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第一部
ep5. 触れる
しおりを挟む触れられていないのに、絶頂に至る。
そしてそれをみんなに見られる。
こんな辱め、人生で初めての経験だった。
気力を保つことができなくなった私は嗚咽をあげ、目元からはポロポロと涙が溢れて止まらなくなってしまう。
「あぅ……うっ、うぐっ……」
それはもう、本当に無様な姿だったと思う。
次期生徒会長としての威厳なんてこれっぽっちもなくて、いじめられっ子の女児とそう変わらない姿だった。
「あ~あ、みづきちゃん泣いちゃった…………こころちゃんのせいだよ~?」
「え、私? 私だけのせいじゃないでしょ!? ……もう、ごめんねみづきちゃん。ちょっと私たちエスカレートしすぎて、いじめすぎちゃった。ごめんなさいね」
篠塚先輩が私の頭を優しく撫でる。
「んぁ……あぅ……」
優しい手つきで髪を触られ、無意識に甘い声が漏れる。
まるで宙に浮いているような浮遊感があって、だんだんと眠たくなっていく。
「ほーら! 私だけじゃなくて、エリーも謝りなって。みんなを主導して、みづきちゃん、こんなにしちゃったのあなたでしょう?」
「え~……うん、確かにちょっといじめすぎちゃったかも…………ゴメン」
歯切れの悪い口調で、橋下先輩が謝る。
「だって、みづきちゃん。エリー反省しているみたいだから、みづきちゃんも許してあげて、ね?」
まるで子供の喧嘩を仲裁する先生のように、篠塚先輩が言う。
「……うん」
私は小さく頷いた。
「よしよし、みづきちゃんはいい子ね」
また篠塚先輩が私の頭を撫でてくれる。
子供扱いをしているような言い方をにも聞こえるが、あの地獄のような時間から解放されたばかりの私は、それを普通に好意として受け止めてしまう。
「私たちもごめんね、ちょっと楽しくなりすぎちゃったというか……」
「やりすぎちゃった……かな?」
「……ごめんなさい」
橋下先輩が頭を下げると、周りの彼女たちも同様に申し訳なさそうな声で謝り出す。
気分がいい……とはまた違うけど、底の見えない恐怖が消えていくような感覚があって、だんだんと心が暖かくなっていく。
「あとね、画像をネット上にあげるって言ったのも……あれ嘘だからさ、ちょっとした冗談というか~、そういうこと言ったらみづきちゃんどんな表情するんだろうって気になっただけで~…………とにかくごめんなさい!」
「だって。エリーはああ言ってるわよ? どうする? 許す?」
「……う、うん」
そうとしか返事ができない。
まだ私の心臓はばくばくと鼓動していて、頭の中も半分夢のような覚醒しきっていない状態が続いている。
深く頭を働かせる力がない。
だから適当な返事しかできない。
「ありがとうみづきちゃ——いや、みづき会長! これはこの学校の風習みたいなもので、私たちも好きでやってるわけじゃないんだよ~」
「……うん」
「あ~次期会長はなんて素敵な人何だろう! これからも私はみづき会長のこと全力でサポートするからね!」
「……うん」
「あ~、でも~…………イくの我慢できなかったお仕置きはちゃんとやるからね?」
「……うん…………え?」
少し遅れて、その言葉の意味を理解する。
その瞬間、スッと頭を覆っていた霧のようなものが一気に晴れて、意識が覚醒する。
さっきのは、聞き間違い…………そう思いたかった。
だけど、橋下先輩の表情を見て、その言葉が聞き間違いなんかではなかったのだと確信する。
「ええ、そうね。生徒会室の床、こんなに汚しちゃったんですものね。罰を……受けないとね」
さっきまで優しく撫でていた篠塚先輩の手つきが変わる。
篠塚先輩は私の体を背後から抱き寄せると、羽交い締めをするようにがっしりと私の体を押さえつけた。
「いやッ、せんぱ……離し……てっ!」
「うん、離してあげるよ。罰を受けた後に、ね?」
まだ体の震えが治まらない私の体を先輩は強く抱きしめる。
痛みはない、けれど振りほどくこともできない。
「ふふっ、じゃ~あ、みずき会長が受ける罰は~、ジャラジャラジャラジャラジャラ…………ジャン! 絶頂地獄の刑で決まりです!」
「——なっ!?」
「ははッ! いい顔ね~! さっきまでトロンとした顔してたのに、急に絶望顔になっちゃったね~、か~わいい~」
橋下先輩がグイと顔を寄せて、私の顎に指を添わせる。
後ろからは篠塚先輩の吐息を感じて、前からは鼻がぶつかってしまいそうなほど近くから橋下先輩の視線を感じる。
「……っ」
それだけで私は蛇に睨まれたように、何もできなくなってしまう。
「こ~んなに綺麗な体してさ、こっちが一切触らずに、ただ一人だけ気持ちよくなって終わりなんてさ、そんなのズルいでしょ~。……もっともっと、私たちを楽しませてよ」
「くぅ……ッ!?」
人差し指でそっと、太ももの辺りを撫でられる。
「そうよ。こんなイジメがいのある体に生まれてきた、あなたが悪いのよ?」
「ふぁあッ!?」
今度は腹部の辺りを。
二人の指が私の体をいやらしく行き来する。
それはまるで二匹の蛇が体の上を這いずって、品定めをしているような感覚。
クスリと二人の鼻で笑う声が重なって聞こえた。
同時に二人の指が止まる。
背筋がゾクリとする。
「じゃ、いただきま~す!」
「たくさん愛してあげるからね」
「——くぅッ!?」
指の動きが激しさを増す。
篠塚先輩の指は腹部の方から胸の方へと移動し、ブラの合間に指が入り込む。
橋下先輩の指は太ももからショーツの方へと移動し、股関節の辺りを撫でる。
——耐えなくちゃ。
そう思って口を噤んでは見るけれど、幾度と絶頂を繰り返した私の体がそんな責めに耐えられるはずもなくて——
「くぅ……っ、うぁあんッ!?」
頑張って我慢はしてみるけれど、やっぱり声が漏れてしまう。
二つの腕を使って二人の手を止めようとするけれど、震えた腕ではろくな抵抗にすらならない。
「ふふっ、お胸の突起、みーつけた」
「あっ……ああッ!? そこ、だめ……っ」
体がピクピクと震える。
ブラの中に入り込んだ指が私の乳首の周辺を撫でる。
まるで私を弄ぶかのように。
「ん? だめなの? あ、こっちの先っぽも見つけちゃった」
「んぅッ……!?」
背筋が意識とは別に勝手に反り上がって、全神経が胸の先端に集中する。
篠塚先輩は私の反応を楽しむようにクスクスと笑っている。
「つまんじゃおっかなぁ、どうしようかなぁ。でも、触れてもないのにイっちゃうの女の子の乳首をつまんだら……どうなっちゃうんだろうねぇ? ふふっ」
「うっ…………ぐっ、そんな……責め、なんかに……ッ」
主導権は完全に握られてしまっている。
いつ胸の先端を責められるのか、全ては篠塚先輩の気分次第。
だから、嫌でも篠塚先輩の一挙一動に集中してしまう。
耐えられるかどうかは…………分からない。
でも、一番怖いのは意識の外側から急な快楽がやってくること。
だからそれだけは絶対に避けなくちゃ——
「胸に集中しすぎだよっ! み~ずきちゃん!」
「へ……あッ?」
ショーツに指が入り込む。
橋下先輩の指は私の意識が追いつくより早く私のクリトリスにまでたどり着き、なんの躊躇もなく————一気につねり上げる。
「ぎゅっ!」
「——ひぃいいッ!!? いっ——ぎぃいいいいいいッ!!?」
プシュ、プシャ、プシャアアアアッ——
屈辱的な音が下半身から何度も何度も吹き上がる。
キュッ、キュッとお腹が何度も閉まって、ビクンビクンと体が震え、自分の体を自分で制御できなくなる。
「あっはは~、ほんとクリちゃん責められるの弱いよね~。こころの責めに集中しすぎて、それ以外の場所が疎かになる。確かこれ、さっきも同じことされたよね? みずき会長は学習能力がないなぁ~。ほら、ほぉらっ!」
「んっ、くぁあああッ!? ダメッ! 今責めないでぇええッ!!」
まだ絶頂の最中だというのに、先輩は責めを止めてくれない。
陰核を摘んだり、押し込んだりして、私を快楽から解放してくれない。
「ほぉら、今度はそっちに意識を集中しすぎ……よッ!」
「はひぃんッ!? ひっ……い……いあぁああああああッ!!?」
今度は胸。
乳首の先端を同時にピンと弾かれる。
飛び散る愛液の量が増す。
もうここが気持ちよさの頂点だと思っていたのに、それを塗りつぶすさらなる快楽で頭を真っ白にされる。
「あっ、ンギュ!? ンぁああああああッ!!」
ギュ、ギュ、ギュっと先輩たちが示し合わせたように先端を同時につねると、もはや私は喘ぎ声を上げる楽器のように、嬌声を上げることしかできなくなる。
「ほら、もっともっとイきなさい!」
「地獄は始まったばかりだからね~!」
三つの先端がぎゅっと捻りあげられた後、パチンと弾かれる。
その瞬間、今までで一番の快楽が私を襲う。
「ひぁああああッ!!? い、イクの止まらなッ——ひぅううッ!!? ふぁあああああッ!!」
室内に響く絶叫。
強すぎる絶頂の余韻に、責めが終わった後も私は一人で何度も何度も絶頂を繰り返した。
呼吸が落ち着くまで、しばらく時間がかかった。
その間、二人が私を責めることはなかった。
「はぁ……あ……いや、ぁ…………終わった……の……?」
少しして、私は荒い息をあげながらも声を出すほどの元気を取り戻す。
二人はもう満足して、私への責めはもう終わったのだろうか。
「ちょーっと、なに二人で楽しんじゃってるの!?」
「ずるい……私も触りたい……」
「私も私もー!」
だが、返事をしたのは篠塚先輩でもなく橋下先輩でもなく、周囲を取り巻く彼女たちだった。
「ごめんね、みずきちゃん。私は結構楽しんだから、もうみずきちゃんのことを解放してあげたいのだけれど…………彼女たちがまだ満足してないみたい。ゴメンね」
「だから言ったでしょ~、絶頂地獄の刑だって。ほら、もっとみんなと遊んであげて。こんなのまだまだ地獄というに優しすぎるでしょ?」
二人から紡がれる絶望的な言葉。
私を囲う彼女たちが、一気に腕を伸ばしてくる。
「あっ、いや、いやああああああッ!!」
指を、腕を、足を、腰を、私が認識できる範疇を優に超え、様々な場所をまさぐられる。
私にできるのは、それらの責めに耐えるという選択のみ。
できるだろうか?
もう限界なんて、とうに超えているはずなのに。
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