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黒き野望
第八章第37話 ユーグとシャルロット
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2021/12/12 誤字を修正しました
================
「シャルロット様。私が傷をつけた場所に浄化魔法をお願いします」
「わかりましたわ。必ずや」
「エミリエンヌ殿はシャルロット様を頼む!」
「はい!」
倒れているリシャール殿には悪いが、彼は後回しだ。
私は痛む体に鞭を打ってユーグの足元へと再び潜り込む。
ユーグは私が潜り込んできたということで再び尻尾を叩きつけてきた。
だが同じ手は二度と食わない!
私はその尻尾に対してカウンターで白銀の聖女に捧げし永遠なる浄化の剣を叩き込む。
「シャルロット様!」
「神よ! この世ならざる穢れを払いたまえ。浄化!」
フィーネ様が付与された浄化魔法よりも明らかに強力な浄化魔法が尻尾についた傷口を焼いた。
「グギャアァァ!」
よほど痛かったのだろう。憤怒の表情でシャルロット様を睨みつけたユーグは右足でシャルロット様を踏みつぶそうとする。
だが私への注意が逸れたところで先ほどまで散々に斬り付けてやった左足のアキレス腱への攻撃を再開する。
「グガァァァァァァァ! ガァッ! ガァッ!」
治りきっていない傷口を再び斬られ、そして焼かれたユーグは怒り狂って私に攻撃を仕掛けてくる。
ドシン、ドシンと重いが単純な攻撃が私を襲う。だが私はそれをしっかりと躱して更なる隙を窺う。
そして尻尾の攻撃に対するカウンターで一撃を加えるとシャルロット様がそこに浄化魔法を叩き込み、その痛みに怒ったユーグはシャルロット様を狙って攻撃を仕掛けた。
そこを再び同じように左足のアキレス腱に攻撃を仕掛け、またユーグの怒りの矛先が私に向く。
こうして同じことの繰り返しをしているうちについに左足のアキレス腱を私の一撃が断ち切った。
「グガァァァァァァァ」
左足に力が入らなくなったユーグはがくんと膝をついて苦しそうなうめき声を上げるが、その傷はやはり少しずつ治っていく。
「浄化!」
そこへシャルロット様の浄化魔法が打ち込んで傷口を焼くと、傷の治りが止まった。
よし! これなら!
ユーグが痛みに震えて動けなくなっている隙に私は右足のアキレス腱にも思い切り剣を叩き込んだ。
「グ、ガ、ギ……」
それに合わせて放たれたシャルロット様の浄化魔法でユーグの右のアキレス腱もその機能を果たさなくなる。
そんな時、フィーネ様達のほうでも動きがあったようだ。アルフォンソがはじめて苦しそうな声を上げており、フィーネ様の浄化魔法の光が見える。
やったか!?
そう思ったがアルフォンソはフィーネ様の浄化魔法を浴びてもなお立ち上がってきたのだ。
フィーネ様の浄化魔法に対策がされているだと!?
なんということだ!
ということはもしやユーグも!?
いや、だがユーグは塵にこそなっていないものの傷が治っているわけではない。
それならばこのまま続けていくことでユーグは解放してやれるはずだ。
「シャルロット様!」
「分かっていますわ!」
私はユーグの尻尾を、足を、そして地面についている手を徹底的に攻撃し、シャルロット様はその傷口に次々と浄化魔法をかけていく。
「ア、ガ、グガ……」
そしてやがてユーグはうつ伏せに倒れた。もう立ち上がる力が残っていないのか、ピクリとも動かない。
「……ユーグ様……」
「お嬢様……」
シャルロット様が悲しそうな声で呟き、エミリエンヌ殿が優しくシャルロット様を抱きしめる。
だが次の瞬間、周囲から黒い靄が集まってきたかと思うとユーグの体がそれを轟音と共に吸引し始めた。
「なっ!?」
ユーグの手の、足の、そして尻尾の傷が徐々に治っていくではないか!
やがてユーグはゆっくりと立ち上がる。
「ま、まさか……!?」
「え? あ……」
私が立ち上がったユーグに驚きの声をあげたのと同時にシャルロット様がどこか間の抜けたような声をあげた。
私が思わず振り向くと、シャルロット様は呆然とユーグの聖剣であるフリングホルニを虚ろな目で見ている。
「シャルロット様?」
だが次の瞬間、シャルロット様は素早く聖剣フリングホルニを鞘から抜くとそのままユーグの方へと放り投げた。
「シャルロット様? 一体何を?」
フリングホルニは緩やかな放物線を描いて飛んでいき、ユーグのすぐ側まで到達したところで眩い光を放った!
ピシィィィィ!
そんな激しい音が響き渡るとともにユーグの巨体が白い光に包まれ、どうじに黒い靄の吸引が止まった。
僅かな静寂の後、白い光の中から淡い光を纏ったユーグの姿が現れ、そしてゆっくりと落下し始める。
「ユーグ様っ!」
シャルロット様が慌てて駆け出して落下するその体をしっかりと抱きとめた。
「ユーグ様っ! ユーグ様っ!」
シャルロット様が涙を流しながらユーグの名を連呼している。
だが、淡い光を纏うユーグの体は……わずかに半透明になっていた。
あれは……もう……!
「ユーグ様っ! ユーグ様っ!」
シャルロット様が再びユーグの名を呼び、そして治癒魔法を唱えた。
治癒の光がユーグを包むが……。
「ユーグ様。わたくし……」
シャルロット様が涙を流しながらも必死に笑顔を作ってり、そして再び治癒魔法を唱えた。
しかしユーグは……。。
「シャル……やく……そく……」
「ユーグ様。ユーグ様はこうして帰ってきてくださいました。わたくし……は……それ……だけで……」
「シャ……ル……ごめ……」
シャルロット様は涙をボロボロと流したまま笑顔を浮かべると、ユーグにそっと口付けを落とした。
するとユーグの体はまるでさらさらという音をたてているが如く、ゆっくりと塵となって消えていく。
そうしてユーグが消えた後、そこには一つの指輪だけが残されていた。
「あ……ユ……グ……さま……」
あの指輪は……シャルロット様の左の薬指にあるものと同じ……!
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「シャルロット様。私が傷をつけた場所に浄化魔法をお願いします」
「わかりましたわ。必ずや」
「エミリエンヌ殿はシャルロット様を頼む!」
「はい!」
倒れているリシャール殿には悪いが、彼は後回しだ。
私は痛む体に鞭を打ってユーグの足元へと再び潜り込む。
ユーグは私が潜り込んできたということで再び尻尾を叩きつけてきた。
だが同じ手は二度と食わない!
私はその尻尾に対してカウンターで白銀の聖女に捧げし永遠なる浄化の剣を叩き込む。
「シャルロット様!」
「神よ! この世ならざる穢れを払いたまえ。浄化!」
フィーネ様が付与された浄化魔法よりも明らかに強力な浄化魔法が尻尾についた傷口を焼いた。
「グギャアァァ!」
よほど痛かったのだろう。憤怒の表情でシャルロット様を睨みつけたユーグは右足でシャルロット様を踏みつぶそうとする。
だが私への注意が逸れたところで先ほどまで散々に斬り付けてやった左足のアキレス腱への攻撃を再開する。
「グガァァァァァァァ! ガァッ! ガァッ!」
治りきっていない傷口を再び斬られ、そして焼かれたユーグは怒り狂って私に攻撃を仕掛けてくる。
ドシン、ドシンと重いが単純な攻撃が私を襲う。だが私はそれをしっかりと躱して更なる隙を窺う。
そして尻尾の攻撃に対するカウンターで一撃を加えるとシャルロット様がそこに浄化魔法を叩き込み、その痛みに怒ったユーグはシャルロット様を狙って攻撃を仕掛けた。
そこを再び同じように左足のアキレス腱に攻撃を仕掛け、またユーグの怒りの矛先が私に向く。
こうして同じことの繰り返しをしているうちについに左足のアキレス腱を私の一撃が断ち切った。
「グガァァァァァァァ」
左足に力が入らなくなったユーグはがくんと膝をついて苦しそうなうめき声を上げるが、その傷はやはり少しずつ治っていく。
「浄化!」
そこへシャルロット様の浄化魔法が打ち込んで傷口を焼くと、傷の治りが止まった。
よし! これなら!
ユーグが痛みに震えて動けなくなっている隙に私は右足のアキレス腱にも思い切り剣を叩き込んだ。
「グ、ガ、ギ……」
それに合わせて放たれたシャルロット様の浄化魔法でユーグの右のアキレス腱もその機能を果たさなくなる。
そんな時、フィーネ様達のほうでも動きがあったようだ。アルフォンソがはじめて苦しそうな声を上げており、フィーネ様の浄化魔法の光が見える。
やったか!?
そう思ったがアルフォンソはフィーネ様の浄化魔法を浴びてもなお立ち上がってきたのだ。
フィーネ様の浄化魔法に対策がされているだと!?
なんということだ!
ということはもしやユーグも!?
いや、だがユーグは塵にこそなっていないものの傷が治っているわけではない。
それならばこのまま続けていくことでユーグは解放してやれるはずだ。
「シャルロット様!」
「分かっていますわ!」
私はユーグの尻尾を、足を、そして地面についている手を徹底的に攻撃し、シャルロット様はその傷口に次々と浄化魔法をかけていく。
「ア、ガ、グガ……」
そしてやがてユーグはうつ伏せに倒れた。もう立ち上がる力が残っていないのか、ピクリとも動かない。
「……ユーグ様……」
「お嬢様……」
シャルロット様が悲しそうな声で呟き、エミリエンヌ殿が優しくシャルロット様を抱きしめる。
だが次の瞬間、周囲から黒い靄が集まってきたかと思うとユーグの体がそれを轟音と共に吸引し始めた。
「なっ!?」
ユーグの手の、足の、そして尻尾の傷が徐々に治っていくではないか!
やがてユーグはゆっくりと立ち上がる。
「ま、まさか……!?」
「え? あ……」
私が立ち上がったユーグに驚きの声をあげたのと同時にシャルロット様がどこか間の抜けたような声をあげた。
私が思わず振り向くと、シャルロット様は呆然とユーグの聖剣であるフリングホルニを虚ろな目で見ている。
「シャルロット様?」
だが次の瞬間、シャルロット様は素早く聖剣フリングホルニを鞘から抜くとそのままユーグの方へと放り投げた。
「シャルロット様? 一体何を?」
フリングホルニは緩やかな放物線を描いて飛んでいき、ユーグのすぐ側まで到達したところで眩い光を放った!
ピシィィィィ!
そんな激しい音が響き渡るとともにユーグの巨体が白い光に包まれ、どうじに黒い靄の吸引が止まった。
僅かな静寂の後、白い光の中から淡い光を纏ったユーグの姿が現れ、そしてゆっくりと落下し始める。
「ユーグ様っ!」
シャルロット様が慌てて駆け出して落下するその体をしっかりと抱きとめた。
「ユーグ様っ! ユーグ様っ!」
シャルロット様が涙を流しながらユーグの名を連呼している。
だが、淡い光を纏うユーグの体は……わずかに半透明になっていた。
あれは……もう……!
「ユーグ様っ! ユーグ様っ!」
シャルロット様が再びユーグの名を呼び、そして治癒魔法を唱えた。
治癒の光がユーグを包むが……。
「ユーグ様。わたくし……」
シャルロット様が涙を流しながらも必死に笑顔を作ってり、そして再び治癒魔法を唱えた。
しかしユーグは……。。
「シャル……やく……そく……」
「ユーグ様。ユーグ様はこうして帰ってきてくださいました。わたくし……は……それ……だけで……」
「シャ……ル……ごめ……」
シャルロット様は涙をボロボロと流したまま笑顔を浮かべると、ユーグにそっと口付けを落とした。
するとユーグの体はまるでさらさらという音をたてているが如く、ゆっくりと塵となって消えていく。
そうしてユーグが消えた後、そこには一つの指輪だけが残されていた。
「あ……ユ……グ……さま……」
あの指輪は……シャルロット様の左の薬指にあるものと同じ……!
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