最強魔力量の最弱魔術士はマトモに戦わない

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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第一部

1話:集配魔術士は今日もしっかり集配をする

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 先に言っておくが俺のモットーは


争わないそもそも          戦わないマトモに           復讐はする確実に


                                   だ!!!!!!        







    トロンの村はサルサス国平民層の東の端、田舎の小さな村だった。辺りは森に囲まれ、村の川は清涼とした輝きを放っている。葉と葉の間からはトッピアやカゲオドリなど珍しい鳥が覗いている。
「おい、サボってんじゃねえ。お前はクソ魔術しか使えない役立たずだ。こんなとこ居ねえでとっとと店のビラ配ってこい!」
「すんまそーん」
「何だその態度は!」
毎回コレだ。村の魔術士たちは俺をあざ笑ってやがる。厄介なのでこの場を小走りに駆け出す。ーーちッどいつもこいつも俺をバカにしやがって。俺は大体愚痴を言ってやり過ごしている。もちろん争いにならないようこういうことは小さな声で言う。
 ところで、先程のうるさい大男が父(仮)である。というのは父と俺は実の親子ではないからだ。ここについては後々触れることとしよう。
  さて、父は酒場を経営していて少し先の隣国バスティア国からこの国へやってくる人々への情報提供なども行なっている。当然金は取るのだが、、、母は俺が小さい時に魔物に襲われて他界したと聞いている。
   今日もしっかり集配しながら俺は思う。
「何で俺はビラ配りしかできないんだ」
俺は唇を噛んだ。しかし、そう思うのも無理はないと自負している。なぜなら俺は正真正銘の最弱魔術、その名も『集配魔術』の使い手なのである。集配魔術とはその名の通り集めて配ることに特化した魔術で、知らせや物などをいち早く配ることができるのだが・・・・
特に攻撃や防御ができるわけではなく、何よりも受け取る相手のイメージがないと成立しないため、魔力消費が激しいという欠点がある。また、集配魔術が活躍しそうな軍への命令などは簡単な拡声魔術などで代用が利いてしまうため最も無能な魔術とされている。
  だが、魔術以外で俺は妙に人気があったらしい。この俺のことを『奇才を秘めたような不思議な輝きを放つ紅い眼』を持っているとか、『眉目秀麗な顔立ち』だとかよく言うのだ。

   今日の【集配】を終えた俺は家に帰る途中だった。
・・・アイツ魅力的だよねー(魔術以外は)
・・だよねー(魔術以外は)
あ、外見くんだ。おっはー。
さっきから聞き捨てならない言葉が聞こえてくる。が、これももう日課になりつつある。
この村に住み続けて十四年。その魔術ゆえに学校にも通わせてもらえず、この村で俺は無用の長物である。それでも俺には希望があった。
 人々は皆、幼い頃から魔術に親しみ十二歳から十五歳までは学校に通い魔術の基礎を学ぶ。そして十五歳の冬になると村に明かりを灯し授与式アワード・セレモニーが行われる。ここまで来て初めて一人前の魔術士となるのである。また、同時に魔術属性、スキルを与えらるため、自身の能力を呼び覚ます祭典とされている。
「俺は、村で一番強くなるんだ。事実を確かめるためにも・・・」
沈みゆく夕日に照らされながら拳を強く握りしめた。
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