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第4章 騎士道を学べ
第35話 腐れ縁
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「出すもの出したからな。
スッキリして空っぽだ。
今日は、腹一杯食うぞ」
白のシャツに、細身の黒パンツのロッタ。
大きく腕を振り下ろして下っ腹を叩くと、豊かな黒髪を一本の三つ編みを揺らしていた。
「本調子じゃないんでしょ。
もう、ほどほどにしなさい」
ただ一人、プリムローズヒの毒牙に引っ掛からなかった彼女が注意する。
「ああ、私がいけなかったんですわ。
ロッタ先輩に、あんな腐った物を食べさせてしまったから…」
前方を歩くロッタへ、謝罪するためにかざした日傘を閉じる。
ラベンダー地に白い小花模様がちりばめられたスカートの裾を、右手で軽く持ち上げて謝罪のため頭を上下させた。
「こうして1日で治ったのは、薬を用意したお陰なの。
プリムローズ嬢は謝らなくていいのよ」
薄茶の髪を緩いウェーブにし、耳辺りで左右ピンクのリボンで括っている。
質素倹約しながらも、気を配っているジャンヌらしい装いだった。
『ああ、やはり。
薄いピンク色の七分袖のワンピース。
夢の中と、同じ服装している』
プリムローズたちは煎じ薬を飲んだ後、腹痛と下痢になった。
浅い眠りの夢で、ジャンヌの服装だけが不思議と脳裏に残っている。
『あれは、正夢なのかしら?
よく覚えてないが、最悪な事態が訪れてしまう。
そんな予感がする』
予知夢を見る不思議な能力を持つ、プリムローズ。
夢は当たったが、残念だがところどころ外れる。
本人すら先読みできないせいで、いつも本人がハラハラする。
ポンコツな予知夢であった。
「面白い事もあったな。
プリムローズ嬢ったら、するたびにベルを鳴らすんだ。
アレをだし終わると、多分それに香水をふりかけていたんだろう」
すごい勢いで音が出てしまう。聞かせたくないため、必死に手首を使いベルを鳴らす。
臭いも強烈で羞恥心から、残り香を消したかった。
「ロッタ先輩、ごめんなさい。
あんなに臭くなるとは、私も思わなかったのよ」
「あの香りは、薔薇の花だろう。
重なると微妙になるな。
こっちまで香ってくるから、気持ち悪くて吐きそうになったよ」
「吐きそうじゃなくて、私は吐いてしまった。
上から下まで出てしまい。
便器から離れられなかったわ」
「近くに人はおりませんが、もうこの話は止めましょう」
それぞれ違う魅力で、3人は人目を引いている。
まさか、容姿からは想像もしない会話を平然と交わしていたとは思っていないだろう。
「ロッタが大丈夫なのは分かってましたが、プリムローズ嬢の体調が戻り安心しましたわ」
「なんだよ、ジャンヌ。
しかし、これで【腐れ縁】になれたね。
あれっ?
しっくりこないな」
言葉は知っているが、深い意味までは知らない。
俗に言う、知ったかぶりの部類に入る。
「【腐れ縁】とはー。
別れたり復縁を繰り返したりする関係や、断ち切れない状態を指すことが多いです。
別れるべき関係だとわかっていても、情や依存、習慣などから関係を断ち切れず。
ずるずると続いてしまう状態の言葉です」
ちゃんとした意味を模範解答するプリムローズに対して、良い意味も付け加えるジャンヌ。
「また違った意味もあります。
お互いが成長し合えて、簡単には断ち切れない間柄。
相手も自分も心を開いており、お互いが居心地の良さを感じているような関係を指します」
「ふーん、悪いのと良いのがあるんだ。
なんだか面倒くさい。
良い方の意味で言っているんだぞ。
歩き食いしに行こう!」
自分で話題を振ったのに、頭の中はこれから食べることに支配されている。
誤魔化すようにプリムローズたちを置いて、勝手に先を歩き出した。
バザールは、金曜日から日曜日の3日間の開催される。
ヘイズ国王お膝元で行われる行事のために、近郊の者だけでなく国中から集まってくる。
ジャンヌを思って足止めを仕組んだせいで、初日を逃して中日の今日となってしまった。
「人手が多いから、はぐれないように。
当然だが、悪い奴もうろついている。
財布だけは、取られないように用心したほうがいい!」
先導するロッタは、生徒引率の教師みたいだった。
もとからの性格が、姉御肌のようだ。
これから起きる事件を、彼女は予期していたのか。
当たらなくも遠からずだった。
「あそこに行かない?
アクセサリーの店があるわ」
お洒落大好きなジャンヌが、若い女性の群がっている店を指さした。
「いいですね。
ジャンヌ様、私も見てみたいですわ」
プリムローズはその手の物は沢山持っているが、ジャンヌのキラキラ輝く目を見ると楽しくなっている自分がいた。
女性にとって、買い物は楽しいものだ。
買わなくても見ているだけで、気持ちがワクワクしてくる。
「へぇ~、キレイだな。
私は、女男しているから似合わないけどさ」
「そんなことないわ。
ロッタの黒髪には、どんな色も似合うし。
これなんて、ロッタにどうかしら!?
いつも結っていないで、たまには下ろしてみれば感じが変わるわよ」
興味なさげに品物を見ていたが、ジャンヌが緑色の真ん中に花の形をした髪飾りを見せる。
同時に、ロッタの髪に近づけた瞬間に事件が発生した。
「泥棒だー!
スリだーー!
あいつを捕まえてくれ」
遠くから、年配の男性の大声が聞こえてきた。
「あら、物騒ね。
様子からスリみたいよ」
「もしや、コチラに向かってくる様ですわ」
大声がする露店の方へ顔を動かすと、駆け足で向かってくる男の後ろにジャンヌの想い人の憲兵隊。
「待てーー!!
この野郎!
盗んだ財布を返せ!!」
プリムローズの予想に反して、男は見事に捕獲された。
彼の行動がまともで、意外な展開に頭の中が固まる。
『捕まえてしまったわ!
見逃して、逃がすんではなかったの?!
スリの味方にならなくていいの~??』
どうなるのか成り行きを見るしかなく、プリムローズたちはその言い争いの様子をどうなるのか見ていた。
「お前!財布を盗んだのを出せ!」
「け、憲兵さん。
俺はー、盗んだりはしていない!
逃げたのは、追いかけてきたからです。
驚いて、反射的に動いたからだ」
男は息を切らして、言い訳を彼にしている。
「悪いが仕事なんでな。
体を触って、直接調べさせて貰うぞ!」
ベストのポケットから始まり、パンツの後ろまでありとあらゆる所を探る。
『どういうこと?
ちゃんと職務を全うしているわ』
タルモ殿とカフェで聞いた話は、私たちの聞き間違いだったの。
「う~ん、なんでだ!
どこにも無いぞ!」
汗だくになり息も荒い年配のお爺さんは、泥棒って言ってその腕を掴んでいた。
「このジシイ!
人のことを泥棒呼ばわりしやがって!
憲兵さんが、財布が無いって言ってんだろう!?
どう、落とし前をつけんだよ!」
「そ、そんなー!
お前が、前からぶっかって来た。
その後、財布が無くなったんだ!」
「人混みで肩に当たってから、誰かに後ろから押されたんだ。
当たった時に、俺はキチンと謝ったぜ!
濡れ衣を受けたからには、責任取れよな!」
激昂している男を宥めるように彼は、肩に手をやり盗まれた人に声をかける。
「お爺さん、違う人がしたんではないか?
彼からは何も出てこなかったよ。
何処かへ落としたんではないかい!?」
プリムローズはこの男とグルになって、このお爺さんを丸め込もうとしていると感じた。
では、財布は憲兵の彼が持っているのか?!
同じような考えをしている人が、もう一人いた。
なんとそれは、彼に好意を持つジャンヌ。
スリと呼ばれた男と唯一近づいた人は、彼しかいない。
あの親切にしてくれた彼が、もしお爺さんの財布を持っていたら。
恋と正義の狭間で、苦しい思いをしていたジャンヌ。
「恐縮ですが、お爺さん。
財布はどんな色で、何か特徴はありますか?」
「ジャンヌ!」
「ジャンヌ様!」
お爺さんに近寄り彼女が尋ねるのを、ロッタとプリムローズは彼女の名を呼ばずにいられなかった。
スッキリして空っぽだ。
今日は、腹一杯食うぞ」
白のシャツに、細身の黒パンツのロッタ。
大きく腕を振り下ろして下っ腹を叩くと、豊かな黒髪を一本の三つ編みを揺らしていた。
「本調子じゃないんでしょ。
もう、ほどほどにしなさい」
ただ一人、プリムローズヒの毒牙に引っ掛からなかった彼女が注意する。
「ああ、私がいけなかったんですわ。
ロッタ先輩に、あんな腐った物を食べさせてしまったから…」
前方を歩くロッタへ、謝罪するためにかざした日傘を閉じる。
ラベンダー地に白い小花模様がちりばめられたスカートの裾を、右手で軽く持ち上げて謝罪のため頭を上下させた。
「こうして1日で治ったのは、薬を用意したお陰なの。
プリムローズ嬢は謝らなくていいのよ」
薄茶の髪を緩いウェーブにし、耳辺りで左右ピンクのリボンで括っている。
質素倹約しながらも、気を配っているジャンヌらしい装いだった。
『ああ、やはり。
薄いピンク色の七分袖のワンピース。
夢の中と、同じ服装している』
プリムローズたちは煎じ薬を飲んだ後、腹痛と下痢になった。
浅い眠りの夢で、ジャンヌの服装だけが不思議と脳裏に残っている。
『あれは、正夢なのかしら?
よく覚えてないが、最悪な事態が訪れてしまう。
そんな予感がする』
予知夢を見る不思議な能力を持つ、プリムローズ。
夢は当たったが、残念だがところどころ外れる。
本人すら先読みできないせいで、いつも本人がハラハラする。
ポンコツな予知夢であった。
「面白い事もあったな。
プリムローズ嬢ったら、するたびにベルを鳴らすんだ。
アレをだし終わると、多分それに香水をふりかけていたんだろう」
すごい勢いで音が出てしまう。聞かせたくないため、必死に手首を使いベルを鳴らす。
臭いも強烈で羞恥心から、残り香を消したかった。
「ロッタ先輩、ごめんなさい。
あんなに臭くなるとは、私も思わなかったのよ」
「あの香りは、薔薇の花だろう。
重なると微妙になるな。
こっちまで香ってくるから、気持ち悪くて吐きそうになったよ」
「吐きそうじゃなくて、私は吐いてしまった。
上から下まで出てしまい。
便器から離れられなかったわ」
「近くに人はおりませんが、もうこの話は止めましょう」
それぞれ違う魅力で、3人は人目を引いている。
まさか、容姿からは想像もしない会話を平然と交わしていたとは思っていないだろう。
「ロッタが大丈夫なのは分かってましたが、プリムローズ嬢の体調が戻り安心しましたわ」
「なんだよ、ジャンヌ。
しかし、これで【腐れ縁】になれたね。
あれっ?
しっくりこないな」
言葉は知っているが、深い意味までは知らない。
俗に言う、知ったかぶりの部類に入る。
「【腐れ縁】とはー。
別れたり復縁を繰り返したりする関係や、断ち切れない状態を指すことが多いです。
別れるべき関係だとわかっていても、情や依存、習慣などから関係を断ち切れず。
ずるずると続いてしまう状態の言葉です」
ちゃんとした意味を模範解答するプリムローズに対して、良い意味も付け加えるジャンヌ。
「また違った意味もあります。
お互いが成長し合えて、簡単には断ち切れない間柄。
相手も自分も心を開いており、お互いが居心地の良さを感じているような関係を指します」
「ふーん、悪いのと良いのがあるんだ。
なんだか面倒くさい。
良い方の意味で言っているんだぞ。
歩き食いしに行こう!」
自分で話題を振ったのに、頭の中はこれから食べることに支配されている。
誤魔化すようにプリムローズたちを置いて、勝手に先を歩き出した。
バザールは、金曜日から日曜日の3日間の開催される。
ヘイズ国王お膝元で行われる行事のために、近郊の者だけでなく国中から集まってくる。
ジャンヌを思って足止めを仕組んだせいで、初日を逃して中日の今日となってしまった。
「人手が多いから、はぐれないように。
当然だが、悪い奴もうろついている。
財布だけは、取られないように用心したほうがいい!」
先導するロッタは、生徒引率の教師みたいだった。
もとからの性格が、姉御肌のようだ。
これから起きる事件を、彼女は予期していたのか。
当たらなくも遠からずだった。
「あそこに行かない?
アクセサリーの店があるわ」
お洒落大好きなジャンヌが、若い女性の群がっている店を指さした。
「いいですね。
ジャンヌ様、私も見てみたいですわ」
プリムローズはその手の物は沢山持っているが、ジャンヌのキラキラ輝く目を見ると楽しくなっている自分がいた。
女性にとって、買い物は楽しいものだ。
買わなくても見ているだけで、気持ちがワクワクしてくる。
「へぇ~、キレイだな。
私は、女男しているから似合わないけどさ」
「そんなことないわ。
ロッタの黒髪には、どんな色も似合うし。
これなんて、ロッタにどうかしら!?
いつも結っていないで、たまには下ろしてみれば感じが変わるわよ」
興味なさげに品物を見ていたが、ジャンヌが緑色の真ん中に花の形をした髪飾りを見せる。
同時に、ロッタの髪に近づけた瞬間に事件が発生した。
「泥棒だー!
スリだーー!
あいつを捕まえてくれ」
遠くから、年配の男性の大声が聞こえてきた。
「あら、物騒ね。
様子からスリみたいよ」
「もしや、コチラに向かってくる様ですわ」
大声がする露店の方へ顔を動かすと、駆け足で向かってくる男の後ろにジャンヌの想い人の憲兵隊。
「待てーー!!
この野郎!
盗んだ財布を返せ!!」
プリムローズの予想に反して、男は見事に捕獲された。
彼の行動がまともで、意外な展開に頭の中が固まる。
『捕まえてしまったわ!
見逃して、逃がすんではなかったの?!
スリの味方にならなくていいの~??』
どうなるのか成り行きを見るしかなく、プリムローズたちはその言い争いの様子をどうなるのか見ていた。
「お前!財布を盗んだのを出せ!」
「け、憲兵さん。
俺はー、盗んだりはしていない!
逃げたのは、追いかけてきたからです。
驚いて、反射的に動いたからだ」
男は息を切らして、言い訳を彼にしている。
「悪いが仕事なんでな。
体を触って、直接調べさせて貰うぞ!」
ベストのポケットから始まり、パンツの後ろまでありとあらゆる所を探る。
『どういうこと?
ちゃんと職務を全うしているわ』
タルモ殿とカフェで聞いた話は、私たちの聞き間違いだったの。
「う~ん、なんでだ!
どこにも無いぞ!」
汗だくになり息も荒い年配のお爺さんは、泥棒って言ってその腕を掴んでいた。
「このジシイ!
人のことを泥棒呼ばわりしやがって!
憲兵さんが、財布が無いって言ってんだろう!?
どう、落とし前をつけんだよ!」
「そ、そんなー!
お前が、前からぶっかって来た。
その後、財布が無くなったんだ!」
「人混みで肩に当たってから、誰かに後ろから押されたんだ。
当たった時に、俺はキチンと謝ったぜ!
濡れ衣を受けたからには、責任取れよな!」
激昂している男を宥めるように彼は、肩に手をやり盗まれた人に声をかける。
「お爺さん、違う人がしたんではないか?
彼からは何も出てこなかったよ。
何処かへ落としたんではないかい!?」
プリムローズはこの男とグルになって、このお爺さんを丸め込もうとしていると感じた。
では、財布は憲兵の彼が持っているのか?!
同じような考えをしている人が、もう一人いた。
なんとそれは、彼に好意を持つジャンヌ。
スリと呼ばれた男と唯一近づいた人は、彼しかいない。
あの親切にしてくれた彼が、もしお爺さんの財布を持っていたら。
恋と正義の狭間で、苦しい思いをしていたジャンヌ。
「恐縮ですが、お爺さん。
財布はどんな色で、何か特徴はありますか?」
「ジャンヌ!」
「ジャンヌ様!」
お爺さんに近寄り彼女が尋ねるのを、ロッタとプリムローズは彼女の名を呼ばずにいられなかった。
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