僕はスキルで思い出す

魔法仕掛けのにゃんこ

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三章 陰謀のトライアド王国編

魔族との戦い

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アレスガルド王国より東へ7日ほど、隣国トライアド王国は通常ありえないほど近い距離にある。だが二つの国の間には南北に渡る大渓谷によりはばまれ、かつて戦争をしていた頃には橋は落とされ行き来ができない時期もあった。
現在両岸を繋ぐ「天をかける橋」と呼ばれる巨大な橋は二カ国の友好の証として人々に親しまれている。

今僕たちを乗せた馬車は「天をかける橋」を渡り始め渓谷の半ばをすぎようとしていた。

「この橋って本当に大丈夫なんですか?」

橋の幅は馬車二台が行き交うことができるほど広く問題はないのだが、馬車の窓から覗き込むと、見えないほど深い谷底に圧倒されて、僕もミリスもちょっとだけどきどきしていた。

「この橋は東西の交易路の要ともいうべきものですから、特に安全性には力をいれているので大丈夫ですよ?」

オーファスさんも断言してくれたので大丈夫……大丈夫……

ドォン!

何かの爆発音がしたと思ったら、僕らの前に走っていた馬車が横倒しになり谷底へと落ちていった。
こちらの馬車は巻き込まれないようその脇をぬけ、御者さんの判断なのか馬に鞭をいれて加速をはじめた。

「アルノ!オーファスさん!あれ、あそこみてください!」

ミリスが指をさしたところをみてみると、全体から炎を吹き出し、頭に2本のねじれた角、上半身は人だが下半身は山羊、手には禍々しいとしかいえない槍を持った男がこうもりの羽をはためかせて浮かんでいた。

「あれはおそらく魔族ですね……アルノ君、アレに『神眼』を使ってみてください!」

「わかりました!『神眼』!」

ステータス
名前 デクルズ
種族 魔族
職業 魔公爵
ユニークスキル 『獄炎Lv10』

スキル     『槍魔Lv10』
        『高速飛翔LV8』

「デクルズ……魔公爵?炎の攻撃とあの槍を使ったスキルを持っているみたいです!」

「デクルズ!?魔王軍の幹部だと言われている魔族です!なぜこんなところに……このまま馬車で抜けてしまいましょう!」

馬車は魔族を引き離すべく猛スピードで橋をかける、デクルズはこっちを追う事にしたようで羽ばたかせながら追いかけてくる。
オーファンさんが馬車の窓から身を乗り出し水魔法をデクルズに向かって撃っているが、当たる前に蒸発しているようで届いている様子がない。僕の弓も相手に届く前に燃やされているようだ。

デクルズが槍を横に凪ぐと馬車の進む先に炎の壁を出現させた、こちらの足止めを狙っているのか?

「私が馬車の前に『守りの盾』を出します!そのまま行ってください!」

ミリスの守りの盾をつかい馬車は炎の壁を突っ切った!いいぞ、ミリス!このまま向こう岸まで……

ドンッ

鈍い音と共に馬車が止まった。前を見ると二頭の馬を両手に抱える大男、デクルズじゃないもう1人の魔族であろう男がこちらをみて口元に笑みを浮かべていた……





ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 貴族(準男爵)
ユニークスキル 『思い出す』
        『魔法剣Lv5』
        『神眼Lv1』

スキル     『腕力強化Lv3』
        『集中Lv2』
        『気配察知Lv1』
        『剣聖Lv9』
        『神速Lv6』
        『神聖魔法Lv1』
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