エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

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第118話 駄女神の扱い方

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 その日の深夜、人目に付きにくいこの時間帯に俺は聖女服を着て、こっそりと神殿建設予定地にやってきた。

 何しろ神殿建立の儀のやり方が何一つ分からないのだ。いつ、どんな儀式をどうやればいいのかさっぱりわからない。

 単に祈ればいいだけというオチな気がしなくもないが、万が一失敗したらまた悪魔だの偽者だのという話にもなりかねない。それで追われる立場になるのは避けたいし、もしそうなれば動画配信やライブができなくなって仕送りが滞る可能性もあるため、なんとしてでもそれだけは避けたいところだ。

 それにどうせあの駄女神のことだ。もう全部指示した気になっているに違いない。

 というわけで、駄女神が一番興味を持っていそうなこの祭壇の前でお祈りをしつつ苦情を入れ、さらに適当におだてることで情報を引き出してやろうというわけだ。

 俺は早速祭壇の前にひざまずいた。

 アルテナ様! 神殿建立の儀のやり方が分かりません! もたもたしているとまた悪魔と言われますよ! いいんですか? 答えてくださいよー!

 そうして祈っているていで苦情を入れていると、駄女神の声が聞こえてきた。

「ちょっと! どういうことよ! また悪魔とか言われそうなわけ!? さっさと始末してきなさいよ!」

 ……どうやら成功したようだ。目を開けてみると、俺はいつの間にかあの真っ白な空間に招待されていた。

「アルテナ様、そうじゃなくて、やり方を教えてもらわないと神殿建立の儀ができないって話です。そうするとまた横やり入れられますよ?」
「ハァ? どこのどいつがそんなことしようとしてるの? なんで始末しないのよ!」
「違いますよ。アルテナ様の力がすごすぎて、悪いことをしている連中にとっては邪魔だって話です。ほら、この間の悪魔の件だって、記録の女神様に真実を記録されると悪人が私腹を肥やすのに都合が悪いからって理由でしたよね? だから早く神殿建立の儀をやって、早くアルテナ様のことを偉大な記録の女神だって知らしめたほうがいいと思うんです」
「え? 偉大な記録の女神?」

 何やら声がうわずっており、口元がわずかに緩んでいる。どうやらニヤけているのに真顔を保とうとしているようだ。

 よし。ならば!

「そうですよ。民衆は真実を記録してくれる偉大な記録の女神アルテナ様を待っているはずですよ」
「そう? ふ、ふふふ。そうよ。そうね。そういうことよね。アンタ、気が利くようになってきたじゃない。さすが、アタシの使徒ね!」

 相当気分が良くなっているようだ。相変わらずの口ぶりではあるが、その表情はもはや完全にニヤけている。

「ありがとうございます。それでですね。そんなアルテナ様を知らしめるためにも、神殿建立の儀のやり方を教えてくれませんか?」
「え? うーん、そうねぇ……」

 ん? そうねぇ? 悩むってどういうことだ? この期に及んで出し渋るなんてことは……。

「よし! 決めたわ。アンタに追加で再生の宝珠を授けてあげるわ。前にあげたのと合わせて、できるだけイストール公国の町や村に持って行って神殿建立の儀をライブ配信しなさい」
「はっ?」
「で、アンタはライブ配信しながらあの予定地の正面入り口から歩いて入って、アンタと、イストール公と、国の者たちで一斉に祈りなさい。その祈りがちゃんとアタシに届けば神殿建立の儀は成功よ」

 あ、あれ? もしかして、単に祈るだけで良かったりするのか?

「は? 何言ってるのよ。ダメに決まってるでしょ。偉大な記録の女神アルテナ様の最初の神殿建立の儀よ。できるだけ多くの者たちに祈らせること。いいわね?」
「はい。わかりました」
「よろしい。じゃ、しっかり働きなさい」

 それからまばたきすると、俺はいつの間にか建設予定地の祭壇の前に戻ってきていた。そして祭壇の上には十個ほどの再生の宝珠が置かれている。

 やれやれ。きちんと確認しようとおだてたのが裏目に出て、余計な仕事が増えたような気はするぞ。

 まあ、仕方がない。とりあえず明日、イストール公に相談してみよう。

 こうして俺は待たせておいた馬車に乗り込み、ホテルへと戻るのだった。

◆◇◆

 翌日、イストール公に会いに行き、駄女神の要求を伝えてみた。するとイストール公は今までにないほどのいい笑顔を浮かべた。

「おお! 再生の宝珠でそのようなことが! それは素晴らしい!」

 俺のライブ配信の機能があるなんて初耳だったわけだが、どうやら最近増えた機能のようだ。ダッシュボードの再生の宝珠の画面が変更されていて、持っているものがすべてリスト表示されるように変わっていたのだ。しかもわざわざセットしなくても設定を変更できるようになっており、そこでライブ配信も設定できるようにアップデートされていた。

 きっとこれも人々の信仰が増えて駄女神の力が強化されたからなのだろう。

「して、その再生の宝珠はいくつあるのかね?」
「全部で十三個です」
「なるほど。ならばすぐに計画を前倒ししなければならんな」
「え? 計画? 前倒しって一体……」

 するとイストール公はやや意外そうな表情を浮かべた。

「……ふむ。元々我々はアルテナ様の最初の神殿の建立が終わったのち、国内の町や村にも神殿の建立をお願いするつもりだったのだよ」
「ああ、なるほど……」
「それにアルテナ様より賜ったご神託は、再生の宝珠を備えた神殿を各地に整備せよ、という意味であろう? だから我々も神託に従い、計画を前倒しするのだよ」
「ああ、はい。わかりました」
「うむ。では神殿建立の儀は十日後の午前十時で良いかね? 一週間もあれば再生の宝珠はすべての主要都市に届くはずだ」
「わかりました」

 こうして神殿建立の儀の日程が決まったのだった。
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