媚薬を作っただけなのに!

さわらにたの

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「っ! ……ここ、は?」

 うっすらと窓から差し込むのは月明かり。
 頭が痛い。ぼうっとする。

 わたしは、寝台のシーツの上で目を覚ました。
 そして頭を振る。見たこともない、めちゃくちゃ豪華な部屋だ。天蓋がついただだっぴろい寝台に、調度品もあれこれ、本当に煌びやかなものばかり。なんだか自分がお姫様になったみたい……。

「メル嬢!」
「うわあああ!!」

 そこで、視界にぬっと飛び込んできた男性にわたしは思いっきり声を上げた。
 アレクディール様だ!
 きっちりかっちりとした普段の騎士団の副団長服を身にまとっている、表情は暗いけれどいつも通りのアレクディール様だ。金色の瞳は今はさっきまでのピンク色の陰りもない。
 彼は、ザッとその場で床に座ると、わたしに向かって綺麗な土下座をした。

「申し訳ありませんでした!!!!」

 きっちりと寝台横の床にて、土下座をしているアレクディール様。
 やめてやめて、やめてください……! あなたは王国の誇る騎士団のナンバー2じゃないですか!

「あ、あの、やめてくださ、……うぅっ、痛っ」

 そういって止めようと寝台から起き上がろうとして、わたしは自分がまったく動けないことに気づいた。腰が、立たない。セックスのしすぎって本当に腰が立たなくなるんだ、ということを身をもって体験し、そのことになんだか現実味がなくてなぜか笑いがこみ上げてくる。
 でもくっ、と口元を覆ったわたしが涙でもこらえているとでも思ったのか、アレクディール様の表情の悲壮さが増した。

「大丈夫ですか!? 医術士を」
「い、いえいえいえ、大丈夫、です、ただ、あの……たくさん突かれ過ぎて、その、腰が」

 わたしの言葉に、一瞬でさらにワンランク上の悲痛な顔付きになってしまったアレクディール様。
 俺のせいで、と顔にでかでかと書いてあってかわいそうが過ぎる。
 大丈夫ですから、とりあえずここがどこなのかを聞きたいです、というわたしに、アレクディール様はまるで報告のように現状を説明してくれた。

 結局、あれだけ”色々と”繰り広げたのに、わたしたちのことは騎士団の誰にもバレなかったらしい。
 なんでもあの時間は、団長さん以下、騎士団員全員で建物を離れて演習を行っていたそうだ。
 あのあと我に返ったアレクディール様は御実家に連絡して、内内にご家庭の使用人と侍女さんたちに申し付けて馬車でわたしをここまで運んでくれたらしい。
 この寝室を見回して思うんですけど、ご立派な実家……綺麗なお部屋……絶対地位あるお貴族様ですよね……?
 気が遠くなりながら、わたしはそれでもアレクディール様とわたしの”アレコレ”が騎士団員さんたちにバレなかったことに心底ホッとしていた。

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