに聞きたいような。
そうでないような、じれったい感情がわいていた。
夢あるおとぎ話とは異なり、実際にあった実話。
話の中の住人である王様は、国を背負う責任の重圧に押しつぶされそうになる。
精神的に不安定で、血迷った事を仕出かす危機的な状態。
プリムローズは、次に口する内容を予想してみた。
『男の悪い性が出てしまったのだろうか…』
統治者として大切な国事よりも、関心は色事に傾いていく。
ある未亡人のまき散らす色香にのめり込み毒され、とうとう王は底なし沼に引き込まれてしまうのだった。
「最初の頃は、王妃様もその愛妾に親切に接しておられた。
やがて、王がその女性だけに寵愛を向けるようになってしまわれた」
「私なら浮気相手の面倒なんて見ませんわ。
愚王の伴侶は、寛大な心をお持ちの方でしたのね」
少女の大人びた話し方に、なぜか気まずくなる。
それを消し去るために、ひとつ咳払いして続きを話す。
「王妃は公の場だけのつき合いで、それ以外は夫の王から居ない者として扱われてしまったのです」
頭にくるが必死に黙って聞く彼女は、話をしているだけの公爵にとうとう激怒する。
「蔑ろにされて、王妃としての矜持が保てません。
それでは精神が崩壊してしまう。
宰相とかの側近は、主君を戒めなかったのですか?」
この島国にも、名が知られている戦の神の娘孫だ。
親みたいな年齢差のこちらが、鬼気迫る迫力につい一歩引いてしまった。
「王妃の権威はやがて失われ、愛妾には宝石や豪華なドレス。
とうとう、城までねだるようになりました」
「城って、どれだけ貢がせてるのよ。
献上する方も、頭がおかしくなっている」
「ええ、王妃は国の税であるからと控えるように換言したのです。
それが気に入らなかった彼女は、いじめられたと王に告げ口をしました」
たかが愛妾が、位が上の王妃に物言いをしたのか。
「王はどうかしている。
その女も、【虎の威を借る狐】だわ。
私が王妃でその場にいたら、仕返ししてデカい顔をさせない」
「王の前ではしおらしくして、裏では王の権威をかさに威張っていたそうです」
男の扱い方が上手く、媚びながら手玉に取っていた。
周りの人達は、彼女に騙されていたのを気づかなかったかしら。
「王妃様は、それからどうなってしまったのですか?
誰か助けてくれる方はいなかったの?
悪を退治する正義の味方は、現れなかったのですか!」
必死に訴える少女に、残酷な結末を教えなくてはいけない。
自分から聞いてくれと話し出したが、このような顔を見て話すのは甚だ心苦しい。
「悲しいかな。
側近たちの中には、愛妾の親族が幅を利かせておるのう。
王妃が嫉妬して、愛妾へ悪口を言ってまわっている。
こうして人を使い嘘を吹聴した。
その結果、王妃の孤立を招いて最悪な状況へなっていきました」
「うわぁ~ん、なんでこうなるの。
陰湿すぎます。
南国気質のんびり屋さんの国民性ではなかったの」
珍しい紫の瞳をキラキラうるうるさせて、彼女は王妃のその後を考えていた。
『王妃の座を追われて、あの女狐がその後釜に座るの?!
王妃様は実家に帰されて、孤独な生涯をおくられるのかなぁ?』
彼女の考えの斜め上にいく、悲惨な最後を聞かされる。
「心を落ち着け聞いてくだされよ。
王妃は皆のいる前で、腹に溜め込んだ全てを吐き出したのです」
「きちんと主張はしなくては、女狐に舐められてはいけない。
正妃と愛人では、超えられない身分の差があるはず」
顔色が悪くなり話す事を辞退できたらと、ベルナドッテ公爵は思うが話さないと妻の話ができない。
思い切って、最後まで巻し立てる。
「話した王妃に、それが何だと王は一言だけ返した。
皆がいる前で、夫から見捨てられた形となってしまう。
横では哀れな王妃を見て、せせら笑う愛妾」
「ゲスな野郎ですわ。
私なら、二人仲良く地獄の底にまで打ちのめす!
再起不能になるまで追い込むわ」
可愛らしい口元から発せられている言葉とは、到底考えられない。
ただ王のゲスな野郎には、自分も共感する。
「その愛妾の笑いに、王妃は精神が切れてしまったのです。
大人しい方がそうなると、普通の人より何倍いや何十倍も恐ろしいもの」
きっと持っていた扇とかで、バッシーンと叩いたりしたのですわね。
お祖母様だったら、その後は扇をへし折るわよ。
「持っていた短剣で、愛妾の笑った顔を切りつけた。
その傷ついた顔では、お前は捨てられる。
貴方に、これから何人女が出来ようともその者は狂い死ぬであろう。
死んでも決して、許さない!
そう言って、短剣を自らの胸に突き刺したのです」
口にしたら自分が呪われてしまいそうだと、話していた公爵は一瞬だけ恐れを感じた。
「えっ、そんな~!
王妃様は自ら自害されてしまったの?!
死んじゃったら、復讐や嫌がらせが出来なくなるじゃない」
泣くかと思ったらブツブツ怒り気味で、死ぬくらいなら反対に生き残って最後まで王妃の座に居座ればいいのにと意見を述べてきた。
「それには賛同しますな。
綺麗な花だって、いつかは枯れる。
飽きて王の寵愛を失くしてから、女狐を叩けばよい。
令嬢もそう思っておるのでしょう」
何気にプリムローズの性格を見抜いて、然り気無く失礼な事を言ってくる。
おふざけを完全無視して、王妃亡き後どうなったのか。
その先を知りたくて急がせた。
「でっ、本当に王妃様の呪いはどうなりました?
色ボケ王は、最後まで玉座に座り続けましたの?」
「色ボケではなく…。
王はあんなに愛していた愛妾が顔に深い傷を負うと、彼女を恐れるようになり遠ざけた。
新たに若い愛人を作ったが、次々に女達は不幸になりました」
『次々と不幸に?』
やはり、自害された王妃が呪いのせいでこうなってしまったの。
「後戻りをしますが、王妃様はちゃんとお葬式をいたしましたか?
罪を犯したけど、生前は立派な王妃様でしたのでしょう?!」
浮気と嫌がらせされて罪を犯したが、最後ぐらいは面倒見てあげないと可哀想になる。
『さすがに、丁重に葬って差し上げたでしょう』
切りつけて罪を犯したとはいえ、哀れな王妃の最後に同情していた。
「国葬はされず、遺体を引き取った実家がひっそり埋葬しました。
公爵から侯爵へなることが条件です。
顔に傷が残る愛妾は王から引き離されると、亡き王妃が亡霊となり自分を罵ると騒ぎ立てるようになった」
「葬儀もしないとは…。
それは、流石に化けて出てしまいすわ。
私なら城中で出会う人、皆に恨みを言い続ける。
色ボケ王には、怒りの鉄槌を食らわしてやる」
怒るのも当然だと公爵も思うが、最高権力者には誰も逆らえないものだ。
「王はとうとう、亡き王妃が自分を呪っていると恐れて幻覚を見だしたのです。
気が狂い、絶命した。
それで彼女の実家は、呪いの侯爵家と影でそう呼ばれることになるのです」
呪いの侯爵家…。
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