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第8章 疼きと贄
③*
しおりを挟む一度離れた唇を離すまいとするかのように、ぐいっと強く腰と背に腕を回して引き寄せられて、地面に足がつかないまま、貪られるよう唇を重ねられたあの口づけ。
ヒュールさんと過ごした日を思い出すと、じわじわとした熱が自分の身体を回っていくのがわかる。
寝台の布団の中、指先が身体をまさぐるのがやめられない。
ヒュールさんが撫でてくれた場所を、自分でゆっくりと辿る。髪を、首を、喉を、そして――太腿と、臍を。
股の間、わたしのショーツがぐっしょりと濡れていくのがわかった。でも股に触れるのは恥ずかしくて、太腿をこすり合わせながら、わたしの指はヒュールさんの舌に舐められた臍の穴へとそろそろと伸びていく。
「んぅっ、ふ、ぅ……っ」
熱くて、湿っていた、なめらかなあの舌。
思い出すように、すりすりと撫でる。そのままくすぐるように臍の穴に這わされたあの感触を思い出せば、背中の奥がピリピリとしびれた。
「はぁ、あ……っ」
(ん……っ、ヒュール、さ……んっ)
声が漏れてしまう。歯を噛みしめるようにして、わたしはなんとか喉奥へと濡れた声を呑み込んだ。
指が止まらない。止まって、くれない。
するりと股の間のぬかるみに降りて触れたそこは、熱くとろけて蜜をしとどに湛えていた。
(……っ、触れて……っ、さわって、欲しい、わたしの――)
「……っひゃあっ!」
指先で膣の入り口をカリカリとこするようにすれば、ビクン、と身体全体が跳ねて短く声がでてしまった。口を引き結んで何とか耐えようとしたけれど、無理だ。もう、体が、止まらない。
『ココ……いいかい? もうぐしょぐしょになってるね、気持ちいいのかな』
「ん、んぅ、そう、きもち、い、きもちいのっ、あぁ、あ、あっ」」
寝台の布団の中、下着に指を滑らせて、響くぐちゅぐちゅという浅ましい音。入口をひっかいているだけ。自慰というにも拙いそんな刺激で、わたしは涙をこぼして体を折り曲げる。
「……っ、ぁう、……!!!」
夜のまっくらな部屋は何の気配もなく、静まり返っている。浅いわたしの吐息だけが、あえかに響くだけ。
わたしは暗い布団の中で、密やかな甘い夢を見る。
おかしくなっていく身体に、少しだけ恐怖を覚えながら。
*****
そんな日々が数日過ぎた、ある朝だった。
「今日はこの衣装を着てちょうだい。ヒュール様の所に行くわよ」
「!?」
いつものように朝の採血を終え、身体を磨かれたところでラビさんに着替えを渡され、その言葉にわたしは目を見開いた。
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