エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

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第93話 捜査再開

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「とりあえず、裏切り者が誰なのか探すのが先なんじゃねぇかな。目星はついてるのか?」
「目星は――」

 俺は視聴者さんに教えてもらったことを伝える。

「いやいや、それじゃダメだろ。もうちょっと絞らねえとカマも掛けられねえだろ?」
「それははそうなんだけど……」
 
 頑張っている捜査チームのみんなのことを思うと、疑いたくないという気持ちが強い。

「じゃあ、絶対違うって思っている奴はいるんだよな?」
「うん。リーダーのウスターシュさんとレオニーさんは違うと思う。副長さんも多分違うと思うけど……」
「あー、たしかに。副長はそういうの、やりそうにねえな。他の奴はなんでそう思うんだ?」
「だって、ウスターシュさんは今回から指揮をっているし、レオニーさんは私が参加するからっていう理由で近衛隊から来たんだよ?」
「あー、そうだなぁ。レオニーってのは大丈夫そうだな。ウスターシュってのは半々だな」
「えっ?」
「この人事を決めたのは誰だ? そこに介入できるやつがいたら分からねぇだろ?」
「あ! うーん、でも副長さんなんじゃないかなぁ。ウスターシュさん、副長さんに定例報告してるし、顔合わせのときにもいたもん」
「なるほど。それなら大丈夫そうだな。つーことは、近衛隊のほうにこっそり協力してもらうほうがいいかもしれねえな。なんかいい作戦でもあるのか?」
「うーん、それがあんまり……」
「だよなぁ。リリスはそういうの、詳しくなさそうだもんな」
「そうなんだよね。ただ、裏切り者がいるんじゃなくて警備隊の施設を監視している奴らがいるのかもっていうのもあるんじゃないかなって……」

 するとレティシアたちは呆れたような表情になった。

「まったく。本当にお人よしだな」
「でも、ほら。可能性は一つ一つ潰したほうがいいと思うし……」
「ああ、そうだな。裏切り者がいねえといいな」

 レティシアはそう言って微妙な笑みを浮かべたのだった。

◆◇◆

 その後、俺たちは捜査を再開した。

 まず、警備隊の施設についてはレオニーさんにお願いして、秘密で近衛隊に監視してもらうようにお願いした。どうやらルイ様がすぐに動いてくれたそうで、もうすでに見張りをつけてくれたと聞いている。

 それと空振りに終わったあのアジトの再調査もしてみた。床板をすべてはがして再調査してみたものの、残念ながら抜け道となり得る地下通路のようなものは存在していなかった。

 そんなわけで私たちは再び地道な張り込みや聞き込み捜査を二週間ほど続け、その結果麻薬の保管場所らしき場所を二か所特定した。

 まず一つは娼館の建ち並ぶ地区の一角にある倉庫だ。ここは普段から人の出入りがあり、主に娼婦たちが使う薬を扱うお店の倉庫として利用されている。

 もう一つは貧民街にほど近い場所にある集合住宅の一室だ。

 そこで俺たちは捜査チームを二手に分け、両方の保管場所を一挙に叩くことにした。俺はウスターシュさんとレオニーさんと一緒に集合住宅のほうを担当することになっている。

 それと今回は、動きを事前に察知されて逃げられてしまった教訓から、それぞれのチームが独自の判断で保管場所を叩くことにした。

 これは俺の提案で、まずは麻薬の流通を止めることを第一に考えたいというのが建前だ。もちろん本当の目的は裏切り者がどこにいるのかを見つけることだ。

 これはライブで視聴者さんに教えてもらった作戦なので、あの視聴者さんには感謝しかない。

 そんな事情があるので、俺たちのチームは警備隊員に応援を要請していない。しかも現行犯で取り押さえるつもりなので、副長の許可すら取っていない。こうすれば捜査状況が漏れることはほとんどないだろうし、俺がいればチンピラどもなど何人いても敵ではない。

 だから今回の捜査できちんと麻薬を押収できれば、少なくともウスターシュさんとレオニーさんは白で、ウスターシュさんを任命した副長も白であることが確定できるはずだ。

 というわけで俺たちは今、三人で保管場所らしき建物のはす向かいにある集合住宅にこもって監視して四日目に突入している。

「来たわね」

 レオニーさんの言葉に慌てて外を見ると、マークしていた密売人の男が白昼堂々姿を現した。密売人の男は周囲を気にする様子もなく、建物の中に吸い込まれていった。

「よし、追うぞ」
「はい」

 俺たちはウスターシュさんの指示に従い、音を立てないようにこっそりと建物に侵入した。

 密売人の男は俺たちに気付いた様子もなく階段を登っていき、やがて俺たちが麻薬の保管場所だと目をつけている部屋の扉を叩いた。

 扉越しに何かを話し、続いてドアが開いた。そして密売人の男が袋を取り出し、部屋の中から差し出された大きな鞄と交換した。

 そのまま扉は閉まり、何食わぬ顔で密売人の男は鞄を持ってこちらのほうへと歩いてきた。

「リリス様、お願いします」
「はい」

 俺は密売人の男に魔法をかけた。すると密売人の男は力なくその場に崩れ落ちる。

 これは視聴者さんにアドバイスをもらって練習した睡眠魔法だ。これなら殺さずに犯人を制圧できるし、それに何より駄女神がエロフは淫魔の一種だと言っていたのだ。淫魔といえば夢、夢といえば眠り、ということで相手を眠らせる魔法ならできるのではないかと思って試した結果、案外簡単にできてしまったのだ。

 ウスターシュさんが崩れ落ちた密売人の男に近づき、鞄を開ける。すると中からは今回の捜査で何度も見た白い粉が大量に出てきた。

 ウスターシュさんは無言でうなずき、俺たちも頷き返す。そして男が取引をした部屋の前へ静かに移動した。

「突入するぞ。三、二、一」

 カウントダウンのあと、ウスターシュさんが木製の扉を蹴破った。

 けたたましい音と共に扉が破壊され、俺たちは一気に中へと突入する。

「なっ!? なんだてめえら!」

 室内には人相の悪い二人の男がおり、入ってきた俺たちを威嚇してくる。

「警備隊だ! 麻薬流通の罪で逮捕する!」
「なんだとっ!? どうしてここが!」
「おい、兄弟。男は一人で残りは女じゃねぇか。ヤっちまおうぜ」
「ん? おう。そうだな」

 どうやら俺たちに勝てると判断したのか、男たちはニタリと下卑た笑みを浮かべた。

「リリス様」
「はい」

 俺は即座に男たちに睡眠魔法をかける。すると密売人の男と同じように、ガラの悪い男たちもその場に崩れ落ちた。

「わ~、すっごい。さすがエルフね」
「レオニー、無駄口を叩くな。今は麻薬の押収が優先だ」
「はーい」

 ウスターシュさんに叱られ、レオニーさんも室内の捜索を始める。

 こうして俺たちは無事に麻薬の保管場所を制圧し、大量の麻薬と三人の犯罪者の身柄を確保したのだった。
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