Anothermemory

桜羽 奏

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「痛い」

誰かがそう呟いた。
どうしたのか問うとあなたは言った。

「分からない。目には見えないけれど痛い」


私はどうしたらいいのか分からず無言でいるしか無かった。あなたの好きなものを準備したが目もくれず、痛い痛いとただ泣くあなたに私は何も出来なかった。あなたの涙がボロボロと零れる中、私は自責の念にかられた。そうして言うのだ

「痛い」と。

 苦しい、悔しい、何故このように、様々な感情が傷をつけた。傷をつけられたのは果たして・・・誰だっただろう。傷をつけられた人らはこう言った。涙は血と同じだと、血は流れ続けると何れ死ぬのだと、では、それを止める方法はあるのかと問う。すると必ず言うのだ

「否、この傷を塞げるものなどありはしない。」

そうして独り善がりになり自滅した人らを私は見ていた。何も出来ず、涙も出せず。私はいつまでこの時の中を過ごさなければならないのだろうか。誰もが必ず傷をつけ、傷つけられている世界でどれだけ強く居られるのだろうか。



 その答えは誰も知らなかった。
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