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第4章 騎士道を学べ
第20話 首を長くする
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人々や馬車が行き交う通り沿いに、ヘイズ国の王都ヴァロに知らない人はいない商会があった。
従業員や取引先の商人が出入りして、ガラス窓を通して中は活気ある様子。
夕暮れから夜へ迎えるのを、街灯を灯す者が教えてくれる。
やっと帰って来たと、タルモ・コルホネンは思いうっすら輝く星を見上げる。
勤務している商会の紋章が、通るたびに出迎えてくれる。
見事に彫刻されたカメリアの花を、タルモは惚けらしげに見上げていた。
そこへ仕事終えて帰宅する同僚が、門前で突っ立っている人物を見つけた。
「おい、タルモ!
どうした、大丈夫か?
最近、お前仕事しすぎだよ」
顔色は普通で悪くは見えなかったが、かなりの商談を抱えていたのが声をかけた者は気になっていた。
「そうかなぁ。
新たな仕事が決まりそうなんだ」
ひとりでアルゴラから帰国してから、他国の貴族令嬢と顔見知りになってから多忙を極めていた。
「もしや、エテルネルから来た。
あの公爵令嬢の依頼か?
いい加減、うまく断れ!
雪ヒョウを生け捕りしろって、その子が無理難題を頼んできたんだろう」
「そちらは、連れ帰って引き渡すだけだ。
つぎの依頼は、生き物じゃないから安心しろ。
気にしてくれて、ありがとうな!」
「いや、しかし…。
いくら恩があっても、難しいなら断った方がいい」
タルモは笑顔でポーンと軽く肩を叩くと、相手はもっと優しく労るように返す。
アルゴラで体調を崩したタルモを、ひとり残し国へ帰ってしまった事を後悔していたのだ。
「これくらいで逃げ出したら、カメリア商会の信用が傷つく。
実際いい取引で、うちは儲かっているからな」
「まあ、そうだけど。
じゃあ、悪いが先に帰るな」
「ああ、また明日な!」
同僚に挨拶し別れると、精神的に疲労困憊していた。
最後の気力を振り絞って、会長室の扉を力なく叩いた。
「誰だ~、扉は開いているから勝手に入ってくれ。
ちょっと、書物していて手が離せないんだ」
「会長、タルモです。
ご相談があります」
タルモの話を聞いていたら、会長は笑いが止まらない。
「アーハハハ!
お前は、凄い太客を掴んだな。
エテルネルのクラレンスって言ったら、王家より金持ちって噂ある家だぞ」
「ですが……。
またしても、難しい依頼でー」
彼女からの話をしていくうちに会長は、その本の事を詳しく教えてあげるのだ。
「書店に並べられ発売して、たった半年で差し止めを食らっている。
エテルネル国では、曰く付きの書物だ。
婚約破棄を書いてあり、読んだ者たちが不安になって破棄騒動を引き起こした」
「たった半年間、短い期間では部数がかなり少ないはず。
発行されたのは、およそ25年前って言っていました。
そんなのは、限りなくムリに近いです!」
頭をガシガシとかきむしり、同時に深いため息を漏らす。
最近気のせいか頭髪が薄くなったと思い、今度は髪を労るように優しく撫でる。
まだフサフサしている頭髪を羨ましげに眺め、貫禄を見せつけるように腕組みすると口を開いた。
「そのご令嬢は、無理難題を押し付けるのがうまい。
商人泣かせもいいところだな。
カメリアの名にかけて、必ずや手に入れろ。
これは、会長命令だ!」
商人魂に火をつけてしまう会長に、部下は疑問を投げかける。
「会長はどうして、他国の本にそんなに詳しいのですか?
ヘイズでは、全然知られていないはずですが…」
ニヤついて片方の眉を挙げ、彼は衝撃的な事実を告げる。
「まだ若い頃、エテルネルに商談しに行ってな。
帰りの船旅で時間を潰そうと思って、本でも読もうと思い大きな本屋に立ち寄ったんだ。
新人作家の本を品揃えして、店員に押し付けられて買ってしまったものだったんだ」
「会長、その本をお譲り下さいませんか?
言い値で買い取ります」
こんなに身近に本があるとは、タルモはすがる思いで上司にお願いしてみた。
「すまんな、タルモ。
本の所有者は、妻なんだよ。
私から妻へ、贈った本になる。
言いづらいし、もうないかもしれん」
愛妻家の会長が、奥様に強く言えるはずもない。
25年前の1冊本を、夫人が保管しているのは奇跡に近い。
「わかりました。
どうせ、エテルネルへは出向かなくてはなりません。
ご無理を言いました」
エテルネルでプリムローズの依頼の雪ヒョウを引き取り、絶版された本を探す依頼も会長から命じられた。
「この仕事を務めたら、特別に休暇を与えてやる。
お前の働きをみて、誰も文句は言わないから。
ゆっくり家族と過ごせ」
いつも留守がちな自分が、妻と子に見捨てられる不安を抱くのを会長に見通されたようだ。
彼は仲間を引き連れて、海を渡りエテルネル国に旅立つ。
ついでにプリムローズの手紙を携えて、すっかり郵便屋代わりになってしまったタルモであった。
長寿の泉に出向いてから、日々が過ぎ去るのは早い。
なぜそう思っているかは、合同訓練でブルムヘル伯爵令息とロッタ先輩が剣を合わせていたからだ。
どうしても二人が気になり、チラチラと目を追ってしまう。
相手が大した腕前でないからこそ、こうして二人を見ていられる。
剣と剣を重ねているが、互いに言葉を交わし笑顔を向けていた。
あの小旅行から、彼女と彼の間は縮まり仲が深まりすら感じる。
もう一方のジャンヌは、街に外出し憲兵隊の兄妹に会いに行っているそうだ。
業務妨害でそのうち捕まるのではと、ロッタがジャンヌを冷やかしている。
恋する乙女たちは、現在花盛りの青春真っ盛りだ。
「今まさに、恋している最中ですわね。
こうして見ているだけで、なぜか私の胸が高鳴りドキドキしてしまう。
ヘイズ留学を修了致しましたら、今度は愛を探しに参りますわ」
直接的な言葉の数々に、彼女らは顔を赤くする。
「恋などしていないぞ!
君こそ驚きの発言して、また何処その国へ留学するつもりか」
ロッタ先輩って鈍そうだが、鋭い洞察力の持ち主だ。
将来、女性近衛兵になったら活躍しそうと思う。
ロッタはウズウズして、早く質問の返事を知りたそうにする。
「はい、ですがもう1つ目的がございます。
尊顔を拝して、目の前で直接サインを書いて頂くことです。
私の崇高な夢のひとつですわ」
「サインって、名前のことだろう。
そんなものを、夢見ていたとはー」
ロッタもエリアスと同じ考えで、また懲りもせずに熱く述べ続ける。
「どんな本なのか、聞いてみて興味があります。
プリムローズ嬢が心酔なさっているとは、よほど素晴らしい作家なのでしょう」
ジャンヌの本音は然程ではないが、流れを読んで彼女の話に乗ってしまう。
「ジャンヌ様、よろしかったら読んでみて下さい。
手元にございませんが、その本を探しに知り合いの商人へ依頼しております。
楽しみに待っていてね」
そこまでして別に読みたいと思わない二人は遠慮していたが、彼女の押しの強さに負けてしまっていた。
「エテルネル国では、幻の最高傑作なのです。
【首を長くする】の気持ちで、どうかお待ち下さい」
「これ以上、私は首を長くしたくないんだけどな。
ほら見て、ちょうどいい長さだろう」
首に手を当てて撫でながら、奇妙なことを言い出していた。
「あなたの首が長くなるわけではないわ。
首を長くすることは、早く実現して欲しい。
待ち焦がれるって意味よ」
「ふう~ん、そんな意味か。
真実の愛、愛に真実を求めてどうすんだか」
ジャンヌが言葉の意味を説明するが、ロッタはプリムローズの本には関心ない様子。
「男に裏切られた女が、最後に真実の愛を手に入れる話です。
一度読んでくだされば、きっと理解できますわ」
それが気に入らないようで、鼻息荒く素晴らしさをアピールしてきた。
興奮気味なプリムローズに、2人はそうかと相づちしてあげる。
落ち着くまで話を聞き付き合って、ハイハイと首を振って肯定してあげている。
自己満足な一方的な話し終えると、苦笑いしているが聞いてくれた二人に満足する。
最初の頃は、どうなるかと不安になる仲であったが。
学園生活を過ごしているうちに、プリムローズを妹の可愛がっているようになっていた。
そんな仲良し3人に、新たな出会いと問題が起きようとしている。
従業員や取引先の商人が出入りして、ガラス窓を通して中は活気ある様子。
夕暮れから夜へ迎えるのを、街灯を灯す者が教えてくれる。
やっと帰って来たと、タルモ・コルホネンは思いうっすら輝く星を見上げる。
勤務している商会の紋章が、通るたびに出迎えてくれる。
見事に彫刻されたカメリアの花を、タルモは惚けらしげに見上げていた。
そこへ仕事終えて帰宅する同僚が、門前で突っ立っている人物を見つけた。
「おい、タルモ!
どうした、大丈夫か?
最近、お前仕事しすぎだよ」
顔色は普通で悪くは見えなかったが、かなりの商談を抱えていたのが声をかけた者は気になっていた。
「そうかなぁ。
新たな仕事が決まりそうなんだ」
ひとりでアルゴラから帰国してから、他国の貴族令嬢と顔見知りになってから多忙を極めていた。
「もしや、エテルネルから来た。
あの公爵令嬢の依頼か?
いい加減、うまく断れ!
雪ヒョウを生け捕りしろって、その子が無理難題を頼んできたんだろう」
「そちらは、連れ帰って引き渡すだけだ。
つぎの依頼は、生き物じゃないから安心しろ。
気にしてくれて、ありがとうな!」
「いや、しかし…。
いくら恩があっても、難しいなら断った方がいい」
タルモは笑顔でポーンと軽く肩を叩くと、相手はもっと優しく労るように返す。
アルゴラで体調を崩したタルモを、ひとり残し国へ帰ってしまった事を後悔していたのだ。
「これくらいで逃げ出したら、カメリア商会の信用が傷つく。
実際いい取引で、うちは儲かっているからな」
「まあ、そうだけど。
じゃあ、悪いが先に帰るな」
「ああ、また明日な!」
同僚に挨拶し別れると、精神的に疲労困憊していた。
最後の気力を振り絞って、会長室の扉を力なく叩いた。
「誰だ~、扉は開いているから勝手に入ってくれ。
ちょっと、書物していて手が離せないんだ」
「会長、タルモです。
ご相談があります」
タルモの話を聞いていたら、会長は笑いが止まらない。
「アーハハハ!
お前は、凄い太客を掴んだな。
エテルネルのクラレンスって言ったら、王家より金持ちって噂ある家だぞ」
「ですが……。
またしても、難しい依頼でー」
彼女からの話をしていくうちに会長は、その本の事を詳しく教えてあげるのだ。
「書店に並べられ発売して、たった半年で差し止めを食らっている。
エテルネル国では、曰く付きの書物だ。
婚約破棄を書いてあり、読んだ者たちが不安になって破棄騒動を引き起こした」
「たった半年間、短い期間では部数がかなり少ないはず。
発行されたのは、およそ25年前って言っていました。
そんなのは、限りなくムリに近いです!」
頭をガシガシとかきむしり、同時に深いため息を漏らす。
最近気のせいか頭髪が薄くなったと思い、今度は髪を労るように優しく撫でる。
まだフサフサしている頭髪を羨ましげに眺め、貫禄を見せつけるように腕組みすると口を開いた。
「そのご令嬢は、無理難題を押し付けるのがうまい。
商人泣かせもいいところだな。
カメリアの名にかけて、必ずや手に入れろ。
これは、会長命令だ!」
商人魂に火をつけてしまう会長に、部下は疑問を投げかける。
「会長はどうして、他国の本にそんなに詳しいのですか?
ヘイズでは、全然知られていないはずですが…」
ニヤついて片方の眉を挙げ、彼は衝撃的な事実を告げる。
「まだ若い頃、エテルネルに商談しに行ってな。
帰りの船旅で時間を潰そうと思って、本でも読もうと思い大きな本屋に立ち寄ったんだ。
新人作家の本を品揃えして、店員に押し付けられて買ってしまったものだったんだ」
「会長、その本をお譲り下さいませんか?
言い値で買い取ります」
こんなに身近に本があるとは、タルモはすがる思いで上司にお願いしてみた。
「すまんな、タルモ。
本の所有者は、妻なんだよ。
私から妻へ、贈った本になる。
言いづらいし、もうないかもしれん」
愛妻家の会長が、奥様に強く言えるはずもない。
25年前の1冊本を、夫人が保管しているのは奇跡に近い。
「わかりました。
どうせ、エテルネルへは出向かなくてはなりません。
ご無理を言いました」
エテルネルでプリムローズの依頼の雪ヒョウを引き取り、絶版された本を探す依頼も会長から命じられた。
「この仕事を務めたら、特別に休暇を与えてやる。
お前の働きをみて、誰も文句は言わないから。
ゆっくり家族と過ごせ」
いつも留守がちな自分が、妻と子に見捨てられる不安を抱くのを会長に見通されたようだ。
彼は仲間を引き連れて、海を渡りエテルネル国に旅立つ。
ついでにプリムローズの手紙を携えて、すっかり郵便屋代わりになってしまったタルモであった。
長寿の泉に出向いてから、日々が過ぎ去るのは早い。
なぜそう思っているかは、合同訓練でブルムヘル伯爵令息とロッタ先輩が剣を合わせていたからだ。
どうしても二人が気になり、チラチラと目を追ってしまう。
相手が大した腕前でないからこそ、こうして二人を見ていられる。
剣と剣を重ねているが、互いに言葉を交わし笑顔を向けていた。
あの小旅行から、彼女と彼の間は縮まり仲が深まりすら感じる。
もう一方のジャンヌは、街に外出し憲兵隊の兄妹に会いに行っているそうだ。
業務妨害でそのうち捕まるのではと、ロッタがジャンヌを冷やかしている。
恋する乙女たちは、現在花盛りの青春真っ盛りだ。
「今まさに、恋している最中ですわね。
こうして見ているだけで、なぜか私の胸が高鳴りドキドキしてしまう。
ヘイズ留学を修了致しましたら、今度は愛を探しに参りますわ」
直接的な言葉の数々に、彼女らは顔を赤くする。
「恋などしていないぞ!
君こそ驚きの発言して、また何処その国へ留学するつもりか」
ロッタ先輩って鈍そうだが、鋭い洞察力の持ち主だ。
将来、女性近衛兵になったら活躍しそうと思う。
ロッタはウズウズして、早く質問の返事を知りたそうにする。
「はい、ですがもう1つ目的がございます。
尊顔を拝して、目の前で直接サインを書いて頂くことです。
私の崇高な夢のひとつですわ」
「サインって、名前のことだろう。
そんなものを、夢見ていたとはー」
ロッタもエリアスと同じ考えで、また懲りもせずに熱く述べ続ける。
「どんな本なのか、聞いてみて興味があります。
プリムローズ嬢が心酔なさっているとは、よほど素晴らしい作家なのでしょう」
ジャンヌの本音は然程ではないが、流れを読んで彼女の話に乗ってしまう。
「ジャンヌ様、よろしかったら読んでみて下さい。
手元にございませんが、その本を探しに知り合いの商人へ依頼しております。
楽しみに待っていてね」
そこまでして別に読みたいと思わない二人は遠慮していたが、彼女の押しの強さに負けてしまっていた。
「エテルネル国では、幻の最高傑作なのです。
【首を長くする】の気持ちで、どうかお待ち下さい」
「これ以上、私は首を長くしたくないんだけどな。
ほら見て、ちょうどいい長さだろう」
首に手を当てて撫でながら、奇妙なことを言い出していた。
「あなたの首が長くなるわけではないわ。
首を長くすることは、早く実現して欲しい。
待ち焦がれるって意味よ」
「ふう~ん、そんな意味か。
真実の愛、愛に真実を求めてどうすんだか」
ジャンヌが言葉の意味を説明するが、ロッタはプリムローズの本には関心ない様子。
「男に裏切られた女が、最後に真実の愛を手に入れる話です。
一度読んでくだされば、きっと理解できますわ」
それが気に入らないようで、鼻息荒く素晴らしさをアピールしてきた。
興奮気味なプリムローズに、2人はそうかと相づちしてあげる。
落ち着くまで話を聞き付き合って、ハイハイと首を振って肯定してあげている。
自己満足な一方的な話し終えると、苦笑いしているが聞いてくれた二人に満足する。
最初の頃は、どうなるかと不安になる仲であったが。
学園生活を過ごしているうちに、プリムローズを妹の可愛がっているようになっていた。
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