最強魔力量の最弱魔術士はマトモに戦わない

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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第一章 グレート・センセーション

6話:集配魔術士は海の怪物を討伐する

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「ララ、もういいだろ。いつまで耕せばいいんだ」

「まだ全然だよ?!ほら、手を止めちゃダメ」

俺達はこの町の神聖な虎の魔物を誤って倒してしまったのだ。そしてこれがその始末である。

「今夜中に終わらせるよ。ほらあと150レイル(1レイル=1アール)もあるんだから休んでる暇ないよ」

「まだそんなにあるのか??俺達二時間でまだ10レイルしか終わってないよなぁ・・・」

「私の爪で耕したほうが早い。」

「それだ、ララ。俺が【集配】で畑の土を空中に運んで落とす。ララは降ってくる土の雨を裂いてくれ!それで簡単に耕せるはずだ」

「おっけー、やってみる」

【集配】で空中に放り込んだ固い土をララが粉々に砕く。どうやらうまくいったようだ。



二時間半後~

「やっと終わった~もうヘトヘト」

「ララは本当に体力すげぇよな」

時刻は午前三時半を回り、作業を終わらせた俺達は宿へと歩き始めた。潮風が心地よく、顔を上げれば宝石を散りばめたような星空が延々と続いている。

「ララ、こんなに澄んだ星空を見るとアメジス邸を思い出すな・・・」

「私はそうでもないけど、エステラ達にまた会いたいとは思う」

それもそうだ。ララがあの二人といた時間は短かったから無理も無い。

「そうか・・・今日はもう寝よう」

 
 宿に着いた俺達は薄いケットを抱え込む。外はピューピューと音を立てて風が吹き、どこか寂しそうな雰囲気を感じる・・・


 早朝、俺は目覚めるとふと思い出す。

(そういや~金が無い・・・ポーションも薬草が無いと作れないしな。武器の代金の返済日も近づいて来ている。これは日雇いでも働かないとマズい)

俺はララにも話そうと思ったが、そんなことも忘れ、襟元をはだけて気持ちよさそうに眠っている。昨夜はララが頑張ってくれたおかげだ。もう少し寝かせてやろう。

 というわけで、一人俺は賑わう活魚料理店で情報収集をすることにした。朝一番の漁から帰って来た漁師達が楽しそうに食事をしている。俺は8コルクでクロシキのアクアパッツァを頼むと、漁師達の側に座った。

「早朝の漁は辛いが、それも酒と旨い魚があればやってけるもんだな~ガーハッハ!!」

「その通りだぜ。こうして皆で集まる時が一番幸せって奴だ」

「そりゃ~いかんぜ兄貴。一番は奥さんといる時だろ??」

「あーそうだった!ガハハハ!!」

男達はみるみる酒が進む。朝からこんなに飲んで大丈夫な程彼らは酒に慣れていた。すると、一人の大男が俺に話しかけて来た。

「ほれ~お前さん。どこかで会わなかったかい?」

「どっかで会ってたか?俺は覚えてないが」

「レストランで食事をしたじゃ無いか」

「ああ!あの時の・・・」

「おやロクさん知り合いかい?」

「ああ、この前別の店でたまたま知り合ってな。まさかまた会えるとは思ってなかったよ。さあさあ君もこっち来て」

俺は言われるままに漁師達の間に座った。この前は鎧を着ていたが、今は襟のついた軽いポールポワンを着ていたので、大男達に比べると体の大きさがが一回りも違う。

「お前さん、この街に住み始めたのかい?」

「ああ、しばらくはな。この町は活気があって飯もうまいしなかなかいい町だからな」

「ハハハッ分かってるじゃ無いか。」

この後、出身地の村のことや、事情などを聞かれたが、いろんな都市を旅している旅人だと言って済ませた。しばらくすると、一人の大男が気になることを言った。

「実は俺の船のレーダーが壊れちまってよ~漁師の勘だけじゃ無理があるんだよな。午後の出航は見送るしか無いか・・・」

「そりゃ大変だ~!レーダーは安価じゃ無いしな、魔法を付与するやらなんちゃらで作るのにも時間がかかる。数日じゃできるものじゃ無いしな・・・」

「どうしたものか・・・」

レーダーというのは魔力で光を出して魚に当たった時の反射光を読み取るものだ。つまりは索敵魔法を応用した装置のことだろう。それならある程度俺にも可能かもしれない。

「俺で良ければ手伝わせていただきたい。索敵魔法を応用して、魚の探査に使うことができる。代金は1ジェラで頼みたい」

「なるほど、索敵魔法の使い手でしたか。1ジェラはちぃと高いような気がしますが、漁に出れればそれ以上の利益になる。その話、乗りましょう」

俺達は握手を交わし、午前11時から午後14時まで漁に出ることを約束した。これで、直近の借金問題は解決するわけだ。
 
 店を出ると、ララが怒った顔でこっちを見ていた。

「もうルヴェン!ホント酷い。帰ってこなくて心配だったんだからね!!」

「悪いことをしたな。ララが胸をはだけて気持ちよさそうに寝てたから起こすのは良く無いと思ったんだが」

「み、見たの??もう何なのルヴェン!」

ララが耳を赤くして恥ずかしがる。別にそんなつもりは無いのだが・・・

「とにかくララ、仕事が入った。朝食済ませてすぐに港へ行くぞ!」

「何でまた仕事なの。今すごい疲れてるのに~」

「わがまま言うな、誰の武器が高くて働かなきゃ
いけないと思ってるんだ」

ギクンッ!

「分かったよ。行きますから~」



 午前11時。俺達は漁に出るところだった。オキノトリがキィキィと鳴き、俺たちの周りを飛び回る。

「潮の流れを読め!右へ旋回だ!!」

ゴオオオオ!!!

激しく音を立てて、船体が傾く。船というものに初めて乗る俺たちは体の芯をくすぐるような感覚に新鮮味を感じていた。

「今日のポイントはこの辺りのはずだ。それじゃあ探索を頼むぜ!」

「ああ、任せてくれ」

俺は、スキル【周配】を発動し自身の記憶を元に、魚らしき影に焦点を絞っていく。そして見えるものを空気中に映し出して可視化する。

「こりゃたまげた!魚の位置がはっきり分かるわい」

「前方80レスの辺りに魚の群れを発見!!直進じゃー!」

「ウォオオオー!」

次々に網に掛かった魚が船内へと運ばれていく。それにしても驚くほどの大漁だ。船長も同じことを感じていたらしい。

「今日はやけに漁獲量が多い。何かあるかもしれん。」

「そんなことないっすよ。これも全て兄貴のおかげでオアアアアアッーー!!」

その刹那、何かに持ち上げられた彼の体が巨大な触手に貫かれる。

「ポーーール!!!そんな嘘だろ、触手が血を吸い取っているぞ・・・許さん!!!」

奴の全貌が露わになった。全長20レスもあるタコ型の怪物であり目は赤くギョロッとしていてこちらを睨んでいる。人を食うというよりは血を好物としているようで、貫かれた船員の血は奴に完全に取り込まれ、触手が赤く変色している。

「俺の大事な船員をよくもやってくれたな!!
深層造塩魔術【海神の塩槍】!!!!」

船長がそう叫ぶと、海水が巻き上げられ船体の上に巨大かつ高密度な塩の槍が合成された。それが奴の双眸に向けられる。完全に戦闘態勢に入った。

「舵をとれ!!触手を絡まさせるな!!」

「はいッ!」

戦いたくは無いが、こいつを倒したら莫大な経験値が手に入りそうだ。俺の【襲配】で一撃で倒せるはずだ。

「ララ、俺の近くに来い。いいか、俺が仕留めに掛かる。もし俺に何かあれば、お前は隙を見て奴の影から出て助けてくれよ」

こういうのは保険を作っておいたほうがいい。

「よし、行くぞ!【自配】!!!」

奴の近くまで来ると、俺は触手に触れ、、、

ピキーーン!!!!

「何だと?奴の周りに強力なバリアがあるとは!」

その刹那、触手の雨が降り注ぐ。マズい、もう避けるには時間が無い。

【改配】!!!

俺は何とかしてステータスの大部分を物理防御に振りわける。

ガーーン!!

耐える俺に、二撃、三撃を打ち込んでくる。

スパーン!!!

触手に凄まじい閃光が走り、奴の触手を切り落とした。これは!!?そう、ララの電撃だ!!

「ララ、よくやった!触れれば勝てると思った俺が浅はかだったな」

「ホントだよルヴェン。私に助けられでばかりなんだから」

「この借りは必ず返すぜ。奴は体の周りを強力なバリアで覆っている。【灼眼】で調べてみたが、あれは触手から出ているようだ。ララが三本の触手を切り落とした時、奴を覆うエネルギーが弱まった」

「それで作戦は??」

「奴が触手を出す一瞬のタイミングを狙ってララが攻撃を打ち込む。触手をある程度破壊したら、本体は俺が仕留める。それでいいだろ」

「おっけー行くよ!」

「お二人共ただの魔術士じゃなかったのかい!?こりゃ俺も腕が鳴るぜ!タコは塩茹でにしてやる。深層造塩魔術、【塩風~加圧】!!」

船長がそう叫ぶと、圧縮した渦潮が奴を目掛けて吹き付ける。塩はなかなか相性がいいらしい。

「触手の攻撃力が弱まった。今だ嬢ちゃん!!」

「言われなくても分かってる。塩水はよく電気を通す。私の攻撃威力は【影移動】と掛け合わせて10倍以上、引き裂く!!!」

「雷強化斬撃、【砲雷の惨劇】!!!」


ズガァァァン!!

一筋の光が奴の触手へと高速で走り、続けさまに三本貫いた。方向を操作できないが故に、その破壊力は抜群だ。

「わいらも打つぞ!!深層造塩魔術【海神の塩槍~集力開放】!!!」

船員全員の魔力が込められた猛槍もうそうが怪物のバリアを破る!!!

!!やってくれ少年!!」

「任せたよ!ルヴェン!!」

怪物は最後の砦のように、残り二本の触手を不可視化し、抗戦する。だが、もう遅い。

【改配】

素早さが異常値に達っする。

【周配】

奴の隠れた触手の位置が手に取るように分かる。

そして、、、

【襲配】!!!!!!!

ザブーーーン!!!

大海の怪物がついにその生を終える。

ウオーーー!!

やったぞーー!!

英雄じゃーー!

全てが終わった船内で、俺達は安堵、そして歓喜の声を上げる。危機は回避できたし、これでお金も無事もらえる。


だが後先を考えると、

























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