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一章 トーマス村編
ユーフィリス・レイアス・アレスガルド
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「姉上!僕は父上と本陣を守っています!必ず勝利を手にお戻りください!」
そう私に話しかけるのは第一王子のクレイドだ、まだ5歳だと言うのに戦に連れてこられた可愛い弟だ。
「あぁ、必ず戻る。父上を補佐してしっかり守っているんだよ。」
「はぃ!いってらっしゃいませ!」
頭を撫でるとそれは可愛い笑顔で私に微笑みかけるクレイド。この子は偉大な王になるぞ!私にはわかる、間違いない!
◇
アレスガルド王国第一王女として生まれた私、ユーフィリス・レイアス・アレスガルドは民衆には姫騎士なんて面映い通り名で呼ばれている。
国王である父上は昔の戦で負傷して以来直接の戦闘はさけ、たまたま剣の才に恵まれた私が将軍達を引き連れて軍を動かしている。
今回の戦いは隣国であるリンゼイア王国との国境紛争が拡大して始まった戦であったが、どうやら50年近く前に勇者に倒された魔王軍の生き残りが、リンゼイアを操り攻めてきたのが本当のところらしい。
こちらの間者がようやく掴んできた情報だが、敵の総大将であるリンゼイアの第一王子リュカーンが魔物と入れ替わっているらしい、他のものは魔物の術で操られている可能性が高いそうなので、一点突破で奴を討てばこの戦いは終わるだろとの結論にいたっている。多少予測の部分はあるが、これが一番被害が少ないだろう。
◇
日が中天に差しかかろうというところ、アレスガルド軍とリンゼイア軍はにらみ合った形になっている。
こちらを包囲しようと展開していくリンゼイア軍の左右の軍に対し、アレスガルド4将軍に2部隊ずつ預けて足止めをさせる形をとる、戦いが始まったら私の騎馬部隊は尖槍の陣で中央突破を図る。この人数差ならできるはずだ。
「私に続け!我が魔法剣は全てを切り裂く正義の剣なり!」
掛け声と共に私は『魔法剣・炎』で剣に炎を纏わりつかせ、敵軍に向かいその剣を振るう。
炎の渦で道を作り、私の部隊はその中を真っ直ぐ駆け抜ける。リンゼイアとの戦いが始まった!
◇
操られた兵士達などアレスガルド軍の敵ではなかった、本来のリンゼイア兵であったら包囲殲滅されてしまっていたかもしれないが、包囲するどころか押し返されてしまい軍は崩壊していく。
アレスガルド4将軍の面々は手ごたえのなさに首をかしげたが、ユーフィリス王女を手助けすべく中央に向かって部隊を走らせた。
◇
予定通り敵軍の中心を突破した私達はリュカーン王子…いや魔物の部隊に対し攻撃をしている。
リュカーンからは黒いオーラが吹き出ており、おそらくA級モンスターでも上位、いやS級かもしれないほどの魔力を感じる。
「『魔法剣・雷撃』!」
私の稲妻の剣がリュカーンに届くかというところでリュカーンが右手を振るい雷撃をはじく。
「ふふふ、ユーフィリス王女。どうしました?その程度では私は倒せませんよ?」
「貴様などに私は負けん!リュカーン王子に化けた魔物め、我が剣で滅してみせる!」
◇
戦いはじめてどのくらいの時がたったのだろうか、私の魔法剣とリュカーンの魔法に、周りの兵はうかつに近づく事ができず離れたところで戦っている。
攻撃をし、受け、かわし、お互いに致命傷を受けてはいないものの、すでに馬はなく地に足を付けている状態だ。
「『神速』!『魔法剣・氷結』!」
『神速』でリュカーンの背後に回りこんでからの『魔法剣・氷結』、直接当てる攻撃ならばはじかれる事もない!
振り返ったリュカーンは左手で剣を受け止めたが、そこから氷結の効果で腕を凍らせていく。
「動きは止めた、もう逃げられないぞ!」
「動きを止められたのははたしてどちらなのでしょうね?」
「何っ!?」
リュカーンは左手で此方の動きを止めたまま、私の左手に持つ盾に右手を添えた。
「エクスプロード!」
私の盾が吹き飛ぶ、左手もその衝撃でずたずたにされてしまった。
「くっ…!」
「威力が強すぎると私も吹き飛んでしまいますのでね、手加減させていただきましたよ。さて、次はあなた自身を吹き飛ばしますよ!」
手を伸ばしてくるリュカーン。
「私をっ、なめるなぁー!」
リュカーンに抑えられている右手に持つ剣を手放すと、奥の手を使う為に手刀の形をとる。
「『魔法剣・聖』!」手刀から白く輝く剣が伸びる。
「ホーリーブレェェェェェェード!」
一気にリュカーンに突きこむ。
リュカーンの心臓部を貫くと同時に、私の体の右側がやつのエクスプロードで吹き飛ばされた。
「あの状態から…相打ち…とは…」
「言っただろう…我が剣で滅すると…」
「ふふ…しかし目的は果たしたのでよしとしましょうかね…」
「何!?」
「この戦争自体を…貴方を仕留めるために起こしたのですよ。貴方さえ倒せればそれでいいのです…」
「どういう事だ!」
「貴方の魂は…輪廻に乗せねば…ならない…グッ」
「何を言って…いる…」
目の前が暗くなっていく。輪廻?どういう事なんだ、私の魂は生まれ変わると言うのか…
そうだ、クレイドに必ず帰ると言った…もし生まれ変わるというのなら、帰らなければ…必ず…
ステータス
名前 ユーフィリス・レイアス・アレスガルド
種族 人間
職業 王女
ユニークスキル 『魔法剣Lv5』
スキル 『剣聖Lv9』
『神速Lv6』
そう私に話しかけるのは第一王子のクレイドだ、まだ5歳だと言うのに戦に連れてこられた可愛い弟だ。
「あぁ、必ず戻る。父上を補佐してしっかり守っているんだよ。」
「はぃ!いってらっしゃいませ!」
頭を撫でるとそれは可愛い笑顔で私に微笑みかけるクレイド。この子は偉大な王になるぞ!私にはわかる、間違いない!
◇
アレスガルド王国第一王女として生まれた私、ユーフィリス・レイアス・アレスガルドは民衆には姫騎士なんて面映い通り名で呼ばれている。
国王である父上は昔の戦で負傷して以来直接の戦闘はさけ、たまたま剣の才に恵まれた私が将軍達を引き連れて軍を動かしている。
今回の戦いは隣国であるリンゼイア王国との国境紛争が拡大して始まった戦であったが、どうやら50年近く前に勇者に倒された魔王軍の生き残りが、リンゼイアを操り攻めてきたのが本当のところらしい。
こちらの間者がようやく掴んできた情報だが、敵の総大将であるリンゼイアの第一王子リュカーンが魔物と入れ替わっているらしい、他のものは魔物の術で操られている可能性が高いそうなので、一点突破で奴を討てばこの戦いは終わるだろとの結論にいたっている。多少予測の部分はあるが、これが一番被害が少ないだろう。
◇
日が中天に差しかかろうというところ、アレスガルド軍とリンゼイア軍はにらみ合った形になっている。
こちらを包囲しようと展開していくリンゼイア軍の左右の軍に対し、アレスガルド4将軍に2部隊ずつ預けて足止めをさせる形をとる、戦いが始まったら私の騎馬部隊は尖槍の陣で中央突破を図る。この人数差ならできるはずだ。
「私に続け!我が魔法剣は全てを切り裂く正義の剣なり!」
掛け声と共に私は『魔法剣・炎』で剣に炎を纏わりつかせ、敵軍に向かいその剣を振るう。
炎の渦で道を作り、私の部隊はその中を真っ直ぐ駆け抜ける。リンゼイアとの戦いが始まった!
◇
操られた兵士達などアレスガルド軍の敵ではなかった、本来のリンゼイア兵であったら包囲殲滅されてしまっていたかもしれないが、包囲するどころか押し返されてしまい軍は崩壊していく。
アレスガルド4将軍の面々は手ごたえのなさに首をかしげたが、ユーフィリス王女を手助けすべく中央に向かって部隊を走らせた。
◇
予定通り敵軍の中心を突破した私達はリュカーン王子…いや魔物の部隊に対し攻撃をしている。
リュカーンからは黒いオーラが吹き出ており、おそらくA級モンスターでも上位、いやS級かもしれないほどの魔力を感じる。
「『魔法剣・雷撃』!」
私の稲妻の剣がリュカーンに届くかというところでリュカーンが右手を振るい雷撃をはじく。
「ふふふ、ユーフィリス王女。どうしました?その程度では私は倒せませんよ?」
「貴様などに私は負けん!リュカーン王子に化けた魔物め、我が剣で滅してみせる!」
◇
戦いはじめてどのくらいの時がたったのだろうか、私の魔法剣とリュカーンの魔法に、周りの兵はうかつに近づく事ができず離れたところで戦っている。
攻撃をし、受け、かわし、お互いに致命傷を受けてはいないものの、すでに馬はなく地に足を付けている状態だ。
「『神速』!『魔法剣・氷結』!」
『神速』でリュカーンの背後に回りこんでからの『魔法剣・氷結』、直接当てる攻撃ならばはじかれる事もない!
振り返ったリュカーンは左手で剣を受け止めたが、そこから氷結の効果で腕を凍らせていく。
「動きは止めた、もう逃げられないぞ!」
「動きを止められたのははたしてどちらなのでしょうね?」
「何っ!?」
リュカーンは左手で此方の動きを止めたまま、私の左手に持つ盾に右手を添えた。
「エクスプロード!」
私の盾が吹き飛ぶ、左手もその衝撃でずたずたにされてしまった。
「くっ…!」
「威力が強すぎると私も吹き飛んでしまいますのでね、手加減させていただきましたよ。さて、次はあなた自身を吹き飛ばしますよ!」
手を伸ばしてくるリュカーン。
「私をっ、なめるなぁー!」
リュカーンに抑えられている右手に持つ剣を手放すと、奥の手を使う為に手刀の形をとる。
「『魔法剣・聖』!」手刀から白く輝く剣が伸びる。
「ホーリーブレェェェェェェード!」
一気にリュカーンに突きこむ。
リュカーンの心臓部を貫くと同時に、私の体の右側がやつのエクスプロードで吹き飛ばされた。
「あの状態から…相打ち…とは…」
「言っただろう…我が剣で滅すると…」
「ふふ…しかし目的は果たしたのでよしとしましょうかね…」
「何!?」
「この戦争自体を…貴方を仕留めるために起こしたのですよ。貴方さえ倒せればそれでいいのです…」
「どういう事だ!」
「貴方の魂は…輪廻に乗せねば…ならない…グッ」
「何を言って…いる…」
目の前が暗くなっていく。輪廻?どういう事なんだ、私の魂は生まれ変わると言うのか…
そうだ、クレイドに必ず帰ると言った…もし生まれ変わるというのなら、帰らなければ…必ず…
ステータス
名前 ユーフィリス・レイアス・アレスガルド
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スキル 『剣聖Lv9』
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