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第二章ダークネスコンスピラシー
2話:集配魔術士には波乱しかない
しおりを挟む王都の味をしっかりと噛み締めた俺たちは、今夜アメジス家を久しぶりに訪れる事になっていた。
「ララ、まさか6人も連れてくるなんて思ってもなかったぞ」
「まあいいじゃん、楽しかったし」
「いや全然良くないわっ!一食食うだけで何で8ジェラもかかる??ちゃんとした武器が買える額だぞ」
「悪かったよーごめんごめん」
反省してるようだが、ララは二の舞を繰り返しそうなのが怖い。そんなこんなでレストラン街を抜けると豪勢な佇まいの屋敷が昂然と立ち並んでいる。
(それにしても貴族様は気楽でいいな~あんな豪華な邸宅でゆったりしてれば良いんだから)
そんなことを考えながら、俺は不意に一つの疑念を抱く。またここにきてしまって良かったのだろうか、エステラ達を巻き込んでしまうんじゃないか、と・・・
ドレイクシャドウのメンバーと落ち合うために王都に戻ってきたわけだが、結局その行動がアメジス家を危険に晒すことになるかもしれない。温かく迎えてくれる保証はなかった。
しばらくすると、孤高の鉄城のような風体の一際目立つ邸宅が現れた。それは、相当広い邸宅だった。行く手をはばからんと言わんばかりの立派な正門。幻想的に光る窓が印象的だった。ここは正しく、アメジス邸だ!
「結局帰ってきくるなんてまるで運命みたいだね!」
ララが 運命という言葉を口にしたことに俺はまるでアカシックレコードに触れたように感じた。確かに、ココとは切っても切れない関係なのかも知れない、そんな気がしてきた。
「そうだな、ララ。敵は俺達二人にどうにかできるシロモノじゃなかった。思ったより敵は強大、つまり真実にたどり着くまでの道のりも長そうだ」
俺たちはゴクリと息をのみ、門の前に顔を出した。
門は常時、門番が配置されているようだ。
「なんの御用でしょうか?」
「俺たちは、イフリーナ殿に呼ばれた者だ。ここを通してほしい」
男達は俺たちの顔をまじまじと見た後、『ちょっとお待ちを』と言い残して、奥の暗がりへと消えていった。
しばらくして、先ほどの門番が長身のすらりとした剣士を連れてやってくる。イフリーナだ。
「ルヴェン、ララ、お待ちしておりました。さあ中に入ってください」
不意に出会った時のそれはもう鬼のような目で睨まれた光景を思い出した。そんなイフリーナがいつもより丁重に迎い入れてくれるのが何だか新鮮だった。そして、俺はふと気づく。今日はパーティーが開かれるようで、貴族達が集まっていたのだった。(なるほど、イフリーナは今日が貴族が集まる日だから親切な騎士を装っているんだな)少し、からかってみたくなった。
「リーナ、仕事はちゃんとこなしてるのか?」
「あら、ちゃんとこなしてますが、どうかなさいましたか?お客様」
彼女はあくまでも平然を装っている。他の貴族達に見られているからと背伸びしやがって。
「リーナ、遠くにいる俺のために会いにきてくれたじゃないか」
「貴様!!いい加減にっ」
今度は足を踏んできた。(イタッ)そろそろ何かが吹っ切れそうなので、このくらいにしといてやる。
「エステラ様、二人が帰ってきました」
「よう、エステラ。元気だったか?」
「はい。ルヴェンさんこそ元気でしたか?」
「その・・・お手紙、ありがとな」
「うぁぁぁ!?なんか恥ずかしいです」
彼女は頰を紅潮する。そして、何を思ったか俺に抱きついてきた。ララとイフリーナの視線が痛い。
「ちょ、エステラいきなりそういうのは・・・」
「心配かけさせないください。ルヴェンさんが襲われたと聞いてほんと驚いたんですからね!」
「エステラ、当たってるんだが・・・」
イフリーナが無言で腿裏にひざ蹴りを食らわせてくる。
「ひぃっ」
俺が後ろに後退したことで、ようやくエステラは離れてくれた。
「だ、大丈夫ですか?」
「イフリーナが蹴りを入れて・・・」
「今のは完全にルヴェンが悪い」
「確かに完全にルヴェンが悪い」
猫耳のすばしっこいのと、頑強な女剣士が口を揃えてそんなことを言う。俺の味方はエステラしかいないみたいだ。
再開できたことだし、
「姉様のベッドで充実した夜を過ごそうかしら」
俺は、早くあの見目麗しい姉様のお部屋でゆっくりしたかった。足早に前使っていた部屋に入る。イフリーナが顔を強張らせている。
「おい、それはマズ・・・」
エステラもはっ!とした表情を浮かべ・・・そこから先はご想像にお任せしたい。
「で、ノックもしないで入ってきたこの無礼者は誰なの?」
脱いだ鎧を片付けながら、相手にもしたくないといった態度で接してくる、濃い紫髮のショートヘア。クールで透き通るような声をしているこの方こそが、姉のシアンであった。
「シ、シアン様!本当にすいませんでした!」
(いや、それにしてもクールビューティーでなんてキレイな人なんだ・・・)
ジーーー(視線)
ジーーー(視線)
案の定、イフリーナとララは睨んでくる。おいおい二人とも、俺をそんな目でみないでくれ。
俺はすぐに部屋から追い出された。
「リーナ、客人に対して乱暴だぞ!」
「誰が客人だ。この変態外道!!」
俺の自尊心が傷つけられる。(まさか姉様が帰ってきてリラックスしてるなんて思わなかったからしょうがないじゃないか)
「ゴッホン。ところで、今日俺はどこで寝ればいい」
「貴様に寝床などな」
「あーそれなんですけど、良かったら私の部屋にソファーベッドがあるのでそちらで寝てください」
「エステラ、かみさま、ほとけさま!!」
「よ、よろしいのですかエステラ様、信用ならないので私も寝かせてください」
「そ、そうですか。ルヴェンさんはいい人だと思いますけど」
(うん、うん、うん、うん、うんその通りだエステラ)
「今回ばかりは許せません。やっぱり私もご一緒します!」
「私の部屋も三人で寝れるほど広くないので・・・
でも、そこまで気にしないですよね、ルヴェンさん」
「う、うん。そうだな、ハハハッ!」
エステラは優しすぎて逆に困る。イフリーナと寝るとか完全に死亡フラグしか見えない。出来れば避けたいところだが、エステラが俺に絶大な信用を預けてくれてる以上、反対するわけにはいかない。
「じゃあ、私もエステラの部屋で」
・・・完全に忘れていた。ララも寝床がないことを。一応彼女の場合、影の中で寝ることが可能だが、一部屋に4人はいろんな意味で暑苦しい。
戻ってきた王都で、いきなり波乱の幕開けとなるとは・・・なんて巻き込まれ体質なんだろうか?
「いや、ルヴェンが悪いんだふにゃふにゃ」
(イフリーナ!!お前寝言でも俺をののしるとは)
でも愛らしい寝顔を眺めていたら、何だかんだでいいパーティーだと改めて思った。
「貴様、やっぱり変態だな。ふにゃふにゃ」
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