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エピローグ/後日談
24. 時を越えて(8)*
しおりを挟むするりと下腹部に手を這わせ、そのまま下着の上から秘部を一度撫でる。
達したばかりで辛いのか、いや、とかすかに身体をよじりながら、シアはそれでも甘い息を吐いた。
「んぁっ、あっ、んあっ」
鼻に掛かったようなその声がずっしりを腰を重くしていく。下着をずらせばしたたり落ちる蜜で秘部はぐっしょりと濡れていた。陰唇を指先でカリカリと掻くように愛撫する。ぁっ、あっ、とかすかに息を上げ始めたシアを見つめて、エルナドは口をゆるめた。
自分の愛撫で乱れる妻を見るのは、楽しくて、それだけで気持ちがいい。
こんな風に触れ合い、愛し合う性交をするのはシアだけだ。これまでも、そしてこれからも。
指先での愛撫に感じはじめた陰核が、赤い宝珠のようにひくひくと濡れている。ちゅ、と唇に含んで愛撫すれば、シアは全身をのけぞらせ、まるで初めてのような反応を見せた。
シアはいつまでたっても初々しい。本人が「だって恥ずかしいのだもの」と顔を真っ赤にすることもふくめて、感じやすい身体はいつまでたっても敏感だ。
やめて、と甘く漏らすけれど、やめてやれない、可愛すぎる。
「シア……っ」
「んっ、やぁっ、そん、な、ふれ、方……しないでっ」
舌で、今度は叩くようにして陰核を刺激し、そのまま指で膣の浅いところを出し挿れすれば、シアは涙目で自分を見上げて首を振った。ただこれで手を止めてしまうと、妻はあからさまに残念な色を瞳にのせる。
もう互いにわかっているのだ。互いの愛し方も、その強度も。
すでに大量の愛液の滴っていた膣口に触れれば、そこはちゅぷ、ちゅぷといやらしい水音を立てながらエルナドの指を食んでいく。
「ねえ、エル……わたし、変じゃない?」
その言葉に、唇での陰核の愛撫を止めた。
シアの声は、細く、震えている。
「エルのいままでの人、にくらべて、ちゃんとできてるかしら?」
「どうした、急に」
「わたし、こういう経験がエルとしかないでしょう? だから、わからないの。その……他の女の人に、負けたくないの」
愛撫されながら、達したばかりのとろんと紅潮した頬でそんなことを言われて。
激しく愛さずにいられる男がいたら、見てみたいものだ。
「エル……わたしね、あなたが好きでどんどん欲張りになってしまってるみたい」
「いいんだ」
そっと額に口づける。
一度達したそこは、じっとりと汗ばんでいた。
「むしろ……シア、私が生涯愛しているのは君だけだということを、改めて証明できる機会だと思えば悪くない。きみこそ、私を不安にさせる」
「え?」
思わず出てしまった本音に、シアがきょとんと首を傾げた。
「どうして? わたし、こんなにもエルが好きよ……エル以外の人なんて、触れられたくもないわ?」
「シアの琴線に触れる男と、まだ出会っていないだけかもしれない。きみは私以外の男を知らないから」
「そんな、こと、ないわ……ぜったい、に」
シアは黙って、私の顔を見上げる。
情けない顔になってしまっているかもしれない。
現実では考えたくもない話だ。だがそっと視線を伏せれば、くすりとシアが眼下で笑った。
「あるわけないわ。だって――あなた以上に素敵な人なんて、この世にいないって、わたしは本気で思っているの。本当よ?」
そう言って、シアは私の頬にぴとりと手を寄せた。
「この長い黒髪が好き。匂いも、顔のかたちも。瞳だって、ほら……漆黒の奥に、藍色がきらきらしてて――美しくて、吸い込まれそうなの、好き。毎晩、顔を見るたびに思うの。『わたし、ほんとうにこの人と結婚できたんだ、幸せだ』って。きっと世界中を探しても、あなたじゃなきゃ、だめなの」
だから、と続けられてそっと手が惹かれて彼女の胸へを導かれる。
じっと見つめられる瞳。
「だから、ちゃんと抱いて。わたし――」
「シア」
「もう……我慢、できないの……っ」
言葉はもう、いらなかった。
下衣をくつろげて、自身の雄をシアの膣口に押しあてる。
「あっ、あっ……熱い」
くちくちと何度か浅く出し挿れすると、シアはいやいやとかぶりを振った。
「焦らさな、いで……、おねが、い、き、て、っ、ぁああっ!!」
叫び、自分に縋るように腕を伸ばす彼女を抱きしめながら、エルナドは腰を深く沈めた。
(続)
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