異世界魔王の勇者転生記 

タケノコご飯

文字の大きさ
1 / 21
        プロローグ

第零話 魔王、生まれ変わります。

しおりを挟む
       ◇  ◇  ◇

「テメェの悪事も最後だぜ!クソ魔王ォ!!」

そんな俺を罵倒する汚い言葉が、この空間に木霊した。

...また、まただ。

俺は本日3度目の少年の登場に頭を抱えた。
立派な鎧を纏い、輝く剣を手にした、その金髪の少年。
この世界に突然現れた謎の不死身生命体。
そして俺の命を狙う敵。
今まで、俺の権威を狙って亡き者にしようするものはいたが、一瞬で消し炭にして終わりだった。
しかし、どうだ。

「テメェは俺に倒されるって相場がきまってんだよォッ!」

この異世界から突然やって来たと言う不死身生命体こと『勇者』(自称)とやらは燃やしても、凍らしても、潰しても、はたまた召喚獣モンスターに食わせて消化させようとも、またひょっこり復活して戻ってくるのだ。
初めは翼を折られ、驚き戸惑い危うく殺されそうになったが、
2回目、3回目と相手していくうちにコイツの強さがLv99あたりでピッタリ止まっていることに気がついてしまった。
俺の前に現れるのも、これでもう千八百五十三回目だ。
それだけ勇者コイツと戦って俺の強さはすでにLv975である。

今さら、Lv99のコイツが勝てるハズがない。

と言うか、俺が負ける気がしない。


「ー ハァ…。」


いい加減、飽きた。

この世界を征服して早300年、この地で出来ることは全てやり尽くしてしまった。
今思い返して見れば、せっせと仲間と旅していたあの頃が、一番楽しかったのかもしれない。


「ー おい、お前。」

「どうした? ようやく倒されるって気になったか?おぉ?」

相変わらず口の悪いヤツだ。

「ー ああ。」

『勇気ある者』としての威厳を、最後ぐらい保ったらどうだ?

「ったくいい加減にしろよ! 何年ここに...って、あぁ?」

ちゃんと聞けよ

「ー 倒されれてやると言っているんだ。その剣でしか、俺は倒せないのだろう?」

「お?そ、そうか?本当に倒しちゃう、ぞ...?」

キャラがブレてるぞ。

「や、やったぞ!これでこの世界は俺のモンだ!!」

...人族よ、こんなヤツが俺を継いで大丈夫か?
また二の舞になると思うぞ...?

「じゃあ、○ねぇぇぇぇえええッ!!」

ゴスッ

だが俺はヤツを殴りとばした。

「のぁぁぁぁぁあああッ!?」

ちょっと待て。
俺もこのままコロコロと地獄に落ちる気でいるワケではない。

「ー 転生reincarnation。」

これでよし。

「ー さぁ来い。」

ゆらぁっと『勇者』()の怒りが立ち込めた。


「 な め や が っ て ぇ ! 」

勇者はガキンと剣(コイツには勿体無いくらい光輝いている)を構え、俺に突き刺した。


ーー顔面に。


ザクゥッ!

...おいおい、顔面かよ。
せめて心臓とかにしてくれよ。

(ー まぁいい。)

ガクッと体の力が抜ける。

(ー どこか違う世界へ。)

徐々に意識が遠くなり、

(ー 退屈しない世界がいいな。)

俺の思考は完全に停止した。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音(旧・神木 空)
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...