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火焔の章 鬼切部15
~小鏑山~ 9
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東の空が明るくなる頃、繁成軍は若神子原の陣を出て、則任の久保田の陣を目指した。
石渕を過ぎ、中川原に至り、片隅沢を渡る。
ほとんど抵抗らしい抵抗にも合わず、遂に中沢に至った。
沢を挟んで久保田の陣と対峙する。
さすがに陣からは、長弓で応戦してくる。
一進一退の攻防が続いた。
だが、兵力でまさる繁成軍が次第に押し気味になる。
沢を渡り、前列の柵に手をかけると、則任の部隊は陣を捨てて南西方向に敗走し始めた。
繫成は貞成とともに敵陣にのり込んだ。
敵兵はほとんど残っていなかった。
「待てい!隊を整えよ。」
繁成は、違和感を覚えて追撃を始めようとした兵たちを呼び止めた。
挟撃するはずの登任の軍が見えない。
「貞成、叔父上の軍は?」
隊を分けて進軍し始めた登任軍は、一里ほど進んだところで突如、山手側から横撃を受けた。
隠れていた宗任の騎馬隊が姿を現し、矢を射かけたあと刀に持ちかえて目の前の兵を討ち倒していく。
前方の則任の陣ばかり目指していた登任軍の本隊は、慌てて対応しようとしたが、点在する小丘の陰から次々と現れる騎馬隊に翻弄されるだけであった。
登任の目の前では、銀糸の刺繍をきらめかせ、宗任が剣舞の如き闘いを繰り広げている。
武官に守られて逃げ惑う登任が、別の方向を振り向くと、赤備えを率いた正任が、一直線に味方の一隊を切り裂いてゆく。
慌てて逃げる方向を変えると、赤毛の大男(照井太郎)が辺りの兵たちを薙ぎ払っている。
登任軍の最後尾には、経清と永衡が率いる一隊が喰らいついて、退路を断っていた。
一方、国守の危機に気づいた、貞任の陣へ向かっていた別働隊は、急遽反転して援護しようと走り出した。
「一戦もせずにどこへゆく?」
それを遠望した貞任は、そう言って則任に目配せした。
則任は頷くと、素早く陣を出ていった。
援護に向かった別働隊は、則任の隊に追いつかれ、国守のもとに辿り着く前に殲滅されてしまった。
「ど、どこへ逃げればよいのじゃ?繁成は?城介は?」
髪を振り乱し、ぼろぼろになりながら、登任は走り続けた。
やがて登任軍は、乱戦の中一箇所だけ敵兵の姿が見えない方向を見つけて、誘われるように敗走し始めた。
背丈ほどもある枯れすすきをかき分けて、ようやく荒雄川河畔に辿り着いた登任軍は、追手がないのを確認すると、川沿いを落ちのびていった。
その数わずかに百足らずであった。
「城介様、国守様の軍が伏兵にあい、壊滅寸前とのことでございます。」
久保田の陣で体勢を整えて、斥候兵を放とうとしていた繁成のもとに、登任からの伝令が至った。
「なに。それはまことか?して叔父上は?国守様は?」
繁成が詰め寄る。
「もはやお守りする兵も少なく、城介様におかれましては、直ちにご援護願いたいとのことでございました。」
おもてを伏せたまま、そう言って一礼した。
それを聞いた繁成は、全軍に号令した。
「このまま討って出る!陸奥守様をお救い申し上げるのだ!!」
石渕を過ぎ、中川原に至り、片隅沢を渡る。
ほとんど抵抗らしい抵抗にも合わず、遂に中沢に至った。
沢を挟んで久保田の陣と対峙する。
さすがに陣からは、長弓で応戦してくる。
一進一退の攻防が続いた。
だが、兵力でまさる繁成軍が次第に押し気味になる。
沢を渡り、前列の柵に手をかけると、則任の部隊は陣を捨てて南西方向に敗走し始めた。
繫成は貞成とともに敵陣にのり込んだ。
敵兵はほとんど残っていなかった。
「待てい!隊を整えよ。」
繁成は、違和感を覚えて追撃を始めようとした兵たちを呼び止めた。
挟撃するはずの登任の軍が見えない。
「貞成、叔父上の軍は?」
隊を分けて進軍し始めた登任軍は、一里ほど進んだところで突如、山手側から横撃を受けた。
隠れていた宗任の騎馬隊が姿を現し、矢を射かけたあと刀に持ちかえて目の前の兵を討ち倒していく。
前方の則任の陣ばかり目指していた登任軍の本隊は、慌てて対応しようとしたが、点在する小丘の陰から次々と現れる騎馬隊に翻弄されるだけであった。
登任の目の前では、銀糸の刺繍をきらめかせ、宗任が剣舞の如き闘いを繰り広げている。
武官に守られて逃げ惑う登任が、別の方向を振り向くと、赤備えを率いた正任が、一直線に味方の一隊を切り裂いてゆく。
慌てて逃げる方向を変えると、赤毛の大男(照井太郎)が辺りの兵たちを薙ぎ払っている。
登任軍の最後尾には、経清と永衡が率いる一隊が喰らいついて、退路を断っていた。
一方、国守の危機に気づいた、貞任の陣へ向かっていた別働隊は、急遽反転して援護しようと走り出した。
「一戦もせずにどこへゆく?」
それを遠望した貞任は、そう言って則任に目配せした。
則任は頷くと、素早く陣を出ていった。
援護に向かった別働隊は、則任の隊に追いつかれ、国守のもとに辿り着く前に殲滅されてしまった。
「ど、どこへ逃げればよいのじゃ?繁成は?城介は?」
髪を振り乱し、ぼろぼろになりながら、登任は走り続けた。
やがて登任軍は、乱戦の中一箇所だけ敵兵の姿が見えない方向を見つけて、誘われるように敗走し始めた。
背丈ほどもある枯れすすきをかき分けて、ようやく荒雄川河畔に辿り着いた登任軍は、追手がないのを確認すると、川沿いを落ちのびていった。
その数わずかに百足らずであった。
「城介様、国守様の軍が伏兵にあい、壊滅寸前とのことでございます。」
久保田の陣で体勢を整えて、斥候兵を放とうとしていた繁成のもとに、登任からの伝令が至った。
「なに。それはまことか?して叔父上は?国守様は?」
繁成が詰め寄る。
「もはやお守りする兵も少なく、城介様におかれましては、直ちにご援護願いたいとのことでございました。」
おもてを伏せたまま、そう言って一礼した。
それを聞いた繁成は、全軍に号令した。
「このまま討って出る!陸奥守様をお救い申し上げるのだ!!」
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