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第2章 解けない謎解き
第5話 隣の芝生は青く見える
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ひとりボンヤリと窓の外を眺めて、枝に止まる鳥たちの囀りに耳を傾けた。
プリムローズの近くには、小鳥たちに対抗している御婦人たちのお喋りが聞こえてくる。
内容はパーレン伯爵夫人が、自分にされた意地悪の数々。
本人は、その時の心境を述べていた。
謝罪で許したと思っていたが、やはり簡単にはそうはいかないようだ。
ひとり蚊帳の外になっていたプリムローズは退屈になり、夫人たちの学園生活の話を聞きたいとおねだりする。
平謝りのマーシャル伯爵夫人が気の毒に感じて、
雰囲気をなんとか違う方向へ向けようとしていた。
娘時代を思い出すと、懐かしくなってきたのか。
2人はまるで女学生に戻った気分になり話し始める。
「当時は男女共学でした。
いまは校舎も建て替えられたのでしょう」
パーレン伯爵夫人は、当時の記憶を辿って説明してくれた。
「エテルネルでは男女共学です。
平民と貴族で、教室と食堂は分けてます。
ですが、建物自体は分けておりません。
昔、こちらではどんな問題があったのですか?」
素直に好奇心で、聞き出してくる。
困り顔になったマーシャル伯爵夫人に、パーレン伯爵夫人が遠回しに言ってきた。
「問題って、ほらっ!
あれしか、ございませんでしょう」
これだけでお分かりでしょうって、目を合わせ見つめた。
「もしかして、男女間の色恋事のことですか?
【隣の芝生は青く見える】。
考えてみたら、他国でも根本はそんなに変わらないのですね」
伯爵夫人たちは、彼女からの変わった例えに笑う。
少女の言わんとした意味は、なんとなく理解できてしまったからだ。
「少し意味合いは違いますけど。
他人の持っているものが、自分の持っているものよりよく見える事です。
芝生が、婚約者にあたります」
「うんちくですが、昔は芝生ではなくて畑でしたみたいよ。
夫マルクスがワインで酔っ払って、そんなことを言ってましたわ」
パーレン、マーシャル両夫人が続けて楽しそうに話していた。
女性ってこの手のお話、ほんと好きよね。
私も嫌いではないから別にいいけど、ここから面白い話が聞けるかも。
ワクワク気味に期待する彼女に、この後意外な真相が告げられる。
「我が国は共学ですし…。
エテルネルよりも、男女間が厳格で驚きました。
他国の者を、ココではお見かけしませんわ」
「島国のせいか。
狭い考えしか出来ないから、問題が起きると面倒なものですよ。
クラレンス公爵令嬢」
「そうは申しますが、パーレン伯爵夫人。
あの事件から婚約破棄騒動が始まりましたのは本当のことですよ」
『なになに、この国でも婚約破棄の騒動がありましたの?
エテルネルは小説がきっかけでしたが、こちらは何が原因なのかしら』
先ほどまで気だるかった彼女だったが、この話に気分が一気に上昇する。
「それって、どんな事ですか?
私、母とは幼い頃から離れていまして……。
余り誰も―。
そのへんのことを、教えてくれませんのよ」
母の年齢に近い二人は、寂しげな彼女をみて同情と慈しみの感情が心の奥底で芽生えてくるのだった。
「誰にも内緒ですからね。
他国のご令嬢が、ヘイズのこんな話をする機会などありませんから宜しいのでは?」
やっぱり、出ましたわ。
誰にも秘密発言。
パーレン伯爵夫人は、話が分かる方ですわ。
「私たちの前から、いろんな問題がありました。
前ベルナドッテ公爵が、学生時代に女性問題を起こされたのです」
「前ベルナドッテ公爵は、前ヘイズ王の弟でしたよね。
兄の王を、献身的に補佐したお方とお聞きしました」
プリムローズは、パーレン伯爵夫人に確認した。
「はい、その様な方でも色恋だけは違いました。
彼は、侍従長を代々している伯爵家の許嫁にお手を出したのです」
それって、今回の事に関連はあるのか。
悩み気味になり、眉間にシワが刻まれた。
「パーレン伯爵夫人、それは一方的な考え方ですわ。
許嫁の彼女は、第2王子殿下に気があったと当時噂がありましたわよ」
「お二人は、よくご存じですわね。
同じ年代ではありませんのに…」
同時に苦笑して、お茶会で母親たちが子を無視して話していたのを聞いていたと正直に話す。
「理解できないと踏んでいたのでしょう?
子供でも多少大人になれば、思い出して分かるのにね。
自分の娘にも、同じ事を言われてるかも知れないわ」
パーレン伯爵夫人の話の後に、間髪容れずにプリムローズは続けて尋ねてみる。
「確か、ベルナドッテ前公爵はー。
正妻だけでなく、側室をお持ちと伺いました。
その方は、ご正妻の方ですか?」
「フフフ、側室よ。
彼女は子爵令嬢だったわ。
だけど、あの伝説の王妃様の遠縁の方にあたります」
「王妃様のですか?」
興味を示すようにプリムローズは、ワザと強調した。
「そうですよ。
血は薄いですが、伯爵が彼女の家に婚姻の話を持ちかけたのです。
女の子が生まれたと分かると、すぐにですよ」
今度はマーシャル伯爵夫人が、ご自分の知り得る情報を披露した。
「伯爵の家は、王妃様を救えなかったのを悔やんでいました。
遠縁でも女性が生まれたので、彼女は特別だったのでしょう。
幸せにして差し上げたかった。
亡き王妃様の分までね」
「パーレン伯爵夫人はそうは申しますが、子爵家は迷惑だったかもしれません。
まぁ、伯爵家に嫁げるのは良縁でもありますけど。
ましてや、あの曰くつきの家系ならねぇ~」
ベルナドッテ公爵から聞き及んではいたが、ここまでとは思わなかったわ。
貴族の中でも、根深い話題でしたのね。
他国からの話もなく、話題が片寄ってしまうからだろうか。
「手をお出しになったのを、どうしてバレてしまったのですか?
誰かに、その様子を見られてしまわれたとか?」
気まずいのか二人は互いに顔を見て、言うか言わないか相談している気配を漂わせる。
「ここまで話して、最後まで言わないのも気持ち悪いわ。
話してしまいましょう」
「私から話しましょう。
王宮でパーティーがあった時、偶然かは存じません。
当時の第1王子とその側近候補の婚約者が、居ない彼女を探していました。
そして運悪くー。
許嫁の不貞現場に、かち合って見てしまわれたのです」
「第一発見者が、婚約者本人だったのですか。
ちょっと出来すぎですわね。
誰かが、上手くはめられたのでは?」
「疑い深いご令嬢ですこと。
それは誰にも分かりません。
事実はそう伝わっています。
子爵令嬢と彼は、発見時に接吻を交わしていたそうですわ」
「マーシャル伯爵、子供には刺激的ですわよ」
『子供扱いしないでよ。
マーシャル伯爵夫人はそう言うが、そんなに都合よくキスの現場に踏み込めるかなぁ?
せめて、抱き合っているぐらいではないかしら…』
プリムローズは頭の中で、人物たちの次の流れを想像してみる。
「子爵令嬢はいきなり婚約者と殿下が、目の前に現れて自分の恥ずかしい姿を見られて悲鳴をあげてしまったの。
その叫び声で驚き、近くにいた方々が部屋に押し入ってきました」
楽しそうに話しているマーシャル伯爵夫人ヘレンは、話終えてから扇で口元を隠してクスクスと笑っている。
「抱き合っている二人を、多数の客人たちに見られてしまったわ。
そのまま両陛下の前に引っ張られて、その場で婚約破棄にされたの」
「伯爵令息は一方的に裏切られたのですから、別に謝罪を求めたのでしょう」
二人は首を同時に振ると、プリムローズの疑問が頭の中を駆け巡る。
「彼はね。
彼女を好きではなかったの。
家の事情で、彼の気持ちを無視して婚約したのです。
まだ前ベルナドッテ公爵は、きっと彼女に未練があったはずよ」
パーレン伯爵夫人はそう話を終えて、喋りすぎて喉が渇いてお茶を飲み干す。
新たな真実を知ると、プリムローズは目を丸くした。
ベルナドッテ公爵は、そんな父親をどう思っていたのか。
自分の母親以外の人に、不貞を働いてまで側室にした女性のことも。
二人の間にできてしまった腹違いの兄妹を、彼はどうみていたのか。
この兄弟は、現在は不幸になりつつある。
父親とその女性の代わりに、子供たちに対して復讐をした。
『まさか、そこまでするのかしら?』
女という生き物に怖さを感じる反面、行きすぎて疑ってしまう。
「その子爵令嬢は、今はどうなさっておりますの?」
どうやら、パンドラの箱の中身の一部らしい。
プリムローズの質問に、夫人たちは顔色を暗くするのだった。
首を可愛く傾げて、ねだるような声色をする。
「もう、昔の話ですよね?
おとぎ話のようなものですわ。
将来そんな風にはなりたくないので、お話を聞き参考にさせてください」
どちらが先に、暴露をしてくるのか。
静寂を打ち破るのをいまかいまかと、満面の笑みをして夫人たちを交互に見ている。
プリムローズの近くには、小鳥たちに対抗している御婦人たちのお喋りが聞こえてくる。
内容はパーレン伯爵夫人が、自分にされた意地悪の数々。
本人は、その時の心境を述べていた。
謝罪で許したと思っていたが、やはり簡単にはそうはいかないようだ。
ひとり蚊帳の外になっていたプリムローズは退屈になり、夫人たちの学園生活の話を聞きたいとおねだりする。
平謝りのマーシャル伯爵夫人が気の毒に感じて、
雰囲気をなんとか違う方向へ向けようとしていた。
娘時代を思い出すと、懐かしくなってきたのか。
2人はまるで女学生に戻った気分になり話し始める。
「当時は男女共学でした。
いまは校舎も建て替えられたのでしょう」
パーレン伯爵夫人は、当時の記憶を辿って説明してくれた。
「エテルネルでは男女共学です。
平民と貴族で、教室と食堂は分けてます。
ですが、建物自体は分けておりません。
昔、こちらではどんな問題があったのですか?」
素直に好奇心で、聞き出してくる。
困り顔になったマーシャル伯爵夫人に、パーレン伯爵夫人が遠回しに言ってきた。
「問題って、ほらっ!
あれしか、ございませんでしょう」
これだけでお分かりでしょうって、目を合わせ見つめた。
「もしかして、男女間の色恋事のことですか?
【隣の芝生は青く見える】。
考えてみたら、他国でも根本はそんなに変わらないのですね」
伯爵夫人たちは、彼女からの変わった例えに笑う。
少女の言わんとした意味は、なんとなく理解できてしまったからだ。
「少し意味合いは違いますけど。
他人の持っているものが、自分の持っているものよりよく見える事です。
芝生が、婚約者にあたります」
「うんちくですが、昔は芝生ではなくて畑でしたみたいよ。
夫マルクスがワインで酔っ払って、そんなことを言ってましたわ」
パーレン、マーシャル両夫人が続けて楽しそうに話していた。
女性ってこの手のお話、ほんと好きよね。
私も嫌いではないから別にいいけど、ここから面白い話が聞けるかも。
ワクワク気味に期待する彼女に、この後意外な真相が告げられる。
「我が国は共学ですし…。
エテルネルよりも、男女間が厳格で驚きました。
他国の者を、ココではお見かけしませんわ」
「島国のせいか。
狭い考えしか出来ないから、問題が起きると面倒なものですよ。
クラレンス公爵令嬢」
「そうは申しますが、パーレン伯爵夫人。
あの事件から婚約破棄騒動が始まりましたのは本当のことですよ」
『なになに、この国でも婚約破棄の騒動がありましたの?
エテルネルは小説がきっかけでしたが、こちらは何が原因なのかしら』
先ほどまで気だるかった彼女だったが、この話に気分が一気に上昇する。
「それって、どんな事ですか?
私、母とは幼い頃から離れていまして……。
余り誰も―。
そのへんのことを、教えてくれませんのよ」
母の年齢に近い二人は、寂しげな彼女をみて同情と慈しみの感情が心の奥底で芽生えてくるのだった。
「誰にも内緒ですからね。
他国のご令嬢が、ヘイズのこんな話をする機会などありませんから宜しいのでは?」
やっぱり、出ましたわ。
誰にも秘密発言。
パーレン伯爵夫人は、話が分かる方ですわ。
「私たちの前から、いろんな問題がありました。
前ベルナドッテ公爵が、学生時代に女性問題を起こされたのです」
「前ベルナドッテ公爵は、前ヘイズ王の弟でしたよね。
兄の王を、献身的に補佐したお方とお聞きしました」
プリムローズは、パーレン伯爵夫人に確認した。
「はい、その様な方でも色恋だけは違いました。
彼は、侍従長を代々している伯爵家の許嫁にお手を出したのです」
それって、今回の事に関連はあるのか。
悩み気味になり、眉間にシワが刻まれた。
「パーレン伯爵夫人、それは一方的な考え方ですわ。
許嫁の彼女は、第2王子殿下に気があったと当時噂がありましたわよ」
「お二人は、よくご存じですわね。
同じ年代ではありませんのに…」
同時に苦笑して、お茶会で母親たちが子を無視して話していたのを聞いていたと正直に話す。
「理解できないと踏んでいたのでしょう?
子供でも多少大人になれば、思い出して分かるのにね。
自分の娘にも、同じ事を言われてるかも知れないわ」
パーレン伯爵夫人の話の後に、間髪容れずにプリムローズは続けて尋ねてみる。
「確か、ベルナドッテ前公爵はー。
正妻だけでなく、側室をお持ちと伺いました。
その方は、ご正妻の方ですか?」
「フフフ、側室よ。
彼女は子爵令嬢だったわ。
だけど、あの伝説の王妃様の遠縁の方にあたります」
「王妃様のですか?」
興味を示すようにプリムローズは、ワザと強調した。
「そうですよ。
血は薄いですが、伯爵が彼女の家に婚姻の話を持ちかけたのです。
女の子が生まれたと分かると、すぐにですよ」
今度はマーシャル伯爵夫人が、ご自分の知り得る情報を披露した。
「伯爵の家は、王妃様を救えなかったのを悔やんでいました。
遠縁でも女性が生まれたので、彼女は特別だったのでしょう。
幸せにして差し上げたかった。
亡き王妃様の分までね」
「パーレン伯爵夫人はそうは申しますが、子爵家は迷惑だったかもしれません。
まぁ、伯爵家に嫁げるのは良縁でもありますけど。
ましてや、あの曰くつきの家系ならねぇ~」
ベルナドッテ公爵から聞き及んではいたが、ここまでとは思わなかったわ。
貴族の中でも、根深い話題でしたのね。
他国からの話もなく、話題が片寄ってしまうからだろうか。
「手をお出しになったのを、どうしてバレてしまったのですか?
誰かに、その様子を見られてしまわれたとか?」
気まずいのか二人は互いに顔を見て、言うか言わないか相談している気配を漂わせる。
「ここまで話して、最後まで言わないのも気持ち悪いわ。
話してしまいましょう」
「私から話しましょう。
王宮でパーティーがあった時、偶然かは存じません。
当時の第1王子とその側近候補の婚約者が、居ない彼女を探していました。
そして運悪くー。
許嫁の不貞現場に、かち合って見てしまわれたのです」
「第一発見者が、婚約者本人だったのですか。
ちょっと出来すぎですわね。
誰かが、上手くはめられたのでは?」
「疑い深いご令嬢ですこと。
それは誰にも分かりません。
事実はそう伝わっています。
子爵令嬢と彼は、発見時に接吻を交わしていたそうですわ」
「マーシャル伯爵、子供には刺激的ですわよ」
『子供扱いしないでよ。
マーシャル伯爵夫人はそう言うが、そんなに都合よくキスの現場に踏み込めるかなぁ?
せめて、抱き合っているぐらいではないかしら…』
プリムローズは頭の中で、人物たちの次の流れを想像してみる。
「子爵令嬢はいきなり婚約者と殿下が、目の前に現れて自分の恥ずかしい姿を見られて悲鳴をあげてしまったの。
その叫び声で驚き、近くにいた方々が部屋に押し入ってきました」
楽しそうに話しているマーシャル伯爵夫人ヘレンは、話終えてから扇で口元を隠してクスクスと笑っている。
「抱き合っている二人を、多数の客人たちに見られてしまったわ。
そのまま両陛下の前に引っ張られて、その場で婚約破棄にされたの」
「伯爵令息は一方的に裏切られたのですから、別に謝罪を求めたのでしょう」
二人は首を同時に振ると、プリムローズの疑問が頭の中を駆け巡る。
「彼はね。
彼女を好きではなかったの。
家の事情で、彼の気持ちを無視して婚約したのです。
まだ前ベルナドッテ公爵は、きっと彼女に未練があったはずよ」
パーレン伯爵夫人はそう話を終えて、喋りすぎて喉が渇いてお茶を飲み干す。
新たな真実を知ると、プリムローズは目を丸くした。
ベルナドッテ公爵は、そんな父親をどう思っていたのか。
自分の母親以外の人に、不貞を働いてまで側室にした女性のことも。
二人の間にできてしまった腹違いの兄妹を、彼はどうみていたのか。
この兄弟は、現在は不幸になりつつある。
父親とその女性の代わりに、子供たちに対して復讐をした。
『まさか、そこまでするのかしら?』
女という生き物に怖さを感じる反面、行きすぎて疑ってしまう。
「その子爵令嬢は、今はどうなさっておりますの?」
どうやら、パンドラの箱の中身の一部らしい。
プリムローズの質問に、夫人たちは顔色を暗くするのだった。
首を可愛く傾げて、ねだるような声色をする。
「もう、昔の話ですよね?
おとぎ話のようなものですわ。
将来そんな風にはなりたくないので、お話を聞き参考にさせてください」
どちらが先に、暴露をしてくるのか。
静寂を打ち破るのをいまかいまかと、満面の笑みをして夫人たちを交互に見ている。
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