エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

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第60話 ルイの後悔

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 私はルイ・ド・イストール。イストール公国の公子の一人だ。これまで私はこの国の後継者となるべく精進を重ねてきたが、今日ほど自分自身の無力さを嘆いたことはない!

 私があのとき感じた違和感にもっと注意を払っていれば。

 いや、砦をオークどもが巣穴としていると分かっていたのだ。もっときちんと偵察をしてから殲滅に当たるべきだったのだ。

 まさかオークがあんな知能を持っているなんて、まさかオークがあんな魔法を使うなんて、そんなことは常識では考えられない。

 だが為政者たる者、想定外の事態にだって対処しなければ国を守ることはできない。

 特に我が国は小国だ。すでにラテル帝国から属国として扱われており、ラテル帝国の侵略戦争に加担させられている。

 そんな状況でオークの討伐に失敗し、アスタルテ教の聖女レティシア様をよりにもよってオークなどに奪われてしまった。

 それに何よりリリス嬢を、リリス嬢までもオークに奪われてしまうなんて!

 リリス嬢はエルフで、記録の女神アルテナ様の使徒でもある。エルフらしい類まれなる美貌に加えて男を魅了してやまないあの素晴らしい肉体、美しく耳に残り続けるあの美しい声。

 私は彼女を一目見た瞬間からその魅力の虜になった。

 だがいくら口説いても人間の男などエルフである彼女にとって魅力的には映らなかったのだろう。

 高価なプレゼントもディナーも、いくら誘ってもやんわりと断ってくる。

 人間の恋人でもいるのではないかと思ったが、そういうわけでもなさそうだった。

 彼女の行く場所はあのパン屋と冒険者ギルド、そして聖女レティシア様のいる大聖堂くらいなものだ。

 だがそれでも彼女は使徒としての仕事を十二分に果たしている。再生の宝珠を使ってパンの宣伝をして以来、アルテナ様の名前は町中に広まった。

 それと同時にリリス嬢の人気も非常に高い。

 かくいう私もこっそりと見に行ったあの動画に衝撃を受け、さらに実物を見てもう一度衝撃を受けた。

 そう。再生の宝珠で見るよりも、実物のほうがはるかに魅力的だったのだ。

 それで私はどうしてもリリス嬢が欲しくなってしまった。

 だからなんとしてでも彼女を自分のものにしたくて、女遊びもすべて止めたというのに……!

 その末路がこんなオークの根城と成り果てた廃砦の地下牢で、オークの魔法のせいでろくに体すら動かせず、リリス嬢がオークによって蹂躙されるのを待つことになるなんて!

 オークによって蹂躙された女性は大抵精神を病んでしまい、命を自ら絶ってしまうことも珍しくない。

 ああ、リリス嬢は今ごろあのオークに……。

 最悪の想像をしてしまい、悔しさで胸が張り裂けそうになると同時に背筋をゾクリとした何かが駆け抜ける。

「くっ……リリス嬢……」

 私は思わずその名をつぶやいたのだった。

◆◇◆

 ゲラシムの部屋の扉を開けて外に出ると、なんと扉を守るかのように二匹のオークが立っていた。

「「「っ!?」」」
「「ブヒッ!?」」

 俺たちは驚いて思わず息を呑み、オークたちも俺たちが無事に出てきたことに驚いて鳴き声を上げた。

 だがすぐにまるで仲間に何かを伝えるかのごとく、大きな鳴き声を上げ始めた。

「ブッ、ブヒーブヒヒー!」

 やはりこのオークたちは賢い。言葉を喋れるわけではないようだが、きちんと自分の役割を理解している。

「ブキョッ!?」

 俺はすぐさまオークたちの精気をすべて吸いだした。ゲラシムほどではないが大量のイカ臭い液体が撒き散らされる。

 不快ではあるが、吸いだした精気に悪臭はない。それに美味しいわけではないが不味いわけでもない。

 ありがたく二匹分の精気をいただくと、ゲラシムほどではないが力が少し強まったのを感じる。

 もしかすると吸いだした相手の強さによって力がどれくらい強くなるかが変わるのだろうか?

 そのあたりの詳しいことは分からないが、一つだけたしかなことはオークなどただの食べ物に過ぎないということだ。

「ブヒヒー」

 やがて通路の向こうから何匹かのオークがこちらに向かって走ってきた。生意気なことに、そいつらは見覚えのある武器を持っている。

 なるほど。ルイ様たち討伐隊の兵士たちから奪った武器か。

 俺は視界に入ったそいつらの精気を吸いだした。

 はい。ごちそうさま。

「は、ははは。ゴブリンのときも思ったけどリリスのソレ、ヤバいな」
「うん……」

 レティシアとミレーヌさんはやることが無いせいか、そんな会話をしている。

 ああ、うん。分かる。自分でやっててもヤバいと思う。

 特にレティシアは、俺がこれを人間相手にだってできることを知っているしな。

 まあ、それを知った上でレティシアは良くしてくれているわけで、俺としては精々愛想をつかされないように正しいことをするだけだ。

「レティシア、ミレーヌさん、倒しましたよ」
「あ……」
「おっと、そうだな。行こうか」

 こうして俺たちはなるべくイカ臭い液体を踏まないように注意しつつ、オークの死体の脇を通り抜けるのだった。
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