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79.ニーナ
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「は、はい。えーと、わたしはこう見えても17歳なんですけど、見た目が幼く見えるためか、なかなか仕事につけなくて・・」
そう言うと、それまで元気の良さを表すかのようにピンと立っていた長い両耳が、若干萎んだように垂れてしまった。
「それでウチも受けてみようと?」
「はい。それと何と言っても同年代の皆さんが、楽しそうに働いているのを見て、どうしても一緒に働いてみたいなと」
俺の問いにそう答えたニーナちゃんは、『アトラスの牙』の面々・・というか、主にリンの方を真っ直ぐに見ながら言っている。
その見つめる瞳は、キラキラと輝いていて・・。
「なるほど・・でもそれじゃあ、給仕の仕事とかは経験が無いということかな?」
「は、はい・・・。で、でも。わたしの家は兄弟姉妹が多くて、そのうえ母が3年前に亡くなってしまったので、長女のわたしが家事をずっとしていたので、大丈夫です!」
「多いって、どれくらい?」
「10人きょうだいです」
「君の下に9人?!」
「はい。弟が5人、妹が4人です」
キレイに5:5か・・。
「でも、君が働きに来ちゃったら、その子たちの面倒は誰が見るの?」
「すぐ下の妹ができるようになって来たので、大丈夫です。・・・それにお父さんを助けたいし・・」
なるほど、そういうことか・・。
「お前たちからは、何か聞きたいことはあるか?」
リンたちの方を見て俺は聞いた。
すると、ニーナちゃんが熱のこもった視線を、リンの方へ向ける。
「え、えと・・。ニーナさんは動きまわるのとか、身体を動かすのは得意・・ですか?重いものを持つのとか・・エールのジョッキ、意外と重いから・・・」
注目されたような形になったリンが、戸惑いながら問いかけた。
「は、はい!大丈夫です!!腕力は少し自信ないけど、脚力なら他の人には負けないし、身体を動かすのももちろん大好きです!・・それと・・絵を描くのも大好きなんです・・」
「えっ!?」
あ~そういうことか!
納得。
「あの浴室のアトラス山の絵って、リンさんが描いたんですよね?あんな素晴らしい絵を描けるなて、とっても尊敬しています!!」
「あ・・ありが・・と・・う?」
ニーナちゃんの突然の勢いに、リンが押されている。
「話がちょっと逸れちゃったけど、他にはないかな?」
俺は苦笑を漏らしつつ、他のみんなの顔を見回した。
『アトラスの牙』の3人は、俺と同じように苦笑を漏らしながら首を振っている。
ミミは何が楽しいのか、ニコニコ笑っている。
タロは・・・しっぽを2回フリフリ・・。
「無いようですので、これで面接を終わらせていただきます。結果は明日、ギルドの窓口の方へ来ていただければお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします」
俺たちの様子を見たルシアちゃんが、立ち上がりそう言ってその場を閉めた。
「ありがとうございました!」
ニーナちゃんは立ち上がり、一礼したあと会議室を出て行った。
「では、次の方をお呼びしますね?」
3分ほど待って、ルシアちゃんが立ち上がり、廊下へと声をかけに向かっていく。
次に入って来たのは、人族で20歳くらいのスレンダーな女性だった。
キビキビしていて、出来る社長秘書っていう感じの人だった。
そして、3番目に面接したのはエルフ族の見た目20代の女性。
表情が判りづらく、少し冷たい印象の人だった。
4人目は・・・。
「お願いします」
「「「「「ミーナさん!!!!」」」」」
「おかあさん!」
楚々とした感じで入って来たのは、ミミの母親・・ミーナさんだった。
「わん!」
そう言うと、それまで元気の良さを表すかのようにピンと立っていた長い両耳が、若干萎んだように垂れてしまった。
「それでウチも受けてみようと?」
「はい。それと何と言っても同年代の皆さんが、楽しそうに働いているのを見て、どうしても一緒に働いてみたいなと」
俺の問いにそう答えたニーナちゃんは、『アトラスの牙』の面々・・というか、主にリンの方を真っ直ぐに見ながら言っている。
その見つめる瞳は、キラキラと輝いていて・・。
「なるほど・・でもそれじゃあ、給仕の仕事とかは経験が無いということかな?」
「は、はい・・・。で、でも。わたしの家は兄弟姉妹が多くて、そのうえ母が3年前に亡くなってしまったので、長女のわたしが家事をずっとしていたので、大丈夫です!」
「多いって、どれくらい?」
「10人きょうだいです」
「君の下に9人?!」
「はい。弟が5人、妹が4人です」
キレイに5:5か・・。
「でも、君が働きに来ちゃったら、その子たちの面倒は誰が見るの?」
「すぐ下の妹ができるようになって来たので、大丈夫です。・・・それにお父さんを助けたいし・・」
なるほど、そういうことか・・。
「お前たちからは、何か聞きたいことはあるか?」
リンたちの方を見て俺は聞いた。
すると、ニーナちゃんが熱のこもった視線を、リンの方へ向ける。
「え、えと・・。ニーナさんは動きまわるのとか、身体を動かすのは得意・・ですか?重いものを持つのとか・・エールのジョッキ、意外と重いから・・・」
注目されたような形になったリンが、戸惑いながら問いかけた。
「は、はい!大丈夫です!!腕力は少し自信ないけど、脚力なら他の人には負けないし、身体を動かすのももちろん大好きです!・・それと・・絵を描くのも大好きなんです・・」
「えっ!?」
あ~そういうことか!
納得。
「あの浴室のアトラス山の絵って、リンさんが描いたんですよね?あんな素晴らしい絵を描けるなて、とっても尊敬しています!!」
「あ・・ありが・・と・・う?」
ニーナちゃんの突然の勢いに、リンが押されている。
「話がちょっと逸れちゃったけど、他にはないかな?」
俺は苦笑を漏らしつつ、他のみんなの顔を見回した。
『アトラスの牙』の3人は、俺と同じように苦笑を漏らしながら首を振っている。
ミミは何が楽しいのか、ニコニコ笑っている。
タロは・・・しっぽを2回フリフリ・・。
「無いようですので、これで面接を終わらせていただきます。結果は明日、ギルドの窓口の方へ来ていただければお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします」
俺たちの様子を見たルシアちゃんが、立ち上がりそう言ってその場を閉めた。
「ありがとうございました!」
ニーナちゃんは立ち上がり、一礼したあと会議室を出て行った。
「では、次の方をお呼びしますね?」
3分ほど待って、ルシアちゃんが立ち上がり、廊下へと声をかけに向かっていく。
次に入って来たのは、人族で20歳くらいのスレンダーな女性だった。
キビキビしていて、出来る社長秘書っていう感じの人だった。
そして、3番目に面接したのはエルフ族の見た目20代の女性。
表情が判りづらく、少し冷たい印象の人だった。
4人目は・・・。
「お願いします」
「「「「「ミーナさん!!!!」」」」」
「おかあさん!」
楚々とした感じで入って来たのは、ミミの母親・・ミーナさんだった。
「わん!」
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