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第一章
第9話 死霊術士、緊急A級クエストを受けるも美少女魔術師に舐められる
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オデットからクエストの説明を受けた俺たちは簡単な仕度をした後、町を出て平原を歩いていた。
まぁ仕度といっても、ギルドで大槍を一本借りたくらいだけど。
デスマウンテンとは反対の北の方角へ三十分ほど歩くと、石造りの砦のような建物を発見した。
太めの円柱型の建物を囲むように人だかりができている。
あそこが恐らく今日の俺たちの仕事場だろう。
「随分たくさん人がいますね」
隣を歩くリリスが言った。
「だな……やはりオデットの言っていた通り、難航しているようだな」
俺たちが受注したA級緊急クエストとは、ずばりあの砦の中にいるリザードキングおよび配下のリザードマンを全滅させることだ。
リザードキングは堂々たるA級モンスターだ。そして配下のリザードマンでさえB級モンスターとかなり手強い相手であり、その数も未知数。
くわえてあの砦の地下には人間の人質がいるらしい。人質は冒険者や商人を初め、なんと貴族までいるらしく、それがこのクエストを最も難化させている要因なのだろう。
人質たちは皆、平原を歩いていたところをリザードマンの集団に襲われ、砦に拉致されたのだということだ。
リザードキング側が提示する人質の交換条件は凄まじく無茶なものであり、ギルドはそれに応じる気はないとのこと。
オデットによればここ数日町では行方不明者が続出しており、その原因がどうやら今回のクエストに繋がっているということらしい。
敵の殲滅も大事だが、人質の救出を最優先にしてくれとのこと。特に人質の一人である貴族はサラマンドの町の有力者の関係者だから死なせるのは絶対にまずいと念を押された。
相手は何匹いるかもわからないリザードマンの集団だ。
当然一人二人で解決できる内容ではないため、このクエストは人数不問で冒険者を受け入れている。
砦の周囲に集まっているのは、このクエストに名乗りを上げた腕自慢の冒険者たちだろう。
報酬はクエストの貢献度次第だが、うまくいけば今日だけで十万ゴルダは稼げるとオデットは言っていた。
が、どうなることやら。
「あのー、すいません。今ってどういう状況ですかね?」
俺は人だかりの中の一人に声をかけた。
「どういうって……どうもこうもないわよ。手出しできなくて膠着状態ってやつね」
黒い帽子と黒ローブに身を包んだ少女はそう答えてくれた。服装から察するに恐らく魔術師だろう。
大きな帽子と裾の長いローブは、まるで三角形が二つ上下に連なったようなシルエットである。
ややウェーブのかかった金色の髪が腰のあたりまで垂れており、黒いローブと金色の髪とのコントラストが印象的だ。
歳は十五、六歳くらいだろうか。なかなかに可愛らしい顔をしている、俺より頭一つ背の低い小柄な少女だ。
「手出しができないってどういうことですかね?」
「ほら、ここ砦でしょ? 構造的に守る側が有利だから手出しがしにくいってのもあるし、人質を取られてるから迂闊に中にも入れないのよ」
これもオデットから聞いた話だが、この砦はかつての大戦時に兵站拠点として使われていたものらしい。
何度かここでも戦闘があったようで、年月の経過もあって中は荒れてしまい、いつしか使われなくなったようだ。
使われなくなってからは町の衛兵による定期的な見回りはあったものの、基本的には放置されていたという。
砦の周囲は堅牢な石塀で囲まれており、塀自体にも高さがあるので上からの侵入は厳しいだろう。
よって侵入経路は正面の入口しかないのだが、そこから入れば間違いなく中で待ち伏せているリザードマンからの集中砲火を受けてしまう。
仮に中に入ることができても砦の本体は地下である。砦の地下通路は当然狭く作られているはずだ。狭い通路でこちらの数の利を活かすのは難しい。
一番良いのは、どうにかリザードマンたちを砦の外に誘い出して撃破することだが、そんなことができるほど甘くはないだろうな。
リリスに憑依してもらって単騎で突っ込むという手もあるにはあるが、そんなことをしたら間違いなく人質が殺されてしまうだろう。
なるほど手が出せないというのも頷ける。
「ていうかあんたたち、今頃何しに来たのよ? もしかしてギルドからの伝令? クエスト内容の変更とか?」
「いや、俺たちも君と同じでこのクエストを受注した冒険者だけど」
「はぁ!?」
金髪の少女は目を見開いて言った。
この子、なんか怖いんだけど。
「なぁんだ、ただの役立たずか……」
あからさまに残念そうにため息をつく少女。
「な、何ですか、役立たずって……」
リリスが反論するが、少女は「当然でしょ?」とでも言いたげに首を横に振った。
「この時間に遅れて来る奴なんて、ギルドの伝令かただの無能のどちらかよ。おおかた寝坊でもしたんでしょ?」
「ぐ……」
正解。
それにしても随分と当たりのキツい女の子だな……。
「ま、いいわ。これも何かの縁だし、とりあえず冒険者証でも見せ合いましょうか」
「何だ? 俺たちを貶したかと思えば急に友好的になって」
「はぁ。あんたそんなんでよく冒険者やってこれたわね。冒険者たるもの人脈が大事。これ鉄則よ? それに今は同じクエストに取り組む協力者じゃない。お互い名乗っておいて損はないはずよ」
「た、確かに……」
なるほど、キツいだけの子ではないようだ。見た目よりだいぶしっかりした女の子だな。
「じゃ、行くわよ?」
そう言って、少女は掌を宙でぶらぶらさせた。
するとどこからともなく冒険者証が現れて彼女の掌に落ちた。魔法で移動させたんだろうか?
「どう? 軽い転移魔法よ。あたしはゼフィ・カルティナ。見ての通りの魔術師よ。こう見えてA級冒険者なんだから舐めないでよね」
彼女の冒険者証には確かにA級の文字が踊っていた。この若さで大したものだ。
「ゼフィか、よろしく。俺はクラウス。……これが冒険者証だ」
俺は懐からくたびれた冒険者証を取り出した。
はぁ、人に冒険者証見せるの嫌なんだよな……。いい年してC級だし。
「ゼフィさん、よろしくお願いします。わたしはリリスといいます!」
リリスも俺に続いて冒険者証を出した。昨日発行されたばかりのピカピカのやつだ。うらやましい。
「クラウスにリリスね。よろしくぅ! えっと、クラウスがC級で……リリスがA級!? へぇ……」
品定めするように、リリスの顔をまじまじと見つめるゼフィ。
「こういうことがあるから自己紹介って大事なのよね……。あたしと同じくらいの年頃の女の子でA級なんてそうそういないもん」
「そうなんですか?」
「まぁな。A級自体そんなにいるもんじゃないし、ましてやこの若さだとそうとう限られるよ」
一般的な冒険者はせいぜいB級が限界だ。A級以上になれるのはごく一部のエリートであり、特別な才能が求められる。
更に上のS級ともなれば、別次元の存在なのだ。
「ね、リリス。あたしと組まない?」
「えぇっ!?」
な、こいついきなり何を言い出すんだ……。
「こんなC級の奴といるより良いでしょ? A級は多ければ多いほど、クエストの選択の幅も広がるわよ。それに、あたし理由(わけ)あってどうしてもこのクエストを成功させたいのよね。どう? 悪い相談じゃないでしょ? こんな奴と組んでても良いことないって――」
「そんな言い方やめてください!」
突然、ゼフィの言葉をかき消すかのようにリリスが叫んだ。
一瞬、周囲は静まりかえり、冒険者たちの視線が俺たちに注がれる。
「えっ……?」
「クラウスさんはわたしの恩人です。大切な人なんです! そんなクラウスさんを馬鹿にするようなこと言う人となんて組めません!」
「そ、そう……なんだ。ごめん」
リリスのあまりの剣幕に、ゼフィはさっきまでの威勢が嘘のようにしゅんとしてしまった。
「あ……ごめんなさい、ゼフィさん。つい……」
肩を落とすゼフィを見て、我に返ったようにリリスがゼフィに歩み寄る。
「こっちこそ、言い過ぎたわ……ごめん、リリス、クラウス」
「いや、俺は別に気にしてないよ」
A級とはいえ、まだ俺より一回りも下であろう若い子だし、才能のある子となれば多少の選民意識を持っていてもおかしくない。
いちいちC級の雑魚に配慮していられるほどこの世は甘くないのだ。俺が言うのもアレだけど。
「……あたし、このクエストだけは失敗するわけにはいかなくて」
「何か事情があるのか?」
「うん……実は、捕らえられてる人質の中にあたしの親友がいるんだ」
そんな事情があったのか。
よく見ると、ゼフィの瞳は潤んでいた。
やれやれ。気丈に見えたけど、精神的に結構限界だったんだな。
そんなゼフィの肩に、傍らのリリスが優しく手を置いた。
「それなら、三人で協力しましょうよ、ゼフィさん」
「三人、で?」
「はい。三人いればきっといい考えが浮かぶはずです。二人よりも、ね?」
「……」
リリスは続けた。
「戦闘での強さなんて一つの指標でしかないんです。わたしは父より強かったですけど、父が居なければ何もできませんでしたから。父はよく言ってました。どんなに優れた剣であっても、剣だけでは何もできないと。剣を振るう者とそれを守る盾があって、初めて剣は活きるのだと」
「……そうね。リリスの言うとおりだわ」
そう言ってゼフィが顔を上げると、リリスは破顔した。
どんなものでも包みこんでしまいそうな、柔らかい笑みだった。
「ゼフィ。頼りないかもしれないけど、俺も手伝うよ。せっかく知り合った仲間だしな」
「クラウス……」
「で、早速なんだけど――俺に一つ考えがあるんだ」
さっきからずっと考えていた、この砦の攻略法。
「この方法なら、人質を助けることができて敵も殲滅できるかもしれない」
まぁ仕度といっても、ギルドで大槍を一本借りたくらいだけど。
デスマウンテンとは反対の北の方角へ三十分ほど歩くと、石造りの砦のような建物を発見した。
太めの円柱型の建物を囲むように人だかりができている。
あそこが恐らく今日の俺たちの仕事場だろう。
「随分たくさん人がいますね」
隣を歩くリリスが言った。
「だな……やはりオデットの言っていた通り、難航しているようだな」
俺たちが受注したA級緊急クエストとは、ずばりあの砦の中にいるリザードキングおよび配下のリザードマンを全滅させることだ。
リザードキングは堂々たるA級モンスターだ。そして配下のリザードマンでさえB級モンスターとかなり手強い相手であり、その数も未知数。
くわえてあの砦の地下には人間の人質がいるらしい。人質は冒険者や商人を初め、なんと貴族までいるらしく、それがこのクエストを最も難化させている要因なのだろう。
人質たちは皆、平原を歩いていたところをリザードマンの集団に襲われ、砦に拉致されたのだということだ。
リザードキング側が提示する人質の交換条件は凄まじく無茶なものであり、ギルドはそれに応じる気はないとのこと。
オデットによればここ数日町では行方不明者が続出しており、その原因がどうやら今回のクエストに繋がっているということらしい。
敵の殲滅も大事だが、人質の救出を最優先にしてくれとのこと。特に人質の一人である貴族はサラマンドの町の有力者の関係者だから死なせるのは絶対にまずいと念を押された。
相手は何匹いるかもわからないリザードマンの集団だ。
当然一人二人で解決できる内容ではないため、このクエストは人数不問で冒険者を受け入れている。
砦の周囲に集まっているのは、このクエストに名乗りを上げた腕自慢の冒険者たちだろう。
報酬はクエストの貢献度次第だが、うまくいけば今日だけで十万ゴルダは稼げるとオデットは言っていた。
が、どうなることやら。
「あのー、すいません。今ってどういう状況ですかね?」
俺は人だかりの中の一人に声をかけた。
「どういうって……どうもこうもないわよ。手出しできなくて膠着状態ってやつね」
黒い帽子と黒ローブに身を包んだ少女はそう答えてくれた。服装から察するに恐らく魔術師だろう。
大きな帽子と裾の長いローブは、まるで三角形が二つ上下に連なったようなシルエットである。
ややウェーブのかかった金色の髪が腰のあたりまで垂れており、黒いローブと金色の髪とのコントラストが印象的だ。
歳は十五、六歳くらいだろうか。なかなかに可愛らしい顔をしている、俺より頭一つ背の低い小柄な少女だ。
「手出しができないってどういうことですかね?」
「ほら、ここ砦でしょ? 構造的に守る側が有利だから手出しがしにくいってのもあるし、人質を取られてるから迂闊に中にも入れないのよ」
これもオデットから聞いた話だが、この砦はかつての大戦時に兵站拠点として使われていたものらしい。
何度かここでも戦闘があったようで、年月の経過もあって中は荒れてしまい、いつしか使われなくなったようだ。
使われなくなってからは町の衛兵による定期的な見回りはあったものの、基本的には放置されていたという。
砦の周囲は堅牢な石塀で囲まれており、塀自体にも高さがあるので上からの侵入は厳しいだろう。
よって侵入経路は正面の入口しかないのだが、そこから入れば間違いなく中で待ち伏せているリザードマンからの集中砲火を受けてしまう。
仮に中に入ることができても砦の本体は地下である。砦の地下通路は当然狭く作られているはずだ。狭い通路でこちらの数の利を活かすのは難しい。
一番良いのは、どうにかリザードマンたちを砦の外に誘い出して撃破することだが、そんなことができるほど甘くはないだろうな。
リリスに憑依してもらって単騎で突っ込むという手もあるにはあるが、そんなことをしたら間違いなく人質が殺されてしまうだろう。
なるほど手が出せないというのも頷ける。
「ていうかあんたたち、今頃何しに来たのよ? もしかしてギルドからの伝令? クエスト内容の変更とか?」
「いや、俺たちも君と同じでこのクエストを受注した冒険者だけど」
「はぁ!?」
金髪の少女は目を見開いて言った。
この子、なんか怖いんだけど。
「なぁんだ、ただの役立たずか……」
あからさまに残念そうにため息をつく少女。
「な、何ですか、役立たずって……」
リリスが反論するが、少女は「当然でしょ?」とでも言いたげに首を横に振った。
「この時間に遅れて来る奴なんて、ギルドの伝令かただの無能のどちらかよ。おおかた寝坊でもしたんでしょ?」
「ぐ……」
正解。
それにしても随分と当たりのキツい女の子だな……。
「ま、いいわ。これも何かの縁だし、とりあえず冒険者証でも見せ合いましょうか」
「何だ? 俺たちを貶したかと思えば急に友好的になって」
「はぁ。あんたそんなんでよく冒険者やってこれたわね。冒険者たるもの人脈が大事。これ鉄則よ? それに今は同じクエストに取り組む協力者じゃない。お互い名乗っておいて損はないはずよ」
「た、確かに……」
なるほど、キツいだけの子ではないようだ。見た目よりだいぶしっかりした女の子だな。
「じゃ、行くわよ?」
そう言って、少女は掌を宙でぶらぶらさせた。
するとどこからともなく冒険者証が現れて彼女の掌に落ちた。魔法で移動させたんだろうか?
「どう? 軽い転移魔法よ。あたしはゼフィ・カルティナ。見ての通りの魔術師よ。こう見えてA級冒険者なんだから舐めないでよね」
彼女の冒険者証には確かにA級の文字が踊っていた。この若さで大したものだ。
「ゼフィか、よろしく。俺はクラウス。……これが冒険者証だ」
俺は懐からくたびれた冒険者証を取り出した。
はぁ、人に冒険者証見せるの嫌なんだよな……。いい年してC級だし。
「ゼフィさん、よろしくお願いします。わたしはリリスといいます!」
リリスも俺に続いて冒険者証を出した。昨日発行されたばかりのピカピカのやつだ。うらやましい。
「クラウスにリリスね。よろしくぅ! えっと、クラウスがC級で……リリスがA級!? へぇ……」
品定めするように、リリスの顔をまじまじと見つめるゼフィ。
「こういうことがあるから自己紹介って大事なのよね……。あたしと同じくらいの年頃の女の子でA級なんてそうそういないもん」
「そうなんですか?」
「まぁな。A級自体そんなにいるもんじゃないし、ましてやこの若さだとそうとう限られるよ」
一般的な冒険者はせいぜいB級が限界だ。A級以上になれるのはごく一部のエリートであり、特別な才能が求められる。
更に上のS級ともなれば、別次元の存在なのだ。
「ね、リリス。あたしと組まない?」
「えぇっ!?」
な、こいついきなり何を言い出すんだ……。
「こんなC級の奴といるより良いでしょ? A級は多ければ多いほど、クエストの選択の幅も広がるわよ。それに、あたし理由(わけ)あってどうしてもこのクエストを成功させたいのよね。どう? 悪い相談じゃないでしょ? こんな奴と組んでても良いことないって――」
「そんな言い方やめてください!」
突然、ゼフィの言葉をかき消すかのようにリリスが叫んだ。
一瞬、周囲は静まりかえり、冒険者たちの視線が俺たちに注がれる。
「えっ……?」
「クラウスさんはわたしの恩人です。大切な人なんです! そんなクラウスさんを馬鹿にするようなこと言う人となんて組めません!」
「そ、そう……なんだ。ごめん」
リリスのあまりの剣幕に、ゼフィはさっきまでの威勢が嘘のようにしゅんとしてしまった。
「あ……ごめんなさい、ゼフィさん。つい……」
肩を落とすゼフィを見て、我に返ったようにリリスがゼフィに歩み寄る。
「こっちこそ、言い過ぎたわ……ごめん、リリス、クラウス」
「いや、俺は別に気にしてないよ」
A級とはいえ、まだ俺より一回りも下であろう若い子だし、才能のある子となれば多少の選民意識を持っていてもおかしくない。
いちいちC級の雑魚に配慮していられるほどこの世は甘くないのだ。俺が言うのもアレだけど。
「……あたし、このクエストだけは失敗するわけにはいかなくて」
「何か事情があるのか?」
「うん……実は、捕らえられてる人質の中にあたしの親友がいるんだ」
そんな事情があったのか。
よく見ると、ゼフィの瞳は潤んでいた。
やれやれ。気丈に見えたけど、精神的に結構限界だったんだな。
そんなゼフィの肩に、傍らのリリスが優しく手を置いた。
「それなら、三人で協力しましょうよ、ゼフィさん」
「三人、で?」
「はい。三人いればきっといい考えが浮かぶはずです。二人よりも、ね?」
「……」
リリスは続けた。
「戦闘での強さなんて一つの指標でしかないんです。わたしは父より強かったですけど、父が居なければ何もできませんでしたから。父はよく言ってました。どんなに優れた剣であっても、剣だけでは何もできないと。剣を振るう者とそれを守る盾があって、初めて剣は活きるのだと」
「……そうね。リリスの言うとおりだわ」
そう言ってゼフィが顔を上げると、リリスは破顔した。
どんなものでも包みこんでしまいそうな、柔らかい笑みだった。
「ゼフィ。頼りないかもしれないけど、俺も手伝うよ。せっかく知り合った仲間だしな」
「クラウス……」
「で、早速なんだけど――俺に一つ考えがあるんだ」
さっきからずっと考えていた、この砦の攻略法。
「この方法なら、人質を助けることができて敵も殲滅できるかもしれない」
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