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第10章 声を聴かせて
④*
「はぁ、あっ、あっ……」
息が苦しい。呼吸が、しにくい。
違う――身体中がおかしくなってるんだ。
ラビさんとシプさんによって、開発されたわたしの身体は、今男を求めている。
『ココ……っ、あああっ、ああぁ、ぐああ、あっ、あっ、く、そっ、クソッ……っ、あぁ、あ……っ!!!』
ヒュールさんの荒い吐息と、揺れる身体の動きは全く収まる様子がみえなかった。
性交に付き合う相手がいてなお、幾晩も続くという獣人の発情期。相手のいない自慰なんかでは、収まらないだろう。
大切なヒュールさんが、欲に浸され、壊れていく。
それを今、わたしは目の当たりにしている。
何とかしてあげたい。わたしに出来ることがあるのなら、何でもしてあげたかった。
苦しそうなヒュールさんを、放っておけない。
来るな、と言われていたのは、きっとこんな姿をわたしに見せないためだったんだろう。荒々しく狂って、欲にまみれるこの姿を。
いつもの穏やかで優しくて、甘い瞳で見つめてくれるヒュールさんを知っているからわたしも正直心が追いつかない。でも、わたしは部屋に来てしまった。そして見て、知ってしまったから。
――わたしは、助けたい。
苦しそうなヒュールさんを、放っておけない。放って、おきたくない。
それだけは、はっきりしていた。
「ヒュール、さん……っ」
『誰だ!』
絞り出したわたしの声に、寝台の黒い天蓋がシャッと引き裂かれるように開く。そして汗と自ら放った白濁に塗れたヒュールさんは、床にうずくまっているわたしを見て――固まった。
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