エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

文字の大きさ
96 / 122

第96話 日本では……(18)

しおりを挟む
「おい、にっしーってお前だろ」

 リリスのライブ配信の翌日の放課後、剛たちはいつもどおり校舎裏に集まっていたが、西川の姿を見るなり山本がそう切り出した。

「え? ど、どうしてそれを……」

 動揺した様子の西川に山本は呆れた表情を浮かべる。

「だってお前、自分で警官のおじさんに見てもらうって言ってたじゃん。あんなコメントしたらバレるに決まってるだろ?」
「う……で、でも……」
「まあ、俺ら以外知らないから良くね?」
「だな。あ、でも委員長にもバレてるんじゃね?」
「あ! でもまあ、委員長なら」
「たしかに」
「悪いことするわけないよな」

 そう言って剛たちはうんうんとうなずき合った。

「でさ。どう思う?」
「何が?」
「ほら、犯人だよ。リリちゃんは隊長さんも調べるって言ってたけど」
「どうだろうなぁ。っていうか、隊長って誰だよって感じ? これまで全然動画に出てきてないし、こいつが犯人ですって言われても知らない奴じゃなぁ」
「だな。精々さ。規律の鬼とかいう副長くらいまでじゃね? 許せるの。あいつなら一応、動画には出てきてた し」
「たしかに。一度も出てきてない隊長が犯人だと唐突過ぎてヤバいな」
「だろ? でもどうせならさ。この国の王様が麻薬売ってましたってほうが面白そうじゃね?」
「ぶはっ。一気に話がデカくなったな」
「でも、話はデカいほうが面白いって」
「いやいや、限度があるだろ」

 そんな風に笑いながら話している剛たちのところへ、またもや両手にゴミ袋をぶら下げた藤田がやってきた。

「あら? もしかして土曜日のリリちゃんのライブの話?」
「あ、委員長。そうそう。委員長も見た?」
「ううん。ちょうどその時間、出掛けてたのよね。相変わらずアーカイブもないし、どんな感じだったの?」
「それがさ」

 剛たちはリリスのライブの様子を説明した。

「ふーん。そうなの」

 藤田がじっと考えるそぶりを見せると、剛たちは固唾を飲んでその様子を見守る。するとそれに気づいた藤田は驚き、そして少し頬を赤らめた。

「ちょ、ちょっと、なんでそんな真剣にあたしのことを見てるのよ」
「いや、だって……」
「ほら、委員長ならひょっとして裏切り者が誰かわかったりするのかなって……」
「え? そんなの分かるわけないじゃない。ライブ、見てもいないのよ?」
「そっか。そうだよな……」

 藤田の回答に剛たちは一様にがっかりした表情になった。それに対して藤田はなぜか繕うように早口で話し始める。

「そ、そうね。確信があるわけじゃないけど、やっぱりその副長は怪しいかもしれないわね。だって、すぐに処刑しちゃうんでしょ? もちろん向こうの世界の常識だっていう設定なのかもしれないけど、ほら、こういうのってバックにはちゃんとしたシナリオライターがいるのよ。だからその常識っていう設定を逆手にとって、実は口封じでしたってなったらあたしたちはビックリするじゃない。それにほら! いい人って感じに紹介されてる人がまさかの犯人って、やっぱりミステリーなんかでもよくある展開だもの」
「あ! そっか! シナリオライターがいるんだもんな」
「たしかに。そう言われてみると、副長が犯人だと面白いかもな」
「そ、そうよ。だからシナリオライターがどうやってあたしたちを錯覚させようとしているかを考えたら答えなんておのずとわかるものよ」
「さすが委員長。頭いいな」
「そ、それほどでもないわよ。それに、これはただの予想だからね。外れてるかもしれないわよ」
「そうなんだ。じゃあ他にはどんな予想があるの?」
「え? 他に? そうね。あとは、実は警備隊じゃなくて近衛隊のほうに裏切り者がいるってパターンも面白いんじゃない? ほら、リリちゃんと一緒に行動している女の人がいるじゃない。あの人が実は麻薬組織が送り込んだスパイだったとか。それで副長さんは実は近衛隊の妨害をどうにかしようとしていた人で、このあと失踪してやっぱり副長が、ってなったところで実は拉致されてたことがバレるとか」
「え? でも、前から情報が漏れてたんじゃなかったってっけ?」
「それはスパイが一人じゃないからよ。本当は色んな所にスパイがいて、近衛隊の偉い人がリリちゃんが捜査チームに加わるっていうのを聞いて、それで堂々とスパイを送り込んできたっていう話。で、二チームに分けたってことはスパイが疑われているって判断して、今回は末端で問題ないから逮捕させちゃって、それで視聴者を欺くっていうのもアリじゃない?」

 早口でまくしたてる藤田の推理を剛たちは尊敬のまなざしで見ていた。

「え? な、何よ。予想だからね?」
「いや、さすが委員長だ。よくすぐにそんな色々考えつくよな」
「ホントホント」
「そ、そんな……ほ、ほら。まだまだ分からないし、それに予想しすぎてもつまらなくなっちゃうわよ」

 明らかに照れ隠しをしていると分かる態度で藤田はそうまくしたてる。

「あ! あたし、ゴミ捨てに行かなきゃ。じゃあね」

 慌てた様子で藤田はそう言うとゴミ袋を持ち上げて立ち去ろうとしたが、それを西川が呼び止める。

「おーい! 委員長! 今日も茂手内が手伝いたいってよ!」
「え? 本当? ありがとう。じゃあ、これお願いね」

 藤田は声のトーンを一段上げ、嬉しそうな表情で剛にゴミ袋を差し出した。

「あ、ああ。そっちも持つよ」
「いいの? 悪いわね」

 こうして剛は藤田の持っていたもう一つのゴミ袋を受け取り、そのままゴミ捨て場へと歩いていくのだった。

================
※作中では描写していませんが、リリスは定期的に日常の様々な動画を公開しており、その中には副長やレオニーも登場していました。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...