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第3章 それぞれの巣立ち
第22話 水と油
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寮長ロッタ.コートン子爵令嬢と、プリムローズはいったん別れた。
3階の自室を目指し、階段を上がっていたがー。
足をかけて一歩ずつ上がるたびに、柱の陰や自室の扉のスキマから自分を見ている。
無数の視線を感じていた。
それらが、プリムローズの身体に突き刺さってくるようだ。
『ひぃー、なんなのよ。
品定めしている。
隠れて見てないで、堂々と前に出てくればいいのに…』
素知らぬ振りをして、これから世話になる部屋の前へ立つ。
ロッタ先輩から渡された鍵を、制服のポケットから取り出して鍵穴に差し込む。
ガチャっと音がして、ギーッと扉が開くと中へ入ってみた。
角部屋であるためか、日当たりがよく明るい。
カーテンは薄い黄色の無難な色合いをしていて、床や柱は歴史の重みを感じる。
清掃は行き届いていたが、要は古くてボロボロだった。
「メリーも居ないし、自力で頑張りますか!」
自分に気合いをいれて、角に積み重なる荷物が詰まった箱を開けた。
そして、黙々と中身を取り出していく。
クローゼットを開けて、かさばるドレスや騎士服をぶら下がったハンガーへかける。
今度は整理タンスの中へ、タオルハンカチや小物類を片づけていくのだった。
手際よくバンバンと整理していくが、途中で覗き見されてる気配がする。
背後にある扉の方へ、勢いよく振り向いたらバチリと4つの瞳とかち合う。
あちらはプリムローズの思いもよらない行動に、ガタガタと音を立てて反応した。
プリムローズと目が合って驚き、腰を抜かして尻をつき倒れたようだ。
『なんだ、意外に肝っ玉が小さいな。
目が合ったぐらいで』
こちらから、もっと仕掛けてみよう。
プリムローズは下手な演技をし始めて、相手の出方をみることにした。
「あー、疲れた!
もう、一人だと時間かかるわ。
ちょっとだけ、休憩でもしようかなぁ~」
相手の耳に届く大きな声はアホみたいだが、独り言を垣間見ている人へ聞こえるようにする。
長椅子のある方へ疲れたふりをして、フラつき倒れるように座った。
ボーッとしてみさると、人の気配を強く感じた。少しだけ気づかれない程度に、扉の方向へ紫の瞳を動かしてみる。
「扉の外にいる貴女たち!
そんなところにいないで、部屋の中へ入って来なさいよ」
見えないものに、ケンカを売る言葉を吐き出す。
いつの間に足音もさせず、プリムローズは近寄って扉をバーンと音を立てて開けた。
「コソコソしてまで、会いたかったんでしょう。
どうだった!?
会えた感想を、私に教えて頂きたいわ」
思いきった行動に出て、2人は驚きとばつの悪さで対面した。
「みみ…、見つかったわよ!」
「ふ~ん、あんた勘がいいわね」
いっぱしに悪気なく文句を言っているが、最初は扉の前で部屋の中へ入るのは躊躇い気味だった。
しかし、最後には風を切ってズカズカ中にツンツンした態度で入室する。
髪も瞳の色も茶で、鼻に上にそばかすが散らばっていた。
「途中で転入したのに、いい部屋を宛がわれたじゃない」
もう一人は、薄茶の髪に青い目をしている。
「お邪魔するわよ。
ふーん、いいわね。
お嬢様は優遇されて、袖の下を幾ら渡したの?」
あからさまに仏頂面して、二人して本人を前に嫌味を言った。
バカは相手にしないとばかりに、質問は無視して挨拶だけをすることにした。
「私は今日から、このアマゾネス館に住むことになった。
プリムローズ・ド・クラレンスです。
これから、よろしくお願いします」
「「アマゾネスの館??」」
アマゾネスって「アレの事で合っているの?」と、二人で答え合わせをしているようだった。
なぜ疑問で返らせるのだろうかと、謎すぎてプリムローズは首をかしげた。
「ここは、アマゾネスの館って呼ばれているんでしょう?
オスモ様、スクード公爵の嫡男から教えて頂きましたけど…。
違うんですか?」
「スカシ公爵のオスモが、そう教えたのか!」
「グズード公爵のボンボン息子がー」
オスモを糞味噌に言っては、床を踏み鳴らしたり手の平パンチの怒りのポーズを披露する。
「あの野郎!
私たちをアマゾネスだと言って、侮蔑しているのだな!」
「なめ腐りやがって、今度会ったら足を引っ掛けて転ばしてやるぞ!」
『ん、アマゾナスと違うのか?
言われた名前を言っただけなのに、教えてくれたオスモ様ことを怒っているようだ』
「ホホホ、そうですよね?
変わった名前だと思っておりましたのよ。
アマゾネスでなくて、本当はどんな風に呼ばれてますか!?」
「この寮の呼び名は、ウネルマの館だ!
アマゾネスなどの俗称ではない」
そばかすさんが拳を握り締め勇ましく、寮の正式名称を教える。
「そちらのほうが、似合っていて素敵です。
えーっと、ウネルマは「夢を叶える」って意味ですよね」
「貴女、ヘイズ語が得意じゃない。
ここは、お嬢様が遊びに来る場所ではない。
根性がないと、暮らしていけないのです!」
水色の目を大きくし光らせて、彼女を睨み付け脅してくるのだった。
「貴女がいた淑女を目指す場と、【水と油】ほど違うの。
二つのものが調和しない。
互いに気が合わず、打ち解けないの!」
そばかすさんは、人差し指を彼女に向けて腰に手をやり怒鳴るように説教を始めた。
「え~っと!
お前は勘違い甚だしいから、もといた場所へお戻りなさいみたいな意味ですか?」
「貴女、素直で物わかりだけはいいじゃない」
「貴女は何歳なの?
見かけ同じ歳とは思えないけど、若く見えるだけかしら!?」
自分の年齢を指で数えて、間をあけてから答えを出す。
「今年も、いつの間にか誕生日が終わっていた。
査問会騒ぎで、それどころじゃなかったしね。
あっ、12歳です!」
「ええーえ、12歳なの!?
5歳も年の差があるじゃない。
どうやったら、最終学年で転入できたわけ?」
「どうせ、コネでしょう。
体格や筋力も差がありすぎて、私たちについていけないわよ。
もう夜になるから、一晩寝たら戻りなさいね」
そばかすさんって、言い方は悪いけど面倒見が良さそうな人。
「申し訳ないのですけど…。
数日、授業してみてからでもいいですか?」
「無理だって教えてあげてるのに、お上品な淑女学園へ帰りなさい」
「彼女の言い分も一理あるわよ。
私たちが、あの子にダメ出しを言い渡す権利はないわ」
髪が薄茶の人も、そんなにわからず屋ではなさそうだ。
いい人たちかもしれない。
「お試し経験してみて、ついていけないなら納得して出て行ってよ。
ここは、お嬢様のお遊戯場ではありません!」
「ええ、ついていけなかったらそうします。
ちょっとお聞きしたいことがあります。
質問をいいですかぁ」
プリムローズは、モジモジ恥ずかしそうにしている。
「どうしたの?
困っている様にみえるけど」
薄茶さんはプリムローズと目線を合わせ、妹に接するかの話しやすい方向へ促してくれる。
「あの、ですね。
お手洗いはどちらにありますか?」
ああそれかと、彼女の赤らめた頬を見て察した。
「ロッタったら、大事なことを言い忘れたのね。
この部屋なら、あちらの小さな角部屋がお手洗いになるわ」
「自分で出したものは、責任を取らなくてはならないのよ。
ご令嬢の貴女が、糞尿を処理出来るかしらね」
「処理とは、それを何処かに持って行くことですか?」
そうそうと頷き、机の上に備え付けたペンで地図を書き始めた。
「この場所で、尿と糞を分けて捨てるの。
やってくださるメイドは、誰もいらっしゃらないわよ。
肥溜めの蓋を開けた瞬間に、気絶して倒れたりしてね」
「畑で肥料として、これを活用するから溢さないでよ。
まっ、これで嫌になって逃げ帰るでしょう」
「…………、できます。
泣かないし、逃げませんわ。
それより、二人の名前を教えて下さいませんか?」
せせら笑う二人は、強がっていてるとプリムローズを下げずむ視線をみせている。
「ご令嬢は、気が強いですね。
できるって言っても、貴女じゃムリムリ!
肥溜めの臭い嗅いで失神して、運悪く中に落ちちゃったり。
糞尿まみれになりながら、あの世行きになったりしてね。
プッ、クスクス」
「アハハ、公爵令嬢が糞で憤死するなんて笑える~。
すぐに消える人に、ご丁寧に私たちの名前を教えなくてはならないのよ」
「いいですよ!
もう、名前は結構です」
我慢して聞いてみれば、小バカにしてとプリムローズは二人に対してムカついていた。
「「じゃあ、私たちは失礼するわ!
フンレンス公爵令嬢様」」
「フンレンスではございません。
クラレンスです!
本当に失礼な人たちですね」
プリムローズが間違いを訂正している間に、きびす返し風を切るようにバタバタと足音を立てて去って行く。
「フンレンスって…。
上手く当てはめてるじゃない。
肥溜めは臭いけど、畑仕事で慣れていて平気なんだから。
プリムローズさんを舐めんなよ。
しかし、悲しくなるぐらい。
私って…、嫌われていたな」
仲良く逃げるように、プリムローズの部屋を飛び出す。
自分が歓迎されていないのは分かりきっていたが、こうして直接言われしまいてショックを受け落ち込む。
「あちらから名前を言わせてみせる。
転入生には、手荒い洗礼はつきもの。
負けるもんか!
その前に、お手洗いに行こう!!」
これからの軍学園への転入に期待を持ち、また荷物整理を始める。
こういうのに慣れているのか。強がって見せているのか。
下着を畳みながら、音程の外れた下手な歌を歌い出すのだった。
はたして、奇跡が起きて【水と油】は混ざるのだろうか。
3階の自室を目指し、階段を上がっていたがー。
足をかけて一歩ずつ上がるたびに、柱の陰や自室の扉のスキマから自分を見ている。
無数の視線を感じていた。
それらが、プリムローズの身体に突き刺さってくるようだ。
『ひぃー、なんなのよ。
品定めしている。
隠れて見てないで、堂々と前に出てくればいいのに…』
素知らぬ振りをして、これから世話になる部屋の前へ立つ。
ロッタ先輩から渡された鍵を、制服のポケットから取り出して鍵穴に差し込む。
ガチャっと音がして、ギーッと扉が開くと中へ入ってみた。
角部屋であるためか、日当たりがよく明るい。
カーテンは薄い黄色の無難な色合いをしていて、床や柱は歴史の重みを感じる。
清掃は行き届いていたが、要は古くてボロボロだった。
「メリーも居ないし、自力で頑張りますか!」
自分に気合いをいれて、角に積み重なる荷物が詰まった箱を開けた。
そして、黙々と中身を取り出していく。
クローゼットを開けて、かさばるドレスや騎士服をぶら下がったハンガーへかける。
今度は整理タンスの中へ、タオルハンカチや小物類を片づけていくのだった。
手際よくバンバンと整理していくが、途中で覗き見されてる気配がする。
背後にある扉の方へ、勢いよく振り向いたらバチリと4つの瞳とかち合う。
あちらはプリムローズの思いもよらない行動に、ガタガタと音を立てて反応した。
プリムローズと目が合って驚き、腰を抜かして尻をつき倒れたようだ。
『なんだ、意外に肝っ玉が小さいな。
目が合ったぐらいで』
こちらから、もっと仕掛けてみよう。
プリムローズは下手な演技をし始めて、相手の出方をみることにした。
「あー、疲れた!
もう、一人だと時間かかるわ。
ちょっとだけ、休憩でもしようかなぁ~」
相手の耳に届く大きな声はアホみたいだが、独り言を垣間見ている人へ聞こえるようにする。
長椅子のある方へ疲れたふりをして、フラつき倒れるように座った。
ボーッとしてみさると、人の気配を強く感じた。少しだけ気づかれない程度に、扉の方向へ紫の瞳を動かしてみる。
「扉の外にいる貴女たち!
そんなところにいないで、部屋の中へ入って来なさいよ」
見えないものに、ケンカを売る言葉を吐き出す。
いつの間に足音もさせず、プリムローズは近寄って扉をバーンと音を立てて開けた。
「コソコソしてまで、会いたかったんでしょう。
どうだった!?
会えた感想を、私に教えて頂きたいわ」
思いきった行動に出て、2人は驚きとばつの悪さで対面した。
「みみ…、見つかったわよ!」
「ふ~ん、あんた勘がいいわね」
いっぱしに悪気なく文句を言っているが、最初は扉の前で部屋の中へ入るのは躊躇い気味だった。
しかし、最後には風を切ってズカズカ中にツンツンした態度で入室する。
髪も瞳の色も茶で、鼻に上にそばかすが散らばっていた。
「途中で転入したのに、いい部屋を宛がわれたじゃない」
もう一人は、薄茶の髪に青い目をしている。
「お邪魔するわよ。
ふーん、いいわね。
お嬢様は優遇されて、袖の下を幾ら渡したの?」
あからさまに仏頂面して、二人して本人を前に嫌味を言った。
バカは相手にしないとばかりに、質問は無視して挨拶だけをすることにした。
「私は今日から、このアマゾネス館に住むことになった。
プリムローズ・ド・クラレンスです。
これから、よろしくお願いします」
「「アマゾネスの館??」」
アマゾネスって「アレの事で合っているの?」と、二人で答え合わせをしているようだった。
なぜ疑問で返らせるのだろうかと、謎すぎてプリムローズは首をかしげた。
「ここは、アマゾネスの館って呼ばれているんでしょう?
オスモ様、スクード公爵の嫡男から教えて頂きましたけど…。
違うんですか?」
「スカシ公爵のオスモが、そう教えたのか!」
「グズード公爵のボンボン息子がー」
オスモを糞味噌に言っては、床を踏み鳴らしたり手の平パンチの怒りのポーズを披露する。
「あの野郎!
私たちをアマゾネスだと言って、侮蔑しているのだな!」
「なめ腐りやがって、今度会ったら足を引っ掛けて転ばしてやるぞ!」
『ん、アマゾナスと違うのか?
言われた名前を言っただけなのに、教えてくれたオスモ様ことを怒っているようだ』
「ホホホ、そうですよね?
変わった名前だと思っておりましたのよ。
アマゾネスでなくて、本当はどんな風に呼ばれてますか!?」
「この寮の呼び名は、ウネルマの館だ!
アマゾネスなどの俗称ではない」
そばかすさんが拳を握り締め勇ましく、寮の正式名称を教える。
「そちらのほうが、似合っていて素敵です。
えーっと、ウネルマは「夢を叶える」って意味ですよね」
「貴女、ヘイズ語が得意じゃない。
ここは、お嬢様が遊びに来る場所ではない。
根性がないと、暮らしていけないのです!」
水色の目を大きくし光らせて、彼女を睨み付け脅してくるのだった。
「貴女がいた淑女を目指す場と、【水と油】ほど違うの。
二つのものが調和しない。
互いに気が合わず、打ち解けないの!」
そばかすさんは、人差し指を彼女に向けて腰に手をやり怒鳴るように説教を始めた。
「え~っと!
お前は勘違い甚だしいから、もといた場所へお戻りなさいみたいな意味ですか?」
「貴女、素直で物わかりだけはいいじゃない」
「貴女は何歳なの?
見かけ同じ歳とは思えないけど、若く見えるだけかしら!?」
自分の年齢を指で数えて、間をあけてから答えを出す。
「今年も、いつの間にか誕生日が終わっていた。
査問会騒ぎで、それどころじゃなかったしね。
あっ、12歳です!」
「ええーえ、12歳なの!?
5歳も年の差があるじゃない。
どうやったら、最終学年で転入できたわけ?」
「どうせ、コネでしょう。
体格や筋力も差がありすぎて、私たちについていけないわよ。
もう夜になるから、一晩寝たら戻りなさいね」
そばかすさんって、言い方は悪いけど面倒見が良さそうな人。
「申し訳ないのですけど…。
数日、授業してみてからでもいいですか?」
「無理だって教えてあげてるのに、お上品な淑女学園へ帰りなさい」
「彼女の言い分も一理あるわよ。
私たちが、あの子にダメ出しを言い渡す権利はないわ」
髪が薄茶の人も、そんなにわからず屋ではなさそうだ。
いい人たちかもしれない。
「お試し経験してみて、ついていけないなら納得して出て行ってよ。
ここは、お嬢様のお遊戯場ではありません!」
「ええ、ついていけなかったらそうします。
ちょっとお聞きしたいことがあります。
質問をいいですかぁ」
プリムローズは、モジモジ恥ずかしそうにしている。
「どうしたの?
困っている様にみえるけど」
薄茶さんはプリムローズと目線を合わせ、妹に接するかの話しやすい方向へ促してくれる。
「あの、ですね。
お手洗いはどちらにありますか?」
ああそれかと、彼女の赤らめた頬を見て察した。
「ロッタったら、大事なことを言い忘れたのね。
この部屋なら、あちらの小さな角部屋がお手洗いになるわ」
「自分で出したものは、責任を取らなくてはならないのよ。
ご令嬢の貴女が、糞尿を処理出来るかしらね」
「処理とは、それを何処かに持って行くことですか?」
そうそうと頷き、机の上に備え付けたペンで地図を書き始めた。
「この場所で、尿と糞を分けて捨てるの。
やってくださるメイドは、誰もいらっしゃらないわよ。
肥溜めの蓋を開けた瞬間に、気絶して倒れたりしてね」
「畑で肥料として、これを活用するから溢さないでよ。
まっ、これで嫌になって逃げ帰るでしょう」
「…………、できます。
泣かないし、逃げませんわ。
それより、二人の名前を教えて下さいませんか?」
せせら笑う二人は、強がっていてるとプリムローズを下げずむ視線をみせている。
「ご令嬢は、気が強いですね。
できるって言っても、貴女じゃムリムリ!
肥溜めの臭い嗅いで失神して、運悪く中に落ちちゃったり。
糞尿まみれになりながら、あの世行きになったりしてね。
プッ、クスクス」
「アハハ、公爵令嬢が糞で憤死するなんて笑える~。
すぐに消える人に、ご丁寧に私たちの名前を教えなくてはならないのよ」
「いいですよ!
もう、名前は結構です」
我慢して聞いてみれば、小バカにしてとプリムローズは二人に対してムカついていた。
「「じゃあ、私たちは失礼するわ!
フンレンス公爵令嬢様」」
「フンレンスではございません。
クラレンスです!
本当に失礼な人たちですね」
プリムローズが間違いを訂正している間に、きびす返し風を切るようにバタバタと足音を立てて去って行く。
「フンレンスって…。
上手く当てはめてるじゃない。
肥溜めは臭いけど、畑仕事で慣れていて平気なんだから。
プリムローズさんを舐めんなよ。
しかし、悲しくなるぐらい。
私って…、嫌われていたな」
仲良く逃げるように、プリムローズの部屋を飛び出す。
自分が歓迎されていないのは分かりきっていたが、こうして直接言われしまいてショックを受け落ち込む。
「あちらから名前を言わせてみせる。
転入生には、手荒い洗礼はつきもの。
負けるもんか!
その前に、お手洗いに行こう!!」
これからの軍学園への転入に期待を持ち、また荷物整理を始める。
こういうのに慣れているのか。強がって見せているのか。
下着を畳みながら、音程の外れた下手な歌を歌い出すのだった。
はたして、奇跡が起きて【水と油】は混ざるのだろうか。
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