4 / 45
第一部
3話:集配魔術士は復讐心を取り戻す
しおりを挟む
風の強く吹き付ける嵐の夜、酒場の木窓はメキメキとと音を立ててしなった。父が大男を三人も連れて帰ってきた。何だ?やけに騒がしいな。夜遅くだったので眠気は限界に達していたはずだが、父が友人を連れてくることは滅多に無いので見入ってしまった。
王国の酷い課税の話や王国が魔族を滅ぼす計画を練っているらしいと言う話など、小さかった俺には聞いたこともない話ばかりだった。しばらくすると話題は自分の話になっていた。
「そういやあんたのとこの息子さん。集配魔術なんだって?」
「ああ、全く使えん野郎だ」
「お前さんは火魔術、あんたのお袋は風魔術だったよな。普通、どっちかの魔法属性か融合属性になるはずだけど、不思議なものだな」
そうなのか?あの時の俺は理解が追いついていなかった。すると、ほとんど喋らなかった父がとんでもないことを言い出した。
「ありゃ俺の息子じゃねぇよ」
その一言に俺は呆然と立ち尽くした。大男たちが青ざめた顔で、さらに鋭く切り込む。
「じゃああの子はどこで拾ったんだ」
「シンラの森だ。あれは今日みたいな最悪な夜だった。あの頃は俺もバリバリの冒険者だったから多くの依頼を受けていたんだ。暴風荒虎の討伐だったんだがコンディションが悪くて長引いちまってよ。そしたら帰る途中森の奥で赤ん坊の泣き声がしたんだ。ひどく泣いていたな。何か鳥をかたどった首飾りをしていて、体は傷だらけだった。近くには【愛するルヴェンの幸せを願って】と書かれた切れ紙が置いてあった。ほっといたら死んじまうと思って家に連れ帰ったんだ。翌日俺はその子を連れて王都である占い師の元へ行った。確か名前はマルドゥックと言ったか。奴は魔術を見通す目を持っていてこの子を占ってもらった。一瞬彼女は驚いたような素振りを見せたがすぐに開き直り、『こりゃ、残念だが集配魔術士になりそうじゃ。どっかに引き取ってもらうのが良いだろう。』と言う。そうは言われても自分の村にそんな施設はない。だから"仕方なく"俺が育てることにした。あんな出来損ないが俺の息子と言われるのはほんとゴメンだ」
あの瞬間俺は耐え難い怒りを感じた。じゃあ俺の信じてきたものは何だったんだ!言葉にならない憤怒の情に駆られていた。許さない。俺をこんな目に遭わせた奴を絶対に突き止めて問い詰めてやる。切れ紙は誰が何のために書いたのか、俺はなぜ捨てられたのか・・・ルヴェン、自分の名前に吐き気がしてしょうがない。ーーーーーーーーーー
「大丈夫ですか?」
崩れ落ちそうになった体をエステラが支えてくれていた。
「ああ、少しめまいがしていただけだ」
「私、そろそろこの村を出なければ行けません。王都に来たらアメジス家を頼ってくださいね。貴方は一応、命の恩人ですから」
少女は頰を赤らめてそんなことを言う。
「ああ、そうさせてもらうよ。またどこかで会おう」
エステラと別れた俺は、今後自分がやるべきこと、王都に行ってからの計画を考えていた。(ああ、しっかりと復讐させてもらうよ)
少年の双眸が朱く光っていた。
王国の酷い課税の話や王国が魔族を滅ぼす計画を練っているらしいと言う話など、小さかった俺には聞いたこともない話ばかりだった。しばらくすると話題は自分の話になっていた。
「そういやあんたのとこの息子さん。集配魔術なんだって?」
「ああ、全く使えん野郎だ」
「お前さんは火魔術、あんたのお袋は風魔術だったよな。普通、どっちかの魔法属性か融合属性になるはずだけど、不思議なものだな」
そうなのか?あの時の俺は理解が追いついていなかった。すると、ほとんど喋らなかった父がとんでもないことを言い出した。
「ありゃ俺の息子じゃねぇよ」
その一言に俺は呆然と立ち尽くした。大男たちが青ざめた顔で、さらに鋭く切り込む。
「じゃああの子はどこで拾ったんだ」
「シンラの森だ。あれは今日みたいな最悪な夜だった。あの頃は俺もバリバリの冒険者だったから多くの依頼を受けていたんだ。暴風荒虎の討伐だったんだがコンディションが悪くて長引いちまってよ。そしたら帰る途中森の奥で赤ん坊の泣き声がしたんだ。ひどく泣いていたな。何か鳥をかたどった首飾りをしていて、体は傷だらけだった。近くには【愛するルヴェンの幸せを願って】と書かれた切れ紙が置いてあった。ほっといたら死んじまうと思って家に連れ帰ったんだ。翌日俺はその子を連れて王都である占い師の元へ行った。確か名前はマルドゥックと言ったか。奴は魔術を見通す目を持っていてこの子を占ってもらった。一瞬彼女は驚いたような素振りを見せたがすぐに開き直り、『こりゃ、残念だが集配魔術士になりそうじゃ。どっかに引き取ってもらうのが良いだろう。』と言う。そうは言われても自分の村にそんな施設はない。だから"仕方なく"俺が育てることにした。あんな出来損ないが俺の息子と言われるのはほんとゴメンだ」
あの瞬間俺は耐え難い怒りを感じた。じゃあ俺の信じてきたものは何だったんだ!言葉にならない憤怒の情に駆られていた。許さない。俺をこんな目に遭わせた奴を絶対に突き止めて問い詰めてやる。切れ紙は誰が何のために書いたのか、俺はなぜ捨てられたのか・・・ルヴェン、自分の名前に吐き気がしてしょうがない。ーーーーーーーーーー
「大丈夫ですか?」
崩れ落ちそうになった体をエステラが支えてくれていた。
「ああ、少しめまいがしていただけだ」
「私、そろそろこの村を出なければ行けません。王都に来たらアメジス家を頼ってくださいね。貴方は一応、命の恩人ですから」
少女は頰を赤らめてそんなことを言う。
「ああ、そうさせてもらうよ。またどこかで会おう」
エステラと別れた俺は、今後自分がやるべきこと、王都に行ってからの計画を考えていた。(ああ、しっかりと復讐させてもらうよ)
少年の双眸が朱く光っていた。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる