僕の存在証明書発行の日

クロ

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1 ベラドンナの森

帰ったらディアス、怒られるくね?

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 ※今回はお勉強の回となります。ありきたりな設定になっているかもしれませんが、僕の作品を楽しんでくれると嬉しいです※



 




 二人で話しながら木の根や岩場を飛び越え森を進んでいく。
 

 この国はグレイスベルン帝国というらしい。気候的には他の国よりもかなり安定しており農作物や家畜などが潤っている。しかし、崖や岩場が目立つ国で立地を利用した戦いかたが主流なんだそうだ。
 
 なるほど…グレイスベルン……、恵みと岩塊の国ね。確かにこの森も岩場や小さい洞窟らしきものが多い。

 その代わり魔物や害獣が多く作物が荒らされるなんて日常茶飯事なのだという。
 グレイスベルン帝国の中でも更に魔物が多く、冒険者以外の人間はめったに立ち入らない場所が、ヴァルグラン領内にあるこのベラドンナの森らしい。

「えっ!?じゃあ僕はそんな危険な場所に1人で居たってこと!?でも、ここまで歩いてるけど最初の魔物以外強そうなやつは出てきてないよね?」

「あぁ。それがおかしいんだ。実は一ヶ月前から魔物の数が減少傾向にあることが分かった。何かの前触れなのか、ただの自然現象なのか、調べるために森に入った。」

「なるほど…。ん?でもディアス1人だけ?はっ!まさか皆はもう………。」

「変な想像をするな、部下はもちろん優秀だが、俺1人の方が色々と動けるし、邪魔になる。」


 もしかしてディアスって物凄く強いんじゃ……。それにこの言い方だと皆に内緒で来たか、反対を押しきって無理矢理1人で森に入ったんじゃ……、


「とにかく、今お前がいる状況では魔物が少ないのは良い。生存率が格段に上がるからな。それに、この森の異変もお前が転移してきたという話に関係があるかもしれん。」

 確かにこの状況だと僕が疑わしいよな…。

「そういえば、この世界って魔法はあるの?僕の世界では創作物の一部に出てくるだけで存在はしないんだけどね。」

「あるにはあるが、魔法を使える魔法師は極めて少ない。この国に10人いるかいないかくらいなものだ。更に、魔法が使えても皆王都にいく」


 じゃあ僕が魔法なるものを見る機会はほとんど無さそうだな、。
 何となくがっかりしていると、マジックバックという物があるらしくディアスはそれを見せてくれた。
腰に付けるタイプのバックでこれひとつで大きな屋敷一つ分買えるぐらいの価値があるとかなんとか……。

 そういえばディアスって辺境伯の息子さんなんだっけ?それって貴族ってことなんだよね?

「これは隣国との争いで勝利したとき、陛下から賜ったものだ。要らないと断ったんだがメンツのためだと押しきられてしまった。」

 え…、そんな気安い感じなの?ディアスってもしかして物凄く強いだけじゃなくて、立場も偉い人なんじゃ?

「あ、あのさ…、辺境伯ってどれぐらい偉いの?」

 恐る恐る聞くとディアスは金色の目を細め意地悪く口角をあげる。
 うっ!イケメンの意地悪がおって心臓に悪いな…

 それからは、爵位のお勉強が始まった。異世界モノの漫画やアニメをあまり見てこなかった朔なので、簡単に説明してもらった。

 まずは上から順に、王様から始まり、王族、大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と続く。
 また、貴族ではないが個人の称号として、成果を成し遂げたものが与えられる準男爵や、戦争や争い事などの解決に貢献した人が与えられる騎士爵という位があるらしい。
 この二つは貴族でもなければ、世襲も出来ないため一代限りではあるが、称号を与えられることが何よりの栄誉であるので、地位としては準貴族となるらしい。

 「はえー、良くできてる制度だなぁ。でも辺境伯は?」

「辺境伯は、辺境の防衛や統治を任される、無くてはならない存在だ。この国の辺境伯やその子息子女はみな優秀で、実力もある。故に侯爵または伯爵と同等の権限をもっている。」

 すげぇぇー!!てことはやっぱりディアスも偉い人だったっ!

「そして、現在父上が治めているヴァルグラン辺境領は、この国に五つある辺境伯の中でも少し特殊な立ち位置にある。」


 なんでも、ヴァルグラン領ではベラドンナの森で発生したという魔物の大災害で大きな功績をあげ、今もなお魔物の驚異からこの国を守っているため身分的には公爵に相当するという。

 僕、もしかして敬語とか使った方が良かったんじゃ………、不敬罪とかでつかまったりしてっ!

「あ、あのっ!えと、えと、ディアス…様?不敬をお許しください…」

 段々尻すぼみになる言葉にぎゅっと目をつぶる。でもなかなか返事が来なくてそろそろとディアスを見ると、キリッとした眉を思い切りしかめて口を曲げていた。

「なんだその呼び方は、ディアスでいい。あと敬語もやめろ。今更そんなこと気にしない。」


 い、いいのかな?不敬で捕まったりしないよね?大丈夫なんだよね?
 これ以上敬語を使うと更に不機嫌になると思った朔はもう気にしないことにした。
 諦めたとも言う

 「まぁ、少しづつこの国について覚えていけば良い。分からないことがあったら聞いてくれ」

 うっ!眩しい!どうやら僕はイケメンに優しくされると弱いらしい。なるべく直視しないように気を付けよう

 そんなことを考えていると湖のある場所に出たのでそこで今日は休むことにした。朔は日本人の性か体を洗いたくて仕方なかったのでありがたいとおもった。
 

 
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