異世界魔王の勇者転生記 

タケノコご飯

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第一章  お帰りなさい、勇者(魔王)さま!

第三話 魔王、勇者になります。2

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        ◇  ◇  ◇


薄暗い森の中、俺は逃げる。

『キシャァァァァァァァアアアアッ!』

振り返ると巨大な大蛇?が、大きな口を開けて迫ってくる。
俺は高校の革靴で慣れない森の道を走らなければならなかった。


ーー あ、どうも魔王(人間)です。


そして高校2年生の人間です。


『シャァァァァァァァァァアアアアッ!』


さて、こうなった経緯を説明する前にちょっとしたクイズをしましょう。
このとうり、私は大蛇に追われています。
何故でしょう?

① 森の道で何か大蛇の尻尾を踏んだ。

② 驚いた拍子に何か大蛇の卵を割った。

③ 俺、逃げる。



ーー はい、全部正確です。



都合上、経緯は割愛させていただきます。



あれぇ?俺ホントに魔王(の生まれ変わり)?
魔王って怪物モンスターに襲われるの?

当然、今の俺は学校の革靴だ。
ロクに走れやしない。

そして何より、

「翼が邪魔だぁぁぁぁぁぁあああッ!」

飛べない翼なんて、言い換えればただの飾りに過ぎない。
さらに慣れてないせいで力むとすぐ広がってしまう。
そして俺の体がフワッと...

「...え?」

持ち上がった。

『シャァァァァァァァァァアアアアアアアッ!』

大蛇の大きな口が更に大きく広がる。

「うおぁぁぁぁぁぁあああッ!?」


く、喰われるッ!?


俺は無意味だと解っていても、咄嗟に手を前に出して防御体制をとってしまった。
同時に視界が黒くなる。


 ガギィッッ!


「ッ!......あ、あれ?」


何とも...ない...?

目の前は真っ暗のままだ。
俺、死んだのか?


「...あ」

いや、違う。

俺は気づいた。
俺の目の前にある黒い固い物体。

これ、俺の翼だ。

先程まで柔かかった俺の翼は瞬時に硬化し、大蛇の牙から俺を守っていた。

あ、そう言えばこんなこともできたっけ...?

俺は硬化された翼を力一杯広げ、大蛇の牙をへし折った。
地面に降り立つと大蛇はすぐに自分の尻尾を俺に向かって凪いできた。

ー 何故だろう?

ついさっきまでとても恐ろしかった大蛇コイツを、不思議と倒せる気がする...
そう感じて仕方がないのだ。

俺はソレを片手で受け止めた。
俺を吹き飛ばすつもりで勢い良く振るわれたソレは、電信柱にぶつかったクルマのように潰れ、ゴキゴキゴキッと音をたてた後、そこから先が動かなくなった。

翌々考えて見れば俺の体は死ぬような高さから落ちてもキズひとつないほど頑丈なのだ。
それにこの対衝性。
どうやら俺の体は衝撃にめっぽう強いらしい。

俺は硬化された翼の羽を1つ抜き取った。
羽と言えど人1人覆えるほどの大きさの翼のモノだ。
1つが短剣ほどの大きさである。


「はぁぁぁぁぁあああッ!」


俺は足と翼で地面を蹴った。
勢い良く足が地面から離される。
9割を翼の力に頼り、俺は苦しみもがく大蛇の顔に躍りかかった。
そのまま大蛇の首に切りかかる。


ー ザシュッ! ー


大蛇の首に赤い線が走る。

うむ、切れ味も上等だ。

が、大蛇の首は太く、切り落とすことは出来なかった。
俺は大蛇をかわし、上に生い茂る木の枝に着地した。
勢い良く着地した枝が衝撃でグググとしなる。
そしてもう一度、翼に力を込めてそのしなりの戻る勢いに合わせ、枝を蹴った。
同時に翼を背中から一直線に伸ばし、空気抵抗を極限まで無くす。
視界がブレるほどの高速移動。
その速度のまま、大蛇の首目掛けて思いっきり蹴りを叩き込んだ。

先程切り裂いた半分の、反対方向からの蹴り。
大蛇の首はまるで切り込みの入った袋のようにブチブチブチッとそこからちぎれて行き、俺は大蛇を貫通した。
俺はすぐさま翼を広げ速度を落とすーー

ーーつもりだったが、風の抵抗を上手く掴めず、逆に体制が崩されてしまう。
速度はあまり弱まらず、バランスを崩した俺は地面に激突した。


「がッ...!?」


俺は驚いた。
あれだけの高ささから落ちても無傷だった俺の体に、今回は相応の衝撃が来たのだ。
確かに死ぬほどの衝撃では無いが、油断していた俺は背中から叩きつけられた。

ズザザザッと無様に転がった俺は何やら固い、冷たい石で出来た何かにぶつかって止まった。


「...ハグッ!」


衝突した瞬間、残っていた肺の中の空気が全て吐き出される。
危うく気を失いかける。

痛む体を動かし、石に手をついて体を起こそうとしたところ...


「!?いつッ...!」


更に指の先に少し痛みが走った。
この石には何か鋭いモノが刺さっているらしい。
よく見ると、石はコケだらけではあるが、どうやら人工物のようだ。
そしてその上には...


「...剣?」


深々と『剣』が突き刺さっていた。



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