エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

文字の大きさ
95 / 122

第95話 経過報告ライブをしてみた(後編)

しおりを挟む
2023/06/15 リリスの最後のまとめのセリフのミスを修正しました
================

 リリスの呼びかけに、次々とコメントが流れていく。

「たくさんのアドバイス、ありがとうございます。それじゃあ、読んでいきますね」

 二度目ということもあってか、リリスは落ち着いた様子でコメントを拾い始めた。

「えっと、なんちゃんさんコメントありがとうございます。事件は現場で起こっているけど裏切り者は上司、ですか? 上司っていうと副長さん、それから警備隊の隊長さんぐらいですよねぇ。でも副長さんは今回私たちが踏み込むのがバレてなかったのを考えると違う気がするので、ということは隊長さんですか? 隊長さんってどのくらい報告を受けているんでしょうねぇ」

 リリスはこてんと首をかしげた。

「えっと、あと睡眠魔法が使えるなら催眠魔法も親戚、ですか? 催眠って、こう、人を操って命令聞かせちゃう、みたいなやつですよね? どうなんでしょう? このチャンネルにも出てもらった聖女レティシア様に聞いてみたんですけどね。そういうのは難しいって言っていたので、多分難しいんじゃないかなって思います。ごめんなさい」

 リリスはそう言うと、申し訳なさそうに手を合わせて謝った。その仕草にリリスの胸がたゆんと揺れ、ワンテンポ遅れてそれを指摘するコメントが流れてくる。

「え? ちょっと、やだぁ。狙ってなんかいないですよ。忘れてください。はい! 次です!」

 恥ずかしそうに抗議し、リリスは話題を戻した。

「ちょっとアレさん、コメントありがとうございます。なるほど。やっぱりグループごとに違う情報を流すんですね。うーん。でも私たちがメインの捜査チームなので、ということは一人一人に違う情報を流すって感じですかねぇ。えっと、どうしたらいいんでしょう……」

 リリスは困っているような表情を浮かべている。

「あ! ナルアキさんコメントありがとうございます。えっと、警備隊の信用のおける人ですか? えっと、誰が信用できるんでしょう……。あ! 司法取引ですか? そうですねぇ。それはアリな気がしますね!」

 リリスはいいことを聞いたとばかりに目をキラキラと輝かせる。

「筆跡鑑定で証拠ですか。そうですね。たしかに! 証拠を撮影しておけばいいんですもんね! ナルアキさんありがとうございます! がんばります!」

 リリスは両手で小さくガッツポーズをした。か細い両腕の間で大きな胸が再びたゆんと揺れ、それに対して「あざとい」「かわいい」「わざとだろう」「あざとかわいい」などといったコメントが流れてくる。

「え? え? わ、わざとじゃないですよ。もうっ! つ、次ですっ!」

 リリスは顔を赤くし、恥ずかしそうにしながら話題を戻す。

「えっと、げ……じゃなかった。原幌平晴はらほろひらはるさん、コメントありがとうございます。捜査関係者全員にカメラ! たしかに! でもカメラがあるわけじゃないですし――」

 リリスがそう言った瞬間、リリスの目の前に一台のハンディカムが突如現れた。

「ひゃっ!? な、何? え? え?」

 次の瞬間、リリスはぼーっとした様子で虚空を見つめ始めた。その様子を心配したコメントと、ハンディカムが突如現れたことを「ご都合主義」などと揶揄するコメントが入り混じって流れていく。

 しかしリリスが一向に戻ってこないことに、心配するコメントの割合が多くなり、続いて機材トラブルを揶揄するコメントが散見されるようになる。

 それから一分ほどでリリスの目の焦点が定まり、カメラに向かって話し始める。

「えっと、すみません。記録の女神アルテナ様に呼ばれてちょっとお話していました。それでですね。この記録の宝珠を一つだけもらっちゃいました。これを使って犯人を追い詰めてみようと思うんですけど、誰に任せればいいですかね? 捜査チームの人だとあんまり意味なさそうですし、警備隊の人は誰が裏切り者か分からないですし……」

 リリスが困っていると、再び様々なコメントが流れてくる。

「えっと、にっしーさんコメントありがとうございます。え? 聖女様にお願いすればいい? たしかに! レティシア様なら信用できる人を知っていそうですもんね。ありがとうございます!」

 リリスはニッコリと微笑んだ。

「え? 現役の警官の人が隣にいるんですか? え? え? 本当ですか? 情報を全部知っている人は誰か、ですか? そうですね。捜査班の人たちと、あとは副長くらいだと思います。え? 副長はどんな人か? ですか? そうですね。ものすごく規律に厳しい人で、前に外で魔法の練習をしていたら、警備隊の人たちが私に放火だって濡れ衣を着せてきたんです。それで、その人たちは他にも悪いことをしていて何があっても死刑だからって、その場で処刑しちゃったんですけど、いつもそのくらい厳しい人なんですよ」

 すると、その場で処刑という言葉に正義だというコメントとドン引きしたというコメントが混ざって流れてきている。

「え? その場で処刑しちゃダメ? でもこの国ではそういう風にするって決まっているみたいなんですけど……え? 隣にいる現役の警官の人があり得ないって言ってる? そうなんですか?」

 すると「共犯者がいる、仲間内で不正を揉み消しているなどあり得る。裁判で証言させる必要もあるので、やむを得ない場合を除いてその場で殺しては絶対にダメ」とコメントが返ってきた。

「あ……たしかにそうですね。そういえば司法取引っていうアイデアをいただきましたけど、あの捕まった人たちってどうなってるんでしょうねぇ。ちょっと確認しておきます!」

 リリスはそう言うと、画面外に腕を伸ばした。恐らくコメントを巻き戻して確認しているのだろう。

「……んー、はい。それじゃあ皆さん、今日も相談に乗ってくれてありがとうございました。司法取引をするのと、証拠書類は撮影しておく、それからこのハンディカ……記録の宝珠は聖女レティシア様に相談してみます。あとは隊長さんが裏切りの者可能性も探ってみますね」

 リリスがニッコリと微笑みながらお礼を言い、ハンディカムにしか見えない記録の宝珠を見せてきた。すると「リリスちゃんがんばれ~」などといった励ましのコメントの他に「ハンディカムwww」などといったコメントも次々と流れてくる。

「ありがとうございます。それじゃあ、今日はこのへんで配信を終わろうと思います。皆さん、本当にありがとうございました。おやすみなさい。バイバーイ」

 リリスは笑顔で左手を振ると、右手を画面外に伸ばした。すると配信がプツリと途切れ、黒い画面となったのだった。

================
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...