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第四章 国難
その二十五 王女の治療
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「……驚かんのだな?」
アガラ―トは俺の顔を見て不思議そうにそう零した。
第一王女が病を患った……それは確かに国にとっての一大事であり、大抵の人間はそんなことを聞けば錯乱、とまではいかずとも驚愕することは間違いないだろう。
「生憎……予めルンが呼び戻される理由として、王女の病気は想定してたんでね」
逃げ出した王女の捜索を再開する理由……ルンは「事情が変わった」と言っていた。
つまりそれはルンが必要になったということだが、『光属性持ち』の武力をあてにしたわけではないだろう。
それならば貴族の礼儀を学ぶ必要性は薄い。
ありえるとすれば、それは政治的な……または権力的な理由。
王族のいざこざとしてありきたりなのは継承権や権力争いに関すること……
そう考えた俺が『上位継承権保持者の死』またはその『罹患』という可能性に至るまであまり時間はかからなかった。
そこまで説明するとアガラ―トは納得の、そして感心するような表情を浮かべた。
「なるほどな……貴様の言う通り、次期国王が病に伏せたことで、我々はルルティアの捜索を決めた。ララティアの病因も分かっていないが故に……次女のリリティアだけでは余裕を持てなくなったのだ」
アガラ―トの言葉に、テイルは眉をしかめた。
この言い方から察するに、ララティアの病状はかなり悪いのだろう。
王城で安全に暮らしているはずの王族が病に伏せる……ありえないことではないが、そこに『何者かの意図』が隠れている可能性は十分にある。
少なくとも、王城に残った王位を継げるものが一人だけではアガラ―ト達が焦るほどには。
つまり……もしララティアの病が人為的なものであれば、次女も危うい、と。
そういうことだろう。
「当然我らとて、ララティアの病が治るのであればそれが一番だ。……貴様にとってはルルティアのことは許せんかもしれんがな。だが……病の原因も……それどころか病名も、病気なのかすらも我々ではわからんかった」
病気なのかも分からない。
国王の言葉に思わず唸った。
不治の病だというのならまだしも……毒なのか病なのかも分からないとは。
当然王家が抱える医者には診せたはずだ。
それでも分からないとなるというのは――と、そこまで考えたところで。
テイルは弾ける様に顔を上げた。
「……どうした?」
その様子に、アガラ―トは訝しむようにテイルを見た。
それはその場にいたテイル以外の者たちも同じだった。
一度閃いた思考を精査してから、口を開いた。
「出来れば……俺に第一王女を診せてくれないか?もしかしたら……もしかしたら、治せるかもしれない」
差し出された微かな『希望』に、アガラ―トは目を見開いた。
楽観視しているわけでない強い意志を感じさせるその瞳に、彼は強く頷いた。
◇◇◇
王城の階段を上った先にあった豪奢な装飾が施された扉――
――第一王女の私室である。
しかし病に伏して以来王女は動くこともままならず、ただの病室と化したこの部屋には扉に合わない雰囲気の実用的な家具ばかりが置かれていた。
王女は窶れ、どんな医者に見せても病名すらわからないことから、半ばあきらめ始めていたのだとアガラ―トは自嘲気味に語った。
だが彼を責めることはできないだろう。
ララティアが寝込んでから既に一年……病状は悪化するばかりで今では滅多に目を覚ますこともないという。
医者の懸命な努力で命が繋がれてこそいるが、顔は青ざめ身体は痩せ衰え、ルンやアガラ―トを彷彿とさせるその美麗な顔も、むしろ暗く儚い印象を与える。
大金をつぎ込んだであろうベッドに横たわる彼女は、見るからに弱弱しい。
浅い呼吸を繰り返すばかりで、俺が部屋に入った時も一切反応は示さなかった。
先が長くないことは容易に想像できるだろう。
諦めそうになるのも無理はない。
アガラ―トいわく高位回復薬や不老薬でも出来るのは延命のみ、治療には全く手が届いていないという。
そこまでくれば呪いの類が最も疑わしいのだが、どんな方法でも解呪できなかったらしい。
ただの病気ではないのは明らか。どうしてこうなったのかはとても興味深いが、今は治療が先決だろう。
もちろん、出来るかどうかは別として。
「それで……アガラ―ト、いいんだな?」
「……ああ。どのみち他の手段など残っていない。おぬしに頼る以外はないのだ……当然、終わったら説明してくれるのだろう?」
「ああ……勿論だ。……治せればな」
聞こえないよう呟きながら、第一王女へ目を向ける。
横たわる彼女は今も尚生命力が減少しているのだろう。
出来ることならば……元弟子に辛い思いをさせたとはいえ、治してやりたい。
このまま死なせるのは、ルンにとっても辛いだろう。
彼女は人の死を心から望めるような人間ではないのだから。
ルンと同じく蒼い髪は、心なしか色が薄いように思える。
力なく閉じた瞳を一瞥し、腹のあたりに手を翳す。
部屋に入った時点で分かってはいたが、彼女からは妙なものを感じる。
腹の奥底、燻る様な『嫌な感覚』に向けて魔力を流す。
満遍なく浸った魔力から、その『嫌な感覚』の正体が伝えられる。
そして……その正体は予想通りのもの。
(やはり……これは『呪い』の類か)
(『わたくしには分かりませんが……間違いなく何者かが故意に仕掛けたものでしょう』)
(…?ラナ達には分からないのか?)
疑問に思ったことを尋ね、帰ってきたのは肯定の意だった。
以前から感じてはいたが、どうやらラナとロベリア……剣の中に在る彼女たちの『意識』は、俺が見て触れたもの全てを感じ取るわけではないらしい。
具体的な『感じ取れるもの』についても推測できるが、今は触れないでおこう。
今は正しく一刻を争う状況。決して余裕はない。
更に魔力の流れを意識し、『嫌な感覚』もとい『呪い』の詳細を探る。
呪いをかける方法は魔道具を用いる、魔獣の力を利用する、など数多くあるが、それに共通するのは『負の効果』を与えること。
『呪い』と呼ばれる所以である。実際は魔法の一種だと言えるだろう。
解呪の方法も多くあり、その内最も有名なのが魔法による解呪なのだが……そもそも呪いは感じ取ることすら難しい。その多くが呪いをかけられた人物の魔力に馴染んでしまうからだ。
それでも解呪できないということは、その根を直接断つしかないだろう。
俺が治療を名乗り出たのは英霊の島で得た知識と能力があるからだ。
当然それを用いても治療が出来ないものである可能性はある。
だが、呪いというのはいわば『魔法で造った毒物』のこと。
ならば――
王女に触れた掌から衣服越しに大量の魔力を送り込む。
背後から息を呑む気配が伝わるが、今は気にしない。
人間に魔力を送り込むという行為は、基本的に医療に用いられる。
体内の状態を探るためだが、それには高度な技術が必要とされ……拙い技術では送り先にもともとあった相手の魔力と反発しあい送り込まれた人間は酷い激痛を覚える。
だが……魔獣が跋扈するあの島で手に入れた能力ならば。
伝説になるような魔獣というのは、その多くが特異な能力を持つ。
そして……俺は、数百、あるいは千に上る魔獣の能力を封じ込めた石を喰らった。
それにより獲得した能力の一つ――俺が『魔力支配』と呼んでいる能力。
自身の魔力で他の魔力を侵食し、その名の通り支配する。
戦闘中に使うのは難しい能力だが、今の状況ならば問題ない。
――大量の魔力で押しつぶし、塗りつぶし、取り込む――……
――抗うな……消えろ!!――
王女の中にあった『嫌な感覚』が――消えた。
――ふう、と。
息を吐き、手を離す。
この状況だけでも下手をすれば不敬罪に問われるので、立ち上がりすぐに離れる。
「……終わったのか……いや、治ったのか?」
神妙な顔でアガラ―トに尋ねられ、首肯を返す。
その瞬間、アガラ―トだけでなく、その傍にいたレイン、ルン、ロヴィアも歓喜に顔を染めた。
見たところ……王女の歳はルンと大差ないだろう。
おそらく二つか三つ。ルンをイジメていた時は彼女もまた若かった。
俺の勝手な予想だが……おそらく、ルンがあ行方不明になってからの彼女は、そこまで彼女に対する恨みも妬みも無かったんじゃないだろうか。
アガラ―ト達の表情を見ていてそう思った。
心の底から嫌な人間なのであれば、あそこまで苦悩することがあるのだろうか、と。
その答えは……彼女と話せば分かるだろう。
少なくとも俺は……自分がしたことは、『政治の為に必要な意地悪王女の治療』ではなかったように思う。
アガラ―トは俺の顔を見て不思議そうにそう零した。
第一王女が病を患った……それは確かに国にとっての一大事であり、大抵の人間はそんなことを聞けば錯乱、とまではいかずとも驚愕することは間違いないだろう。
「生憎……予めルンが呼び戻される理由として、王女の病気は想定してたんでね」
逃げ出した王女の捜索を再開する理由……ルンは「事情が変わった」と言っていた。
つまりそれはルンが必要になったということだが、『光属性持ち』の武力をあてにしたわけではないだろう。
それならば貴族の礼儀を学ぶ必要性は薄い。
ありえるとすれば、それは政治的な……または権力的な理由。
王族のいざこざとしてありきたりなのは継承権や権力争いに関すること……
そう考えた俺が『上位継承権保持者の死』またはその『罹患』という可能性に至るまであまり時間はかからなかった。
そこまで説明するとアガラ―トは納得の、そして感心するような表情を浮かべた。
「なるほどな……貴様の言う通り、次期国王が病に伏せたことで、我々はルルティアの捜索を決めた。ララティアの病因も分かっていないが故に……次女のリリティアだけでは余裕を持てなくなったのだ」
アガラ―トの言葉に、テイルは眉をしかめた。
この言い方から察するに、ララティアの病状はかなり悪いのだろう。
王城で安全に暮らしているはずの王族が病に伏せる……ありえないことではないが、そこに『何者かの意図』が隠れている可能性は十分にある。
少なくとも、王城に残った王位を継げるものが一人だけではアガラ―ト達が焦るほどには。
つまり……もしララティアの病が人為的なものであれば、次女も危うい、と。
そういうことだろう。
「当然我らとて、ララティアの病が治るのであればそれが一番だ。……貴様にとってはルルティアのことは許せんかもしれんがな。だが……病の原因も……それどころか病名も、病気なのかすらも我々ではわからんかった」
病気なのかも分からない。
国王の言葉に思わず唸った。
不治の病だというのならまだしも……毒なのか病なのかも分からないとは。
当然王家が抱える医者には診せたはずだ。
それでも分からないとなるというのは――と、そこまで考えたところで。
テイルは弾ける様に顔を上げた。
「……どうした?」
その様子に、アガラ―トは訝しむようにテイルを見た。
それはその場にいたテイル以外の者たちも同じだった。
一度閃いた思考を精査してから、口を開いた。
「出来れば……俺に第一王女を診せてくれないか?もしかしたら……もしかしたら、治せるかもしれない」
差し出された微かな『希望』に、アガラ―トは目を見開いた。
楽観視しているわけでない強い意志を感じさせるその瞳に、彼は強く頷いた。
◇◇◇
王城の階段を上った先にあった豪奢な装飾が施された扉――
――第一王女の私室である。
しかし病に伏して以来王女は動くこともままならず、ただの病室と化したこの部屋には扉に合わない雰囲気の実用的な家具ばかりが置かれていた。
王女は窶れ、どんな医者に見せても病名すらわからないことから、半ばあきらめ始めていたのだとアガラ―トは自嘲気味に語った。
だが彼を責めることはできないだろう。
ララティアが寝込んでから既に一年……病状は悪化するばかりで今では滅多に目を覚ますこともないという。
医者の懸命な努力で命が繋がれてこそいるが、顔は青ざめ身体は痩せ衰え、ルンやアガラ―トを彷彿とさせるその美麗な顔も、むしろ暗く儚い印象を与える。
大金をつぎ込んだであろうベッドに横たわる彼女は、見るからに弱弱しい。
浅い呼吸を繰り返すばかりで、俺が部屋に入った時も一切反応は示さなかった。
先が長くないことは容易に想像できるだろう。
諦めそうになるのも無理はない。
アガラ―トいわく高位回復薬や不老薬でも出来るのは延命のみ、治療には全く手が届いていないという。
そこまでくれば呪いの類が最も疑わしいのだが、どんな方法でも解呪できなかったらしい。
ただの病気ではないのは明らか。どうしてこうなったのかはとても興味深いが、今は治療が先決だろう。
もちろん、出来るかどうかは別として。
「それで……アガラ―ト、いいんだな?」
「……ああ。どのみち他の手段など残っていない。おぬしに頼る以外はないのだ……当然、終わったら説明してくれるのだろう?」
「ああ……勿論だ。……治せればな」
聞こえないよう呟きながら、第一王女へ目を向ける。
横たわる彼女は今も尚生命力が減少しているのだろう。
出来ることならば……元弟子に辛い思いをさせたとはいえ、治してやりたい。
このまま死なせるのは、ルンにとっても辛いだろう。
彼女は人の死を心から望めるような人間ではないのだから。
ルンと同じく蒼い髪は、心なしか色が薄いように思える。
力なく閉じた瞳を一瞥し、腹のあたりに手を翳す。
部屋に入った時点で分かってはいたが、彼女からは妙なものを感じる。
腹の奥底、燻る様な『嫌な感覚』に向けて魔力を流す。
満遍なく浸った魔力から、その『嫌な感覚』の正体が伝えられる。
そして……その正体は予想通りのもの。
(やはり……これは『呪い』の類か)
(『わたくしには分かりませんが……間違いなく何者かが故意に仕掛けたものでしょう』)
(…?ラナ達には分からないのか?)
疑問に思ったことを尋ね、帰ってきたのは肯定の意だった。
以前から感じてはいたが、どうやらラナとロベリア……剣の中に在る彼女たちの『意識』は、俺が見て触れたもの全てを感じ取るわけではないらしい。
具体的な『感じ取れるもの』についても推測できるが、今は触れないでおこう。
今は正しく一刻を争う状況。決して余裕はない。
更に魔力の流れを意識し、『嫌な感覚』もとい『呪い』の詳細を探る。
呪いをかける方法は魔道具を用いる、魔獣の力を利用する、など数多くあるが、それに共通するのは『負の効果』を与えること。
『呪い』と呼ばれる所以である。実際は魔法の一種だと言えるだろう。
解呪の方法も多くあり、その内最も有名なのが魔法による解呪なのだが……そもそも呪いは感じ取ることすら難しい。その多くが呪いをかけられた人物の魔力に馴染んでしまうからだ。
それでも解呪できないということは、その根を直接断つしかないだろう。
俺が治療を名乗り出たのは英霊の島で得た知識と能力があるからだ。
当然それを用いても治療が出来ないものである可能性はある。
だが、呪いというのはいわば『魔法で造った毒物』のこと。
ならば――
王女に触れた掌から衣服越しに大量の魔力を送り込む。
背後から息を呑む気配が伝わるが、今は気にしない。
人間に魔力を送り込むという行為は、基本的に医療に用いられる。
体内の状態を探るためだが、それには高度な技術が必要とされ……拙い技術では送り先にもともとあった相手の魔力と反発しあい送り込まれた人間は酷い激痛を覚える。
だが……魔獣が跋扈するあの島で手に入れた能力ならば。
伝説になるような魔獣というのは、その多くが特異な能力を持つ。
そして……俺は、数百、あるいは千に上る魔獣の能力を封じ込めた石を喰らった。
それにより獲得した能力の一つ――俺が『魔力支配』と呼んでいる能力。
自身の魔力で他の魔力を侵食し、その名の通り支配する。
戦闘中に使うのは難しい能力だが、今の状況ならば問題ない。
――大量の魔力で押しつぶし、塗りつぶし、取り込む――……
――抗うな……消えろ!!――
王女の中にあった『嫌な感覚』が――消えた。
――ふう、と。
息を吐き、手を離す。
この状況だけでも下手をすれば不敬罪に問われるので、立ち上がりすぐに離れる。
「……終わったのか……いや、治ったのか?」
神妙な顔でアガラ―トに尋ねられ、首肯を返す。
その瞬間、アガラ―トだけでなく、その傍にいたレイン、ルン、ロヴィアも歓喜に顔を染めた。
見たところ……王女の歳はルンと大差ないだろう。
おそらく二つか三つ。ルンをイジメていた時は彼女もまた若かった。
俺の勝手な予想だが……おそらく、ルンがあ行方不明になってからの彼女は、そこまで彼女に対する恨みも妬みも無かったんじゃないだろうか。
アガラ―ト達の表情を見ていてそう思った。
心の底から嫌な人間なのであれば、あそこまで苦悩することがあるのだろうか、と。
その答えは……彼女と話せば分かるだろう。
少なくとも俺は……自分がしたことは、『政治の為に必要な意地悪王女の治療』ではなかったように思う。
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