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第2章 解けない謎解き
第15話 振り出しに戻る
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若い女の子が好むような色合いの部屋では、祖母ヴィクトリアが、孫娘の成長期に合わせて作られたドレスたち。
また1枚クローゼットから引っ張り出して、ベッドの上に一枚ずつ綺麗にシワにならないよう並べる。
最近は成長期のせいで背が伸び、気にしていた胸元もちょっぴり肉付きがよくなってきた。
鏡の中の自分と向き合うと、う~んと声を出して今あるドレスを頭に思い浮かべる。
『何色のドレスで、形はどのようにするか。
色や形状は勲章を頂くから、メインの勲章を目立つようにしないといけないわ』
その中で、品のあるシンプルなドレスを選んだ。
アルゴラ王家が飼育した蚕で作られた、最高級のシルク製品。
「これよ、このドレスしかない。
えーっと、お次は髪型か。
それと、宝石も選ばないといけないわね」
大きな全体が映る鏡の前で、何枚かのドレスを自分に重ね合わせる。
貴族の令嬢らしくない容姿で、皆が自慢する長い髪が肩下しかなかった。
あの時切り落とした髪の束をお祖父様に渡した残りの髪を返してもらえば良かった。
プリムローズは、今になって後悔する。
「今頃、メリーは粗相なく給仕しているかしら?
ギルの妹イングリッド様に、気に入られたらいいんだけど…」
心配されている本人は、温かな湯気をあげてお茶をカップに注ぐ。
親子3人の再会を、劇でも観ているような気持ちで従事する。
いつもはチャラい彼が、紳士的な態度をしていて驚くメリー。
父ウィリアム様と、妹イングリッド様の間を気遣い取り持っていた。
彼の意外な姿を目撃して、好印象を感じはじめていた。
「お父様も、お元気そうで安心しました。
これからは、ずっとヘイズに留まって下さるのでしょう。
私達は会いたい時に、いつでも会えるようになりますのね」
美しい笑顔を浮かべては、父と兄に語りかけていた。
「グレゴリー様から、臣下の契りは解消されてしまった。
どうやら、私はお役御免のようだ。
ギル、お前はこの先……。
私の後、ゲラン家を継いでくれぬか?
それとも、エテルネルに戻りたいか」
家族の込み入った会話で、メリーは居づらそうに控えていた。
「もちろん、お兄様はゲラン伯爵を継ぐでしょう?
早く素敵な方をお作りになり、婚姻して下さいませ」
「まだ、俺はいいよ。
イングリッドこそ、お前が選んだ旦那様はいい人なんだろう。
今度、俺にも伯爵に会わせてくれよ」
いきなりの嫁探しを言われ、ギルも気まずそうな様子。
無意識に近くにいるメリーに、なぜか彼は視線を向けた。
その視線を見逃さなかったのが、妹のイングリッド。
「そちらにいらっしゃる方は、お兄様が存じ上げている方かしら?
このお茶、とても美味しくてよ」
イングリッドは感じよく、メリーに対して声がけをする。
「お褒めいただき、ありがとうございます。
イングリッド様。
プリムローズ様とエテルネルから参りました。
メリーと申します」
丁寧な挨拶を受けると、父ウィリアムからメリーはギルより剣術を教わっていると聞かされた。
『この人に、兄が剣術を教えていた。
親しげな感じがするのは、そのような仲でもあるからかしら』
それからメリーをさりげなく、人となりを見ようとするのであった。
イングリッドは、女性特有の直感で勘づく。
『メリーさんに好意を持っていると思うけど、彼女は兄をどう思っている?
彼女がどんな人柄なのか、そんなに会ったことないし』
「メリーさんは、プリムローズ様の専属のメイドでしたよね?
何年ぐらい、彼女のお側に?」
「お嬢様に仕えて、確か出会ったのは3歳でした。
今が11歳なので、8年間ほどになります」
自然に両方の眉をあげ、その年数の長さに驚くのであった。
「二人の間は、乳母みたいな感じかしら。
それで、プリムローズ嬢に関してお詳しいのね」
「さぁ、どうでしょうか。
お嬢様は人には考えつかない事を、平気でなさいますから」
聞いていたギルがゲラゲラ笑いだして、そりゃあそうだと相槌を打ってきた。
「イングリッド、お嬢は平気で自分の親までダメ出しするお方だ。
ちょっとではなく、かなりぶっ飛んでいる。
普通の令嬢とは、頭の中身が違うんだよ!」
「お嬢様はどんな方でも、身分に関係なく平等に接してくれます。
言い方が悪いですが、ご家族の方々にも問題がありました。
ご自分にも厳しく、容赦ないのは認めますが…」
気になりイングリッドが聞き出すと、エテルネルであった事件をぎごちなく語るギルとメリー。
「第1王子が、プリムローズ嬢に逆恨みをされたのですか。
王族に対して、厳しい処分を出せる貴族がおりますのね。
ヘイズでは公爵でも、考えられない行為です」
「イングリッド、前王は第2王子だったんだよ。
結局は、最初から継ぐはずだった方に戻っただけなのだ。
次男で期待されず、いきなり王になるのは自分だと言われて苦労がしただろう」
父ウィリアムは、娘に退いた王の現状を教えていた。
「【振り出しに戻る】っていうが、まぁ出戻りだな。
他国の王女と婚姻して、肩身狭く自重して真面目にお暮らしだ。
なかなか、しっかり頑張っているみたいだぜ」
兄ギャスパルが父の話に補足して、詳しく話すのだった。
「身の丈に合ったお暮らしをされてますのね。
しかし、王が臣下になり伯爵とは厳しい沙汰ですわ」
「無理もない。
息子の元第一王子は、無抵抗な者に剣を突きつけた。
父に側室が出来そうになったきっかけが、その人だとしてもしてはいけない行為だ」
「そうでございます。
我が国だって、あの呪いの王妃様の逸話がございますもの。
私は、平凡な伯爵夫人でよかったわ」
国王の人事まで、口出しできるクラレンス公爵の権力に驚く。
そんな破天荒な公爵令嬢に、長きに仕えているメリーもただのメイドではない。
『彼女なら、ギャスパル兄様の伴侶になってもヘイズでやっていけるわ。
私同様に、兄も好きなお方と結ばれて欲しい』
ゲラン伯爵がもし復権したら、兄は貴族の娘たちの優良物件にされてしまう。
そんな事が起こる前に、妹として兄には自分で相手を決めて頂きたいと強く思うのだった。
着ていくドレスを決め、気分転換気ままに庭で散歩している彼女。
そこへ帰宅するのに馬車へ向かうイングリッドが、花を見ながら歩くプリムローズを見つけた。
『父と兄の見送りを、お断りして正解だった。
独りでいる彼女に、偶然にも出会えて幸運だわ』
イングランドは好機を逃さないために、ドレスの裾をやや持ち上げて駆け寄る。
「プリムローズ様、お久しぶりでございます」
「イングリッド様。
家族水入らずの再会は、いかがございましたか?」
少し挨拶がてらに会話していると、イングリッド様からメリーの人柄を探っているようにプリムローズには感じた。
「祖母ヴィクトリアが、彼女を見込んで専属メイドにしたのです。
ゆくゆくは、クラレンス公爵のメイド長になれる逸材ですよ」
「そんなに優秀なお方でしたの。
ますます、彼女に興味を持ちました」
そのイングリッドの口調に、プリムローズの瞳の奥がキラッと光る。
『イングリッド様は、メリーに関心があるってこと?
もしかしたら、私と彼女は同じ考えをしている』
「興味があるとは、どんな意味でしょうか?
メリーはメイドですが、祖母は娘みたいに思っておりますし、私も姉みたいに慕っています」
「言い方が悪かったようです。
謝罪します。
兄とメリーさんは、ちょうどよい年頃と思いましてね」
「ギルとですか。
あら、失礼しました。
ギャスパル殿でしたわ」
イングリッドとプリムローズは、互いに含み笑いをする。
互いに最後まで言葉にしなくとも、目と目で分かりあえたようだ。
鈍感で手を焼く男女を、この2人がうまく結びつけられるのか。
ナイーブな事案なので、まだまだ時間がかかりそうであった。
また1枚クローゼットから引っ張り出して、ベッドの上に一枚ずつ綺麗にシワにならないよう並べる。
最近は成長期のせいで背が伸び、気にしていた胸元もちょっぴり肉付きがよくなってきた。
鏡の中の自分と向き合うと、う~んと声を出して今あるドレスを頭に思い浮かべる。
『何色のドレスで、形はどのようにするか。
色や形状は勲章を頂くから、メインの勲章を目立つようにしないといけないわ』
その中で、品のあるシンプルなドレスを選んだ。
アルゴラ王家が飼育した蚕で作られた、最高級のシルク製品。
「これよ、このドレスしかない。
えーっと、お次は髪型か。
それと、宝石も選ばないといけないわね」
大きな全体が映る鏡の前で、何枚かのドレスを自分に重ね合わせる。
貴族の令嬢らしくない容姿で、皆が自慢する長い髪が肩下しかなかった。
あの時切り落とした髪の束をお祖父様に渡した残りの髪を返してもらえば良かった。
プリムローズは、今になって後悔する。
「今頃、メリーは粗相なく給仕しているかしら?
ギルの妹イングリッド様に、気に入られたらいいんだけど…」
心配されている本人は、温かな湯気をあげてお茶をカップに注ぐ。
親子3人の再会を、劇でも観ているような気持ちで従事する。
いつもはチャラい彼が、紳士的な態度をしていて驚くメリー。
父ウィリアム様と、妹イングリッド様の間を気遣い取り持っていた。
彼の意外な姿を目撃して、好印象を感じはじめていた。
「お父様も、お元気そうで安心しました。
これからは、ずっとヘイズに留まって下さるのでしょう。
私達は会いたい時に、いつでも会えるようになりますのね」
美しい笑顔を浮かべては、父と兄に語りかけていた。
「グレゴリー様から、臣下の契りは解消されてしまった。
どうやら、私はお役御免のようだ。
ギル、お前はこの先……。
私の後、ゲラン家を継いでくれぬか?
それとも、エテルネルに戻りたいか」
家族の込み入った会話で、メリーは居づらそうに控えていた。
「もちろん、お兄様はゲラン伯爵を継ぐでしょう?
早く素敵な方をお作りになり、婚姻して下さいませ」
「まだ、俺はいいよ。
イングリッドこそ、お前が選んだ旦那様はいい人なんだろう。
今度、俺にも伯爵に会わせてくれよ」
いきなりの嫁探しを言われ、ギルも気まずそうな様子。
無意識に近くにいるメリーに、なぜか彼は視線を向けた。
その視線を見逃さなかったのが、妹のイングリッド。
「そちらにいらっしゃる方は、お兄様が存じ上げている方かしら?
このお茶、とても美味しくてよ」
イングリッドは感じよく、メリーに対して声がけをする。
「お褒めいただき、ありがとうございます。
イングリッド様。
プリムローズ様とエテルネルから参りました。
メリーと申します」
丁寧な挨拶を受けると、父ウィリアムからメリーはギルより剣術を教わっていると聞かされた。
『この人に、兄が剣術を教えていた。
親しげな感じがするのは、そのような仲でもあるからかしら』
それからメリーをさりげなく、人となりを見ようとするのであった。
イングリッドは、女性特有の直感で勘づく。
『メリーさんに好意を持っていると思うけど、彼女は兄をどう思っている?
彼女がどんな人柄なのか、そんなに会ったことないし』
「メリーさんは、プリムローズ様の専属のメイドでしたよね?
何年ぐらい、彼女のお側に?」
「お嬢様に仕えて、確か出会ったのは3歳でした。
今が11歳なので、8年間ほどになります」
自然に両方の眉をあげ、その年数の長さに驚くのであった。
「二人の間は、乳母みたいな感じかしら。
それで、プリムローズ嬢に関してお詳しいのね」
「さぁ、どうでしょうか。
お嬢様は人には考えつかない事を、平気でなさいますから」
聞いていたギルがゲラゲラ笑いだして、そりゃあそうだと相槌を打ってきた。
「イングリッド、お嬢は平気で自分の親までダメ出しするお方だ。
ちょっとではなく、かなりぶっ飛んでいる。
普通の令嬢とは、頭の中身が違うんだよ!」
「お嬢様はどんな方でも、身分に関係なく平等に接してくれます。
言い方が悪いですが、ご家族の方々にも問題がありました。
ご自分にも厳しく、容赦ないのは認めますが…」
気になりイングリッドが聞き出すと、エテルネルであった事件をぎごちなく語るギルとメリー。
「第1王子が、プリムローズ嬢に逆恨みをされたのですか。
王族に対して、厳しい処分を出せる貴族がおりますのね。
ヘイズでは公爵でも、考えられない行為です」
「イングリッド、前王は第2王子だったんだよ。
結局は、最初から継ぐはずだった方に戻っただけなのだ。
次男で期待されず、いきなり王になるのは自分だと言われて苦労がしただろう」
父ウィリアムは、娘に退いた王の現状を教えていた。
「【振り出しに戻る】っていうが、まぁ出戻りだな。
他国の王女と婚姻して、肩身狭く自重して真面目にお暮らしだ。
なかなか、しっかり頑張っているみたいだぜ」
兄ギャスパルが父の話に補足して、詳しく話すのだった。
「身の丈に合ったお暮らしをされてますのね。
しかし、王が臣下になり伯爵とは厳しい沙汰ですわ」
「無理もない。
息子の元第一王子は、無抵抗な者に剣を突きつけた。
父に側室が出来そうになったきっかけが、その人だとしてもしてはいけない行為だ」
「そうでございます。
我が国だって、あの呪いの王妃様の逸話がございますもの。
私は、平凡な伯爵夫人でよかったわ」
国王の人事まで、口出しできるクラレンス公爵の権力に驚く。
そんな破天荒な公爵令嬢に、長きに仕えているメリーもただのメイドではない。
『彼女なら、ギャスパル兄様の伴侶になってもヘイズでやっていけるわ。
私同様に、兄も好きなお方と結ばれて欲しい』
ゲラン伯爵がもし復権したら、兄は貴族の娘たちの優良物件にされてしまう。
そんな事が起こる前に、妹として兄には自分で相手を決めて頂きたいと強く思うのだった。
着ていくドレスを決め、気分転換気ままに庭で散歩している彼女。
そこへ帰宅するのに馬車へ向かうイングリッドが、花を見ながら歩くプリムローズを見つけた。
『父と兄の見送りを、お断りして正解だった。
独りでいる彼女に、偶然にも出会えて幸運だわ』
イングランドは好機を逃さないために、ドレスの裾をやや持ち上げて駆け寄る。
「プリムローズ様、お久しぶりでございます」
「イングリッド様。
家族水入らずの再会は、いかがございましたか?」
少し挨拶がてらに会話していると、イングリッド様からメリーの人柄を探っているようにプリムローズには感じた。
「祖母ヴィクトリアが、彼女を見込んで専属メイドにしたのです。
ゆくゆくは、クラレンス公爵のメイド長になれる逸材ですよ」
「そんなに優秀なお方でしたの。
ますます、彼女に興味を持ちました」
そのイングリッドの口調に、プリムローズの瞳の奥がキラッと光る。
『イングリッド様は、メリーに関心があるってこと?
もしかしたら、私と彼女は同じ考えをしている』
「興味があるとは、どんな意味でしょうか?
メリーはメイドですが、祖母は娘みたいに思っておりますし、私も姉みたいに慕っています」
「言い方が悪かったようです。
謝罪します。
兄とメリーさんは、ちょうどよい年頃と思いましてね」
「ギルとですか。
あら、失礼しました。
ギャスパル殿でしたわ」
イングリッドとプリムローズは、互いに含み笑いをする。
互いに最後まで言葉にしなくとも、目と目で分かりあえたようだ。
鈍感で手を焼く男女を、この2人がうまく結びつけられるのか。
ナイーブな事案なので、まだまだ時間がかかりそうであった。
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