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第3章 それぞれの巣立ち
第4話 3歩で忘れる鳥頭
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祖国の冬休みとヘイズでは、全然感覚が違っていた。
息を吐くと空気が白くなるぐらい外が冷えこんでいたが、こちらの季節は暖かな秋のように思える。
今日で休みが終わり。
明日から学園は、最終学期に入る。
ヘイズでは4月から新学年に上がるそうで、9月から始まり祖国とは時期がズレていた。
窓を閉めて散歩でもしようと、彼女は薄手のカーデガンを羽織って部屋から軽やかに出ていく。
プリムローズの強引で巧みな作戦と、周りからの祝福の圧力に屈した。
ギルとメリーカップルは、あくまでもお試し婚約期間と宣言し交際を続けるようだった。
「俺は破談に賭けるぜ!
メリー姐さんは、兄貴にバカさに見切りをつけるはずだ!」
どうやら子分たちの間では、ギルたちに内緒で2人を賭けの対象にされているようだった。
「俺っちは、婚姻までいくぜに賭ける!
ギルの兄貴には、姐さんしかいない」
「どちらに賭けるか。
こりゃ、難しいな。
何だかんだと喧嘩しながら、まだ付き合っている。
あーっ、どっちにしよう」
隠れて聞いていたプリムローズが、ノリノリで喋っていた子分たちを注意する。
「貴方たちー!
外出したら他人に、こんなくだらない話するんじゃあないわよ」
「「「お嬢!!!」」」
クラレンス一家のマスコット、プリムローズの登場にビックリする子分たち。
「へぇ、分かりやした」
「お嬢も俺たちの話に乗りませんか?」
「メリーの姐さんと、ギルさんがどうなるかを…。
俺、姐さんに惚れてたんだ」
寂しく想いを伝える男。
慰めるように、男同士で熱い抱擁をする。
ふられた片方が、相手の顔を押しのけて笑いだした。
友情をキモそうに眺めていたが、彼女の紫の目が勝負師の目に変わった。
「面白そうだし、賭けの対象にしたくなるよね。
ヨッシャー、婚姻にするに!
金貨10枚を賭けるわ」
「何だかんだ。
お嬢もお好きですな」
「親父さんも、この手の賭け事好きだし」
「クラレンスの遺伝ですかね」
「うるさい、いいこと!
お前たちは、取られてもいい金額にしときなさい。
言っておくけど、私の掛け金は自分で稼いだものよ」
偉そうに注意はしても、しっかり賭け仲間に加わる。
馬小屋近くに集まっていた他の子分たちも、わらわら寄ってきて話しを聞いてきた。
プリムローズが鼻息荒く、腰に手を当て掛け金を言う。
「うおっー、お嬢!
思いっきりがいいですな。
さすが、親父様の孫だけある」
「これくらいの金額で、大きな声を出さないの。
なにせこの私が、2人をくっ付ける算段をしたんだからー。
私が勝つに決まっているわよ!!
オーホ・ホ・ホ……」
愛馬ヴァンブランも呆れてしまうほどの高笑いを、馬小屋まで響かせていた。
「おやっ?!
お嬢、遠乗りするんですかい」
「ベルナドッテ公爵のお屋敷で、友人たちと会うのよ。
ここからは、そんなに遠くないわ。
ヴァンブランにも、運動させないとね」
「おひとりですかい?
ギルの兄貴を連れて行かれたら、どうですかい?」
この人たちはー。
何度もギルが将来、この屋敷の主人でゲラン侯爵になると言い聞かせているのにまったく…。
「【3歩で忘れる鳥頭】、何度言えばわかるの。
ギルは、将来は侯爵様になるのよ。
兄貴はやめて、ギャスパル様って呼びなさい。
せめて外部の人が来た時ぐらいは、ちゃんとして頂戴!」
「「へえー!お嬢!!」」
子分らの威勢のよい返事に、プリムローズは頷くが続けてタメ息をつくのである。
『人間なのに、鳥みたいに記憶力が弱くて3歩も歩いたら忘れる。
コイツらには、期待しないでおこう』
ヴァンブランに飛び乗ると、ベルナドッテ公爵の屋敷へ走り出すのだった。
最近よくボーッと考え事をすることが多い、メリー。
愛するお嬢様は、最近すぐに自分勝手になにも言わず。
どこかへ行ってしまわれる。
「全部あの馬鹿のせいよ。
アイツが、ダンスを2曲も踊るからいけないんですわ!」
気がつかない私も悪いのだけど、お嬢様の罠にまんまと引っ掛かってしまった。
間抜けなところもいいところ。
交際っていっても、何する訳でもなく。
会ったら挨拶を交わして、ちょっと話すくらいだ。
この屋敷に滞在していたマーシャル伯爵夫人ヘレンと姉レニアは、領地へ伯爵と伴に戻られた。
夫人はキシルを気に入っていたが、ゲラン家は使用人の手が少なく困っていたからだ。
伯爵夫人の世話していたキルシと旦那ティモは、そのままゲラン侯爵家に住み込みで雇われることになった。
「メリー様、お茶の支度が出来ました」
キルシが彼女に紅茶を注ぎ、カップを机に置くのだった。
「もう、様付けはよしてよ。
まだ、あの人の正式な婚約者でもないし。
一介のメイドのメリーです」
困り顔をしてキルシは、ハッキリしない態度を保留している彼女を見てる。
「では、メリーさん。
一緒にお茶しましょう。
ギャスパル様も、ここへお呼び致しましょうか?」
今度は、彼女が困る番になっていた。
ベルナドッテ公爵家は、プリムローズの友人たちと集い賑やかな場になっている。
「いろんな情報が聞けて助かるよ。
体が弱くて家庭教師に習って勉強してたから、また学園に通えるとは思ってなかった」
「それは私もです。
船で働いて、一生終えると思ってました。
学園でたくさんの方々と、一緒に勉強している」
お互いに、体力に難あり同士で気が合うようだ。
ベルナドッテ侯爵嫡男ヨハンと、第一王子になる予定のエリアスが意見交換していた。
「すっかり、2人は仲良くなったようだね。
学園は男女別々で、勉強するんだ。
困ったら、私に頼ってくれよ」
スクード公爵嫡男オスモは、年下の彼らに先輩風を吹かせて力強く話しかけてくる。
「オスモ様は軍学校ですから、寄宿舎の寮で生活しているのよね。
その他の生徒方は、自宅から通うのでしょう。
軍学園って、何が特別なの?
なんか、変わっている」
軍学校のないエテルネルで育ったせいか、軍隊生活を訓練としているのを知らなかったのだ。
「父の跡継ぎなら、軍学校を卒業しなくてはならない。
ヘイズは島国だ。
大陸なら攻められたら他国に逃げられるが、それができないからね」
「島国にも、島国ならではの悩みがありますのね。
アルゴラ以外にまだ攻められてませんから、気楽にすればいいのに」
彼女の祖国は大陸の真ん中にあり、いつも周りの国の動向にビクビクしていると話す。
「現在は、貴女のおばあ様のお陰で平和なんですか?」
「アルゴラの元第一王女ですし、現王妃様もウィルスターの元王女様ですからね」
オスモも力だけでなく、こうした政略で国同士の絆で牽制しているのを知る。
「そんな話より、どうしたらメリーとギルを婚姻させられると思う?
見ていて焦れったくて、イライラして仕方ないの。
2人には子がいても、いい年齢だわ」
「おっ嬢、でなく。
プリムローズ嬢、それは自然の流れに任せた方がいいのです」
エリアスは、取って付けた返事をしてくる。
毒されてきているのでは、王宮の暮らしでー。
「経験のない我らが動いても、かえって悪い方向へ導いてしまう」
オクモも同じ意見で楽しくない彼女に、ヨハンが興味ある話をする。
「ヘイズに、縁結びの木があります。
昔、家のために別れた男女がいました。
またいつか再び、この木の下で再会しようと誓ったそうです」
「とても素敵な話だわ。
それで、その男女は再会できましたの」
会う事は叶わず、彼らの子孫が木の下に集った。
その中の孫たちが婚姻しているそうで、必ず再会を約束した日に木を見に訪れているそうだ。
「ヘイズではこの木の下で誓い合うと、結ばれて幸福になる。
そう言われて、今では有名な観光地になっていますよ」
「そこへ行かなくては!
ねっ、皆さんでピクニックでもしましょうよ。
私の友人たちを連れて参りますわ」
「なら、ライラも連れて来るんだね。
よく考えたら、私たちは婚約の先輩だ。
手本をお見せしないとならんな」
オクモの話を聞いてると、捕まっていた時にサンドラに甘い言葉を囁いていたのを思い出す。
「コイツも、【3歩で忘れる鳥頭】だな」
誰にも聞こえない小さな声で言ったつもりが、隣りにいるエリアスに聞こえてしまった。
「プリムローズ嬢、鳥頭ってなんですか?!」
『聞こえてしまいましたか。
エリアスったら、何でも質問する。
そうしろって、教えたのが不味かった』
「え~っと、これは例えでー。婚約者がいる男性が、浮気しそうになった人が……。
知り合いがおられますので…。
鳥頭の様に、忘れるのが早いなと思ったわけよ」
「それって、私のことか!?
あれは、ワザとなんだ。
ライラ一筋だって、何度話せば理解するんだ。
君こそ、鳥頭じゃあないか」
「私が!鳥の頭ですって?
言わせておけば、誰のお陰で無事に帰れたと思ってんのよ」
自分のせいで口喧嘩になりそうになり、慌てふためくエリアス。
「まぁまぁ、我が公爵家の料理長が君の為に作ったお菓子でも食べて下さい。
ピクニックの時も、たくさん持参させよう」
ヨハンが気の利いた話をすると、彼女はすっかりご機嫌が直る。
やはり彼女は鳥頭だと、美味しそうにお菓子を頬張るのを見ていた。
男性陣の自然に出た笑い声が、部屋全体に行き渡る。
プリムローズは笑われていることより、関心はピクニックに向かっていた。
息を吐くと空気が白くなるぐらい外が冷えこんでいたが、こちらの季節は暖かな秋のように思える。
今日で休みが終わり。
明日から学園は、最終学期に入る。
ヘイズでは4月から新学年に上がるそうで、9月から始まり祖国とは時期がズレていた。
窓を閉めて散歩でもしようと、彼女は薄手のカーデガンを羽織って部屋から軽やかに出ていく。
プリムローズの強引で巧みな作戦と、周りからの祝福の圧力に屈した。
ギルとメリーカップルは、あくまでもお試し婚約期間と宣言し交際を続けるようだった。
「俺は破談に賭けるぜ!
メリー姐さんは、兄貴にバカさに見切りをつけるはずだ!」
どうやら子分たちの間では、ギルたちに内緒で2人を賭けの対象にされているようだった。
「俺っちは、婚姻までいくぜに賭ける!
ギルの兄貴には、姐さんしかいない」
「どちらに賭けるか。
こりゃ、難しいな。
何だかんだと喧嘩しながら、まだ付き合っている。
あーっ、どっちにしよう」
隠れて聞いていたプリムローズが、ノリノリで喋っていた子分たちを注意する。
「貴方たちー!
外出したら他人に、こんなくだらない話するんじゃあないわよ」
「「「お嬢!!!」」」
クラレンス一家のマスコット、プリムローズの登場にビックリする子分たち。
「へぇ、分かりやした」
「お嬢も俺たちの話に乗りませんか?」
「メリーの姐さんと、ギルさんがどうなるかを…。
俺、姐さんに惚れてたんだ」
寂しく想いを伝える男。
慰めるように、男同士で熱い抱擁をする。
ふられた片方が、相手の顔を押しのけて笑いだした。
友情をキモそうに眺めていたが、彼女の紫の目が勝負師の目に変わった。
「面白そうだし、賭けの対象にしたくなるよね。
ヨッシャー、婚姻にするに!
金貨10枚を賭けるわ」
「何だかんだ。
お嬢もお好きですな」
「親父さんも、この手の賭け事好きだし」
「クラレンスの遺伝ですかね」
「うるさい、いいこと!
お前たちは、取られてもいい金額にしときなさい。
言っておくけど、私の掛け金は自分で稼いだものよ」
偉そうに注意はしても、しっかり賭け仲間に加わる。
馬小屋近くに集まっていた他の子分たちも、わらわら寄ってきて話しを聞いてきた。
プリムローズが鼻息荒く、腰に手を当て掛け金を言う。
「うおっー、お嬢!
思いっきりがいいですな。
さすが、親父様の孫だけある」
「これくらいの金額で、大きな声を出さないの。
なにせこの私が、2人をくっ付ける算段をしたんだからー。
私が勝つに決まっているわよ!!
オーホ・ホ・ホ……」
愛馬ヴァンブランも呆れてしまうほどの高笑いを、馬小屋まで響かせていた。
「おやっ?!
お嬢、遠乗りするんですかい」
「ベルナドッテ公爵のお屋敷で、友人たちと会うのよ。
ここからは、そんなに遠くないわ。
ヴァンブランにも、運動させないとね」
「おひとりですかい?
ギルの兄貴を連れて行かれたら、どうですかい?」
この人たちはー。
何度もギルが将来、この屋敷の主人でゲラン侯爵になると言い聞かせているのにまったく…。
「【3歩で忘れる鳥頭】、何度言えばわかるの。
ギルは、将来は侯爵様になるのよ。
兄貴はやめて、ギャスパル様って呼びなさい。
せめて外部の人が来た時ぐらいは、ちゃんとして頂戴!」
「「へえー!お嬢!!」」
子分らの威勢のよい返事に、プリムローズは頷くが続けてタメ息をつくのである。
『人間なのに、鳥みたいに記憶力が弱くて3歩も歩いたら忘れる。
コイツらには、期待しないでおこう』
ヴァンブランに飛び乗ると、ベルナドッテ公爵の屋敷へ走り出すのだった。
最近よくボーッと考え事をすることが多い、メリー。
愛するお嬢様は、最近すぐに自分勝手になにも言わず。
どこかへ行ってしまわれる。
「全部あの馬鹿のせいよ。
アイツが、ダンスを2曲も踊るからいけないんですわ!」
気がつかない私も悪いのだけど、お嬢様の罠にまんまと引っ掛かってしまった。
間抜けなところもいいところ。
交際っていっても、何する訳でもなく。
会ったら挨拶を交わして、ちょっと話すくらいだ。
この屋敷に滞在していたマーシャル伯爵夫人ヘレンと姉レニアは、領地へ伯爵と伴に戻られた。
夫人はキシルを気に入っていたが、ゲラン家は使用人の手が少なく困っていたからだ。
伯爵夫人の世話していたキルシと旦那ティモは、そのままゲラン侯爵家に住み込みで雇われることになった。
「メリー様、お茶の支度が出来ました」
キルシが彼女に紅茶を注ぎ、カップを机に置くのだった。
「もう、様付けはよしてよ。
まだ、あの人の正式な婚約者でもないし。
一介のメイドのメリーです」
困り顔をしてキルシは、ハッキリしない態度を保留している彼女を見てる。
「では、メリーさん。
一緒にお茶しましょう。
ギャスパル様も、ここへお呼び致しましょうか?」
今度は、彼女が困る番になっていた。
ベルナドッテ公爵家は、プリムローズの友人たちと集い賑やかな場になっている。
「いろんな情報が聞けて助かるよ。
体が弱くて家庭教師に習って勉強してたから、また学園に通えるとは思ってなかった」
「それは私もです。
船で働いて、一生終えると思ってました。
学園でたくさんの方々と、一緒に勉強している」
お互いに、体力に難あり同士で気が合うようだ。
ベルナドッテ侯爵嫡男ヨハンと、第一王子になる予定のエリアスが意見交換していた。
「すっかり、2人は仲良くなったようだね。
学園は男女別々で、勉強するんだ。
困ったら、私に頼ってくれよ」
スクード公爵嫡男オスモは、年下の彼らに先輩風を吹かせて力強く話しかけてくる。
「オスモ様は軍学校ですから、寄宿舎の寮で生活しているのよね。
その他の生徒方は、自宅から通うのでしょう。
軍学園って、何が特別なの?
なんか、変わっている」
軍学校のないエテルネルで育ったせいか、軍隊生活を訓練としているのを知らなかったのだ。
「父の跡継ぎなら、軍学校を卒業しなくてはならない。
ヘイズは島国だ。
大陸なら攻められたら他国に逃げられるが、それができないからね」
「島国にも、島国ならではの悩みがありますのね。
アルゴラ以外にまだ攻められてませんから、気楽にすればいいのに」
彼女の祖国は大陸の真ん中にあり、いつも周りの国の動向にビクビクしていると話す。
「現在は、貴女のおばあ様のお陰で平和なんですか?」
「アルゴラの元第一王女ですし、現王妃様もウィルスターの元王女様ですからね」
オスモも力だけでなく、こうした政略で国同士の絆で牽制しているのを知る。
「そんな話より、どうしたらメリーとギルを婚姻させられると思う?
見ていて焦れったくて、イライラして仕方ないの。
2人には子がいても、いい年齢だわ」
「おっ嬢、でなく。
プリムローズ嬢、それは自然の流れに任せた方がいいのです」
エリアスは、取って付けた返事をしてくる。
毒されてきているのでは、王宮の暮らしでー。
「経験のない我らが動いても、かえって悪い方向へ導いてしまう」
オクモも同じ意見で楽しくない彼女に、ヨハンが興味ある話をする。
「ヘイズに、縁結びの木があります。
昔、家のために別れた男女がいました。
またいつか再び、この木の下で再会しようと誓ったそうです」
「とても素敵な話だわ。
それで、その男女は再会できましたの」
会う事は叶わず、彼らの子孫が木の下に集った。
その中の孫たちが婚姻しているそうで、必ず再会を約束した日に木を見に訪れているそうだ。
「ヘイズではこの木の下で誓い合うと、結ばれて幸福になる。
そう言われて、今では有名な観光地になっていますよ」
「そこへ行かなくては!
ねっ、皆さんでピクニックでもしましょうよ。
私の友人たちを連れて参りますわ」
「なら、ライラも連れて来るんだね。
よく考えたら、私たちは婚約の先輩だ。
手本をお見せしないとならんな」
オクモの話を聞いてると、捕まっていた時にサンドラに甘い言葉を囁いていたのを思い出す。
「コイツも、【3歩で忘れる鳥頭】だな」
誰にも聞こえない小さな声で言ったつもりが、隣りにいるエリアスに聞こえてしまった。
「プリムローズ嬢、鳥頭ってなんですか?!」
『聞こえてしまいましたか。
エリアスったら、何でも質問する。
そうしろって、教えたのが不味かった』
「え~っと、これは例えでー。婚約者がいる男性が、浮気しそうになった人が……。
知り合いがおられますので…。
鳥頭の様に、忘れるのが早いなと思ったわけよ」
「それって、私のことか!?
あれは、ワザとなんだ。
ライラ一筋だって、何度話せば理解するんだ。
君こそ、鳥頭じゃあないか」
「私が!鳥の頭ですって?
言わせておけば、誰のお陰で無事に帰れたと思ってんのよ」
自分のせいで口喧嘩になりそうになり、慌てふためくエリアス。
「まぁまぁ、我が公爵家の料理長が君の為に作ったお菓子でも食べて下さい。
ピクニックの時も、たくさん持参させよう」
ヨハンが気の利いた話をすると、彼女はすっかりご機嫌が直る。
やはり彼女は鳥頭だと、美味しそうにお菓子を頬張るのを見ていた。
男性陣の自然に出た笑い声が、部屋全体に行き渡る。
プリムローズは笑われていることより、関心はピクニックに向かっていた。
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