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第75話 ゾンシャールの戦い(後編)
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「おかしいな。やっぱり伏兵はいねぇのか?」
初日の戦いを終え、ガーニィ将軍は首を傾げていた。それに対し、ハロルドはいささか楽観的な様子だ。
「ですが、大戦果ですぞ。二千の損耗で三百を倒したなら、いずれは我々が勝利しますぞ。それに将軍も我々も、今日の戦いでは前に出ていないのですからな」
「ああ。だが、どうにも腑に落ちねぇ。この分なら連中は明日、どんなに粘っても明後日にゃ潰走するはずだ」
「それは良いことですぞ」
「そうなんだがなぁ……」
「伏兵は見つかっていないのですな?」
「ああ、そうだ。かなり広範囲を探させたが、いねぇんだ。ちゃんと帰ってきてるしな」
「では、本当に伏兵などいないのではないですかな?」
「だと思うんだが、何か奥の手を持っていそうなんだよなぁ。まあ、カンなんだけどよ」
「将軍、気にし過ぎはいけませんぞ。将軍が弱気になっては勝てる戦も勝てませんぞ」
ハロルドは勝利を確信した様子でそう言った。
「まぁ、それもそうだな。明日も小突いてみて、そんでなんも無かったら明後日、踏みつぶす」
「それがよろしいでしょうな。邪悪なる魔族はすべて滅ぼすのですぞ」
腹をくくったガーニィ将軍にハロルドは満足そうな様子でそう答えたのだった。
◆◇◆
翌日も同じように攻めた結果、シェウミリエ帝国軍は千五百の兵を失ったのに対し、魔族軍は四十名の戦死者と二百三十名の負傷者を出した。
「お前ら。明日、総攻撃をかけるぞ」
「はっ!」
「では、我々も出ますぞ」
「おう。頼りにしてるぜ」
「任せるのですぞ」
ハロルドは自信満々な様子でそう答えたのだった。
◆◇◆
その翌日、シェウミリエ帝国軍は魔族軍を殲滅すべく総攻撃を仕掛けた。
これまでの二日間とは全く違う苛烈な攻撃に魔族軍は総崩れとなり、コーデリア峠へと素早く退却を始める。
「逃がすな! 魔族どもを砦に帰すんじゃねぇぞ!」
ガーニィ将軍の檄にシェウミリエ帝国軍は逃げる魔族軍の追撃を始める。
その集団の先頭近くに将司とハロルドたち聖騎士団の姿があった。
「ショーズィ殿、普段どおり落ち着けば間違いなく邪悪なる魔族を殺せるのですぞ」
「はい」
馬上で将司は引き締まった表情で返事をする。
「一人でも多くの魔族を殺すことが、平和に繋がるのですからな。期待していますぞ」
「はい。わかっています」
将司にはもはや魔族を殺すことに対する迷いは見当たらない。
そんな将司の様子に、ハロルドは満足そうな笑みを浮かべる。
そうして数キロの距離を追いかけたそのときだった。
突如将司より少し後ろの地面が消え、とてつもなく巨大な落とし穴が出現した。
直径一キロほど、深さも三十メートルはあろうかという巨大な落とし穴は瞬く間にシェウミリエ帝国軍の大半を飲み込んだ。
しかし将司たちはそのことに気付かず、逃げる魔族軍を追いかけていく。
その距離は徐々に詰まっていき、道が上りに差し掛かると矢が届きそうなほどに距離が詰まった。
すると逃げていた魔族軍が急に止まり、将司たちに向かって反転してきた。
「ははは、逃げられないとわかったようですぞ。さあ、敗残兵を殺すのですぞ」
「はい!」
「やるっすよ」
勢いを弱めずにそのまま突撃をする将司たちに対し、魔族たちは火球を放ってきた。
しかし聖騎士たちは白銀に輝く盾を構え、火球を打ち消した。
「魔法は効かないっすよ」
聖騎士たちが魔族軍の兵士たちに襲い掛かろうとしたそのとき、突如地面が割れ、魔族たちが飛び出してきた。
魔族たちは次々に矢を放ち、多くの馬と兵士たちが血の海に沈む。
ハロルドとブラッドリーの馬も矢を受けたようで、二人とも落馬していた。
「地面の中に伏兵っすか!?」
「予想外であるな」
ブラッドリーとハロルドは立ち上がりながらそんな愚痴をこぼす。
そこに同じく落馬したらしい将司が駆け寄ってきた。
「ハロルドさん! ブラッドリーさん!」
「ショーズィ殿、無事でありますな」
「はい。なんとか。でも……」
将司は周囲を見回した。するといつの間にやら弓を構えた魔族軍の兵士たちに包囲されている。
「……後続がいないっすね」
「……やられたであるな」
ハロルドはやや諦めたようにそう呟いた。
「ショーズィ殿をなんとしてでも逃がすのですぞ」
「そうっすね」
「え?」
「ショーズィ殿、ここは私が食い止めるのですぞ」
「そんな!」
「ショーズィ殿は勇者、この世界を魔族どもから救うために必要なお方なのですぞ。それにこれは私のミスですからな。ショーズィ殿が逃げる時間を稼いでいる間に、一人でも多くの魔族を殺しておくのですぞ」
「い、いやです! ハロルドさんも!」
「いいですな? 必ず生き延びるのですぞ!」
「あ……」
ハロルドが強く言い聞かせると、将司の胸元で教皇からもらったペンダントの赤い宝玉がわずかな光を放った。
すると将司の瞳から一瞬光が消える。
「わかり……ました……」
「さあ、行くのですぞ」
絞り出すようにそう答えた将司を置いて、ハロルドは弓を構える魔族たちに向かって突撃した。
そんなハロルドに次々と矢が射掛けられる。ハロルドは超人的な反応でそれを躱し、また盾で防ぎ、ぐるりと囲む魔族たちに斬りかかる。
「さあ、こっちっす!」
「はい!」
ブラッドリーに先導され、ハロルドの後に続いていく。
他の聖騎士やシェウミリエ帝国兵もそれに続くが、次々と射掛けられる矢に一人、また一人と血だまりの中に沈んでいく。
しかし将司はブラッドリーとともに包囲を抜け出すことに成功し、ゾンシャールのほうへと全力で駆け抜けていた。
だが!
「あっ!」
将司の前を走るブラッドリーがもんどりを打って地面に倒れた。なんとふくらはぎに矢が命中し、立ち上がることができなくなってしまったのだ。
「ブラッドリーさん!」
「行くっす! 早く!」
「あ……」
将司は悔しそうな表情を浮かべ、ブラッドリーを置いて走っていく。
「……そうっす。それでいいんすよ」
そう呟いたブラッドリーが、将司を追いかけようとする魔族の一人の足を掴んだ。
「タダじゃ、やられないっすよ」
そう言ってブラッドリーは懐から聖導教会のシンボルがかたどられた小さな金属製のお守りを取り出す。
「道連れっす!」
「なっ!?」
ブラッドリーがそう叫んだ瞬間、眩い光とともに爆発した。
やがて煙が晴れるとそこには直径十メートルほどのクレーターがあり、その中心にはぐしゃぐしゃになったブラッドリーの鎧だけが残されている。
そこにブライアンがやってきた。その手にはハロルドの首が握られている。
「自爆か……。これだから聖導教会の連中は……」
そう吐き捨てるように呟いたが、すぐさま指示を出す。
「残っている連中を生け捕りにしろ!」
その指示に従い魔族たちは再び追撃を開始したのだった。
◆◇◆
「な……これは……」
将司はシェウミリエ帝国軍の大半が落下した巨大な落とし穴を前に絶句していた。巨大な穴の底にはおびただしい数の人と馬の遺体が転がっている。
そんな唖然とする将司の前に、ハロルドの首を持ったブライアンが現れた。
「逃がさんぞ。お前には捕虜になってもらう」
「!」
その声に驚いて振り返った将司はハロルドの首を見て目を見開いた。
「ハロ……ルド……さん?」
「魔族のくせに人族に与して……ん? お前、魔族ではないのか? なぜ黒髪を!?」
「俺は! 俺は魔族なんかじゃない! 人間だ!」
将司はそう叫ぶと、憎悪のこもった目でブライアンを睨みつける。
「人間? 人族ではないか?」
「一緒だ! お前たちのような魔族と一緒にするな!」
将司は全力で身体強化を発動し、ブライアンに斬りかかる。
「ぬ? この魔力! ならば!」
ブライアンも身体強化を発動し、左手にハロルドの首を持ったまま将司の攻撃をいなした。
「ハロルドさんを! 返せ!」
将司は持てるすべての力を振り絞って連撃を行うが、ブライアンはあっさりとそれに合わせてカウンターの一撃を将司の胴に加えた。
将司の体を守っていた鎧はまるでバターを切るかのようにあっさりと切り裂かれ、将司の腹からは大量の血が流れる。
「おっと、深すぎたか。まあ、奇跡の天使様ならなんとかしてくれるだろう」
ブライアンはそう呟くと将司の体を腰のベルトを掴んで持ち上げ、コーデリア峠へと駆け出したのだった。
こうしてゾンシャールの北で行われた戦いはシェウミリエ帝国がおよそ三万五千の兵を失ったのに対し、魔族側は負傷者を含めておよそ八百の兵を失うという結果となったのだった。
初日の戦いを終え、ガーニィ将軍は首を傾げていた。それに対し、ハロルドはいささか楽観的な様子だ。
「ですが、大戦果ですぞ。二千の損耗で三百を倒したなら、いずれは我々が勝利しますぞ。それに将軍も我々も、今日の戦いでは前に出ていないのですからな」
「ああ。だが、どうにも腑に落ちねぇ。この分なら連中は明日、どんなに粘っても明後日にゃ潰走するはずだ」
「それは良いことですぞ」
「そうなんだがなぁ……」
「伏兵は見つかっていないのですな?」
「ああ、そうだ。かなり広範囲を探させたが、いねぇんだ。ちゃんと帰ってきてるしな」
「では、本当に伏兵などいないのではないですかな?」
「だと思うんだが、何か奥の手を持っていそうなんだよなぁ。まあ、カンなんだけどよ」
「将軍、気にし過ぎはいけませんぞ。将軍が弱気になっては勝てる戦も勝てませんぞ」
ハロルドは勝利を確信した様子でそう言った。
「まぁ、それもそうだな。明日も小突いてみて、そんでなんも無かったら明後日、踏みつぶす」
「それがよろしいでしょうな。邪悪なる魔族はすべて滅ぼすのですぞ」
腹をくくったガーニィ将軍にハロルドは満足そうな様子でそう答えたのだった。
◆◇◆
翌日も同じように攻めた結果、シェウミリエ帝国軍は千五百の兵を失ったのに対し、魔族軍は四十名の戦死者と二百三十名の負傷者を出した。
「お前ら。明日、総攻撃をかけるぞ」
「はっ!」
「では、我々も出ますぞ」
「おう。頼りにしてるぜ」
「任せるのですぞ」
ハロルドは自信満々な様子でそう答えたのだった。
◆◇◆
その翌日、シェウミリエ帝国軍は魔族軍を殲滅すべく総攻撃を仕掛けた。
これまでの二日間とは全く違う苛烈な攻撃に魔族軍は総崩れとなり、コーデリア峠へと素早く退却を始める。
「逃がすな! 魔族どもを砦に帰すんじゃねぇぞ!」
ガーニィ将軍の檄にシェウミリエ帝国軍は逃げる魔族軍の追撃を始める。
その集団の先頭近くに将司とハロルドたち聖騎士団の姿があった。
「ショーズィ殿、普段どおり落ち着けば間違いなく邪悪なる魔族を殺せるのですぞ」
「はい」
馬上で将司は引き締まった表情で返事をする。
「一人でも多くの魔族を殺すことが、平和に繋がるのですからな。期待していますぞ」
「はい。わかっています」
将司にはもはや魔族を殺すことに対する迷いは見当たらない。
そんな将司の様子に、ハロルドは満足そうな笑みを浮かべる。
そうして数キロの距離を追いかけたそのときだった。
突如将司より少し後ろの地面が消え、とてつもなく巨大な落とし穴が出現した。
直径一キロほど、深さも三十メートルはあろうかという巨大な落とし穴は瞬く間にシェウミリエ帝国軍の大半を飲み込んだ。
しかし将司たちはそのことに気付かず、逃げる魔族軍を追いかけていく。
その距離は徐々に詰まっていき、道が上りに差し掛かると矢が届きそうなほどに距離が詰まった。
すると逃げていた魔族軍が急に止まり、将司たちに向かって反転してきた。
「ははは、逃げられないとわかったようですぞ。さあ、敗残兵を殺すのですぞ」
「はい!」
「やるっすよ」
勢いを弱めずにそのまま突撃をする将司たちに対し、魔族たちは火球を放ってきた。
しかし聖騎士たちは白銀に輝く盾を構え、火球を打ち消した。
「魔法は効かないっすよ」
聖騎士たちが魔族軍の兵士たちに襲い掛かろうとしたそのとき、突如地面が割れ、魔族たちが飛び出してきた。
魔族たちは次々に矢を放ち、多くの馬と兵士たちが血の海に沈む。
ハロルドとブラッドリーの馬も矢を受けたようで、二人とも落馬していた。
「地面の中に伏兵っすか!?」
「予想外であるな」
ブラッドリーとハロルドは立ち上がりながらそんな愚痴をこぼす。
そこに同じく落馬したらしい将司が駆け寄ってきた。
「ハロルドさん! ブラッドリーさん!」
「ショーズィ殿、無事でありますな」
「はい。なんとか。でも……」
将司は周囲を見回した。するといつの間にやら弓を構えた魔族軍の兵士たちに包囲されている。
「……後続がいないっすね」
「……やられたであるな」
ハロルドはやや諦めたようにそう呟いた。
「ショーズィ殿をなんとしてでも逃がすのですぞ」
「そうっすね」
「え?」
「ショーズィ殿、ここは私が食い止めるのですぞ」
「そんな!」
「ショーズィ殿は勇者、この世界を魔族どもから救うために必要なお方なのですぞ。それにこれは私のミスですからな。ショーズィ殿が逃げる時間を稼いでいる間に、一人でも多くの魔族を殺しておくのですぞ」
「い、いやです! ハロルドさんも!」
「いいですな? 必ず生き延びるのですぞ!」
「あ……」
ハロルドが強く言い聞かせると、将司の胸元で教皇からもらったペンダントの赤い宝玉がわずかな光を放った。
すると将司の瞳から一瞬光が消える。
「わかり……ました……」
「さあ、行くのですぞ」
絞り出すようにそう答えた将司を置いて、ハロルドは弓を構える魔族たちに向かって突撃した。
そんなハロルドに次々と矢が射掛けられる。ハロルドは超人的な反応でそれを躱し、また盾で防ぎ、ぐるりと囲む魔族たちに斬りかかる。
「さあ、こっちっす!」
「はい!」
ブラッドリーに先導され、ハロルドの後に続いていく。
他の聖騎士やシェウミリエ帝国兵もそれに続くが、次々と射掛けられる矢に一人、また一人と血だまりの中に沈んでいく。
しかし将司はブラッドリーとともに包囲を抜け出すことに成功し、ゾンシャールのほうへと全力で駆け抜けていた。
だが!
「あっ!」
将司の前を走るブラッドリーがもんどりを打って地面に倒れた。なんとふくらはぎに矢が命中し、立ち上がることができなくなってしまったのだ。
「ブラッドリーさん!」
「行くっす! 早く!」
「あ……」
将司は悔しそうな表情を浮かべ、ブラッドリーを置いて走っていく。
「……そうっす。それでいいんすよ」
そう呟いたブラッドリーが、将司を追いかけようとする魔族の一人の足を掴んだ。
「タダじゃ、やられないっすよ」
そう言ってブラッドリーは懐から聖導教会のシンボルがかたどられた小さな金属製のお守りを取り出す。
「道連れっす!」
「なっ!?」
ブラッドリーがそう叫んだ瞬間、眩い光とともに爆発した。
やがて煙が晴れるとそこには直径十メートルほどのクレーターがあり、その中心にはぐしゃぐしゃになったブラッドリーの鎧だけが残されている。
そこにブライアンがやってきた。その手にはハロルドの首が握られている。
「自爆か……。これだから聖導教会の連中は……」
そう吐き捨てるように呟いたが、すぐさま指示を出す。
「残っている連中を生け捕りにしろ!」
その指示に従い魔族たちは再び追撃を開始したのだった。
◆◇◆
「な……これは……」
将司はシェウミリエ帝国軍の大半が落下した巨大な落とし穴を前に絶句していた。巨大な穴の底にはおびただしい数の人と馬の遺体が転がっている。
そんな唖然とする将司の前に、ハロルドの首を持ったブライアンが現れた。
「逃がさんぞ。お前には捕虜になってもらう」
「!」
その声に驚いて振り返った将司はハロルドの首を見て目を見開いた。
「ハロ……ルド……さん?」
「魔族のくせに人族に与して……ん? お前、魔族ではないのか? なぜ黒髪を!?」
「俺は! 俺は魔族なんかじゃない! 人間だ!」
将司はそう叫ぶと、憎悪のこもった目でブライアンを睨みつける。
「人間? 人族ではないか?」
「一緒だ! お前たちのような魔族と一緒にするな!」
将司は全力で身体強化を発動し、ブライアンに斬りかかる。
「ぬ? この魔力! ならば!」
ブライアンも身体強化を発動し、左手にハロルドの首を持ったまま将司の攻撃をいなした。
「ハロルドさんを! 返せ!」
将司は持てるすべての力を振り絞って連撃を行うが、ブライアンはあっさりとそれに合わせてカウンターの一撃を将司の胴に加えた。
将司の体を守っていた鎧はまるでバターを切るかのようにあっさりと切り裂かれ、将司の腹からは大量の血が流れる。
「おっと、深すぎたか。まあ、奇跡の天使様ならなんとかしてくれるだろう」
ブライアンはそう呟くと将司の体を腰のベルトを掴んで持ち上げ、コーデリア峠へと駆け出したのだった。
こうしてゾンシャールの北で行われた戦いはシェウミリエ帝国がおよそ三万五千の兵を失ったのに対し、魔族側は負傷者を含めておよそ八百の兵を失うという結果となったのだった。
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